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医療

2017年9月13日 (水)

輸血のための交差適合試験

今週のFM放送は、血液型について話をしました。医学的な見地からですので、血液型と性格など多くの方が関心のあることではありません(笑)。 以前ABOの血液型についてはお話しましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-5820.html )、今回は実際の輸血に関して、輸血の際の検査法について少し記載します。

血液型にはA型、B型、O型、AB型が存在します。Th_ 輸血に対してはRHプラスとかマイナスといわれるRH血液型D抗体検査という条件も大きく作用します。それ以外に人間の体には不規則抗体といわれるいくつかの抗体が存在して、僅かながらその為に同じ血液型、同じRHのタイプでも輸血出来ない場合も存在します。

Th__2 ・輸血をする際に、違った血液型を輸血すると、凝血や溶血が起こり死に至るケースもあります。ですのでその人に輸血しても凝血が起こらないような血液が必要な訳です。 その為の検査は、患者の血液と試薬(血球と血清)を使用し、肉眼で赤血球の凝集をチェックします。

・ABO血液型の検査でも、実は2種類の検査(オモテ試験とウラ試験)を実地しています。

先ずはオモテ試験にて、実際の患者さんの血液型がどのタイプかどうかを判定します。 これでほぼ問題ないのですが、これまでの輸血歴などで色々な抗体が出来た場合もあるために、ウラ試験を追加して確実にその血液型であることを判定しています。

それだけでなく実際に輸血をする場合は表・裏試験だけでなく、実際の輸血用に提供された血球を使って凝血が起こらないかどうか判定します。

輸血で反応が起きやすい抗体の1つにRh(D抗体)があります。日本人の99.5%はRhプラスでRhマイナスは0.5%と少数派となっています(ちなみに白人はRhマイナスは15%程度です)。

日本人の血液型は多い順にA,O,B、ABで人口比で4:3:2:1の割合です。ですのでAB型でなおかつRhマイナスは人口的に非常に少ないため、手術や外傷などで多量の輸血が必要になる時には注意が必要となり、全国的にも日赤などで登録確保体制が構築されているのです。

2017年9月 6日 (水)

爪白癬治療も塗り薬へ

水虫や体部白癬などの真菌類の感染症は、真菌も持つ特殊性から根治に時間がかかりました。特に足の水虫が爪の中に入ると、硬い爪に守られて、塗り薬も効かないためお手上げ状態でした。その後は爪白癬にたいする内服治療へと治療法が変化しましたが、時間がかかることや副作用の注意点もあり、なかなか普及しませんでした。

2014年に爪白癬に対する塗り薬の許可がおりましたが、さほど期待は出来ない状況でした(もちろん効果が十分にあった症例もあります)。この薬も爪の中への浸透が不十分だったからなのです。(この様なことは以前ブログに書きました http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-e079.html  )

2016年4月から新しい2番目の爪白癬用の塗り薬が発売許可が下りています。この薬は薬剤の浸透性が高く、爪白癬に対して効果が高いことが分かる様になり、皮膚科などで急激に処方が伸びている薬剤となっているようです。

Th_b4bf0283721c8f31e0baf8413ab748c9 新薬が出ると発売後1年間は副作用などのモニタリングを行ったりしますので、長期的に処方出来ない決まりがあります。今年の4月からは1年が経過したために、これまで外来受診1回につき1本までしか処方出来きなかった制限は解除されています。

全く副作用が無いわけではありませんが,塗り方に注意しながら気長に使用して行くと、多くの症例で塗り薬だけで爪白癬が完治することが可能な時代になりました。 これは非常に画期的なことかもしれません。

ある調査では日本人10%、約1250万人が爪白癬を持っているといわれています。爪が変性して厚くなるなったような爪白癬をお持ちの方や気になる方は、1度皮膚科の先生と御相談されて方がよいかもしれません。 薬剤の進歩の1つです。

2017年8月30日 (水)

