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医療

2017年11月22日 (水)

メニエール病の歴史

今日のFM「いきいきタイム」はめまいについての第2段として話をしました。ブログでは何度かめまいについて説明しましたので概要は省略します。 まあ私自身は外科が専門ですので、めまいについてはあまり知らないのですが自分への勉強のつもりで書かせて貰っています。

めまいの原因となる1つに「メニエール病」があります。普通はこの様な専門用語に関しては多くの方は知らないのですが、何故かこの病名については知っている方が意外に多いのにビックリしています。                      Th_dsc01358

めまいにも色々なタイプがあり、回転性、動揺性、眼前暗黒感などが代表で、めまいに伴う随伴症状も嘔気、難聴、頭痛など様々です。

今でこそ、めまいの多くの原因が耳から来ていると分かる様になっていますが、昔はめまいは頭の病気(脳卒中など)から来ていると考えられていました。現在ではめまいの原因は大まかに耳が7割、脳が1割、その他が2割と言われています。

メニエール病は耳からもめまいが起こるということを広く知らしめた疾患として歴史上、臨床上重要な疾患となっているのです。

19世紀半ば、フランスで17歳の少女が街から街への移動中に冷たい風雨にさらされます。その移動の途中で突然の激しいめまい、耳鳴り、聴覚障害を訴えて病院に運ばれて来るのです。しかしその3日後には肺炎となりとうとう帰らぬ人になします。

この女性の病理解剖を行ったのがフランスの耳科医のメニエール先生でした。これまでめまいなどは脳出血などの脳の病気と医学会でも思われていました。しかしこの少女の解剖をした結果は脳や髄液などには全く異常がなくて、聞こえなくなった側の耳の内耳に出血が認められるのみでした。
Th_ これまでにもメニエール先生はめまい、耳鳴り、難聴を繰り返す患者さんを何人も観て来て、脳の病気ではなくて、内耳の病気ではないかと考えていたのです。この少女の解剖の結果をみて、耳鳴り、難聴を伴うめまいは内耳障害によるものと確信し学会で発表します。

当時の医学会を巻きこむ論争となりますが、フランスでは評価を受けなかったのですが、ドイツ医学会がその報告を支持し、一気に世界的に認められる様になります。

これを機にめまいが内耳の障害でも起こることが認められ、これを提唱したメルエール先生にちなんで「メルエール病」と世界に知れ渡ったのです。

メニエールという言葉の響きがいいのか分かりませんが、何故かこの「メニエール病」は広く日本国民にも知れ渡っている気がします。と言うのはめまいで来る患者さんが「私はメニエール病ではないでしょうか」と来院する機会もあるからなのです(時々経験します)

ただし、メニエールが最初に報告した内耳の出血によるものは今では「突発性難聴」で、本当のメニエール病は「内耳のリンパ液の水腫(水ぶくれ)」が原因であるとされているのです。

メニエール先生のお陰で、めまいが耳からも起こることが世に知らしめられた点と、逆に「めまい=メニエール病」と世間が認識してしまったという功罪もあります。

まあそれでも、時代と共に病気も原因が究明されてゆくのです。こらからも今は原因不明な病気もその原因が判るようになるのかも知れません。医学の進歩に期待したいものですscissors

2017年11月 8日 (水)

めまいと吐き気

めまいと言っても違うタイプのめまいがあります。 自分自身あるいは周りがぐるぐる回るように感じる「回転性のめまい」、体がフラフラする、真っ直ぐ歩けないなどの「浮動性めまい」、目の前が暗くなる、立ち上がるとクラッとする、心神を伴う等の「立ちくらみ」もめまいの1つになります。
Th_3e74a33baa25f9f1602a26a8b7a974f7 回転性のめまいの多くは耳の異常から来ますが、その次ぎに脳の異常でもおこります。浮動性のめまいは中脳などの脳の病気で起こることが多く、立ちくらみなどは血圧の低下など循環器系が原因となることが多くあるのです(もの凄く大雑把に捕らえてです)

