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2022年5月11日 (水)

脱コロナ後の5月病(うつ病との違い)

今日のFMレキオは5月の連休明けですので、3年ぶりに「5月病」について話をしました。
5月病は正式な医学用語ではなく、精神科の先生の中でも若干違うニアンスで捉えているようです。 一般的には適応障害(アバシーシンドローム:無気力症候群)や軽度あるいは双極性のうつ状態と言うことになりそうです。

Th_041015月病は元々、受験勉強を勝ち抜き希望を持って大学に入学した学生が、新しい学校になじめず、ゴールデンウィーク明けから気持ちが落ち込む症状を示し ていました。 学生だけではなく、新しい職場になじめない新入社員などにも同様な症状があり、仕事が本格的になる6月頃に起こりやすいといわれています。

5月病は新しい環境や生活に適応できずに、「何とかしなくては」と焦りと頑張りが空回りし、一時的に強いストレス状態に陥っていると考えられています。 厳しい受験勉強や入社試験を乗り越えて希望で胸一 杯なはずなのに、新しい教室や職場、人間関係に馴染めない・・・この様なことは多くの方が経験することだと思います。 うつ病ではなくて一種の通過儀礼だと思って見守る必要もあるかも知れません。

理想と現実のギャップがでてきて、 精神的なストレスが重なり、食欲不振、睡眠障害、動悸、無気力や鬱症状など体や心に変調をきたします。
5月病は性格的に真面目で几帳面、完全主義、内気で孤立しやすい人がなりやすいといわれています。
本来そのような方は、悪い性格の持ち主ではなく、学校や職場でこれを乗り超えると素晴らしい人間に成長することも多いのだと思うのです。

5月病になるようなら誉めてあげたいぐらいです。「頑張れ」ではなくて「頑張りすぎたので少し休みなさい」と声をかける程度が良いと思います。

新しい環境で頑張った人がゴールデンウィークなどで長めの休暇を貰った時に症状が出やすいようです。 長期の休みを貰った時の睡眠時間、特に起床時間に注意が必要と言われています。 休みは朝寝坊したくなると思いますが、それでも日頃の起床時間の2時間程度に止めるべきのようです。 休みだからといって昼過ぎまで寝てしまうと体内時計もくるってしまい、体調を崩す原因となります。 肉体的にも連休明けに会社や学校に行くことが辛くなります。

これまでが今までの「5月病」の一般的なパターンでした。

しかし3年前からもう長い間コロナ禍で人的交流が減少し、また在宅勤務も推奨されました。そのため5月病の1つの要因となっている対人関係のストレスは逆に減少しているものと考えています(Googleの検索の集計で「5月病」の検索はコロナ以前とコロナ後では後の方が減ったとのことから推測しているだけで、実際に減ったかどうかは今後の医学的な統計をみないと分からないことです)。

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このことから老外科医が推測するのは、これから脱コロナへ社会が動き出すにあたり、在宅やリモート管理だった方々が実際の会社に出かけた時に受けるストレスの増加が気になります。 満員電車に乗り込み、会社で仲間や上司に顔を合わせて会話をする、直接面と向かって叱られることも起きるでしょう。 そのことが解除後の大きなストレスになりかねないかもしれません。 特にコロナ前後で入職した方々はマスクなしの対面での仕事になれば大きなストレスとなることが予想されます。

5月病と言われていた症状が、脱コロナ社会で起こるのではないかと素人の外科医は考えています。そのためには会社も早めに手だてを講じる必要があると考えているのです。

最近は5月病対策をとっている大学やTh__2企業も増えてきているようです。

ストレスや疲労を感じたら一人で悩まず家族や友人、または専門医に相談(カウンセリング、精神療法など)してグチを聞いてもらいましょう。
また、症状が進んで、不安、焦燥、うつ状態などが強い場合には、専門医(心療内科、精神科など)を受診してみましょう。一時的に抗うつ薬、抗不安薬を使うことも有効です。適量の薬で、はやく症状が改善することもあります。