食中毒の予防

日本は世界でも1番と言っていいほど衛生状態の良い国だと思います。
しかし戦後殆ど、食中毒の件数は減っていないのです。

食中毒を起こす菌は私達の周りに溢れています。特に高温多湿の夏は食中毒を起こす細菌にとっては極めて増殖しやすい状況となっています。

Th_452601 色々な場所で食中毒が起きても、感染ルートさえ分からない場合も多いのです。

同じ感染源の食品をとっても食中毒になる方もいるし、症状の出ない人もいます。その人の体力差や胃酸の強さの状況など様々な要因がそこには潜んでいます。

食中毒を起こす菌の種類その毒性も様々です。①菌が体内に入ってから増殖して食中毒を起こすタイプ(感染型の食中毒菌:サルモネラ菌、カンピロバクター菌など)の多くは、加熱処理すれば、食べる前に菌が死んでいますので食中毒にはなりません。②もうひとつのタイプは食中毒を起こす原因として菌が出す毒素によって症状がでる毒素型の食中毒があります。その中でも更に2つのタイプがあります。

②−1:体内に入ってから毒素を作り出して症状を出す菌としては腸炎ビブリオ菌、今話題の病原性大腸菌(0-157)などがあります。これも加熱処理すれば殆ど死滅して問題になりません。 ②−2:もう一つ厄介なタイプの食中毒は食品内で既に菌が増殖して、毒素を持っているタイプの菌(ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌など)は生体外毒素型といわれ、この場合は加熱によって菌が死んでも、毒素は食品に残ったままです。無味無臭で気づきません。 この毒素は熱に強く、十分に加熱処理しても毒は分解しませんので、食中毒が発生してしまうのです。

最後の食中毒は食品や食品会社などの問題で、私達ではどうしようもないことですが、多くの細菌性食中毒はやはり基本通り行っていれば防ぐことが出来ます。

やはり食中毒の基本は(1)菌をつけない(清潔・水洗い)、(2)菌を増やさない(迅速・冷凍・乾燥)、(3)菌をやっつける(加熱) することです。 これを守り夏場の食中毒を少しでも予防しましょう。

2017年8月23日 (水)

カンピロバクター食中毒

近年、わが国における細菌性食中毒としては、カンピロバクター食中毒が発生件数が増加し、年間300件、患者数2000人程度で推移しています(これは厚生労働省が把握している数であって実際は何倍も多いかもしれません)。

夏場の細菌性食中毒の三大起因菌として、カンピロバクタ、サルモネラ、腸炎ビブリオが有名ですが、カンピロバクター食中毒は主に肉類(鶏、牛など)の調理不十分で起こる場合がおおく、屋外などでも飲食店やキャンプなどでも提供されているために、肉類を介して食中毒が起こる機会が増えたのではないかといわれています。

Th_5567e420f7293cdb579ab16bce3965ca そもそもカンピロバクター菌は普通に動物達が持っている菌で、特別な菌ではありません。ニワトリや牛などの家きんや家畜はもちろんののこと、ベット、野鳥などの野生生物など多くの動物が保菌しています。

これを書くと皆恐れてしまうかもしれませんが、厚生労働省の研究によると、鶏肉(通常の食肉用として流通している状態)がどれぐらいカンピロバクターに汚染されているかと調べた調査があります。 鶏レバーで66%、砂肝67%、鶏肉40〜100%という結果でした。

さて皆様方はこれを聞くともう食べられないと思っているかも知れませんが、何も心配することはありません。

カンピロバクターは熱に弱いのです。ですから食べるときに中心部まで火を通しすと死滅します。75度で1分あれば死滅します。 普通に火を通しさえすれば完全に死滅します。心配しないでいいのです。

食肉を扱う時の基本中の基本ですが、生肉をとったりするお箸を食べるお箸は分けること、肉を切った庖丁などで,サラダなどを野菜を切って使わないことなど・・・肉類は感染しているかもと考えて処置すれば大丈夫です。

屋外で折角のキャンプなどで楽しんだあと、1〜7日(潜伏期間が長いのも特徴です)して下痢、腹痛、嘔吐などが来たら、折角の楽しみもおじゃんになりますので、気をつけて楽しんで下さいね。

2017年8月 9日 (水)

薬剤による日光過敏症

先週に引き続きFM「いきいきタイム」は太陽光線が与える影響について話をしました(皮膚科は専門外ですので、素人と同じレベルの話しか出来ませんが)。その中から、ブログには光線過敏症について記載したいと思います。

太陽の下で日に当たると当然、光のエネルギーにより私達の皮膚には日焼けやその後の褐色化、シミ・シワなどの変化が起こります。光線過敏症は普通の方ではなんでもないような量の光にあたっても、様々な異常な皮膚症状(赤み、湿疹、掻痒感、水疱形成、色素沈着など)を生じる現象を呼んでいます。

