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2017年8月 9日 (水)

薬剤による日光過敏症

先週に引き続きFM「いきいきタイム」は太陽光線が与える影響について話をしました(皮膚科は専門外ですので、素人と同じレベルの話しか出来ませんが)。その中から、ブログには光線過敏症について記載したいと思います。

太陽の下で日に当たると当然、光のエネルギーにより私達の皮膚には日焼けやその後の褐色化、シミ・シワなどの変化が起こります。光線過敏症は普通の方ではなんでもないような量の光にあたっても、様々な異常な皮膚症状(赤み、湿疹、掻痒感、水疱形成、色素沈着など)を生じる現象を呼んでいます。

幼少時から起こす遺伝性疾患では色素性乾皮症、ポルフィリン症等があり、青年期では多形日光疹、日光蕁麻疹、光接触皮膚炎などがあります。

Th_ 原因疾患も様々で、先天的なものから、薬剤性など様々です。その原因物質の1つにクロモフェアが上げられています。これは太陽の紫外線のUVAとUVBに反応して、エネルギーを放出し、毒性やアレルゲンの原因となると考えられています。

中高年になって起こる光線過敏型薬疹については注意が必要でしょう。これは内服薬や外用薬(シップなども含む)を貼った後に太陽光を浴びると、これまでなかった皮膚炎があられることがあります。これを光線過敏型薬疹と呼んでいますが、その原因となる薬剤として私などが使う抗がん剤など特殊な薬剤もありますが、多くは一般的に使われている薬によることが多く、気が付かないこともあります。

光線過敏型薬疹は内服や注射で入った薬が紫外線の影響を受けて、アレルギー反応を起こすようになります。この状態を光感作という状況になり、アレルギー反応の準備状態となってしまいます。この状態に体が変化すると次からは少量の紫外線でも反応が起こるようになりひどい皮疹になったり痒くなったりします。

抗生物質、降圧剤、抗コレステロール薬、抗不整脈薬、利尿薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、血糖降下薬、抗リウマチ薬、ビタミンB6など多くの原因物質があり、それぞれ特殊な薬ではなくて病院などでよく処方されている薬が含まれいます。またそれらの薬同士の相性でも起こし易くなると言われていて注意が必要となっています。

病院の処方だけでなく、一般的なドラッグストアでも買えるような湿布薬を貼ったままや外して直ぐの時に日光を浴びるとその部位だけが異常に赤くなったり痒くなったりする場合もよく見受けます。また日焼け止めの成分や虫刺されの治療薬でも日光過敏となる方もいますので注意が必要です。

原因も反応も様々ですので、太陽を浴びて通常と違う炎症が現れた場合は内服薬などの見直しや、原因を精査するために薬を出した主治医や皮膚科の受診をお薦めします。

2017年8月 2日 (水)

日焼けの対処法

昔と比べて無防備に直射日光を浴びる方は少なくなったと思いますが、真夏の沖縄などあまりに綺麗な海につい太陽を気にせず遊んでしまうことはあろうかと思います。

実際にその後に来る日焼けで辛い思いをした方も多いと思うのです。

太陽光線には波長の長い順に赤外線、可視光線、紫外線があります。皮膚に影響を与えるのは主に紫外線の方になります。紫外線ですので私達の目にはみえません。 しかし光は光量子とよばれ、質量を持っています。 この光が私達の体にあたるとそのエネルギーのために炎症を起こします。

Th_112456 紫外線のうちもっとも波長の短いUVCは地球の上空オゾン層で吸収されて地上には殆ど届きません。 

紫外線のうち中間の波長のUVBは私達の皮膚の表面に炎症を起こします。これはヤケドと同じ効果となり、紫外線B波による「サンバーン効果」と呼ばれています。

この中間の波長の紫外線B(UVB)により皮膚の表面が炎症を起こし、赤くヒリヒリ痛みます。これが強い場合は水ぶくれになってしまいます。

その場合の対処法としてはヤケドですので、赤くなってヒリヒリしている場合は、とにかく冷やすのが1番です。 冷たい水で濡らしたタオルなどで冷やしたり、冷たいシャワーを浴びるのもよいでしょう。間違っても熱いシャワーを浴びたらいけません。ヤケドを助長してしまうことになります。

