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医療

2023年12月 6日 (水)

急性腹症(+以前の記事<急性虫垂炎>)

FM放送にて急性腹症について説明をしました。急性腹症とは急激に発症し、激しい腹痛を伴う数多くの疾患の総称で、早急に診断・治療(多くは手術)を必要とします。 原因としては、消化器疾患に限らず婦人科疾患、泌尿器科疾患なども含まれます。私たち外科医にとっては確定診断がつかない場合でも、緊急に手術をする必要に迫られる病態となります。決断が遅れるだけで救命率が下がる場合もあるのです。私が40年近く外科をやっている中でも、近年のエコーやCT検査などの精密度が上がり、多くは原因が絞られた状態で手術に入ることが多くなってきました。昔は「命を助けるために開けよう(開腹手術をしよう)」と決断したものです。そのため助かる命も多かったのです。

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<急性腹症をきたす主な疾患>

A・腹部①胃腸(胃・十二指腸潰瘍あるいは腫瘍(穿孔、急性虫垂炎、腸重積、ヘルニア嵌頓、虚血性腸炎、憩室炎(穿孔)、大腸がん穿孔、腸管捻転、急性胃腸炎、魚骨などの誤嚥による穿孔 など) ②肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓(肝臓がん破裂、急性肝炎、急性胆嚢炎、急性胆管炎、胆石発作、総胆管結石嵌頓、脾臓破裂、脾梗塞など) ③腎臓・尿路(腎・尿路結石、腫瘍、腎梗塞など) ④血管系(腹部大動脈瘤破裂・解離、腸管膜動・静脈閉塞) ⑤婦人科系(子宮外妊娠、卵巣茎捻転、付属器炎、骨盤腹膜炎など) 

B・腹部以外:胸部(食道破裂、心筋梗塞、狭心症、動脈瘤破裂・解離など) その他全身性(膠原病、急性副腎不全、鉛中毒など)

*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

<急性虫垂炎>

ブログでは腹部外科の緊急手術で1番多いのが急性虫垂炎だと思いますので、以前書いた「急性虫垂炎」再度載せて起きます。

急性虫垂炎で生涯にわたって手術を経験された日本人は大凡5〜7%程度いらっしゃると思います。それでも素人の方が「急性虫垂炎で虫垂切除術を受けた」なんて言う方は少ないと思います。多くの方は今でも「盲腸の手術をした」と話をすると思うのです。では盲腸を切ったのかというとそうではなくてやはり虫垂を切除したことになっているはずです。 ではこの辺りから

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上のシェーマを見ながら説明します。食事を取ると食道→胃→十二指腸→小腸(空腸・回腸)となって大腸(盲腸・結腸・直腸)となって排出されます。大腸の始まりの部分で小腸が入ってくる部分よりも、下側に僅かにある大腸の部分を盲腸と呼んでいます。盲腸は特に草食動物では発達していて繊維質の分解に役に立つ部分ですが、肉食動物や人間では退縮してあまり意味がなくなっています。その盲腸の先端からトンネルの様に開いている小指ほどの大きさの管状の組織が虫垂です。 これも動物により違いもありますし、人間にとってまだ必要なものかどうかも議論の最中です。医学会でも免疫システムのためにあった方がいいとか、不必要なものなど様々な意見があり結論は出ていません。
虫垂は入り口が盲腸と同じ粘膜で被われているのですが、その入り口が何らかの理由(便の塊の糞石やバリウム検査の後にバリウム、あるいは小腸の炎症で周りのリンパ節が腫れた影響など)で詰まったり、詰まり気味になることで、急激に虫垂の内腔の圧が上昇し、炎症が強くなることで、急性虫垂炎が発症する場合があります。

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上の図のように、多くの方は右の下腹部に虫垂はあります。何らかの理由で虫垂の中の圧が上がり、炎症を起こすことで、痛みと熱(微熱程度)がでます。 経験された方や知識がある方は、虫垂炎でも最初は胃の痛みだったり、場所がはっきりしない痛みが、最終的には右下腹部の痛みがはっきりしてくることを知っているかもしれません(勿論皆同じ経過ではありませんが・・)。 お腹の中には胃からカーテンのようにぶら下がった大網と言う組織があります。 お腹の中に炎症があるとその大網が炎症の部位を包むようにして、膿がお腹全体に流れないようにする作用があります。 炎症や外傷で腸に穴が開いたも限局性の腹膜炎に止めるような働きがあります。
長々と大網の位置と作用を書いたのは、虫垂に炎症が起こると早い時期に大網が異常に気がつき、痛みとして伝達します。 根元が胃の部分にあるために、虫垂(右下腹部)の痛みが胃の痛みのように感じてしまいます。 そのことから虫垂炎の始まりの頃に胃の痛みやむかつきがくることがあり、病院へ受診しても胃カメラを受けて帰って来ることもあるのです。 その後半日から1日ぐらい経つと胃の痛みよりも右下腹部の痛みが急速に強くなり、本人も右下腹部が痛いですと病院を訪れる事になるのです。 
右下腹部の痛みは次第に増強し、始めは押した時に痛みがある程度ですが、次第に右下腹部を押して離した瞬間も痛みを感じます(これを反張痛といい腹膜炎の所見となります)。更に強くなると無意識にその場所を押そうとすると、自分を守る為に筋肉が硬直(筋性防御)が起こります。その僅かな違いを外科医は触診で確かめて手術の必要性を判断します。 現在はエコーやCTがあるために、ほぼ確実に判定が可能となっていますし、虫垂炎以外を除外することもある程度分かるようになりました。
では手術となると、腹腔鏡を使うか使わないかも判断に迷うことがあります。同じ急性腹症でも胆嚢炎は可能ならば腹腔鏡の利点が大きいのですが、通常の虫垂炎ならどちらもメリット・デメリットともあまり変わりません。腹腔鏡を使う先生方は傷が小さいとか色々なことを除外出来ると利点を言いますが、術前のCT検査にてその場所がピンポイントで分かりますので、痩せている方なら2Cm の傷で十分やれるのです。 35年以上外科医をやっている禿げオヤジにとってはどちらでも良いと思いますが、皮下脂肪が厚くて比較的軽症なら腹腔鏡を、痩せている方なら腹腔鏡を使うまでもないと考えています。まあケースバイケースです😊