幼少時から起こす遺伝性疾患では色素性乾皮症、ポルフィリン症等があり、青年期では多形日光疹、日光蕁麻疹、光接触皮膚炎などがあります。

Th_ 原因疾患も様々で、先天的なものから、薬剤性など様々です。その原因物質の1つにクロモフェアが上げられています。これは太陽の紫外線のUVAとUVBに反応して、エネルギーを放出し、毒性やアレルゲンの原因となると考えられています。

中高年になって起こる光線過敏型薬疹については注意が必要でしょう。これは内服薬や外用薬(シップなども含む)を貼った後に太陽光を浴びると、これまでなかった皮膚炎があられることがあります。これを光線過敏型薬疹と呼んでいますが、その原因となる薬剤として私などが使う抗がん剤など特殊な薬剤もありますが、多くは一般的に使われている薬によることが多く、気が付かないこともあります。

光線過敏型薬疹は内服や注射で入った薬が紫外線の影響を受けて、アレルギー反応を起こすようになります。この状態を光感作という状況になり、アレルギー反応の準備状態となってしまいます。この状態に体が変化すると次からは少量の紫外線でも反応が起こるようになりひどい皮疹になったり痒くなったりします。

抗生物質、降圧剤、抗コレステロール薬、抗不整脈薬、利尿薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、血糖降下薬、抗リウマチ薬、ビタミンB6など多くの原因物質があり、それぞれ特殊な薬ではなくて病院などでよく処方されている薬が含まれいます。またそれらの薬同士の相性でも起こし易くなると言われていて注意が必要となっています。

病院の処方だけでなく、一般的なドラッグストアでも買えるような湿布薬を貼ったままや外して直ぐの時に日光を浴びるとその部位だけが異常に赤くなったり痒くなったりする場合もよく見受けます。また日焼け止めの成分や虫刺されの治療薬でも日光過敏となる方もいますので注意が必要です。

原因も反応も様々ですので、太陽を浴びて通常と違う炎症が現れた場合は内服薬などの見直しや、原因を精査するために薬を出した主治医や皮膚科の受診をお薦めします。

2017年8月 2日 (水)

日焼けの対処法

昔と比べて無防備に直射日光を浴びる方は少なくなったと思いますが、真夏の沖縄などあまりに綺麗な海につい太陽を気にせず遊んでしまうことはあろうかと思います。

実際にその後に来る日焼けで辛い思いをした方も多いと思うのです。

太陽光線には波長の長い順に赤外線、可視光線、紫外線があります。皮膚に影響を与えるのは主に紫外線の方になります。紫外線ですので私達の目にはみえません。 しかし光は光量子とよばれ、質量を持っています。 この光が私達の体にあたるとそのエネルギーのために炎症を起こします。

Th_112456 紫外線のうちもっとも波長の短いUVCは地球の上空オゾン層で吸収されて地上には殆ど届きません。 

紫外線のうち中間の波長のUVBは私達の皮膚の表面に炎症を起こします。これはヤケドと同じ効果となり、紫外線B波による「サンバーン効果」と呼ばれています。

この中間の波長の紫外線B(UVB)により皮膚の表面が炎症を起こし、赤くヒリヒリ痛みます。これが強い場合は水ぶくれになってしまいます。

その場合の対処法としてはヤケドですので、赤くなってヒリヒリしている場合は、とにかく冷やすのが1番です。 冷たい水で濡らしたタオルなどで冷やしたり、冷たいシャワーを浴びるのもよいでしょう。間違っても熱いシャワーを浴びたらいけません。ヤケドを助長してしまうことになります。

タオルで拭いたりする場合もこすらずに水分を拭き取るだけにします。また服装も摩擦の少ない軽い服を選ぶようにします。

水疱が出来る様なひどい症状で、もし病院へ行く場合は、抗炎症作用の強いステロイドの軟膏やスプレーを使用して急場をしのぎます。 水疱はなるべくつぶさないようにしますが、大きい場合は注射器で吸ったりします。自然に破れる場合も、周りの皮まで剥かないようにして下さい。自然に内部から皮膚が再生すると脱落して行きます。それまでは待っていて下さい。

もう一つの紫外線で波長の長いUVAは、皮膚の深い部分まで到達し、メラニン細胞を刺激し、褐色の肌へと変える変化をもたらします。これを紫外線A波による「サンタン効果」と呼んでいます。 しかし褐色に変化させるだけでなく、真皮にあるコラーゲン(膠原繊維)やエラスチン(弾性繊維)に影響を同時に与え、それが後シワの原因となります。 