タオルで拭いたりする場合もこすらずに水分を拭き取るだけにします。また服装も摩擦の少ない軽い服を選ぶようにします。

水疱が出来る様なひどい症状で、もし病院へ行く場合は、抗炎症作用の強いステロイドの軟膏やスプレーを使用して急場をしのぎます。 水疱はなるべくつぶさないようにしますが、大きい場合は注射器で吸ったりします。自然に破れる場合も、周りの皮まで剥かないようにして下さい。自然に内部から皮膚が再生すると脱落して行きます。それまでは待っていて下さい。

もう一つの紫外線で波長の長いUVAは、皮膚の深い部分まで到達し、メラニン細胞を刺激し、褐色の肌へと変える変化をもたらします。これを紫外線A波による「サンタン効果」と呼んでいます。 しかし褐色に変化させるだけでなく、真皮にあるコラーゲン(膠原繊維)やエラスチン(弾性繊維)に影響を同時に与え、それが後シワの原因となります。 

女性にとっては日焼けして赤くなるより、後々のシミやシワの方が問題ともなると考えますので、曇り空でも以外と紫外線の量は多いので日焼け対策は日頃から行って下さいね。

2017年7月26日 (水)

ヒアリによる健康被害

今回のFM「いきいきタイム」は昆虫や蚊、ハブによる健康被害について話をしました。

ブログでは今、話題の「ヒアリ」について書いてみたいと思います(ヒアリの毒素による患者さんを診たことはありませんので、あくまで情報として提供します)

本来、ヒアリはアマゾンなどの南米地域を中心に生息していた蟻で、強力な毒液と攻撃性を持っているのが特徴です。この地域ではその他の蟻も多く、天敵も多いため、ヒアリだけが急速に勢力を拡大することはなかったのです。

世界がグローバル化する中で、物流に紛れて世界各地の港などから、その国々に侵入し、定着して行ったのです。そのため世界各地でこれまで火蟻がいなかった地域で大きな問題が起きているのです。

Th_ 世界的に侵略的外来種ワースト100に入っていて、日本でも特定外来生物に指定されています。

アリだけに小さくて、素人には日本いいるアリと見分けがつけにくいのが厄介な点です。

ヒアリの問題は攻撃性とこの毒素にあります。 ところでヒアリに漢字を当てると「火蟻」ど書きます。焼きごてを当てられたような痛みがあるから「火」と名付けられています。

ヒアリ毒の主成分はピペリジンアルカロイドで、細胞毒性、溶血性、壊死性の作用がありますので、刺された部分が破壊されるために、局所の痛みや痒みが強く出ます。 しかしこれ以外に問題となるのは、毒の中に僅かな量ですが、様々なタンパク質を含んでいることにあります。

他のタンパク質が私達の身体に注入されるとアレルギー反応を起こします。この反応は、一般的に、めまい、頭痛、激しい胸痛・動悸、吐き気、重度の発汗、その後低血圧、呼吸抑制、意識障害などの危険なアナフィラキシーショックを伴うこともあるのです。

刺された方の0.6〜6%の方にアレルギー反応が起こると言われています。アレルギー反応のうち、即効型のアレルギー反応であるアナフィラキシーでは、火蟻に刺されて5〜10分後に回転性のめまい、目の焦点が定まらず、顔面蒼白、意識消失が出現しますので、直ぐに救急要請を行って治療を開始する必要があります。

蜂でもそうですが、タンパク質で出来た毒が体内に入ると私達の体は抗体を作ります。ですので、1回目刺されるよりも2回目以降に刺される方がアナフィラキシーが起こりやすくなります。1度刺された人は更に気をつけないといけません。

火蟻に咬まれた日本人は少ないと思いますが、蜂の毒と似た成分を持っていますので蜂ドクのアレルギーを持っている方は要注意かもしれません。

在来種と区別が付きにくいですので、アリをみても近づかない、ましてや巣のように沢山アリが集まっている所を壊そうとしないように心掛けて下さい。

現時点では火蟻がどうかは分かりませんので、アリに刺されたと思ったら、20〜30分は注意して観察し、何も起こられなければ解除します。しかし何か体調がおかしければ、救急車を要請して「○時○分にアリに刺されて気分が悪い」などを伝えて下さい。