精神科の先生からは怒られるのかも知れませんが、5月病は「相手(学校や会社)が悪い」と考えますし、うつ病は「自分が悪い、自分は価値がない」と内向きに考えてしまう傾向があります。

5月病も長引けば、うつ状態に変化してしまいます。 ですから早めに自分状況を判断して解決する手段を見つけることです。

2022年5月 4日 (水)

放射線検査と被曝量について

現代の医療において放射線診断は欠かすことが出来ない検査となっています。骨折や心筋梗塞、脳卒中など診断だけでなく癌の治療などにも使われています。今日のFM放送は放射線被曝についてお話をしました。

放射線被曝と聞くと日本では医療被曝や原爆による被害を思い浮かべるかも知れません。医療利用に関して原則は、効果や有効性があるだけでなく安全性が担保されなければ利用することが出来ません。薬もそうですが、副作用がない薬はありません。しかしながら様々のデーターをもとに「効果>>副作用」が判明したのが医療薬として認められています。今回のテーマの放射線も被曝というデメリットがありますが、診断や治療に有効というメリットが高い場合に使用が出来るのです。

日本はヨーロッパ諸国と比べてCTの普及率と使用率が高く、医療被曝によるがんの発生が多いのではないかと指摘が以前からありました(最近のデーター(何処で観たかはっきりしませんが🙏)では米国では1台のCTの稼働率が高く、人口比で言うと米国のCT利用率が高いとのこと)。

・・・では日本人の放射線検査(治療を含めて)でがんが増えたかと言うと、結論から言うと「そうではない」ようです。

では、<実際の医療における放射線被曝量は>どれぐらいかと言うと、

①撮影の条件によっても、多少異なりますが、胸のレントゲン撮影では、0.05mSV。胃のバリウム検査では、2.0mSV。頭部のCTでは0.5mSV、胸部のCTでも3.0mSVといったところです。(mSV:ミリーシーベルト:放射線の量の値です)

・・・これまでの原爆による影響や原発事故或いは放射線装置のソフトのミスによる医療事後(米国)などから、人体に対する影響が分かっています。

②人体に影響が出る放射線量は、年間200mSVまでは人体に影響がない値となっています。私達のように放射線検査や治療を行う医療従事者は毎月放射線測定パッチを着けて毎月の放射線被曝量を測定し、年に2回の採血や視力検査、皮膚の状態などが法律で義務づけられて行っています。

放射線に携わる医師や放射線技師、看護師などの職業人などの年間被曝線量は安全の確保からも上限が50mSVまでと定められています。

②のことを頭に入れて①の検査時の放射線量を考えると、一般の方が受ける検査での放射線の危険度は高くないと言える訳です。だからといって不必要な検査を受けるべきではありません。

 

<自然界から受ける放射線量>

・・・外来にて、以前結核を患ったことのある患者さんに、ここ2〜3年胸部レントゲン(被曝線量は0.05mSV)を撮っていませんので(結核後のことやがん発生のことを念頭に)レントゲンを撮りましょうかと説明したところ「被爆したくないのでいいですと」答えられました。時々過度に放射線を怖がる方がいますが、私達は実は周りから年間約3mSVの放射能を浴びています。これは防ぎようがありません。

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胸部レントゲンの被爆が怖くて検査を拒否した方は、実は胸部レントゲンを年間60回撮影をしたのと同じ量を自然界から受けているのです。

私達は何もしなくても年間3.0ミリシーベルトを自然界から受けています。これが多いか少ないかは医療被曝の量と照らしあわせて下さい。 自然放射線による被爆についてどこから放射線を受けているかを今回は主に記載したいと思います。

(1) まず 宇宙より放射線が飛んできます。

 地球には、常にいろいろな放射線が宇宙より降り注いでいます。宇宙線は、海抜高度によって変化します。だいたい,1500m上昇するごとに約2倍になると言われています。

(2)続いて 大地より

 大地からの放射線の源は,地球内部に含まれる放射性の核種です.それらは約45億年前につくられ,大地に含まれるウラン、トリウム、カリウム40(K)などの自然の放射性同位元素です.