2023年11月22日 (水)

便秘の種類と治療薬


2023年11月22日のFM放送「いきいきタイム」は便秘症についてです。ブログには便秘の種類や治療薬について説明します。

<便秘症の頻度>
日本における便秘の発生率は比較的高く、調査によれば、便秘の人口発生率は15%から20%の範囲内にあるとされています。特に女性や高齢者、ストレスの多い職場環境で働く人々において便秘の頻度が高い傾向があります。また、都市部や都市圏に住む人々の間で便秘の発生率が高いことも報告されています。これはライフスタイルや食事習慣の変化などが影響している可能性があります。また便意が起きても排便を我慢する仕事環境なども影響していると推測しています。

便秘の頻度において、男女間に差がみられます。一般的に、女性の方が男性よりも便秘になりやすい傾向があります。しかしながら男性の場合も年齢と共に次第に高くなり、80歳以後の高齢者においては男女差は殆どなくなっています。

全体的に、生活習慣や食事習慣が便秘の発生に影響を与えるため、個々の状況によって男女間の便秘の頻度は異なることがあります。

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便秘はメカニズムによって機能性便秘と器質性便秘に分けられます。機能性便秘はさらに「弛緩性便秘」、「痙攣性便秘」、「直腸性便秘」の3つに分けられ、器質性便秘と合わせて大きく4種類に分類されます。

 

A:<機能性便秘>

自律神経のバランスが崩れ、大腸が機能不全を起こしたことによる便秘です。食生活や生活習慣が原因で起こり、日常生活の改善で便秘も快方に向かいます。一般的に「便秘」と呼ばれているものは、この機能性便秘の中、次の3つのどれかに該当する場合がほとんどです。

①弛緩性便秘

これは最も一般的な便秘のタイプで、特定の病気や構造的な問題がない場合にみられます。
食物繊維の不足や運動不足、腹筋力の低下が原因で大腸の運動機能が低下して腸の中で長い間、便が留まることによって起こります。日常生活のストレス、不規則な食事、運動不足、水分摂取の不足などが原因となります。また神経因性便秘として分類する場合もありますが、脳や脊髄の問題が原因で引き起こされる便秘も殆ど弛緩性便秘(希に直腸性便秘)となります。

☆若い女性でデスクワークなどでじっとしている時間が長く体を動かす機会を作れない人がなりやすく、高齢者や妊婦などにも多くみられます。

 

②痙攣性便秘

大腸の過緊張によりぜんどう運動が強くなり過ぎて腸がけいれんを起こし、便の輸送に障害をきたしている状態です。大腸の働きを調節する自律神経がバランスを崩すことによって起こります。

☆職場や家庭でのストレスが多い人や、リラックスするのが下手で常に緊張が抜けない人がなりやすく、若年者や仕事に追われるサラリーマンに多いとも言われています。

 

③直腸性便秘

便が直腸に到達しても便意を催さず、直腸内に留まってしまうために起こる便秘です。便意を我慢したり、浣腸などを濫用したりすることで排便のリズムが崩れた人などに起こります。

☆高齢者や寝たきりの人や便秘を我慢してしまう人、朝の支度に時間が掛かってトイレタイムをきちんとキープできない人などに多くみられます。仕事の関係などで便意を感じても何時も我慢してしまう方は直腸の神経の反応が鈍くなり次第に直腸性便秘になる方もいますので、可能なだけ便意を感じたらトイレに行って排泄して下さいね。

 

B:<器質性便秘>

胃や小腸、大腸、肛門などに何らかの疾患があり、それが原因で便秘になっている状態をいいます。原因を取り除く(手術など)と便秘は消失します。

*機能性便秘が生活習慣を見直すことで症状が緩和されるのに対し、器質性便秘は医療機関の受診が必要です*
AとBがいわゆる便秘(慢性便秘)の原因となりますが、その他に一過性の便秘もありますので紹介します。


C:<その他:一過性便秘>

旅行者便秘: 旅行中に発生する便秘で、環境の変化、食事の変化、水分不足、長時間の座ったままの状態などが原因となります。

妊娠関連便秘: 妊娠中にホルモンの変化や子宮が腸を圧迫することによって起こる便秘です。

これらの種類の便秘は、原因や症状によって治療法が異なります。医師の指導のもと、個々の症状に合った適切な治療方法を見つけることが重要です。

 