現時点ではニュース等で報道されているよりも被害が少ないとのことですので、冷静に対応してゆきたいですね。

世界がグローバル化することは、色々な病気や外来生物も入って来るのです。今後もますますこのような時代が来るのでしょう。水際対策を練り直す必要があるかも知れませんね。

2017年7月12日 (水)

夏カゼ

一般的に「風邪:カゼ」と呼ばれるのは、急性の上気道感染症の総称として呼ばれています。
空気中あるいは手指に着いた病原微生物が鼻や口から入り込んで、鼻から咽頭、声帯(喉頭)までの上気道に感染して炎症を引き起こし、クシャミ、鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、咳、発熱、頭痛などの諸症状が出る病態をカゼと言うわけです。

この急性の病態を引き起こすのは主にウイルスに因るものです。カゼは冬場に起こることが多いと皆思っているはずですし、インフルエンザなどを考えても、寒くて乾燥した時に罹ったことを経験しているはずです(厳密にはインフルエンザと風邪は区別すべきですが)。

逆に、日本の夏は高温多湿です。しかしこの高温多湿を好むウイルスもいることより夏カゼの原因となるのです。ですので同じカゼでも夏と冬では原因となるウイルスに違いが出ます。

Th_ 夏風邪の原因となるウイルスの代表として、エンテロウイルス(コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど)やアデノウイルスがあります。

エンテロウイルスのエンテロとは大腸や小腸などの「腸」を示す医学用語で、アデノウイルスのアデノとは「喉」を示す用語です。

ですので、エンテロウイルスに罹ると、風邪症状以外に多くが腹痛や下痢などの胃腸症状が出ます・・・そのため、経験上夏風邪は「お腹にきやすい」と昔から分かっていました。
アデノウイルスの感染は喉の痛みや咽頭炎が強く出るために、の後の痛みが強く腫れて、食べ物や飲み物が喉を通らなくなることも多く、脱水になったり栄養補給が出来ずに、夏バテも助長する原因にもなるのです。

夏風邪の原因となるウイルスによって、夏風邪は「お腹に来る」「喉に来る」となるのです。

7月に入り、手足口病、咽頭結膜熱、A群溶血性連鎖球菌の感染症も増加しています。手洗い、うがい、などの基本的な感染症予防に努めるようにして下さいね。

2017年7月 5日 (水)

乳がん検診はマンモグラフィーかエコー検査か

今日のFM放送は乳がんについて話をしました。

乳がんは女性が一生のうち罹る率が最も高い癌です。手術、ホルモン療法、抗がん剤、放射線療法を組み合わすことで比較的治療効果が出やすい癌(もちろん治療抵抗性のある場合もありますが)の一つで、癌による死亡数では、大腸がん、肺がん、胃がん、膵臓がんに次いで第5位となっています。
しかし、その他のがんと比べて、比較的若い年齢層から発症し、40代から50代でピークを迎えます。この若い世代の女性は、家庭でも職場でも1番中心となって頑張っている年代が多いのです。

乳がんは早期に発見できると90%の方が治癒する癌です。そのためには早期発見となる自己検診や検査が重要となります。特に乳がんは手で触れる場所、見える場所に発生しますので、自己で乳腺を触診することでしこりに気がつき、早期発見に繋がる可能性が高いのです。

最近、検診の精度が問題となっていると報道されるようになりました。これで医学界や行政も新たに動く可能性も高いと私個人としては有難いと思います。

乳がんは乳汁を出す、乳腺組織(乳管と小葉)から発生します。おっぱいの大きさは乳腺組織だけでなくその周りの脂肪組織と関係が大きく、この脂肪の付き方によっても大きさがだいぶ変わります。

日本人は欧米人と比べて乳房内に脂肪が少なく、乳腺組織の密度の高い方が多いのです。おおよそ40%の方が乳腺密度の高い高濃度乳腺と考えられていますし、若い人ほど濃度の高い方が多いのが現状です。

レントゲン(マンモグラフィー)ではがんは白く写ります。しかし高濃度乳腺は全体的に白く強く移るため、乳癌の発見が難しいのです。これが注意すべき所で、乳癌のマンモグラフィー(以下MMC)の診断基準では現在では「正常」としか書くことが出来ません。

そのため、私自身は以前から乳がんを専門にしている先生方に「早期発見にマンモグラフィー」という啓蒙活動と共にMMCで写らない早期癌も多いことも明記して欲しいと希望していたのですが、聞き入れてくれない状況もありました。