めまいは何となく頭や耳の感じですし、吐き気は消化器の症状のように思えます。しかし日常では「めまいと吐き気」が同時に起こることもしばしば経験します。

耳や脳の病気が原因のめまいもひどくなると中枢神経に作用し嘔気・嘔吐を伴うこともよく経験します。

私の専門外ですが、妊娠初期に起こるつわりも吐き気とめまいを伴うことが多く、ひどい場合は妊娠悪阻といって入院が必要な場合もあります。受精・着床し胎盤が形成される時期につわりが起こって来ます。急激なホルモンバランスの影響、胎児もお母さんとは違うための拒絶反応、妊娠初期の不安定な時期に妊婦の安静を計るため、精神的肉体的なストレスのため等が言われています。今後もってと解明が進むと思います。Th_652777  

米国の学会誌「JAMA Internal Medicine」の2016年9月版のつわりが重いと流産の確率が減ると載っていましたので、つわりによって妊婦に妊娠していることを知らせながら、安静や食事制限を強要しているのかも知れません。 つわりになったことのない私としては女性の皆様大変だと思います。

食中毒やウイルスなどによって引き起こされる胃腸炎についても嘔気を伴うことが多くあります。この作用には体外から原因物質を早く除去するために吐いたり、下痢を伴うこともあります。それにより脱水になったり、電解質がくるうこともあり、それによってめまいを来すこともしばしば経験します。

自律神経失調症、うつなどの精神的な因子によっても、嘔吐とめまいを伴うこともよく経験します。

人間の体は不思議です。繋がっていないようで繋がっている病態も沢山あるのです。どんなに医学を勉強しても(私が勉強が足りないだけかも知れませんが・・weep)人間の体は神秘的です。

2017年11月 1日 (水)

イビキは危険な信号かも:睡眠時無呼吸症候群

今日のFM放送ははイビキと睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome:SAS:サス)について話をしました。

毎日のようにいびきをかく人は、日本の人口の約30%で、中年以上の人では、50%以上になるといわれています。

イビキは、睡眠中に上気道(ノド)が狭くなり、空気が通るときノドが振動して音が鳴ることを呼んでいます。気管支喘息のような気道の狭窄で起こる音(ヒューヒュー音)ではありません。

外国の方は殆どが肥満の方なのですが、日本人は顎が小さい方も多くこの場合は肥っていなくても口腔内が狭いのです。肥っていると口の中に頬も舌も飛び出してきて口峡部が狭くなります。皆様方も鏡の前で多く口を開けて見て下さい。

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上記のクラスⅠ、Ⅱならいいのですが、Ⅲ、Ⅳはイビキをかきやすくその結果睡眠時無呼吸になりやすい状態と言えます(全身麻酔では気管にチューブを挿入しますので、声門が見やすいかどうかで挿管がやりやすいかどうかある程度分かります。上記の図は挿管困難な方かどうかの目安にも使われています)。

狭いだけならイビキだけですみます。さらには吸い寄せられてられると息が出来ない閉塞した状態となります。 振動するだけならイビキ、閉塞すると無呼吸ということになり、いろいろ体に負担をかけた睡眠時無呼吸の状態となってしまいます。

<SASは命を縮める原因ともなりますので要注意です>    

Th__4 睡眠時無呼吸症候群はその名の通りですが、その定義は無呼吸(10秒異常の呼吸の停止)が頻繁に(1時間に5回以上)起こり、昼間の眠気など様々な症状が引き起こされる病態をよんでいます。 

自分では意識しなくても、無呼吸が続くと脳が短時間目覚めて(覚醒反応:本人は覚えていない)、息を吸えるよう努力するのです。 それは無呼吸から身を守る覚醒反応で一晩に数百回もおこると、睡眠はとぎれとぎれの質の悪いものとなります。

 

