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医療

2018年1月10日 (水)

睡眠障害は長期的視点で治療を

今日のFMは、睡眠のパターンと睡眠障害について話をしました。私は外科を担当していますので、1番苦手な分野かも知れませんので、余り気にせず適当に流して読んで下さい・・coldsweats01

不眠症は非常に多くの国民が経験する睡眠障害の一つです。Th_917872 日本人成人の30%以上が入眠困難(寝つきにくい)、中途覚醒(途中で目がさめてしまう)、早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)、熟眠困難(十分に寝た気がしない)などの不眠症状を有しています。国民の5〜10%が睡眠薬(抗不安薬を含む)の処方を受けているそうで、年齢と共に増加してゆきます。

不眠は単に眠れないと言うだけでなく、精神・身体に大きな影響をもたらします。不眠は個人的には眠気、倦怠感、集中力低下、抑うつや不安感を増し、社会的には長期欠勤や生産性の低下、交通事故などを含めた産業事故の増加を招く病態となっています。

私自身が余り詳しくないのですが、長期的な視点で睡眠障害を考えないといけないとされています。

まず、不眠が治療レベルかどうか、不眠のパターンはどの種類なのか、うつや更年期障害、認知症などの他の疾病から来ていないかどうかを考えて治療にあたります。生活などを見直して、治癒の方向に持って行けるかどうかを考えて、経過をみてゆく必要があります。 

不眠症に対する治療薬には様々な種類が開発されて来ました。1950年代から色々な眠剤が開発され、現在でも一番多く使われているのはGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体作動薬と呼ばれる種類です(沢山の種類があります)。脳の興奮を抑えるGABAという神経伝達物質を促して脳の活動を抑えて眠りへと導く薬剤です。その後2010年代にはメラトニンという物質が体内時計のスイッチになることより、より自然な眠りをもたらす「メラトニン受容体作動薬」が開発され臨床に使われてきました。 2014年には今度は覚醒に関わる脳内物質を抑えて、睡眠を促す「オレキシン受容体拮抗薬」が使われるようになりました。

それぞれに、効果の強さや依存や副作用の問題もありますので、色々な側面から不眠の治療は選ばれています。 眠剤の流れとしては、強力な薬よりマイルドなもの、不眠のタイプにあったより依存が少ない治療薬が選ばれ、またより自然の眠りに近い薬を選択することが多くなりました。

大切なことは漫然と内服を続けないこと、効かないからと違う種類の眠剤を加える多剤併用や安易に増量しないことも重要です。 少量の眠剤で効果が得られない場合などは、より専門的な精神科や不眠外来などの受診を勧めます。上手く主治医の先生と相談して治療をすべきと思えます。

私達が自分で行える環境面の整理については以下のことが報告されていますので、不眠症ならご自身で検討して見て下さい。

Th_797269 ①定期的な運動:適度な有酸素運動すると寝つきやすくなり、睡眠も深くなります。

②寝室環境:遮光カーテンなどで明るくない室内環境、音対策として絨毯を敷いたり、ドアをきちっと閉めた状態にします。 

③規則正しい食生活:空腹で寝ると睡眠は妨げられます。睡眠前には軽く炭水化物などをとるといい場合もありますが、脂っこいものは胃もたれや逆流生食道炎などを引き起こすので避けましょう。 

④就眠前の水分:適度の水分を摂取しますが、飲み過ぎると夜間のトイレが増えます(この辺りは難しいですがコップ一杯程度でしょうか?) 

⑤就眠前のカフェイン:就眠4時間前のカフェインは摂らないようにします。カフェインは覚醒作用もありますので、寝つきにくく睡眠が浅くなる場合もあります。 

⑥就眠前のお酒:寝るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的には寝付きがよくなりますが、徐々に効果が弱まり、夜中に目が覚めやすく深い眠りが減ります。 

⑥就眠前の喫煙:ニコチンには精神刺激作用がありますので、夜は喫煙を避けましょう。 

⑦寝床での考え事: 考え事を寝床に持ち込まないで起きましょう。 就眠時の心配ごとは寝付きを悪くし、睡眠も浅くなります。

睡眠障害は難しいことがありますので、私の様な単細胞の頭では解決出来ないことも多いのですが、固着しないことも大切なのかも知れませんねconfident

2017年12月13日 (水)