これは専門医が悪いわけではなくて、日本人が欧米と比べてMMCを含めて乳がん検診を受けない方が非常に多かったために、まず乳がん検診を受ける率を上げることが日本では第1番目に求められていたからなのです。

現在、乳がん検診で有効性が確認されているのがレントゲンを使い乳房を挟み込んで撮すMMC検査です。あんなに挟み込んで痛くしなくてもいいのにと思っている方が多いと思います。レントゲンで撮すために、厚みが均一でないと判定しにくいのです。そのため思い切り挟み込んで、ブヨ〜ンと伸ばして均一の厚さにしているのです・・・痛いと思いますが、悪気があってからではないのですcoldsweats01

現時点では検診を行って癌患者を見つける優位性が出ているのはMMCですので、これが第1に行われいますが、エコー検査も非常に有用な検査です。

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ここでMMCとエコー検査のそれぞれの違いを話しておきたいと思います。

・MMCは均一に伸ばせば全体が写り、画像として正確に残すことが出来ます。エコー検査が乳腺組織を一回で移す訳にはいかない(最近この装置も出て来ましたがまだまだ普及には時間がかかりそうです)ので、何度か往復しながら乳腺をスキャンしてゆきます。そのために検査を行う医師や技師の技量により違いが出てしまいます。

それぞれに得意分野があり、MMCは微小石灰化を見つけやすく、エコーは小結節を見つけることに長けています。どちらも早期乳がんの検出には有効となります。

ここまで説明しましたので、現時点で検診はMMCが多いでしょうが、もちろん両方やればいいのですが・・・

検診でMMCを受けた場合に日本人で40%近くいる高濃度乳腺の方(多くは若年者〜中年)は癌の指摘を受けなくても、更にエコーを追加した方が良いと考えます。中年〜高齢者で乳腺が脂肪化している方はMMCで十分と思われます。

現在はMMCの判定基準で正常と思われても、私の方では先月より高濃度乳腺の場合は付記として「高濃度乳腺のためエコー検査の追加をお勧めします」と記載するようにしています。

2017年6月28日 (水)

汗の正体

今日のFM「いきいきタイム」は梅雨明けのこの時期から起こりやすくなる熱中症について話しました。これまで何度かメカニズムや症状、対策についてはこのブログでも書きましたので、暑いときにかく汗について記載します。

私達恒温動物は、暑さ寒さに関係なく体温を一定に保つ様になっています。日々の活動や休んでいてもエネルギーを使い続けていますので、体から熱と出しています。寒いと体をブルブル震わせて(筋肉運動)エネルギーを産生し、体温を維持します。 

熱を造ることは出来ますが、熱を奪うことは体内では出来ません。それを可能にしているのが、私達の皮膚の汗腺から出す汗の作用です。暑いと皮膚の表面から汗がでます。汗(水分)は蒸発する時に多量の気化熱が発生します。この気化熱により皮膚表面を冷やすことで体温を保っています。Th_728539

汗の成分の99%は水分です。汗を舐めると塩辛いのは汗には約0,6%のナトリウム(塩分)が含まれているせいで、それ以外に僅かながらカルシウム、マグネシウム、尿素、塩素、乳酸などが含まれます。

ではでは・・・汗の元のなるのは・・・そう私達の血液ですね。暑くて非常に汗をかいたときに水分が失われて脱水になります。小まめな水分補給が必要となります。 更に多量の汗をかいた時にはナトリウムも不足となります。ですから水分と塩分の補給が必要となります。 更に作業や運動で多量に汗とエネルギーが消費される場合は、水分+塩分+糖分の補給が必要となるのです。

この様な状況下での飲み物として開発されたのが、スポーツ飲料です。大して汗もかかないのに夏場だからといってスポーツ飲料を中心に飲むと、水分の補給は出来たとしても、塩分と糖分は必要以上に摂りすぎとなりますので注意が必要となります。

多くの方がご存じと思いますが、汗を出す汗腺には2種類あります。エクリン腺とアポクリン腺が存在します。全身にあり多くの発汗と関係があるのがエクリン腺で、アポクリン腺は腋や陰部など限られた場所にあります。アポクリン腺の役割は体温調節作用ではなくて、主に体臭の原因となる匂いを出す器官です。 今でこそワキガの原因となり嫌われていますが、本来は異性などを引きつけるためにあったと考えられています(人間の嗅覚が退化したのにまだこの腺は存在しています)。