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最後に便秘の治療薬について

便秘の治療薬は、便秘の種類や原因に応じて異なる効果を持ちます。いくつか代表的な治療薬とその効能を挙げてみましょう。

1:浸透性通便薬(オスモチック薬): 便を柔らかくし、便秘を解消するための薬です。便中の水分量を増やして柔らかくすることで排便を促進します。マグネシウム製剤やポリエチレングリコールが含まれます。

2:刺激性通便薬: 腸の運動を刺激し、便を柔らかくして排便を促進します。腸の運動を増やすことで排便を助けます。代表的なものにはセンナやビスマス塩があります。

3:軟便剤: 便を柔らかくし、排便を容易にするための薬です。便のかさを増やすことで排便を助けます。デュコラックスやスツールソフナーが含まれます。

4:腸管モチリティ促進剤: 腸の運動性を高め、便意を生じやすくします。腸の運動を促進することで便秘を解消します。プリュバリンなどがこれに当たります。

これらの治療薬は、様々なメカニズムで便秘を解消するため、個々の症状や原因に応じて適切なものを選択することが重要です。

重要な点では大腸のメラノーシスという病態があります(これについては以前記載しました→大腸メラノーシス)。大腸メラノーシスはセンナ、大黄(ダイオウ)、アロエなどの大腸刺激性下剤(アントラキノン系下剤)を長期連用(平均して9ヶ月以上)している方に起こって来ます(もちろん全員に起きるわけではありません)。漢方が良いと考えてセンナや大黄が入っている下剤を長期内服している方は、時々大腸内視鏡検査も行って、大腸粘膜の変化も確認されて下さいね。

 

2023年11月 8日 (水)

ビタミンCは必須だか過度な期待は出来ない

今日のFMレキオは先週に引き続きビタミンに関して話をしました。

ビタミンが発見されてまだ100年しかならないのです(ビタミンが発見されたのは1911年)。

それよりずっと以前の大航海時代のビタミンの話です。ビタミンの存在も分からない時代に長期の航海に出る船員を悩ませていたのが壊血病でした。今ではビタミンC欠乏と分かりますが、当時は原因不明の病気でした。 航海から暫く経つと船員達に出血などが出現し動けなくなったり死亡する場合も多くあり、海賊より恐れられた病気でした。実際に1497年にインド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマもインドへ辿り着いたものの多くの船員を失い帰りの航路では三隻のうち一隻は船員が足りずに放棄して帰路につく事態となっています。

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ではビタミンCの役割は?

前回のブログで説明した通り、人間にとってはビタミンは自分で合成することが出来ません。実は多くの哺乳動物では、体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができます。 人の他、モルモットなどの一部の動物は、体内で合成に必要な酵素がなくビタミンCを産生することが出来ず、そのため食事からビタミンCを摂取しなければなりません。

ビタミンC(アスコルビン酸)の作用は骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必要なビタミンです。ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成されないために、血管がもろくなり出血を起こします。これが長期航海に出た時に恐れられていた壊血病です。現在では壊血病による死亡まで至らなくても、ビタミン欠乏の症状としては「いらいらする、顔色が悪い、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難」などがあります。また、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ作用があります。また皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める作用やビタミンCの抗酸化作用に期待して、がんや動脈硬化の予防が注目されています。

ビタミンCの(生物学的)半減期について

ビタミンCの人間の身体における半減期(その濃度が半分まで減る時間)は16日です。ようするにビタミンCを含んだ生鮮食品を取らないと、ビタミンCは16日で半分になり、その16日後にはその半分になってしまい、とうとう人間に必要な最低量を下回ると壊血病が出現してしまうようになるのです。その為日本の食品表には1日の摂取基準量を100mg程度となっています。

ネットなどでみるとビタミンCの半減期は5時間などと書いてあるものもありましたが、おそらくそれは摂取した場合に尿などから速やかに余ったビタミンCが4〜5時間で体外に排出されるために間違って記載されているのかも知れません。 半減期が5時間だったら、長期航海だけではなくて短期航海でも壊血病になってしまいます(笑)。

最近は過度な健康ブームやビタミンCに過剰な期待をかけてサプリメントなどで多量に摂る方が増えているようです。

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お肌にいいから、がんや動脈硬化の予防とか老化の予防などと健康に良いからといって余計に摂っている方や、あるいは過剰にとっても吸収されないか、吸収されても余分なビタミンCは直ぐに尿に流れ出して身体には残らないので副作用はないとされていました。 以前から過剰摂取で下痢や尿管結石が増えることは分かっていましたし、最近の研究では過剰摂取では活性酵素の産生を増やして細胞死を起こす可能性もあるとの研究も存在しているようです。

私はいつも基本的にはバランスの良い食事を取ったら必要分は取れていると考えています。偏食だったり、風邪や病気で足りないと思ったら薬やサプリメントを利用したら良いと思いますし、それによって肌が綺麗になった、風邪をひかなくなったというならそれはそれできっと正しいのです。プラセボ効果もあります。

ある1つの栄養素に美容から病気の予防、はたまた治療まで過度の期待をかけてもいけなないと考えます。有史以来、色々な食材を食べて人間は生きて来たのですから・・・

2023年11月 1日 (水)

ビタミンとは

2023年11月1日のFM放送は2〜3年ぶりにビタミンについて話しました。 そろそろ私も忘れかけましたので、ビタミンの定義や種類などを記載致します。

毎日のように普通の会話の中や、スーパーや薬店に行くと見たり聞いたりする、ビタミン(vitamin)も、その存在が発見されて100年しか経っていないのです。

多くの方はビタミンと聞いて「ビタミン=健康・美容」とうイメージだけで、実際それがどの様な物質でどのような作用があるかは余り気にしたことはないと思います。

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ではビタミンとはどのようなものなのでしょうか? 