アルコール性脂肪肝

お酒飲む機会が増える12月ですので、FM放送では毎回12月は飲酒による健康被害について話をしています。

今回は脂肪肝とくにアルコール性脂肪肝について書いてみたいと思います。

人間ドックなどによる脂肪肝は多くの方が指摘されたことがあるのかも知れません。

人間は必要以上に食べたエネルギーを無駄にしないように、余ったエネルギーは細胞の中に脂肪として蓄える能力を有しています。逆に食事がなかなか入って来ない場合は、この脂肪を燃やしてエネルギーに変えて生活しています。    Th_687571

一番貯めやすいものは皮下脂肪などの脂肪細胞ですが、肝臓の細胞も脂肪を貯める能力が高く、食べる量が消費するエネルギーより高いと、肝臓細胞に脂肪が蓄積して来ます。おおよそ肝臓の細胞の中の30%以上に脂肪化している状態を「脂肪肝」と呼んでいます。

定義はそうですが、肝臓の細胞を取って調べるのは一般的ではありませんので、エコー検査で脂肪肝の有無を簡易的に調べてお伝えしています。 超音波検査(エコー検査)では正常なら、肝臓と隣にある腎臓の写り方はほぼ同じレベルとなります。肝臓に脂肪がつくと脂肪は超音波が反射しやすくなり、白っぽくなります。同じ人間でも腎臓は脂肪がつきにくいので肥っていてもほぼ同じエコー輝度です。 

そのことを利用して、エコー検査をして、腎臓と比べて明らかに肝臓が白く写っている場合(専門用語で肝腎コントラスト陽性と呼んでいます)を肝臓の脂肪が多いと判断して、脂肪肝と伝えています。人間ドックの受診者で20〜30%の方が指摘されています。

では脂肪肝の原因は?  

Th_767287 脂肪肝の原因として大きくアルコール性と非アルコール性に大別しています。アルコール性は文字通り飲酒ですが、非アルコール性の原因は肥満、糖尿病、高脂血症、一部の薬剤(タモキシフェン、ステロイド、テトラサイクリンなど)、栄養障害、運動不足など様々です。

脂肪肝は放置して良いのか?

多くの場合は皮下脂肪と同じ様に肥満と同じで直ぐに治療ではありませんが、一部で問題となる場合もあり、脂肪肝も侮れません。

よくB型とかC型といわれる肝炎ウイルスによって、感染→慢性肝炎→肝硬変→肝癌へと進行することがいわれていることは皆様方もご承知と思います。

実は脂肪肝でもこの様なことが起こる危険があるので注意が必要です。脂肪肝も→脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌へと進行することもあるのです。 この場合も上記と同じ様にアルコール性と非アルコール性に分かれます

①アルコール性脂肪肝炎(ASH:アッシュ)  飲酒が原因でアルコール脂肪肝となり、その一部の方が肝臓細胞が炎症を来すアルコール性脂肪肝炎へと進行します。肝細胞が炎症により急速に死んでしまい(壊死)、更に壊死後に線維化が起こって肝硬変の状態となります。更に飲酒を続けると肝癌へと伸展してしまうケースがあるのです。

②非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)  日本人の肥満度が上がるにつれて、お酒を飲まない人にも肝炎になることがあります。肥満が持続することで一部の方が上記と同じ様に肝細胞が炎症を起こし(肝炎)、その後肝硬変、肝癌へと進行することもあるのです。

アルコール性ならまず禁酒が一番です。NASHの方は減量、それもいきなり絶食ではなくて低カロリーで栄養バランスのよい食生活と適度な運動が勧められています。

人間ドックなどで指摘される脂肪肝。既に日本人で100万人がNASHになっているとも言われていますので、肝炎ウイルス陰性で飲酒歴がなくても肝硬変、肝癌となる場合もありますので留意が必要です。

2017年12月 6日 (水)

日本人は糖尿病になりやすい

今日のFM放送は、糖尿病について説明をしました。
ブログでは何故日本人はあまり肥っていないのに糖尿病になりやすいのか?について書いてみたいと思います(いつものように私は外科が専門ですので素人レベルですcoldsweats01

欧米を旅行していて、恰幅のある方々を多く見かけます。こんなに肥っている方が多いのでさぞ糖尿病が多いのだろうと想像するわけです。 しかし日本人と欧米人の糖尿病患者は同程度なのです・・・・何か悔しい気もしますが・・・粗食に耐えてきた日本人が急に栄養価の高い食事を摂っているからなのでしょうか? 