例えば普通に寝ている方の、鼻をつまんで息が出来ないようにして、動いたらはなしてを繰り返す様なもので、SASの状態は覚えてなくても拷問みたいなものなのです。それを想像するとこの病気の怖さが理解出来ると思います。

SASの患者さんは正常者に比較して、高血圧は2倍、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞などの心臓病)は3倍、とくに習慣性の強いいびきがある場合の方の心筋梗塞発生頻度は4倍、脳卒中は4倍、さらに日中眠気に襲われたり、集中できないため、交通事故は7倍多くなるとと報告されています。

 

中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群は重度に死亡率が大幅に上昇します。厚生省研究班の調査では、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が20回以上おこる場合の5年間の死亡率は16%と報告されています。8年で死亡率40%という報告もあります。これは平均寿命にして約年短くなると言います死因は脳梗塞、心筋梗塞など。睡眠中や朝方に死亡する例が多いとされています。

イビキや睡眠時無呼吸を家族に指摘されたいる方、家族がいない場合は分からないこともあるでしょうから、昼間の眠気が強い、ボッとする、体がだるいなどの場合はセルフチェックをしてみて、クラスⅢ、Ⅳなら呼吸器外来を受診された方がよいかも知れません。

2017年10月25日 (水)

慢性腰痛症の85%は原因がつかめず

厚生労働省の国民生活基調調査の中で、自覚症状の統計があります。これは病名ではなくて、国民が日常生活や病気、怪我などで実際に感じている症状についてアンケートした結果です。                               Th_5faaa39901ced4ee5c32b49325c17c22

公表された最新のデーターは平成25年版で、それによると、男性の場合の自覚症状は多い順番に①腰痛 ②肩こり ③鼻がつまる・鼻汁が出る ④咳や痰が出る ⑤手足の関節が痛む となっています。女性では①肩こり ②腰痛 ③手足の関節が痛む ④体がだるい ⑤頭痛 となっています。いずれも関節に関しての訴えが多く、腰痛が全体で一番多いことがわかります。                               

上記アンケート調査での回答の腰痛は、いわゆる慢性腰痛をさしていることが殆どと思います。腰痛は多くの日本人が感じていることですが、実は正確な診断がつくのは15%程度で、残りの85%は明かな原因を絞れない状態で、深刻な病態ではないと考えられています。

私達の腰回りは 体を支える大黒柱の脊椎(腰の部分は腰椎)、周りの様々な筋肉、神経、結合組織、皮膚などからなっています。 上半身を支え、前後左右の運動をしなければいけません。 腰は姿勢を維持するだけでも沢山の努力をしないといけないので、絶えず緊張(ストレス)を強いられている組織でもあります。 

この腰回りだけでなく、例えば尿管結石などの泌尿器疾患、生理痛を含めた婦人科疾患、便秘や腸炎などの消化器疾患、大動脈瘤などによる神経の圧迫、さらには精神的な要因でも腰痛として出現することがあるのです。

多くの腰痛は原因が不明(対症療法や運動療法しかない)ですが、重篤な脊椎疾患(腫瘍、炎症、骨折など)の合併を疑うべき危険信号として,腰痛ガイドラインで示しているのは、①発症年齢は20歳以下または55歳以上の場合、②時間や活動性に関係ない腰痛、③胸部痛、④癌、ステロイド治療、HIV感染の既往、⑤栄養不良、⑥体重減少、⑦広範囲に及ぶ神経症状、⑧構築性脊柱変形、⑨発熱・・・を伴う場合は黄色信号としています。

Th_e4c3ccc34f5c9996c1c3c6b54c98aa40 慢性腰痛に対する痛み止めや湿布は有効であろうとしています。運動療法に関しては慢性期に対しては有効であろうとしていますが、具体的に飛び抜けた運動療法はないとされていますので、現時点では一般的な腰痛体操でいいと考えられています。