Th_698714 ですのでアポクリン腺は子供の時は小さく、思春期になると増大し、老年期になると退縮して来ます。アポクリン腺からはタンパク質、脂質、糖質、アンモニア、ピルビン酸、色素リポフスチンなどが分泌されます。 これらは通常の汗よりも皮膚の常在菌にとっても栄養源が高く、増殖しやすくなることで、更に菌の発酵臭も混ざってあのワキガの独特な匂いとなります。

この様なことを防ぐ為にも様々な制汗剤が市販されています。その作用には、①ひんやりとして汗をかきにくくする成分と、②消臭剤+芳香剤、それに③細菌の増殖を防ぐ殺菌成分が含まれていることが多いと思います。 アポクリン腺の作用を打ち消すように考えられているわけです。

最後は横道にそれてしまいましたでしょうか? 暑いときには体を冷やすために汗がでます。汗が出ても大丈夫なように水分(その次ぎに塩分、最後に糖分)を小まめに補給しましょう。

2017年6月14日 (水)

ダイエットとビタミン欠乏

今日のFM放送「いきいきタイム」は先週に引き続きビタミンについて話をしました。ビタミンに関しても何度もブログで書きましたが・・・ご了承下さい。

必須栄養素としては、蛋白質、脂肪、炭水化物(糖質)の三大栄養素があり、量的には微量ですがビタミン、ミネラル(ミクロ栄養素)を加えたものを五大栄養素と呼んでいます。

Th_ ビタミンの定義は難しいのですが、これらを自動車に例えると、蛋白質は車体、炭水化物と脂質は燃料となるガソリン、ビタミンやミネラルは車がスムーズに動くための潤滑油と考えるとよいと思います。

ビタミンが不足すると化学反応が上手くいかず、三大栄養素の変換が出来ずに全身の機能が低下し、病気になります。車で言うとさび付いて、とうとう動かなくなってしまうのです。

現在ビタミンは13種類発見されています。それぞれ欠乏症が確認され,主な欠乏症の名前を上げてみます。ビタミンA欠乏では「夜盲症」ビタミンB1欠乏の「脚気」ビタミンC欠乏では「壊血病」ビタミンD欠乏では「くる病」「骨粗鬆症」などが代表でしょうか

体重オーバーや若い女性で夏に向けて更にダイエットしたいと思う方々の中で短時間に極端にカロリー制限(三大栄養素制限)をする方もいますが、ビタミンやミネラル不足を気にかけない方も多いようです。

栄養を制限すればそれは痩せるはずです、しかしそれは健康なのでしょうか? 痩せるために1日○○カロリーを目標にして考えると思いますが、例えばビタミンB群やC、Eなどが不足すると新陳代謝も低下しますので、カロリーが消費されにくくなってしまいます。                      Th_dsc00797

特に若い女性で標準体重であるにも関わらずダイエットをする方もいます。女性は生理もありますし、ただでさえ鉄分や亜鉛がカルシウム不足していることも多くあります。その様な状況でダイエットや運動をして体重は低下したとしても、貧血や冷え性が疲れ感が蓄積し、更に健康状態が悪化したのでは何も意味がありません。

ビタミンはストレスや喫煙などで消費され、過度の運動、ダイエット、偏食などもあり現代人は相対的にビタミン不足という方もいます。不足気味だからといってやみくもに摂っても意味がありません。

今話題の中学生棋士の藤井さんが対局する時にチョコレートが横に置いてあり、対局中に沢山食べるそうです。 私達の脳はものすごい数の細胞の集まりです。 脳細胞は糖分しか栄養に出来ませんが、全カロリーの1/4を消費する大食漢であるのです。おそらく棋士は脳細胞を極限まで使いカロリー消費も半端ではないと思うのです。それらを助けるのが糖分なのです。
最後にこれを書いたのは、極端にダイエットしたり、朝食を抜いた時に、糖分不足に陥った身体で勉強したり働いたりしても頭がフル回転出来ません。ちゃんと朝食を取って、バランスの良い食生活をなされて下さいね。

2017年6月 7日 (水)