ヒトがとらなくてはならない栄養素としては、まず3大栄養素と言われるタンパク質、脂肪、糖質(炭水化物)があります。 それにビタミン、ミネラルを加えたものを一般的に5大栄養素と呼んでいます。 3大栄養素と言われるタンパク質、脂肪、糖質は私達の体をつくるために多くの量が必要となることより、マクロ栄養素といわれています。 それに対してビタミンとミネラルは微量(ミクロ)栄養素といわれ、必要な量はごく少量ですみます。しかし多い少ないではなく、どちらも無くてはならない栄養素です。

 まずはビタミンの定義とは つかみ所がなく難しいのですが、教科書に書いてある通りに書きますと 1.体の組織の構成成分でなく、エネルギーに変換されないもので、 2.体内で必要量が合成されず、 3.欠乏症が確認されているもので、 4.無機物(ミネラル)でないものをさします。 これを聞いて理解できた方は恐らく、天才的頭脳の持ち主と思います。 

とりあえずビタミンとは、量は少ないけれど、人間が生きていく上で無くてはならない栄養素で、私達人間の体で必要量を作ることは出来ない成分と理解してください。 

このことをまず押さえておいて、ビタミンの働きとは

 私達の身体の機能を維持したり、調節をする3大栄養素の中でエネルギー源となるのは主に炭水化物と脂質で、臓器や筋肉など身体を構成する成分となるものがたんぱく質です。しかしこれらの栄養素は、食べ物として摂っただけでは働きません

私達が食べた栄養素は、消化や吸収、分解、合成などの化学反応によって人間の体に合うようにつくり変えられて初めて利用できるようになります。化学反応は何も工場や製薬会社などで起こっているわけでなく、私達の体内でも化学反応が起こって処理されています。

たとえば豚の肉を食べたとします。これがこのまま直接、人間の肉にはなりません。当然ですよね。 このお肉はタンパク質として人間の体の中で、いったん一番小さな部品・これ以上小さくならないとう物質(アミノ酸)まで分解されます。次にこの部品を利用して、今度は私達のDNAの設計通りに組み立てたられて、人間の体の成分をなり、始めて利用されます。馬の肉を食べても決して走りが得意になるわけではないのです。

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ビタミンは栄養を私達の体に合わせて作り替える化学反応を調節する栄養素といえます。車でいえば、たんぱく質は車体、炭水化物と脂質はガソリン、ビタミンやミネラルは車がスムーズに動くための潤滑油にたとえることができます。 ビタミン不足になると化学反応がうまくいかなくなり、全身の機能が低下してしまいます。さび付いて、とうとう動かなくなってしまいます。これがビタミン欠乏症といわれる状態です。

主な欠乏症としては ビタミンB1→脚気、ビタミンB12→貧血、ビタミンA→夜盲症、ビタミンC→壊血病、ビタミンD→くる病 等があります。

ビタミンの摂取は基本は食事から、そして足りないようならサプリメントも考慮、必要以上にとっても無駄で綺麗にはなりません😊

2023年10月25日 (水)

乳がんのリスクファクター

2023年10月25日のFM放送「いきいきタイム」は乳がんについて1時間生放送で話をします。

乳がんは戦後日本でも増加している癌の1つで、今や罹患率(生涯でがんになる確率)は女性9〜10人に1人と最もかかる確率が高い癌となっています(高い順に、乳がん>大腸がん>肺がん>胃がん>子宮がん>膵臓がん)。 しかしながら手術や化学療法、ホルモン療法、放射線療法に反応しやすいため、日本人女性の癌による死亡率では第5位となっています(大腸癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、乳癌の順)。


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これまで乳がん発症の色々なリスクファクターが検討されています。 よく知られている状態として 初経年齢が早い 閉経年齢が遅い(55歳以上) 出産経験がない 高齢初産(30歳以上) 長期間のホルモン補充療法 肥満・・・・・この様な文面を見たことがないでしょうか?