そのこともあり腰痛の診断、治療、予防などに関しても多岐にわたって賛否両論が出ているのが現状です。 それでも先ずは慢性の腰痛がある場合、整形外科、内科、精神科、泌尿器科、婦人科、外科など様々な分野での診察が必要となることもあります。その中で診断がつけば治療を優先し、はっきりしなければ対症療法でよいかと考えています。

 

2017年10月11日 (水)

昔は心(精神)は心臓にあると考えられていた

今日のFM放送は不整脈について話をしました。以前ブログに不整脈の種類については記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/20130626fm-5a8b.html )。

旅行記の中で、生涯戻ることが出来なかったポーランドへの望郷の思いで、フレデリック・ショパンはフランスで亡くなる直前に、姉に自分が死んでも心臓はポーランドに戻して欲しいと嘆願したことを書きました。ショパンの死後、心臓はワルシャワへ運ばれ聖十字架教会に安置されています(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/61no1-3ba2.html )。

それは当時心(精神)は心臓に宿ると考えていたからで、肉体は異国(フランス)にあっても心はポーランドの戻りたいとのショパンの希望だったのです。

Th_e8f28c732664743eccb1708dd6cc10c7 古今東西において、生命の首座や心は心臓にあったと考えられたいたようです。心臓の脈は自律神経によって支配されています。私達が念じても心臓は速くなったりしませんが、走ったりすると心臓は速く動きだします。 ビックリしたり胸が躍る経験をすると心臓が高鳴り、はち切れそうになります。私達は心が動く場面で心臓の鼓動を感じることがあります。 この様なことから、心(精神)=心臓と考えられていたのです。

当時は恋をして胸が高鳴っても脳がそうしたとは考えていなかったのです。心の動きを心臓がドキドキすることで私達は心臓の存在を感じることができ、心は心臓にあると考えたのです。

もう一つ、これも古今東西を問わず、心臓が物事を記憶する場所としても捕らえられたようです。ラテン語やイタリア語、英語などで「心臓」が記憶する場所として記載されているのです。「Heart」を辞書で引くと動詞の部分で「・・・を心に銘記する」「・・・を肝に銘じる」と出てくるはずです。そして私達日本人も「心にとどめる」とか「心に残る」などの表現があるように心臓で記憶していたと考えてたのですね。

心臓より複雑で緻密な作業を行う脳の機能についてはあまり知られてなかったので、精神的なことも記憶することも心臓が行っていると考えたのも無理はないことですね。

まあ恋をして「心がときめいて」胸に手を当てて祈ることはあっても「頭に手を当てたら」熱でもあるのといわれるのがおちです。やはり胸がキュンとするのは心臓なのでしょうか?

2017年10月 4日 (水)

肺がんの治療法の変遷

今週のFM放送は「肺がん」について説明しました。

肺がんは日本人のがん死亡の1位(男性で1位、女性で大腸癌の次の2位で男女併せて1位)を占めています。 がんになる順位でいうと男性は胃癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌で、女性は乳癌、大腸癌、胃癌、肺癌、子宮癌となります。

Th_ このことより肺癌が治療に難渋する病気であることが伺われます。肺癌は無症状で進行することも多く、発見時にすでに手術の適応でない方が6〜7割を占めています。 このことが一番重要でしょうが、肺癌の特殊性もあります。

肺癌といっても性質が異なる癌が主なものでも4種類存在します。それぞれが違う治療法を求めらますし、喫煙との因果関係も様々です。

肺癌はまず大きく小細胞肺癌(15%)とそれ以外の非小細胞肺癌(85%)に分類されます。非小細胞癌は腺癌(50%)、扁平上皮癌(30%)、大細胞癌(5%以下)に別れます。

小細胞肺癌は増殖が早く、転移しやすい癌のため、以前よりごく早期以外に手術療法の適応がなかったために、その他の手術療法の重要性が高かったタイプ(非小細胞癌)に分けて考えていました。しかし抗がん剤や放射線療法が効果があるタイプです。