ビタミンA欠乏症と夜盲症

今日のFM「いきいきタイム」はビタミンについてお話をしました。ビタミンに関しては何度か書いて来ましたので今回は夜盲症について書いてみます。

夜盲症については眼科が主に扱う疾患ですので、外科医の私の知識は素人と同じレベルになります(お許し下さい)。
夜盲症とは明るいところでは余り感じないのですが、暗いところでは急に視力が落ちて見えにくなる状態でよく「鳥目:とりめ」などとも呼ばれています。

夜盲症も大きく、先天性夜盲症と後天的夜盲症に分類され、先天性夜盲症も大きく、進行性の夜盲症と非進行性に分けています。
先天性進行性夜盲症は、幼児期より始まり(大人になるまで気がつかない場合もあります)徐々に進行しながら、視野が狭くなったり視力が低下して来ます。 この代表が網膜色素変性症で、難病指定の疾患で夜盲の他に視野狭窄、視力低下などがでてきます。先天性非進行性夜盲症としては小口病白点状眼底などがありますが、詳細は省略します。

今日の話題のビタミンと関連があるのが、後天性夜盲症を起こすビタミンA欠乏症が有名です(その他、網脈絡膜炎などもあります)。

ビタミンA不足による夜盲症は戦前と比べて食生活が改善した現代では激減した病気です。

私達は眼の奥の網膜で光を検知します。網膜にあるロドプシンという物質は、暗所で光があたると反応して分解されます。その僅かな変化を視神経が捉えて脳に伝えることで、暗い所になった場合、暗順応が起こるようにして、暗い所でも次第に物が見える様にしているのです(**暗順能とは、明るい所から暗い所に入った時に最初はよく見えなくても徐々に時間が経って暗い所が見えて来るようになる反応**)。

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ビタミンAはこのロドプシンという物質の材料になっていて、ビタミンAが減少するとロドプシンも減少して、暗い所に対する反応が起きにくくなり、夜盲症となってしまうのです。

予防法としてはレチノールやカロテンなどは、体内でビタミンAとして働きます。レチノールが多い食品はウナギやレバーがあり、カロテンを多く含むのはカボチャやニンジンなどの緑黄色野菜を多めに取るとよいでしょう。

高齢化社会の現代では後天的に暗い所が見えづらくなった場合は、夜盲症よりも白内障などのレンズが曇ったことが原因かもしれません。それ以外にも加齢と共に瞳孔が狭くなる縮瞳などもあります。

暗い所で字が読みにくくなった場合などビタミン不足や加齢と自己診断せず1度眼科を受診して、原因を探った方がいいかもしれません。現代ではビタミンA欠乏による夜盲症は激減していますので、安易にビタミンなどのサプリメントに頼らずに、眼科を受診することをお薦めします。

2017年5月31日 (水)

慢性腎臓病(CKD)について

今日のFM放送は、腎臓の機能を中心に話をしました。以前ブログでも腎機能に関して記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-5b69.html )。

今日は慢性腎臓病について書いてみます。
Th_443885 腎臓の機能が低下する病態においては、急激に腎臓が悪化する場合(急性腎不全)とゆっくりと腎臓が悪化する慢性腎不全があります。急性腎不全は治療により回復の可能性は高いのですが、慢性腎不全は徐々に進行して回復が見込めないことが多くあります。
腎不全を起こす疾患は様々ですが、何らかの状態で腎機能が悪化することを腎不全と呼んでいますので、腎炎によって腎不全になったとか、糖尿病によって腎不全になったなど様々な原因疾患があります。いずれも本来の腎蔵の役割が果たせなくなることを腎不全と呼んでいるのです。

腎不全も大まかに二つの段階があります。腎不全保存期は腎機能の悪化で尿毒素や体内で余分な水分が蓄積(むくみ)が起きている状態ですが、まだ透析を受けなくても生命が維持出来ている状態です。この時期には末期腎不全(透析期)への移行を遅くするために、血圧の管理や塩分・水分の管理さらにはタンパク質やりん・カリウムなどの摂取制限などを行います。

この治療や食事療法を行っても、更に腎機能が低下して、生命維持が出来なくなる時期が末期腎不全となります。これに関しては透析あるいは腎移植が必要となります。

Th_106821 最近、役所や病院などでCKDという文字を見かけませんか? 慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease; CKD)の頭文字です。