(3)そしてもう一つ 「食物より」

 飲料水中に含まれる自然放射能には、ウラン、トリウムなどでこれらは非常に微量ながら存在します。食事と水をとっている限り体内被曝を浴びていることになります。

 

(1)、(2)、(3)のように自然界から受けて来た放射線量は人類発生時から受け続けていて現在があるわけです。毎年放射線を3mSVを受け続けて人類は進化したのです。

無駄なレントゲン検査を受ける必要はありませんが、過度に不安がる必要もありません。専門家ではありませんが、皆様も心配しないで、検診を受けていただいて、水もお食事も普通にお取りになって下さいね😊

 

2022年4月27日 (水)

寝たきり・要介護にならない為の運動の重要性

この3年近く、新型コロナウイルスのために自宅で過ごして、運動不足になったと感じている方は多いと思います。実際に「長寿科学振興財団が発表した資料」によると「コロナ禍における外出自粛により高齢者の身体活動の時間が3割減少した」と書いてありました。 新型コロナウイルスは老若男女を問わず、多大なストレスを与えていると考えます。特に高齢者に置いては運動不足による筋力低下、それに伴い身体異常の増加、引きこもりや外界との接触の機会の低下などで、認知機能の悪化やうつ状態の悪化なども指摘されています。 これらのことについては昨年のブログでも書きましたのでほぼ同じ内容です。

私が今年受けた健康スポーツ医の更新のための勉強会でも運動は全身の器官の維持にも有効であること、精神的にもいいことなどが挙げられていました。サルコペニアやロコモ(ロコモティブシンドローム)、フレイルなど難しい単語が並びますが、一般的に理解しやすいようなネーミングがないかと専門家の皆様方は考えて欲しいと願っています。 前回書いたイラストを載せて起きます。

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実際にサルコペニアかどうかの簡易的な診断を載せてみます。

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歩行速度の1秒で1メートル以下の歩行はおおよそ「横断歩道で青に変わって歩き始めて青の間に渡りきれる速さ」とされています。
握力に関しては20とか25以下になると、ペットボトルのフタが開けにくくなる、あるいは開けれない程度の握力低下と言うことになります。
このいずれかがある場合は「虚弱高齢者」となりますので、意識的に運動や栄養を見直して健康増進を図らないといけないと思われます。

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厚生労働省や医師会などを中心にプラス10(プラステン)運動を勧めています。大げさなことではなくて今よりも10分間身体を動かすようにしましょうと言うことです。それだけでも糖尿病、心臓病、脳卒中、がん、足腰の痛み、うつ、認知症などになるリスクを下げることができます。気づいた時に少しでも運動をするように心がけましょう(そう言う私は運動不足です😢🙏)

2022年4月13日 (水)

便の性状について

昨日のFMレキオは便秘症について話をしました。便通異常に関しては、長期的にみたら下痢よりも便秘で悩んでいる方が多いと考えます。

Th_本題とは離れますが、どうせなら私達のウンチについてお話をしたいと思います。綺麗な桜の時期に突然ウンチですかと・・・呆れる方も多いと思いますが・・・😅 何となく「ウンチ」といってしまうと「あらまあお下品な」となるのですが、恐らく就学前の子供さん達だったら「ウンチ」の話題は大好きで、大はしゃぎです。 年齢と共に色々な羞恥心が出て大声で話せなくなるのかも知れません。

 

私達が食事をすると1〜3日程度かけて便となって出て行きます。私達の消化管の中には沢山の分泌液が出て食事と混ざり合いながら消化・吸収を助けていきます。 例えば唾液、胃液、胆汁、膵液、小腸からの分泌液など1日おおよそ10リットルも消化管の中に分泌されます。 出ているだけなら人間の体はすぐに干からびてしまいます。 おおよそ8リットル以上が小腸で再吸収され、更に大腸で1.5〜2リットル吸収されます。最終的に便として出ていく水分量はおおよそ100〜200ミリリットル(0.1〜0.2リットル)だけになります。