乳腺は二次成長期になり急速に発育します。 これには卵巣で主につくられるエストロゲンが関与します。 

乳房内には乳汁をつくり出す「乳腺組織」を含んだ小葉と乳汁を乳頭に運ぶ「乳管」があり、その周りを脂肪組織などが被い丸みを帯びた形になっています。 乳癌の90%は乳管から発症し、5〜10%が小葉から発症します。 

月経がある場合、生理に合わせて増減を繰り返しますがエストロゲンが比較的高い状態で経過します。また乳腺が発達する若い時期は、エストロゲンに対する反応が高いと考えられています。 妊娠や授乳中はこのエストロゲンは低下します(このため妊娠期間のない女性は高エストロゲンの期間が長くなることを意味しているのかも知れません)。  

エストロゲンは乳癌の発症や増殖に関与します。そのためエストロゲンに曝される期間が長かったり、若い時期には感受性も高まっていますのでこの時期の高エストロゲン状態は乳癌のリスクを高めます。 またエストロゲンは卵巣のみならず副腎皮質や脂肪細胞からも合成されます                        

このことを押さえて再度、リスクファクターをご覧下さい。 ①、②、③は高エストロゲン状態の期間が長いこと、①、④は乳腺のエストロゲン感受性が高い期間が長い、⑤は更年期障害などでエストロゲン製剤を補充したり、⑥の場合は肥満細胞が作り出すエストロゲンが増えます。 

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この様な状況を踏まえて、乳癌検診などの問診で、生理や妊娠・出産回数などプライバシーに関わる質問事項もあるのです(怒らないで質問事項に答えて下さいね)。

その他としては、血のつながりのある家族に乳癌になった人がいる場合はいない人と較べ2倍程度、癌のリスクが高くなります。これには研究段階も含めて複数の乳癌発症遺伝子が関与しています。

乳癌は自分で気づくとこもありますので、自己検診をして下さい。 他の癌と較べ予後のよい癌です。5年生存率も90%を越えています。 しかしまだまだ欧米と較べ、乳癌検診の受診者が少ないのが日本です。 また他のがんと比べて発症年齢が40歳代から増えるために、この年代は特に一番家庭の中心となっている30代〜50代の女性で検診を受けて頂きたいと考えています。どうか家族のためにも乳癌検診を受けて下さいね

2023年10月11日 (水)

急性腰痛症について

今日のFM放送は腰痛症について話をしました。以前慢性腰痛について書きましたが、慢性があるなら急性もあるので今回は急性腰痛ついて記載致します(私は外科医で整形外科医ではありませんのであくまで一般論として記載します)

厚生労働省の自覚症状の統計によると、日本人男性の場合の自覚症状は多い順番に①腰痛 ②肩こり ③咳や痰が出る となっています。女性では①肩こり ②腰痛 ③手足の関節が痛む となっています。いずれも関節に関しての訴えが多く、腰痛が全体で一番多いことがわかります。   

<腰痛の定義?>
結構簡単に「腰痛」と言ってしまいましたが、腰痛の定義ってあるのかと私の知識も曖昧でした😅 腰痛とはとなると、曖昧で明確な定義はないのです😃 一般的には「一番下のあばら骨とお尻の間に起きる痛み」となっています。

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<急性・亜急性・慢性腰痛とは>
発症してから4週間未満のものが急性腰痛と定義されています。そして発症から3カ月以上のものは慢性腰痛、急性と慢性の間は亜急性腰痛と分類されています。期間による違いで、原因や痛みの強さの程度による分類ではありません。
<急性腰痛の原因>
急性腰痛の原因は腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど明確な病態もありますが、慢性腰痛同様にはっきりとしない椎間関節性腰痛、筋・筋膜性腰痛、椎間板性腰痛、仙腸関節(せんちょうかんせつ)性腰痛などがあります。後半の部分は明確な診断に至らないための曖昧な診断名になります。これは解剖学的に腰の周りは筋肉、神経、骨、関節など様々なファクターが存在するために、いくつかの要因が関連し合って腰痛の原因になっていることが推測されます(あくまで老外科医の憶測ですが😅)

<重篤な腰痛には注意が必要>

 急性の腰痛症として有名なのが「ギックリ腰」と思います(そのことについては以前記載しました→ギックリ腰)。上記の様な原因がありますが、急性腰痛症で1番重要なのは重篤な病態を見逃さないことだと考えます。


まず、具体的には癌の脊椎転移、化膿性椎間板炎、椎体骨折、急性大動脈症候群といった重篤な特異的腰痛を見逃さないことが重要となります。ですから皆様の中にも何時ものギックリ腰だとか、シップを貼って様子をみようと考えずに、何時もと違うと思ったら病院へ行って欲しいと考えます。また診療する整形外科医もこのような患者さんには注意する必要があると考えています。

このような重篤な腰痛を見逃さないためには次のような方の腰痛は注意して検査をするめる必要があると考えられます。

①20歳以下または55歳以上  ②がんの既往や治療中の場合 ③時間や活動性に関係のない腰痛  ③胸背部〜腰部など広範囲の痛み  ④免疫抑制剤やステロイドなどの投与中 ⑤体重減少など他の不調を伴う場合 ⑥広範囲に及ぶ神経症状(主に下肢のしびれや痛み、脱力、排尿排便感覚などの異常)  ⑦微熱などを含む発熱の継続 ⑧AIDSなどの免疫力低下

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このような重篤な病態でないと分かれば、一般的に無治療であっても次第に改善することが殆どで予後良好と考えらています。整形外科医のアドバイスを貰いながら治療やその後のケアを行う必要があると考えています。

 <腰痛治療・その後の対策>

急性腰痛の多くは1カ月程度で急速に改善するといわれています。しかし約6割は1年経っても腰痛が残り、さらにそのうちの約6割の人は腰痛の再発を経験するとのことです。

最近の考えでは超急性期以外では安静は必ずしも有効な治療法ではないとされ、痛みに応じた活動性の維持は疼痛を軽減し機能を回復させるのに有効だったとのことです。ただしこれは専門のリハビリなどの施設だといいのですが、素人が無理に動かすと逆効果になるので注意が必要です。