そこには悔しいけれど欧米人との遺伝的な人種格差があるからなのです。

Th__2 人間の一番のカロリー源となるのは糖分で、血液の中の糖分が使われますので、血糖値が重要となります。血糖は食事からの直接摂取や脂肪やタンパク質が分解されて造られる場合もあります。 血液の中の糖分を細胞の栄養分と取り込ませるのがインシュリンというホルモンになります。 血糖が上がったらインシュリンが多く出て血糖値を下げます。 暫く食事をしないと血糖値は下がってしまいますので、この時は血液の糖分を上げるために、グルカゴンと言うホルモンが調整役をかって出ます。 グルカゴンは肝臓の中に貯蔵されているグリコーゲンを分解させて、血液の中に糖分(グルコース)として放出することで、血糖を上げます。 
このインスリンとグルカゴンによって血糖は調整されているのです。
これが糖尿病になるとバランスが崩れて、血糖値が高いままで経過し様々な障害をもららしてしまうのです。

血糖を下げる働きがあるのは体の中で膵臓から分泌されるインスリンしかありません
主に先天的あるいは子供の時に膵臓の分泌細胞が何らかの原因で傷害されインスリンが分泌できない場合を1型糖尿病といい、インシュリンの注射が不可欠となります。

現代人の多くは2型糖尿病です。

では2型糖尿病の発症のメカニズムは?
長い間の生活習慣にて血糖を高くする食事を摂りすぎることで、膵臓がへばってしまうことにあります。 すなわち、インスリンの分泌低下(インスリン分泌障害)が出現し、肥満細胞の増加によってインスリンが上手く使えなくなるインスリンに対する反応低下(インスリン抵抗性)も同時に起こって糖尿病を発症します。

このインシュリン分泌障害、インスリン抵抗性には複数の遺伝因子が関与するだけでなく、インスリン抵抗性には過食や運動不足という生活習慣や加齢も影響してしまうのです。

さあ、ここで「何故日本人は糖尿病になりやすいのか?」のタイトルの説明になります。

①:日本人のインシュリン分泌能は欧米人の半分しかないのです(長年粗食に耐えてきたからだと言われています。近年まで日本人はここまでインシュリンを必要としていなかったのです)
②:必要以上の栄養を摂取した場合は、体の中で余分な糖分が増えます。インシュリンが作用することで、余った糖分(エネルギー)は肥満細胞に蓄えられることになります。

Th_a4f502f982bd26161e5906bd3c9c1852 ①、②を押さえて考えてみましょう。

ここで日本人と欧米人が少し多めの量の糖分(栄養)を同じ量とったと仮定しましょう。

  →日本人は血糖を下げようと、ただでさえ少ないインシュリンを出そうと頑張ります。僅かに皮下脂肪にも蓄積されますが(正常〜軽度肥満の状態)、インシュリン分泌細胞が疲労して、とうとう出しづらくなって糖尿病を発症

  →欧米人はインシュリンが分泌され、血糖は正常に保たれる一方、余ったエネルギーは脂肪細胞に蓄えられます。 ですから見かけは肥満でも糖尿病にはなっていない。流石の欧米人でもこれ以上カロリーを摂取すると、インスリン抵抗性がつよくなりインシュリン分泌能を越えると超肥満で糖尿病となるのです。

何となく分かりましたでしょうか? まあ私達日本人、あまりカロリーをとらなくてもいいように長年かけて進化したのです。地球に優しいエコの体なのでしょうか・・・coldsweats01

2017年11月22日 (水)

メニエール病の歴史

今日のFM「いきいきタイム」はめまいについての第2段として話をしました。ブログでは何度かめまいについて説明しましたので概要は省略します。 まあ私自身は外科が専門ですので、めまいについてはあまり知らないのですが自分への勉強のつもりで書かせて貰っています。