これは慢性に経過する全ての腎臓病を示し、原因は沢山あります。代表的なものとしては、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、糸球体腎炎などの腎蔵病などがあります。

なぜ、慢性腎臓病(CKD)について、行政でも取り組んでいるかというと、慢性腎臓病の状態で早めに対策をとって、将来的に透析療法維持に莫大な医療費がかかる末期腎不全者を減らすことが目的となっています。

ビックリするかもしれませんが、実は日本においてCKDの患者さんは1330万人以上、ようするに成人の8人に1人が慢性腎臓病であるという実態なのです。

年齢と共に腎機能は落ちて行きますので、この8人に1人が高齢化と共に更に腎不全の状態となれば透析人口が急増し、莫大な医療費がかかって行くことが予想されています。

慢性腎臓病の状態では殆ど自覚症状はありません。しかしながら尿検査や血液検査で腎機能の悪化は判断出来ます。早い段階から腎機能の悪化の原因を探り、予防をすることが将来的には重要となるのです。

検診やドックなどで、尿タンパク、尿潜血などの異常や、腎機能の異常を指摘されたら、1度は医療機関を受診して、ご自身の腎臓や泌尿器の状態をチェックなされて下さいね。

2017年5月24日 (水)

大腸検査を受けよう

今日のFM「いきいきタイム」は大腸癌について話をしました。
それに関連してブログは「大腸癌の検診」について書いてみます。

日本は世界的に見ても胃癌の多発地帯でした。そのため多くの医療機関や国の政策にて、住民健診を始め企業や個人の人間ドックにも、多くの場合胃カメラかバリウムによる上部消化管検査が組まれていると思います。

しかし、今や男女合計すると部位別にがんになる場所では大腸、胃、肺、乳房、前立腺(男性なら胃、大腸、肺、前立腺、肝臓の順、女性なら乳房、大腸、胃、肺、子宮)となり、日本人で1番罹りやすい癌は大腸癌となっているのです。死亡率では、女性の第1位、男性で肺がんに次いで2位なのです。

この様な状況をみると、少なくとも胃カメラと大腸カメラの検査数は同数程度ないといけないと思うのですが、実際は胃カメラと比べて1/3程度としか行われていません。

内視鏡メーカーのアンケートで大腸内視鏡検査を受けない理由を聞いたところ、「自覚症状がない」「つらそうだから」「必要性を感じていない」が上位で、その他としては「他の検査を受けているから」「検査の対象年齢(40歳以下)でないから」になっています。

Th_ 大腸内視鏡検査は下剤をかけた後に、肛門から内視鏡を挿入しますので、胃カメラと違い「恥ずかしいから」を受けない理由に上げる場合もあります。 これに関して私が考えたよりも男女間にそれ程の差が無かったこと、女性に関しては年齢別に大きな差が無いのも、私の偏見だったと反省しました。男性では恥ずかしいからが5.6%で女性では9.0% 女性の年齢別では20代、30代、40代、50代、60代以上で、6.6、8.3、11,2、10.9、9.3%となっていました。

実際やった経験者では胃カメラと大腸カメラでは53%、48%はつらくなかったと答えています。私自身の経験では90%以上の方はきつくなかったと答えています。

大腸がん検診で大きな流れとして、便潜血検査と大腸内視鏡検査があります。日本で多く行われている1日法による便潜血免疫法検診を毎年受診することで大腸癌死亡が60%減ると報告されています。ただ1回の検査においてはがんがあっても便潜血陽性となるのは30〜90%とまちまちであることに注意が必要です。 それと比べて大腸内視鏡検査のがん発見率は95%以上となり、極めて有効な検査法です。

このブログを読んで頂いた皆様方に対して、是非40歳以上では最低5年に1回以上大腸内視鏡検査を行って欲しいと思います(もちろん何か所見があれば医師の指示に従って毎年がいい場合もあります)。

大腸癌は日本人で1番急速に増えているがんの1つです。ただ他のがんと比べて予後がよく、早期発見では95%以上が治癒します。 しかしまだ進行して初めて検査を受けた方が多く、既に全身に転移していることも多いのです。 臨床医の私としては、どうか自分のため、家族のために怖がらず、恥ずかしがらずに検査を受けて下さいますよう是非お願い致します。

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