病院で行う治療としては薬物療法については、急性腰痛では、非ステロイド性抗炎症薬・筋弛緩薬、解熱・鎮痛剤、弱オピオイド(鎮痛剤)が使われる頻度が多く、また椎間関節への注射や、脊髄後枝内側枝の神経ブロックは有効と考えられます。

急性でも慢性でも腰痛に関しては再発率が高く、その予防にはエクササイズ習慣を主軸とするセルフマネジメントが強く推奨されています。腰痛を持っている方は非常に多いと思いますので、ネットなどにも腰痛体操や予防法も載っていますので、生活の中に取り入れて腰痛を防ぐように心がけましょう。

2023年10月 4日 (水)

尿検査について

皆様方も病院や健診などで尿検査を受けたことがあると思います。昔からある検査だけど今どき必要あるの?と思ったりしませんか(これは私の患者さんからも定期の採血で腎機能も調べているので尿検査は不要ではと質問を受けたことです)

もちろん腎機能をみる目安にもなりますが、糖尿や腎盂炎、膀胱炎などを見つける検査にもなります。針が苦手な人にとっては痛くないですし、尿は簡単に採取出来て便利です😅

皆様方もご存じのように尿検査では主に尿の中に含まれる糖、蛋白、潜血の有無やその程度を調べることで重要となします。実はそれ以外にも尿比重、尿沈渣(にょうちんさ)など詳しい項目が含まれていることもあります。

以前にも書いた様に、腎臓には血液を濾過し、再吸収しながら尿を作り出します。尿の異常が出た場合に腎臓のどの部分が障害されているのかもある程度推測することも可能なのです。

①尿蛋白について:(基準値):陰性(-)

腎臓は血液を濾過して余分な物を尿として排出します。しかしながら人間にとって必要な血液の蛋白も同時に排出してしまうことがあります。尿蛋白が検出されると言うことは、腎臓が正しく機能していないということが推測されます。

ただし腎機能が正常な方でも、激しい運動をした後や生理前後、発熱時、ストレスがあるときなどは異常値が出ることもあるので、再検査を受けて再度尿蛋白が検出されるかどうかが重要となります。

(異常があった場合に考えられる病気)・腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎など腎臓の病気が主ですが、時々膀胱炎や尿道炎などといった尿路感染症でも認められることがあります。

②尿糖について:(基準値):陰性(-)

本来血液の中にある糖分(血糖)は私達の栄養源ですので無駄に尿に逃がす必要はありません。尿に糖が出ると言うことは、血液の中の糖分が多すぎたり(糖尿病)、あるいは糖の再吸収が落ちる腎臓の機能低下が起きた時に糖が尿中に漏れ出てきます。それ以外に時々、妊娠中や高齢の場合は糖が出やすいです。それ以外にも疲労やストレスで糖が出てくることがありますので、異常が見られる際には日を改めて検査を行います。

(異常があった場合に考えられる病気)
糖尿病、甲状腺機能亢進症

③尿潜血(尿の中の赤血球)について:(基準値):陰性(-)

尿に血液が混じっているかどうかを調べる検査で、尿が排出されるまでの器官に異常があると、潜血が見られます。一時的な潜血はよくあることで、一度潜血が見られたからといって疾患があるとは限りません。

また、生理中の女性が尿検査を受けると、潜血と診断されることもあります。正しい結果を知るためには、いずれの場合も再検査が必要です。

(異常があった場合に考えられる病気)
・急性腎炎、慢性腎炎、腎結石などの腎臓の病気や腫瘍
・尿管結石、尿管腫瘍、尿管異物などの尿管の病気や腫瘍
・膀胱炎、膀胱結石などの膀胱の病気や腫瘍
・尿道炎、前立腺炎などの尿道の病気や腫瘍

①②③が主に皆様方が通常の病院での検査や人間ドックなどの健診で主に行われる検査となります。次の尿沈渣や尿比重は更に踏み込んで診たい場合に追加することが多い項目となります(最初から検査に組み込まれている場合もあります)。

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④尿沈渣について

尿沈渣は①、②、③を調べ終わった尿を遠心分離器にかけて、沈殿した中の細胞成分を調べる検査となります。これを顕微鏡で観察して、細胞成分の数や形状から分析します。

1・赤血球がみられる場合腎臓・尿路疾患および全身性の出血疾患の一部に見られます。

  細かな病名としてはIgA腎症、膜性増殖性腎炎、急性糸球体腎炎、ループス腎炎、間質性腎炎、急速進行性腎炎、嚢胞(のうほう)腎、腎梗塞、遊走腎、特発性腎出血などが疑われます。

2・白血球がみられる場合腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎などの腎臓、尿路系の感染症が疑われます。

3・上皮細胞がみられる場合上皮細胞には扁平上皮細胞、尿細管上皮細胞、尿路上皮細胞、円柱上皮細胞、卵円形脂肪体、核内封入体細胞、異型細胞などがあります。癌などの発見に繋がることがあります。