めまいの原因となる1つに「メニエール病」があります。普通はこの様な専門用語に関しては多くの方は知らないのですが、何故かこの病名については知っている方が意外に多いのにビックリしています。                      Th_dsc01358

めまいにも色々なタイプがあり、回転性、動揺性、眼前暗黒感などが代表で、めまいに伴う随伴症状も嘔気、難聴、頭痛など様々です。

今でこそ、めまいの多くの原因が耳から来ていると分かる様になっていますが、昔はめまいは頭の病気(脳卒中など)から来ていると考えられていました。現在ではめまいの原因は大まかに耳が7割、脳が1割、その他が2割と言われています。

メニエール病は耳からもめまいが起こるということを広く知らしめた疾患として歴史上、臨床上重要な疾患となっているのです。

19世紀半ば、フランスで17歳の少女が街から街への移動中に冷たい風雨にさらされます。その移動の途中で突然の激しいめまい、耳鳴り、聴覚障害を訴えて病院に運ばれて来るのです。しかしその3日後には肺炎となりとうとう帰らぬ人になします。

この女性の病理解剖を行ったのがフランスの耳科医のメニエール先生でした。これまでめまいなどは脳出血などの脳の病気と医学会でも思われていました。しかしこの少女の解剖をした結果は脳や髄液などには全く異常がなくて、聞こえなくなった側の耳の内耳に出血が認められるのみでした。
Th_ これまでにもメニエール先生はめまい、耳鳴り、難聴を繰り返す患者さんを何人も観て来て、脳の病気ではなくて、内耳の病気ではないかと考えていたのです。この少女の解剖の結果をみて、耳鳴り、難聴を伴うめまいは内耳障害によるものと確信し学会で発表します。

当時の医学会を巻きこむ論争となりますが、フランスでは評価を受けなかったのですが、ドイツ医学会がその報告を支持し、一気に世界的に認められる様になります。

これを機にめまいが内耳の障害でも起こることが認められ、これを提唱したメルエール先生にちなんで「メルエール病」と世界に知れ渡ったのです。

メニエールという言葉の響きがいいのか分かりませんが、何故かこの「メニエール病」は広く日本国民にも知れ渡っている気がします。と言うのはめまいで来る患者さんが「私はメニエール病ではないでしょうか」と来院する機会もあるからなのです(時々経験します)

ただし、メニエールが最初に報告した内耳の出血によるものは今では「突発性難聴」で、本当のメニエール病は「内耳のリンパ液の水腫(水ぶくれ)」が原因であるとされているのです。

メニエール先生のお陰で、めまいが耳からも起こることが世に知らしめられた点と、逆に「めまい=メニエール病」と世間が認識してしまったという功罪もあります。

まあそれでも、時代と共に病気も原因が究明されてゆくのです。こらからも今は原因不明な病気もその原因が判るようになるのかも知れません。医学の進歩に期待したいものですscissors

2017年11月 8日 (水)

めまいと吐き気

めまいと言っても違うタイプのめまいがあります。 自分自身あるいは周りがぐるぐる回るように感じる「回転性のめまい」、体がフラフラする、真っ直ぐ歩けないなどの「浮動性めまい」、目の前が暗くなる、立ち上がるとクラッとする、心神を伴う等の「立ちくらみ」もめまいの1つになります。
Th_3e74a33baa25f9f1602a26a8b7a974f7 回転性のめまいの多くは耳の異常から来ますが、その次ぎに脳の異常でもおこります。浮動性のめまいは中脳などの脳の病気で起こることが多く、立ちくらみなどは血圧の低下など循環器系が原因となることが多くあるのです(もの凄く大雑把に捕らえてです)

めまいは何となく頭や耳の感じですし、吐き気は消化器の症状のように思えます。しかし日常では「めまいと吐き気」が同時に起こることもしばしば経験します。

耳や脳の病気が原因のめまいもひどくなると中枢神経に作用し嘔気・嘔吐を伴うこともよく経験します。

私の専門外ですが、妊娠初期に起こるつわりも吐き気とめまいを伴うことが多く、ひどい場合は妊娠悪阻といって入院が必要な場合もあります。受精・着床し胎盤が形成される時期につわりが起こって来ます。急激なホルモンバランスの影響、胎児もお母さんとは違うための拒絶反応、妊娠初期の不安定な時期に妊婦の安静を計るため、精神的肉体的なストレスのため等が言われています。今後もってと解明が進むと思います。Th_652777  