女性にとっては日焼けして赤くなるより、後々のシミやシワの方が問題ともなると考えますので、曇り空でも以外と紫外線の量は多いので日焼け対策は日頃から行って下さいね。

2017年7月26日 (水)

ヒアリによる健康被害

今回のFM「いきいきタイム」は昆虫や蚊、ハブによる健康被害について話をしました。

ブログでは今、話題の「ヒアリ」について書いてみたいと思います(ヒアリの毒素による患者さんを診たことはありませんので、あくまで情報として提供します)

本来、ヒアリはアマゾンなどの南米地域を中心に生息していた蟻で、強力な毒液と攻撃性を持っているのが特徴です。この地域ではその他の蟻も多く、天敵も多いため、ヒアリだけが急速に勢力を拡大することはなかったのです。

世界がグローバル化する中で、物流に紛れて世界各地の港などから、その国々に侵入し、定着して行ったのです。そのため世界各地でこれまで火蟻がいなかった地域で大きな問題が起きているのです。

Th_ 世界的に侵略的外来種ワースト100に入っていて、日本でも特定外来生物に指定されています。

アリだけに小さくて、素人には日本いいるアリと見分けがつけにくいのが厄介な点です。

ヒアリの問題は攻撃性とこの毒素にあります。 ところでヒアリに漢字を当てると「火蟻」ど書きます。焼きごてを当てられたような痛みがあるから「火」と名付けられています。

ヒアリ毒の主成分はピペリジンアルカロイドで、細胞毒性、溶血性、壊死性の作用がありますので、刺された部分が破壊されるために、局所の痛みや痒みが強く出ます。 しかしこれ以外に問題となるのは、毒の中に僅かな量ですが、様々なタンパク質を含んでいることにあります。

他のタンパク質が私達の身体に注入されるとアレルギー反応を起こします。この反応は、一般的に、めまい、頭痛、激しい胸痛・動悸、吐き気、重度の発汗、その後低血圧、呼吸抑制、意識障害などの危険なアナフィラキシーショックを伴うこともあるのです。

刺された方の0.6〜6%の方にアレルギー反応が起こると言われています。アレルギー反応のうち、即効型のアレルギー反応であるアナフィラキシーでは、火蟻に刺されて5〜10分後に回転性のめまい、目の焦点が定まらず、顔面蒼白、意識消失が出現しますので、直ぐに救急要請を行って治療を開始する必要があります。

蜂でもそうですが、タンパク質で出来た毒が体内に入ると私達の体は抗体を作ります。ですので、1回目刺されるよりも2回目以降に刺される方がアナフィラキシーが起こりやすくなります。1度刺された人は更に気をつけないといけません。

火蟻に咬まれた日本人は少ないと思いますが、蜂の毒と似た成分を持っていますので蜂ドクのアレルギーを持っている方は要注意かもしれません。

在来種と区別が付きにくいですので、アリをみても近づかない、ましてや巣のように沢山アリが集まっている所を壊そうとしないように心掛けて下さい。

現時点では火蟻がどうかは分かりませんので、アリに刺されたと思ったら、20〜30分は注意して観察し、何も起こられなければ解除します。しかし何か体調がおかしければ、救急車を要請して「○時○分にアリに刺されて気分が悪い」などを伝えて下さい。

現時点ではニュース等で報道されているよりも被害が少ないとのことですので、冷静に対応してゆきたいですね。

世界がグローバル化することは、色々な病気や外来生物も入って来るのです。今後もますますこのような時代が来るのでしょう。水際対策を練り直す必要があるかも知れませんね。

2017年7月12日 (水)

夏カゼ

一般的に「風邪:カゼ」と呼ばれるのは、急性の上気道感染症の総称として呼ばれています。
空気中あるいは手指に着いた病原微生物が鼻や口から入り込んで、鼻から咽頭、声帯(喉頭)までの上気道に感染して炎症を引き起こし、クシャミ、鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、咳、発熱、頭痛などの諸症状が出る病態をカゼと言うわけです。

この急性の病態を引き起こすのは主にウイルスに因るものです。カゼは冬場に起こることが多いと皆思っているはずですし、インフルエンザなどを考えても、寒くて乾燥した時に罹ったことを経験しているはずです(厳密にはインフルエンザと風邪は区別すべきですが)。