4・円柱がみられる場合尿が尿細管で停滞し、濃縮されて鋳型となったものが硝子円柱です。腎臓・尿路疾患の病態や重症度の把握が可能となります。

5・それ以外に細菌、真菌、原虫などの病原体が発見されることがあります。

⑤尿比重について

皆様方も脱水の時には尿が濃縮していることに気がついていると思いますが、腎臓は体内の状況に応じて濃度の異なる尿を作って排泄させることにより、体内の水分量を調整しています。しかし、腎臓に異常があるときは調整が利かず、基準値に比べてより高い数値が出ることがあります。

(異常があった場合に考えられる病気)
・尿比重が高い場合…糖尿病、ネフローゼ症候群、心不全、脱水症など
・尿比重が低い場合…慢性腎炎、腎不全、尿崩症など

このように尿の検査で色々なことが分かるのです。最初の質問の答えとなったでしょうか? ただし特に問題なくても異常値が出ることがあるために再度検査を行う必要もあります。

2023年9月27日 (水)

胃がんの原因について?

2023年9月27日のFM「いきいきタイム(FMレキオ、FM21同時生放送)」は「胃癌について」の説明をしました。

日本は世界的にみても胃癌の発生が多い国の1つです。

胃癌の診断や手術をする際に「どうして胃癌になったのでしょう」と質問を受けることがあります。今現在でも答えは簡単ではありません。


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癌の一番の原因は・・・・「年齢です」・・・と答えるとある意味正しいのですが元も子もありません。 寅さん風に言うと「それを言っちゃあ、おしめいよ〜」となるわけですので、まじめに話をすすめます。

少し歴史を遡りますが、発がんのメカニズムについて19世紀にはデンマークのフィビガー先生の提唱した寄生虫発癌説とドイツのウィルヒョウ先生が唱えた癌刺激説の二大論争が起こりました。


当時ヨーロッパで煙突掃除夫の間で陰嚢癌が多発しました。ススがズボンの中に入ることで、陰嚢の部分に貯まることが原因ではないかと考えられました。毎日風呂に入ったり作業服を洗う習慣もありませんので、ススの入ったズボンの中で陰嚢が動くことでタールを塗られた状態となっていたのです。

それを実験で証明したのは、実は日本の病理学者の山極勝三郎先生と市川厚一先生でした。現在のように日本人の科学者が正しく評価されていたら恐らく日本にノーベル医学賞があとひとつ生まれたのは確かだと考えています

この2人は来る日も来る日もウサギの耳にコールタールを塗ることを繰り返すことで、塗った部分から癌が発生したのです世界で初めて実験で(人工的に)癌を作り出すことに成功し「癌刺激説」が優位となりました。 持続する刺激や炎症が発癌と関与すること示唆する重要な実験となりました。国内でそれが評価され1919年(大正8年)に恩師・山極勝三郎東京帝国大学教授とともに学士院賞を受けることになりますが、ノーベル賞は与えられませんでした。

現在ではB型やC型肝炎ウイルスの持続感染により慢性肝炎、肝硬変となり肝癌が発生することやパピローマウイルスの感染により子宮頸がんが発生することは皆様もマスコミ等でご存じと思います。これも「持続する刺激や炎症が発癌に関与」する結果なのです。改めて先駆者の山極先生と市川先生の功績は大きいと考えます。

ここでやっと胃癌の話しに戻すことが出来ます。現在胃癌の発症のトピックはヘリコバクタ・ビロリ菌の感染との関わりです。胃の中には胃酸という強力な酸があり、胃の壁を住み家とするような菌はいないと誰でもが考えていました。

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実際はピロリ菌はこの強力な胃酸から身を守りながら胃の壁に食い込むように生きていて、胃に慢性の炎症を引き起こします。慢性萎縮性胃炎とよばれ、胃癌の発生母地と考えられています。 胃に慢性の炎症を引き起こすことで胃癌になりやすい状態を作っていたのです。肝炎ウイルスの持続感染と似たメカニズムです。

日本人の50代以上の年齢ではピロリ菌をかっているのが70%を越えます。しかし皆が胃癌になるかというとそうでもありません。ただピロリ菌のいない人で胃癌になるのは稀でもあります。

ではピロリ菌だけが胃癌の発生と関与するのか? つい10〜30年前まで塩辛い食べ物を食べる地方で胃癌が多いため、塩分過剰摂取が胃癌発生に関与する最大の原因と言われていました。 今でも食塩濃度の高い食事の関与は明らかです。 その他に喫煙多量のアルコール緑黄色野菜不足食品添加物生活習慣病、加齢などなど・・・発癌と関与することが疫学的に分かっています。 さらに遺伝子の異常による関与も解明されつつあります。1つの因子だけでなく色々な原因が絡み合って癌が発症します。

 

この様に「なぜ癌になったのですか」の質問に一言で答えることは出来ないのです・・・・ここまで読ませておいて何も無しかよとお叱りを受けそうです。お許しを

2023年9月13日 (水)

足の白癬症(水虫)のタイプ

今日のFMレキオは真菌症について話をしました。

足の部分に起こる真菌症を俗に水虫と呼んでいます。一般的なカビと同じで高温多湿を好むのが真菌類です。 ですので足に起こる真菌症(水虫)も高温多湿となる梅雨時から夏にかけて多くなります。しかしながら以前はこの時期に多い季節病でしたが、暖房の普及、靴を初めとする生活の西洋化で、サラリーマンの4人に1人、オフィスレディの5人に1人が感染している通年病、国民病ともなってきています。