米国の学会誌「JAMA Internal Medicine」の2016年9月版のつわりが重いと流産の確率が減ると載っていましたので、つわりによって妊婦に妊娠していることを知らせながら、安静や食事制限を強要しているのかも知れません。 つわりになったことのない私としては女性の皆様大変だと思います。

食中毒やウイルスなどによって引き起こされる胃腸炎についても嘔気を伴うことが多くあります。この作用には体外から原因物質を早く除去するために吐いたり、下痢を伴うこともあります。それにより脱水になったり、電解質がくるうこともあり、それによってめまいを来すこともしばしば経験します。

自律神経失調症、うつなどの精神的な因子によっても、嘔吐とめまいを伴うこともよく経験します。

人間の体は不思議です。繋がっていないようで繋がっている病態も沢山あるのです。どんなに医学を勉強しても(私が勉強が足りないだけかも知れませんが・・weep)人間の体は神秘的です。

2017年11月 1日 (水)

イビキは危険な信号かも:睡眠時無呼吸症候群

今日のFM放送ははイビキと睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome:SAS:サス)について話をしました。

毎日のようにいびきをかく人は、日本の人口の約30%で、中年以上の人では、50%以上になるといわれています。

イビキは、睡眠中に上気道(ノド)が狭くなり、空気が通るときノドが振動して音が鳴ることを呼んでいます。気管支喘息のような気道の狭窄で起こる音(ヒューヒュー音)ではありません。

外国の方は殆どが肥満の方なのですが、日本人は顎が小さい方も多くこの場合は肥っていなくても口腔内が狭いのです。肥っていると口の中に頬も舌も飛び出してきて口峡部が狭くなります。皆様方も鏡の前で多く口を開けて見て下さい。

Th__2

上記のクラスⅠ、Ⅱならいいのですが、Ⅲ、Ⅳはイビキをかきやすくその結果睡眠時無呼吸になりやすい状態と言えます(全身麻酔では気管にチューブを挿入しますので、声門が見やすいかどうかで挿管がやりやすいかどうかある程度分かります。上記の図は挿管困難な方かどうかの目安にも使われています)。

狭いだけならイビキだけですみます。さらには吸い寄せられてられると息が出来ない閉塞した状態となります。 振動するだけならイビキ、閉塞すると無呼吸ということになり、いろいろ体に負担をかけた睡眠時無呼吸の状態となってしまいます。

<SASは命を縮める原因ともなりますので要注意です>    

Th__4 睡眠時無呼吸症候群はその名の通りですが、その定義は無呼吸(10秒異常の呼吸の停止)が頻繁に(1時間に5回以上)起こり、昼間の眠気など様々な症状が引き起こされる病態をよんでいます。 

自分では意識しなくても、無呼吸が続くと脳が短時間目覚めて(覚醒反応:本人は覚えていない)、息を吸えるよう努力するのです。 それは無呼吸から身を守る覚醒反応で一晩に数百回もおこると、睡眠はとぎれとぎれの質の悪いものとなります。

 

例えば普通に寝ている方の、鼻をつまんで息が出来ないようにして、動いたらはなしてを繰り返す様なもので、SASの状態は覚えてなくても拷問みたいなものなのです。それを想像するとこの病気の怖さが理解出来ると思います。

SASの患者さんは正常者に比較して、高血圧は2倍、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞などの心臓病)は3倍、とくに習慣性の強いいびきがある場合の方の心筋梗塞発生頻度は4倍、脳卒中は4倍、さらに日中眠気に襲われたり、集中できないため、交通事故は7倍多くなるとと報告されています。

 

中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群は重度に死亡率が大幅に上昇します。厚生省研究班の調査では、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が20回以上おこる場合の5年間の死亡率は16%と報告されています。8年で死亡率40%という報告もあります。これは平均寿命にして約年短くなると言います死因は脳梗塞、心筋梗塞など。睡眠中や朝方に死亡する例が多いとされています。