 

その僅かな水分量ですが、それが私達の便の形態と関係してきます。便の中の水分量の割合が60以下ならコロコロした硬い便となりますし、水分の量が90%以上なら下痢となります。バナナ状のウンチはだいたい70〜80%程度の水分量でしょうか。

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さて、私達のウンチの成分となると80%が水分ですが、残る20%が固形成分となります。この固形成分は全て食べ物の残りかすと考えている方もいると思います。 しかし実際はその重量の約30%が食べカス、50%は生きた腸内細菌やその死骸、20%がはがれた腸粘膜などです。 と言う事は、私達のウンチの半分近くは目に見えない腸内細菌が占めているというです。

細菌は顕微鏡でしか見えない小さな微生物です。わずか1gのうんちに、約1兆個の腸内細菌が含まれているのです。 一般的いわれる善玉菌20%悪玉菌10%、残りの70%は「日和見菌」といって、良い働きも悪い働きもする菌種が占めています。それぞれの菌が日々勢力争いをしながらも、均衡を保って、私達の健康を保っているのです。

私達の腸の中には100種類以上、その数も私達の身体の細胞の数を上回る100兆個にのぼる腸内細菌が住み着いて私達の便を形作っているのです。なんか不思議な気がします。

私のウンチクもこのあたりで終わることにします😃

2022年4月 6日 (水)

(医学的な)ショックとは?

今日のFM放送「いきいきタイム」は急性腹症について説明をしました。急性腹症の1つの急性虫垂炎については以前のブログで記載しました(→急性虫垂炎 )たので、急性腹症でもショックになるような重篤な事態になる場合もあります。 このショックという言葉が受ける印象が一般の方と医療者では違いがありそうですので記載しようと思います。

皆様方も日常会話でも、失恋とか、不快なものを見たり、嫌な言葉を聞いて「○○でショックを受けた」と話すことも多いと思います。これは恐らく精神的、情緒的に落ち込んだり、嫌だと感じたことを指していると考えます。 医療現場では違うようですので 医学的に使うショックとはどのようなものかを記載します。

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ショックとは、臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡につながる病態を呼んでいます。 通常、血圧低下しています(収縮期血圧90mmHg以下の低下を指標とすることが多い)。典型的な症状としては(交感神経系の緊張により)頻脈,顔面蒼白,冷汗などが診られることが多くあります。病態別に主に次の4つに分類されます。

①循環血液量減少性ショック(hypovolemic shock):出血,脱水,腹膜炎,熱傷など,

②血液分布異常性ショック(distributive shock):アナフィラキシー,脊髄損傷,敗血症など

③心原性ショック(cardiogenic shock):心筋梗塞,弁膜症,重症不整脈,心筋症,心筋炎など

④心外閉塞・拘束性ショック(obstructive shock):肺塞栓,心タンポナーデ,緊張性気胸など。

ショックに至るまで時間が急激に起こるものから比較的時間がかかるまであります。ショック状態が続くと、私達の全身の臓器に十分な酸素や栄養などが運ばれずに、組織や臓器に重大な障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

注意しないといけないのは単に血圧が低いこととショックは違うということ。 ショックになると心臓の血液の拍出量が低下して血圧が低下することが殆どですが、普段から血圧が低い人が80(mmHg)になったらショックとは限らず、本人はピンピンしていることも多いのです。 

ショック時の血圧は90以下が目安となりますが、血圧が危機的に低下すると、人間の身体は危機の神経と言われる交感神経が反応します。そのため、心臓の脈が速くなったり(頻脈)します。また重要な臓器に血液を回すために、皮膚や手足の血液の量を低下させます。そのため顔面蒼白となり手足が冷たくなります。内分泌系のカテコラミンの分泌が増えるために、汗腺に働いて「冷やせが出現します。

<一般的な対応について>

皆様方が、目の前で倒れた人がいて、呼びかけに答えずらそうにしたり意識を失い、顔面蒼白や手足が冷たく感じた場合にはショック状態かも知れません。脈が速いかも知れませんが、素人でも脈を取ることが出来る状態は心肺停止ではありません(ただしAEDなどあれば直ぐに準備して下さい)。