非小細胞肺癌はⅠ期から中期(ⅢA期)までは手術適応があり、手術に加えてその他の化学療法や放射線療法の組み合わせて行われています。進行癌では手術は不可能で化学療法や放射線療法が主な治療となります。

喫煙と因果関係が特に高い小細胞癌や扁平上皮癌は日本においても喫煙率が低下するにつれて今後低下することが予測されています。 いま喫煙とも関連の少ない腺癌が女性の増加と共に問題となっています。手術可能ならいいのですが、最初に書いた通り進行して発見される肺癌が多く、このタイプはこれまで抗がん剤や放射線療法があまり奏効しないことがありました。

この治療に光明が差したのが、分子標的薬、さらにはⅣ期の非小細胞癌に対して「免疫チェックポイント阻害剤」の出現です。 これは癌の細胞が持つ遺伝物質を解析して、どのタイプで効果があるかもおおよそ目星をつけてから治療を開始します。 

この薬剤は一般の方々では高額医療で医療費を圧迫しているニュースで話題となった薬剤で知っていらっしゃるかも知れません。 この薬だけで1年間投与し続けると1人に対し1400万円以上の薬代がかかっています。 肺腫は稀な癌ではなく多くの国民がなっている分、使用する患者数も非常に多くなります。ですのでより国民の医療費の高騰が危惧され、厚生労働省も非常手段として薬剤メーカーに薬価の改訂前に薬の値段を下げさせたほどだったのです。

しかしながら、これまで効果がなかった治療に著功するケースもあり更なる治療薬の開発が求められています。                          Th_40b720f8eab2db2baa336d8f299ba8_2

肺がんの原因として喫煙は大きな要因で、肺がんの発生の関連でいえば喫煙が85%関与しています(上記の腺癌のように喫煙と関連しない肺がんも15%存在します)。1番大きな要因となる喫煙をなくすだけで医療費の高騰を防ぐことも出来ます。

死亡第1の肺癌も早期発見と併せて色々な治療法と組み合わせ、今後日本でも肺癌は低下に転じると予想され、更なる効果のある治療法が出てくるのを望むのです。

2017年9月27日 (水)

尿管結石の痛みはお産と同程度の痛み?

今日のFM放送は、尿路(尿管)結石について話しましたので、ブログでは尿管結石の痛みについて話をしようと思います。

まず、言葉の使い分けから・・・私は泌尿器科医ではありませんが、よく「尿管結石」と「尿路結石」は違うのですかとの質問を受けることがあります。

Th_ 私達の尿を作り、体外に排出する組織を泌尿器系呼んでいます。左右の腎臓・尿管および膀胱・尿道より出来ています。腎臓と膀胱を繋いでいる細い管が尿管、膀胱から先の排出されるまでの間の管を尿道と呼んでいます。ご存じのように男性では尿道が女性より長く、その尿道を取り囲むように前立腺があります。 年齢と共に前立腺が大きくなる傾向がありますので、尿道が前立腺により前後左右から圧迫される様になります。その為多くの方が年齢と共に尿に勢いがなくなり、排尿困難や排尿時間がかかったり夜間頻尿の原因ともなります。 女性は尿道が短いので、出しにくいことはありませんが、逆に外部から細菌が入りやすいので膀胱炎などにかかりにくくなります。

石の存在部位により、腎内結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けますが、腎臓は尿を作り出す組織ですが、それ以外は尿を運び出す道ですので、尿管・膀胱・尿道をひっくるめて「尿路」と呼んでいます。

主に腎臓で尿を作り出す過程で、シュウ酸カルシウムを主成分とする結石が出来ます。脂肪分の多い食事やカルシウム不足、高尿酸血症の方、ストレスの多い方、まだ脱水などで尿が濃縮されやすい場合などで石が出来てしまいます。