イビキや睡眠時無呼吸を家族に指摘されたいる方、家族がいない場合は分からないこともあるでしょうから、昼間の眠気が強い、ボッとする、体がだるいなどの場合はセルフチェックをしてみて、クラスⅢ、Ⅳなら呼吸器外来を受診された方がよいかも知れません。

2017年10月25日 (水)

慢性腰痛症の85%は原因がつかめず

厚生労働省の国民生活基調調査の中で、自覚症状の統計があります。これは病名ではなくて、国民が日常生活や病気、怪我などで実際に感じている症状についてアンケートした結果です。                               Th_5faaa39901ced4ee5c32b49325c17c22

公表された最新のデーターは平成25年版で、それによると、男性の場合の自覚症状は多い順番に①腰痛 ②肩こり ③鼻がつまる・鼻汁が出る ④咳や痰が出る ⑤手足の関節が痛む となっています。女性では①肩こり ②腰痛 ③手足の関節が痛む ④体がだるい ⑤頭痛 となっています。いずれも関節に関しての訴えが多く、腰痛が全体で一番多いことがわかります。                               

上記アンケート調査での回答の腰痛は、いわゆる慢性腰痛をさしていることが殆どと思います。腰痛は多くの日本人が感じていることですが、実は正確な診断がつくのは15%程度で、残りの85%は明かな原因を絞れない状態で、深刻な病態ではないと考えられています。

私達の腰回りは 体を支える大黒柱の脊椎(腰の部分は腰椎)、周りの様々な筋肉、神経、結合組織、皮膚などからなっています。 上半身を支え、前後左右の運動をしなければいけません。 腰は姿勢を維持するだけでも沢山の努力をしないといけないので、絶えず緊張(ストレス)を強いられている組織でもあります。 

この腰回りだけでなく、例えば尿管結石などの泌尿器疾患、生理痛を含めた婦人科疾患、便秘や腸炎などの消化器疾患、大動脈瘤などによる神経の圧迫、さらには精神的な要因でも腰痛として出現することがあるのです。

多くの腰痛は原因が不明(対症療法や運動療法しかない)ですが、重篤な脊椎疾患(腫瘍、炎症、骨折など)の合併を疑うべき危険信号として,腰痛ガイドラインで示しているのは、①発症年齢は20歳以下または55歳以上の場合、②時間や活動性に関係ない腰痛、③胸部痛、④癌、ステロイド治療、HIV感染の既往、⑤栄養不良、⑥体重減少、⑦広範囲に及ぶ神経症状、⑧構築性脊柱変形、⑨発熱・・・を伴う場合は黄色信号としています。

Th_e4c3ccc34f5c9996c1c3c6b54c98aa40 慢性腰痛に対する痛み止めや湿布は有効であろうとしています。運動療法に関しては慢性期に対しては有効であろうとしていますが、具体的に飛び抜けた運動療法はないとされていますので、現時点では一般的な腰痛体操でいいと考えられています。

そのこともあり腰痛の診断、治療、予防などに関しても多岐にわたって賛否両論が出ているのが現状です。 それでも先ずは慢性の腰痛がある場合、整形外科、内科、精神科、泌尿器科、婦人科、外科など様々な分野での診察が必要となることもあります。その中で診断がつけば治療を優先し、はっきりしなければ対症療法でよいかと考えています。

 

2017年10月11日 (水)

昔は心(精神)は心臓にあると考えられていた

今日のFM放送は不整脈について話をしました。以前ブログに不整脈の種類については記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/20130626fm-5a8b.html )。

旅行記の中で、生涯戻ることが出来なかったポーランドへの望郷の思いで、フレデリック・ショパンはフランスで亡くなる直前に、姉に自分が死んでも心臓はポーランドに戻して欲しいと嘆願したことを書きました。ショパンの死後、心臓はワルシャワへ運ばれ聖十字架教会に安置されています(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/61no1-3ba2.html )。