<ショック体位> このような場合には血圧が低下して、脳にゆく血液の量も減っています。脳は他の臓器と比べてもとても虚血に弱い組織です。そのために素人(医療者でもですが)の皆様がやるべき対策として「ショック体位」を取るようにして欲しいです。難しいことではありません。 両方の下肢を高く支えて挙げれば良いことです(女性の方もいますので上着などで被ってあげて下さい)。 それにより一時的に血圧が上昇し、脳にゆく血液も増加します。 

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これで改善すればいいのですが、これは原因究明までの緊急時の対応ですので直ぐに救急車を呼んで搬送出来るようにして下さいね✌️ 

2022年3月23日 (水)

春先の体調不良について

春先は日本では花粉がまったり、仕事でも家庭でも進学、就職、年度末や年度初めに向けて何かと忙しく緊張する中で体調がどうも優れないなどを訴える方が増加します。もちろん花粉などのはっきりした原因もありますが、これから書く季節変化に伴う体調不良も多きと感じます。

3月4月は気象が目まぐるしく変わります。寒さ、暖かさだけでなく、晴れたり曇ったりと湿度の変化・気圧の変化も大きくなります。本来、1年を通して、私達の身体もこの季節に合わせてゆっくりと体調を整えています。これを司っているのが主に自律神経となります。

気温が1日おきに変わったりすると私達の自律神経もバランスを崩してしまいます。私達の自律神経には活発に活動するための交感神経と、リラックスする時に働く副交感神経があり、この二つの神経がお互いに上手く調整を図って活動をしています。

春先は、日中の気温差も激しかったり、1日単位で気温も変化したり、雨や晴れ間など湿度や気圧も目まぐるしく変化します。 体調を維持しようとするために、春先は自律神経にも大きな負担がかかってしまいます。 

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皆様方も、経験上おわかりかも知れませんが、何となく春は疲れるな〜と思う方もいらっしゃると思います。年度末で色々とやることが多くなること、家族の引っ越しや進学・就職で慌ただしいために疲れていると思う方の中に、私達自身の季節変化に伴う自律神経失調症も絡んでいるのかも知れないのです。

私達の自律神経が疲労してしまうと、疲労の蓄積、食欲低下、不眠、「無気力になる」「イライラする」「熱っぽい」「立ちくらみ、めまい、ふらつき」「むくみ」「食欲不振」「下痢、便秘」などの症状が起きる原因となってしまいます。

皆様もよく自律神経失調症などという病名をお聞きになることがあると思いますが、自律神経失調症とは主に精神的なことが原因で起こることを言いますが、症状的には夏バテや春先のだるさも似た症状になります。

春の気候は、三寒四温と言われ、寒暖差が体にこたえるなー。なんとなくだるくて、仕事も遊びもやる気がわいてこない……。

この様な外気温の変動が多い春先ですので、自分なりの温度管理や湿度管理を行うように心がけて下さい。 睡眠時間を確保して、寝る時に温度に合わせて毛布を余分に掛けたり脱いだりして、寒くなったり暑くなったりするのを防いで欲しいと思います。

春先は暖かくなり気分も高揚すると思うのですが、意外と体調管理が重要であると言うことを知っているだけで、無理をしないで済むと考えます。

2022年3月 9日 (水)

知らぬ間に筋トレ(骨トレ?)