さて水虫と言えば、痒くて、水ぶくれが出き、ジクジクするものだとお思いでしょう。しかしそのタイプだけではなくて、小さな膿疱が出来るタイプ、痒みもないもの、乾燥したものなど様々です。

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タイプ別に大きく3種類に分けます。

①趾間型:1番多いタイプで趾間とは「足の指の間」の意味で、指と指の間に水ぶくれが出て、むず痒くなり、やがて乾いて、ポトポロと剥けると痒みも消えるタイプ。 

②小水疱型:足の裏、特に土踏まずや指・足の縁に小さな水ぶくれが出来、はじめ少し痒くて、掻くと更に痒くなりますが水疱が破れると無臭の透明な液がでて乾燥してゆきます。 

③角質増殖型:足の裏全体の皮膚が次第に厚く硬くなって、カサカサになるのが特徴です。①、②は夏に悪化しますが、このタイプは乾燥する冬にかかとがひび割れしたり、あかぎれになったりと悪化します。 痒みもジクジク感もありませんの単に年齢と共に足の裏が硬くなったと放置することも多いタイプです。

それ以外に爪が感染する爪白癬があります。

 

真菌の特徴はいわゆるバイ菌などと違い、自分で色々な酵素を出すことで、普通の動植物が分解できない、木の皮などのセルロース、リグニン、コラーゲンなどの高分子を炭素、窒素、リンなどに分解して生きることが出来るのが特徴です。 人間の足の裏など角質の部分も栄養源となるため足の裏など、角質層が多い場所を住み家としてしまうのです。

 

①、②のタイプは気長に抗真菌薬を塗って治しますが、③のタイプや爪白癬は治り難く内服薬もありますので皮膚科の先生を相談して下さいね。

2023年9月 6日 (水)

夏バテなのに夏太り・・理由は?

2023年9月6日のFM放送「いきいきタイム」は夏バテについて話をしました。以前も同様な放送内容でしたので、記事もほぼ同じ内容となります🙇

そもそも「夏バテ」とはどのような状態でしょうか? 

実はその定義は難しくて、多くの場合は夏場に起こる疲労、倦怠感、無気力、めまい、食欲不振、不眠などを称して定義されます。夏バテは医学用語ではありませんので、強いて言うなら「暑熱性障害」とか「熱衰弱」が近いかも知れません。

人間は体温の維持に沢山のエネルギーを費やしています。暑いと体に貯まった熱を逃がすため、体表の血管を広げ、汗をかいて体温の維持に努めます。そのため莫大なエネルギーを必要とすると共に自律神経にも負担がかかります。

クーラーなどがなかった時代は熱の放散のためエネルギーを費やされ、食欲も落ち、暑さのため眠れなくなってしまい「体の衰弱」として現れました。いわゆる「夏負け」の状態で、夏に体重が落ちていく原因となりました(最近は外来で患者さんと話をすると「夏バテしているけど食欲だけはある」と言う方が多いです・・Why?😸)。

・・・では夏痩せではなく「夏太り」になる原因があるのでしょうか?

現代社会ではクーラーの不適切な使用により、更に自律神経に負担がかかり異常を来します。 クーラーのかけ過ぎた室内と暑い屋外を出入すると人間の体は夏なのか冬なのかわからない状態となってしまうのです。いわゆるクーラー病の状態で体温を調整する自律神経のリズムが乱れて、体全体の不調となります(暑い屋外で体表の血管や毛穴や汗腺が開き汗がでやすいようにしますが、急に冷えたクーラーの中に入ると血管・汗腺・毛穴などが閉まります、この調整をしているのが自律神経です。これが1日に何度も繰り返されると自律神経は疲れ果ててしまい、「もう勘弁して」となるのです)。

昔のクーラーなどの冷房施設がない高温多湿の日本では夏バテは、①エネルギーの消費増大と②自律神経の不調が大きな要因となっていました。疲労蓄積、カロリー摂取量の低下で夏の時期は痩せる原因となりました。 

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短期間に冷房のある室内と暑い屋外を出入りすると②の自律神経の不調が前面に出ているのが現代人です。 しかし夏でも昔のように汗をかきながら働いたり運動をすることが少なくなることで①のエネルギーの消費が余り起こらなくなりました。更に夏の方が気温が高いために基礎代謝も低下する傾向があります。

ところが昔と比べて食事時になると(一日の大半は?)クーラーのある部屋で食べるために余り食事の量も減りませんし、逆に夏バテしないために何時もよりカロリーの高い食事を取る方も増えています。

夏バテの諸症状は「全身の疲労感」「無気力」「イライラする」「熱っぽい」「立ちくらみ、めまい、ふらつき」「食欲不振?」「下痢・便秘」「不眠」などなど・・の自律神経失調状態は残ったのに、カロリーの消費以上に食べてしまうことで「夏痩せ」ではなくて「夏太り」になる方も多いようです。

まあ、毎日体重計に乗って、微調整をしながら食事管理を行った方がよいかも知れませんね。

 

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