逆に、日本の夏は高温多湿です。しかしこの高温多湿を好むウイルスもいることより夏カゼの原因となるのです。ですので同じカゼでも夏と冬では原因となるウイルスに違いが出ます。

Th_ 夏風邪の原因となるウイルスの代表として、エンテロウイルス(コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど)やアデノウイルスがあります。

エンテロウイルスのエンテロとは大腸や小腸などの「腸」を示す医学用語で、アデノウイルスのアデノとは「喉」を示す用語です。

ですので、エンテロウイルスに罹ると、風邪症状以外に多くが腹痛や下痢などの胃腸症状が出ます・・・そのため、経験上夏風邪は「お腹にきやすい」と昔から分かっていました。
アデノウイルスの感染は喉の痛みや咽頭炎が強く出るために、の後の痛みが強く腫れて、食べ物や飲み物が喉を通らなくなることも多く、脱水になったり栄養補給が出来ずに、夏バテも助長する原因にもなるのです。

夏風邪の原因となるウイルスによって、夏風邪は「お腹に来る」「喉に来る」となるのです。

7月に入り、手足口病、咽頭結膜熱、A群溶血性連鎖球菌の感染症も増加しています。手洗い、うがい、などの基本的な感染症予防に努めるようにして下さいね。

2017年7月 5日 (水)

乳がん検診はマンモグラフィーかエコー検査か

今日のFM放送は乳がんについて話をしました。

乳がんは女性が一生のうち罹る率が最も高い癌です。手術、ホルモン療法、抗がん剤、放射線療法を組み合わすことで比較的治療効果が出やすい癌(もちろん治療抵抗性のある場合もありますが)の一つで、癌による死亡数では、大腸がん、肺がん、胃がん、膵臓がんに次いで第5位となっています。
しかし、その他のがんと比べて、比較的若い年齢層から発症し、40代から50代でピークを迎えます。この若い世代の女性は、家庭でも職場でも1番中心となって頑張っている年代が多いのです。

乳がんは早期に発見できると90%の方が治癒する癌です。そのためには早期発見となる自己検診や検査が重要となります。特に乳がんは手で触れる場所、見える場所に発生しますので、自己で乳腺を触診することでしこりに気がつき、早期発見に繋がる可能性が高いのです。

最近、検診の精度が問題となっていると報道されるようになりました。これで医学界や行政も新たに動く可能性も高いと私個人としては有難いと思います。

乳がんは乳汁を出す、乳腺組織(乳管と小葉)から発生します。おっぱいの大きさは乳腺組織だけでなくその周りの脂肪組織と関係が大きく、この脂肪の付き方によっても大きさがだいぶ変わります。

日本人は欧米人と比べて乳房内に脂肪が少なく、乳腺組織の密度の高い方が多いのです。おおよそ40%の方が乳腺密度の高い高濃度乳腺と考えられていますし、若い人ほど濃度の高い方が多いのが現状です。

レントゲン(マンモグラフィー)ではがんは白く写ります。しかし高濃度乳腺は全体的に白く強く移るため、乳癌の発見が難しいのです。これが注意すべき所で、乳癌のマンモグラフィー(以下MMC)の診断基準では現在では「正常」としか書くことが出来ません。

そのため、私自身は以前から乳がんを専門にしている先生方に「早期発見にマンモグラフィー」という啓蒙活動と共にMMCで写らない早期癌も多いことも明記して欲しいと希望していたのですが、聞き入れてくれない状況もありました。

これは専門医が悪いわけではなくて、日本人が欧米と比べてMMCを含めて乳がん検診を受けない方が非常に多かったために、まず乳がん検診を受ける率を上げることが日本では第1番目に求められていたからなのです。

現在、乳がん検診で有効性が確認されているのがレントゲンを使い乳房を挟み込んで撮すMMC検査です。あんなに挟み込んで痛くしなくてもいいのにと思っている方が多いと思います。レントゲンで撮すために、厚みが均一でないと判定しにくいのです。そのため思い切り挟み込んで、ブヨ〜ンと伸ばして均一の厚さにしているのです・・・痛いと思いますが、悪気があってからではないのですcoldsweats01

現時点では検診を行って癌患者を見つける優位性が出ているのはMMCですので、これが第1に行われいますが、エコー検査も非常に有用な検査です。

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ここでMMCとエコー検査のそれぞれの違いを話しておきたいと思います。