腎臓にあるうちには痛みもないのが普通で検診のエコーなどで腎結石をされることがあります。ところが尿管はとても細く、滑らかさ組織で痛みを感じる神経も回りに沢山存在します。

尿管結石で殆ど痛みを感じない方も中にはいますが、強烈な痛みは多くの方が聞いたことがあるかも知れません。どれ程に痛みかと言うと、大の大人が七転八倒し冷や汗をかくほどの痛みで嘔吐などの症状も伴い、救急車で搬送される方も多くいるほどです。

米粒ほどの石でも表面はギザキザしています。Th__2 腎臓から石が落ちて、滑らかな尿管の中を通ると背中や脇腹にかけて突然激痛を生じます。腎臓からは尿が作られて続けますので、尿管は上から下へと蠕動運動によって尿を膀胱に運んでいます。尿管に石が引っかかると、腎臓に近い尿管は拡張し、尿管は蠕動を強くして結石を押し出そうとします。 そのために数分おきに「痛んだり止んだり」の疝痛発作が起こります。 この二種類の痛みが尿管結石では襲って来るのです。

男性が女性より2〜3倍多く、特に30〜50代の男性に多いとされています。尿管結石を患った女性の患者さんから「お産ぐらい痛かった」聞いたことがありますのでやはりかなり痛いのです。男性でも尿管結石の排石の場合、生みの苦しみを味わうのです(痛いのは尿管を移動する時で尿道を移動するときはそこまで痛くはありません)。

お産は出てくる喜びも大きいので痛みも半減されるかも知れませんが、尿管結石は出て来ても米粒のような石ですので、恨みはあっても喜びはありません・・・coldsweats01

違う方向になってしまいましたが、腎臓から出た石は尿管、膀胱、尿道を経由して出てゆきますが、症状が激しいのが尿管を通るために尿管結石と呼んでいることが多いです。尿路結石でも間違いはありません。

2017年9月13日 (水)

輸血のための交差適合試験

今週のFM放送は、血液型について話をしました。医学的な見地からですので、血液型と性格など多くの方が関心のあることではありません(笑)。 以前ABOの血液型についてはお話しましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-5820.html )、今回は実際の輸血に関して、輸血の際の検査法について少し記載します。

血液型にはA型、B型、O型、AB型が存在します。Th_ 輸血に対してはRHプラスとかマイナスといわれるRH血液型D抗体検査という条件も大きく作用します。それ以外に人間の体には不規則抗体といわれるいくつかの抗体が存在して、僅かながらその為に同じ血液型、同じRHのタイプでも輸血出来ない場合も存在します。

Th__2 ・輸血をする際に、違った血液型を輸血すると、凝血や溶血が起こり死に至るケースもあります。ですのでその人に輸血しても凝血が起こらないような血液が必要な訳です。 その為の検査は、患者の血液と試薬(血球と血清)を使用し、肉眼で赤血球の凝集をチェックします。

・ABO血液型の検査でも、実は2種類の検査(オモテ試験とウラ試験)を実地しています。

先ずはオモテ試験にて、実際の患者さんの血液型がどのタイプかどうかを判定します。 これでほぼ問題ないのですが、これまでの輸血歴などで色々な抗体が出来た場合もあるために、ウラ試験を追加して確実にその血液型であることを判定しています。

それだけでなく実際に輸血をする場合は表・裏試験だけでなく、実際の輸血用に提供された血球を使って凝血が起こらないかどうか判定します。

輸血で反応が起きやすい抗体の1つにRh(D抗体)があります。日本人の99.5%はRhプラスでRhマイナスは0.5%と少数派となっています(ちなみに白人はRhマイナスは15%程度です)。

日本人の血液型は多い順にA,O,B、ABで人口比で4:3:2:1の割合です。ですのでAB型でなおかつRhマイナスは人口的に非常に少ないため、手術や外傷などで多量の輸血が必要になる時には注意が必要となり、全国的にも日赤などで登録確保体制が構築されているのです。

2017年9月 6日 (水)