それは当時心(精神)は心臓に宿ると考えていたからで、肉体は異国(フランス)にあっても心はポーランドの戻りたいとのショパンの希望だったのです。

Th_e8f28c732664743eccb1708dd6cc10c7 古今東西において、生命の首座や心は心臓にあったと考えられたいたようです。心臓の脈は自律神経によって支配されています。私達が念じても心臓は速くなったりしませんが、走ったりすると心臓は速く動きだします。 ビックリしたり胸が躍る経験をすると心臓が高鳴り、はち切れそうになります。私達は心が動く場面で心臓の鼓動を感じることがあります。 この様なことから、心(精神)=心臓と考えられていたのです。

当時は恋をして胸が高鳴っても脳がそうしたとは考えていなかったのです。心の動きを心臓がドキドキすることで私達は心臓の存在を感じることができ、心は心臓にあると考えたのです。

もう一つ、これも古今東西を問わず、心臓が物事を記憶する場所としても捕らえられたようです。ラテン語やイタリア語、英語などで「心臓」が記憶する場所として記載されているのです。「Heart」を辞書で引くと動詞の部分で「・・・を心に銘記する」「・・・を肝に銘じる」と出てくるはずです。そして私達日本人も「心にとどめる」とか「心に残る」などの表現があるように心臓で記憶していたと考えてたのですね。

心臓より複雑で緻密な作業を行う脳の機能についてはあまり知られてなかったので、精神的なことも記憶することも心臓が行っていると考えたのも無理はないことですね。

まあ恋をして「心がときめいて」胸に手を当てて祈ることはあっても「頭に手を当てたら」熱でもあるのといわれるのがおちです。やはり胸がキュンとするのは心臓なのでしょうか?

2017年10月 4日 (水)

肺がんの治療法の変遷

今週のFM放送は「肺がん」について説明しました。

肺がんは日本人のがん死亡の1位(男性で1位、女性で大腸癌の次の2位で男女併せて1位)を占めています。 がんになる順位でいうと男性は胃癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌で、女性は乳癌、大腸癌、胃癌、肺癌、子宮癌となります。

Th_ このことより肺癌が治療に難渋する病気であることが伺われます。肺癌は無症状で進行することも多く、発見時にすでに手術の適応でない方が6〜7割を占めています。 このことが一番重要でしょうが、肺癌の特殊性もあります。

肺癌といっても性質が異なる癌が主なものでも4種類存在します。それぞれが違う治療法を求めらますし、喫煙との因果関係も様々です。

肺癌はまず大きく小細胞肺癌(15%)とそれ以外の非小細胞肺癌(85%)に分類されます。非小細胞癌は腺癌(50%)、扁平上皮癌(30%)、大細胞癌(5%以下)に別れます。

小細胞肺癌は増殖が早く、転移しやすい癌のため、以前よりごく早期以外に手術療法の適応がなかったために、その他の手術療法の重要性が高かったタイプ(非小細胞癌)に分けて考えていました。しかし抗がん剤や放射線療法が効果があるタイプです。

非小細胞肺癌はⅠ期から中期(ⅢA期)までは手術適応があり、手術に加えてその他の化学療法や放射線療法の組み合わせて行われています。進行癌では手術は不可能で化学療法や放射線療法が主な治療となります。

喫煙と因果関係が特に高い小細胞癌や扁平上皮癌は日本においても喫煙率が低下するにつれて今後低下することが予測されています。 いま喫煙とも関連の少ない腺癌が女性の増加と共に問題となっています。手術可能ならいいのですが、最初に書いた通り進行して発見される肺癌が多く、このタイプはこれまで抗がん剤や放射線療法があまり奏効しないことがありました。

この治療に光明が差したのが、分子標的薬、さらにはⅣ期の非小細胞癌に対して「免疫チェックポイント阻害剤」の出現です。 これは癌の細胞が持つ遺伝物質を解析して、どのタイプで効果があるかもおおよそ目星をつけてから治療を開始します。 

この薬剤は一般の方々では高額医療で医療費を圧迫しているニュースで話題となった薬剤で知っていらっしゃるかも知れません。 この薬だけで1年間投与し続けると1人に対し1400万円以上の薬代がかかっています。 肺腫は稀な癌ではなく多くの国民がなっている分、使用する患者数も非常に多くなります。ですのでより国民の医療費の高騰が危惧され、厚生労働省も非常手段として薬剤メーカーに薬価の改訂前に薬の値段を下げさせたほどだったのです。