・MMCは均一に伸ばせば全体が写り、画像として正確に残すことが出来ます。エコー検査が乳腺組織を一回で移す訳にはいかない(最近この装置も出て来ましたがまだまだ普及には時間がかかりそうです)ので、何度か往復しながら乳腺をスキャンしてゆきます。そのために検査を行う医師や技師の技量により違いが出てしまいます。

それぞれに得意分野があり、MMCは微小石灰化を見つけやすく、エコーは小結節を見つけることに長けています。どちらも早期乳がんの検出には有効となります。

ここまで説明しましたので、現時点で検診はMMCが多いでしょうが、もちろん両方やればいいのですが・・・

検診でMMCを受けた場合に日本人で40%近くいる高濃度乳腺の方(多くは若年者〜中年)は癌の指摘を受けなくても、更にエコーを追加した方が良いと考えます。中年〜高齢者で乳腺が脂肪化している方はMMCで十分と思われます。

現在はMMCの判定基準で正常と思われても、私の方では先月より高濃度乳腺の場合は付記として「高濃度乳腺のためエコー検査の追加をお勧めします」と記載するようにしています。

2017年6月28日 (水)

汗の正体

今日のFM「いきいきタイム」は梅雨明けのこの時期から起こりやすくなる熱中症について話しました。これまで何度かメカニズムや症状、対策についてはこのブログでも書きましたので、暑いときにかく汗について記載します。

私達恒温動物は、暑さ寒さに関係なく体温を一定に保つ様になっています。日々の活動や休んでいてもエネルギーを使い続けていますので、体から熱と出しています。寒いと体をブルブル震わせて(筋肉運動)エネルギーを産生し、体温を維持します。 

熱を造ることは出来ますが、熱を奪うことは体内では出来ません。それを可能にしているのが、私達の皮膚の汗腺から出す汗の作用です。暑いと皮膚の表面から汗がでます。汗(水分)は蒸発する時に多量の気化熱が発生します。この気化熱により皮膚表面を冷やすことで体温を保っています。Th_728539

汗の成分の99%は水分です。汗を舐めると塩辛いのは汗には約0,6%のナトリウム(塩分)が含まれているせいで、それ以外に僅かながらカルシウム、マグネシウム、尿素、塩素、乳酸などが含まれます。

ではでは・・・汗の元のなるのは・・・そう私達の血液ですね。暑くて非常に汗をかいたときに水分が失われて脱水になります。小まめな水分補給が必要となります。 更に多量の汗をかいた時にはナトリウムも不足となります。ですから水分と塩分の補給が必要となります。 更に作業や運動で多量に汗とエネルギーが消費される場合は、水分+塩分+糖分の補給が必要となるのです。

この様な状況下での飲み物として開発されたのが、スポーツ飲料です。大して汗もかかないのに夏場だからといってスポーツ飲料を中心に飲むと、水分の補給は出来たとしても、塩分と糖分は必要以上に摂りすぎとなりますので注意が必要となります。

多くの方がご存じと思いますが、汗を出す汗腺には2種類あります。エクリン腺とアポクリン腺が存在します。全身にあり多くの発汗と関係があるのがエクリン腺で、アポクリン腺は腋や陰部など限られた場所にあります。アポクリン腺の役割は体温調節作用ではなくて、主に体臭の原因となる匂いを出す器官です。 今でこそワキガの原因となり嫌われていますが、本来は異性などを引きつけるためにあったと考えられています(人間の嗅覚が退化したのにまだこの腺は存在しています)。

Th_698714 ですのでアポクリン腺は子供の時は小さく、思春期になると増大し、老年期になると退縮して来ます。アポクリン腺からはタンパク質、脂質、糖質、アンモニア、ピルビン酸、色素リポフスチンなどが分泌されます。 これらは通常の汗よりも皮膚の常在菌にとっても栄養源が高く、増殖しやすくなることで、更に菌の発酵臭も混ざってあのワキガの独特な匂いとなります。

この様なことを防ぐ為にも様々な制汗剤が市販されています。その作用には、①ひんやりとして汗をかきにくくする成分と、②消臭剤+芳香剤、それに③細菌の増殖を防ぐ殺菌成分が含まれていることが多いと思います。 アポクリン腺の作用を打ち消すように考えられているわけです。

最後は横道にそれてしまいましたでしょうか? 暑いときには体を冷やすために汗がでます。汗が出ても大丈夫なように水分(その次ぎに塩分、最後に糖分)を小まめに補給しましょう。

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