爪白癬治療も塗り薬へ

水虫や体部白癬などの真菌類の感染症は、真菌も持つ特殊性から根治に時間がかかりました。特に足の水虫が爪の中に入ると、硬い爪に守られて、塗り薬も効かないためお手上げ状態でした。その後は爪白癬にたいする内服治療へと治療法が変化しましたが、時間がかかることや副作用の注意点もあり、なかなか普及しませんでした。

2014年に爪白癬に対する塗り薬の許可がおりましたが、さほど期待は出来ない状況でした(もちろん効果が十分にあった症例もあります)。この薬も爪の中への浸透が不十分だったからなのです。(この様なことは以前ブログに書きました http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-e079.html  )

2016年4月から新しい2番目の爪白癬用の塗り薬が発売許可が下りています。この薬は薬剤の浸透性が高く、爪白癬に対して効果が高いことが分かる様になり、皮膚科などで急激に処方が伸びている薬剤となっているようです。

Th_b4bf0283721c8f31e0baf8413ab748c9 新薬が出ると発売後1年間は副作用などのモニタリングを行ったりしますので、長期的に処方出来ない決まりがあります。今年の4月からは1年が経過したために、これまで外来受診1回につき1本までしか処方出来きなかった制限は解除されています。

全く副作用が無いわけではありませんが,塗り方に注意しながら気長に使用して行くと、多くの症例で塗り薬だけで爪白癬が完治することが可能な時代になりました。 これは非常に画期的なことかもしれません。

ある調査では日本人10%、約1250万人が爪白癬を持っているといわれています。爪が変性して厚くなるなったような爪白癬をお持ちの方や気になる方は、1度皮膚科の先生と御相談されて方がよいかもしれません。 薬剤の進歩の1つです。

2017年8月30日 (水)

食中毒の予防

日本は世界でも1番と言っていいほど衛生状態の良い国だと思います。
しかし戦後殆ど、食中毒の件数は減っていないのです。

食中毒を起こす菌は私達の周りに溢れています。特に高温多湿の夏は食中毒を起こす細菌にとっては極めて増殖しやすい状況となっています。

Th_452601 色々な場所で食中毒が起きても、感染ルートさえ分からない場合も多いのです。

同じ感染源の食品をとっても食中毒になる方もいるし、症状の出ない人もいます。その人の体力差や胃酸の強さの状況など様々な要因がそこには潜んでいます。

食中毒を起こす菌の種類その毒性も様々です。①菌が体内に入ってから増殖して食中毒を起こすタイプ(感染型の食中毒菌:サルモネラ菌、カンピロバクター菌など)の多くは、加熱処理すれば、食べる前に菌が死んでいますので食中毒にはなりません。②もうひとつのタイプは食中毒を起こす原因として菌が出す毒素によって症状がでる毒素型の食中毒があります。その中でも更に2つのタイプがあります。

②−1:体内に入ってから毒素を作り出して症状を出す菌としては腸炎ビブリオ菌、今話題の病原性大腸菌(0-157)などがあります。これも加熱処理すれば殆ど死滅して問題になりません。 ②−2:もう一つ厄介なタイプの食中毒は食品内で既に菌が増殖して、毒素を持っているタイプの菌(ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌など)は生体外毒素型といわれ、この場合は加熱によって菌が死んでも、毒素は食品に残ったままです。無味無臭で気づきません。 この毒素は熱に強く、十分に加熱処理しても毒は分解しませんので、食中毒が発生してしまうのです。

最後の食中毒は食品や食品会社などの問題で、私達ではどうしようもないことですが、多くの細菌性食中毒はやはり基本通り行っていれば防ぐことが出来ます。

やはり食中毒の基本は(1)菌をつけない(清潔・水洗い)、(2)菌を増やさない(迅速・冷凍・乾燥)、(3)菌をやっつける(加熱) することです。 これを守り夏場の食中毒を少しでも予防しましょう。

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