しかしながら、これまで効果がなかった治療に著功するケースもあり更なる治療薬の開発が求められています。                          Th_40b720f8eab2db2baa336d8f299ba8_2

肺がんの原因として喫煙は大きな要因で、肺がんの発生の関連でいえば喫煙が85%関与しています(上記の腺癌のように喫煙と関連しない肺がんも15%存在します)。1番大きな要因となる喫煙をなくすだけで医療費の高騰を防ぐことも出来ます。

死亡第1の肺癌も早期発見と併せて色々な治療法と組み合わせ、今後日本でも肺癌は低下に転じると予想され、更なる効果のある治療法が出てくるのを望むのです。

2017年9月27日 (水)

尿管結石の痛みはお産と同程度の痛み?

今日のFM放送は、尿路(尿管)結石について話しましたので、ブログでは尿管結石の痛みについて話をしようと思います。

まず、言葉の使い分けから・・・私は泌尿器科医ではありませんが、よく「尿管結石」と「尿路結石」は違うのですかとの質問を受けることがあります。

Th_ 私達の尿を作り、体外に排出する組織を泌尿器系呼んでいます。左右の腎臓・尿管および膀胱・尿道より出来ています。腎臓と膀胱を繋いでいる細い管が尿管、膀胱から先の排出されるまでの間の管を尿道と呼んでいます。ご存じのように男性では尿道が女性より長く、その尿道を取り囲むように前立腺があります。 年齢と共に前立腺が大きくなる傾向がありますので、尿道が前立腺により前後左右から圧迫される様になります。その為多くの方が年齢と共に尿に勢いがなくなり、排尿困難や排尿時間がかかったり夜間頻尿の原因ともなります。 女性は尿道が短いので、出しにくいことはありませんが、逆に外部から細菌が入りやすいので膀胱炎などにかかりにくくなります。

石の存在部位により、腎内結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けますが、腎臓は尿を作り出す組織ですが、それ以外は尿を運び出す道ですので、尿管・膀胱・尿道をひっくるめて「尿路」と呼んでいます。

主に腎臓で尿を作り出す過程で、シュウ酸カルシウムを主成分とする結石が出来ます。脂肪分の多い食事やカルシウム不足、高尿酸血症の方、ストレスの多い方、まだ脱水などで尿が濃縮されやすい場合などで石が出来てしまいます。

腎臓にあるうちには痛みもないのが普通で検診のエコーなどで腎結石をされることがあります。ところが尿管はとても細く、滑らかさ組織で痛みを感じる神経も回りに沢山存在します。

尿管結石で殆ど痛みを感じない方も中にはいますが、強烈な痛みは多くの方が聞いたことがあるかも知れません。どれ程に痛みかと言うと、大の大人が七転八倒し冷や汗をかくほどの痛みで嘔吐などの症状も伴い、救急車で搬送される方も多くいるほどです。

米粒ほどの石でも表面はギザキザしています。Th__2 腎臓から石が落ちて、滑らかな尿管の中を通ると背中や脇腹にかけて突然激痛を生じます。腎臓からは尿が作られて続けますので、尿管は上から下へと蠕動運動によって尿を膀胱に運んでいます。尿管に石が引っかかると、腎臓に近い尿管は拡張し、尿管は蠕動を強くして結石を押し出そうとします。 そのために数分おきに「痛んだり止んだり」の疝痛発作が起こります。 この二種類の痛みが尿管結石では襲って来るのです。

男性が女性より2〜3倍多く、特に30〜50代の男性に多いとされています。尿管結石を患った女性の患者さんから「お産ぐらい痛かった」聞いたことがありますのでやはりかなり痛いのです。男性でも尿管結石の排石の場合、生みの苦しみを味わうのです(痛いのは尿管を移動する時で尿道を移動するときはそこまで痛くはありません)。

お産は出てくる喜びも大きいので痛みも半減されるかも知れませんが、尿管結石は出て来ても米粒のような石ですので、恨みはあっても喜びはありません・・・coldsweats01

違う方向になってしまいましたが、腎臓から出た石は尿管、膀胱、尿道を経由して出てゆきますが、症状が激しいのが尿管を通るために尿管結石と呼んでいることが多いです。尿路結石でも間違いはありません。

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