今日のFM放送「いきいきタイム」で骨(骨粗鬆症)について話をしました。

私達の骨には身体の保持、脳や心臓などの重要臓器の保護、カルシウムの貯蔵、造血組織などの役割があります。

私達の身体を支える骨の部分は表面にある硬い骨皮質の部分です。この硬い骨も実は皮膚や髪の毛と同じ様に新陳代謝を繰り返しています。骨の新陳代謝を担っているのが「破骨細胞」と「骨芽細胞」です。前回のブログ→「骨の構造や役割」

私達の骨には負荷が加わると骨を強くする作用があります。なにもジムに通う必要はありません。 私達は立っているだけ・座っているだけでも筋トレ(骨トレ?)を行っているのです。

はて?と思われるかも知れません。 私達は地球上に住んでいるだけで重力に対抗して立ったり座ったりしています。地球から1Gという力の負荷を受けながら生活しています。

何となくピンと来ないと思いますので、宇宙飛行士を例にとって説明します。

 宇宙飛行士は宇宙に滞在中、秒単位のスケジュールをこなしてゆくわけですが、それでも一日2〜3時間も筋肉トレーニングを欠かさず行っています。 宇宙でこんなに優雅に過ごせるという訳ではありません。やらないといけないのです。

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宇宙空間には重力がないため、骨に負荷がかからず、骨からカルシウムが溶け出して骨が弱くなってしまいます。 なにもしなければ10日間で約3.2%の骨の成分が溶け出してしまうというのですから、宇宙ステーションで半年、1年という長期間滞在して、地球に戻るとしたら、どれほど危険な状態になるか想像出来ると思います。

 無重力の宇宙では、骨だけでなく筋肉にも影響が現われます。筋肉が萎縮し、筋肉の結合組織も退化してきます。このような骨と筋肉の退化を避けるため、宇宙飛行士は日に2〜3時間の加圧トレーニングを含めた運動をする必要があるわけです。筋肉はなにも手足の筋肉(骨格筋)だけでなく、運動負荷で心臓の筋肉や呼吸筋も同時に鍛えているのです。

地上で暮らしている私たちは、重力を相手に知らず知らずのうちに、筋トレをして骨を鍛えているようなものなのです。

地球での生命の誕生は35億年以前になるそうです。人類の起源は200万年前とも500万年前ともいわれます。  

 人類を含め地上で進化した生物にとって、重力に対応して進化を続けたわけですから、いきなりスペースシャトルや宇宙ステーションで宇宙空間の無重力の世界を経験するとなると、様々なことが起こるわけです。重力なしには私たちの生活は考えられないし、重力が私たちの骨を休まず鍛えているわけです。

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2022年3月 2日 (水)

骨の構造や役割

今日3月2日のFM放送「いきいきタイム」は骨の構造や役割について話をしました。

 私達人間の骨は大小様々で、数はおおよそ206本です。おおよそとしたのはまれに腰椎が5本のところが6本あったり、足の小指の骨が1本少なかったりする方がいますので、多少のバリエションはあります(これは異常ではありません)

冬の沖縄はサトウキビの製糖時期も真っ盛りとなりますので、サトウキビの形を参考に骨の構造を説明したいと思います(ローカルの話でサトウキビを実際に見たことのない本土の方には申し訳ありません😅)。 サトウキビの表面には白い「ぬめり」みたいのものがあり、骨に例えると骨膜の部分となり骨の表面を薄く被います。その骨膜には神経が多数あり、骨折すると骨が痛いのではなくこの骨膜の神経が痛むのです。

サトウキビの硬い皮の部分が、骨の強度をつくっている皮質骨と呼び、サトウキビの中心の甘く柔らかな部分が骨の海綿骨となります。 この海綿骨の部分には、血液の元をつくる骨髄があります(骨髄移植などは主に腸骨の部分から注射器のような物で硬い皮質骨を貫いて、内部の骨髄液を採取して移植します)・・・高校時代までは自宅のキビ畑の収穫を手伝っていたので骨の構造を医学部の授業で初めて習った時に 何となく「キビに似ている」と感じたのを思い出して記事にしました😅

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骨は硬くて、石みたいに変化しないと思っているかも知れませんが、実は、髪の毛や皮膚と同じように、常に新陳代謝を繰り返しています。 骨における新陳代謝の役目を果たす細胞には、破骨細胞骨芽細胞があります。

「破骨細胞」は弾力や固さを失った古い骨を分解する細胞です。骨の新陳代謝に欠かせない細胞ですが、女性の場合は、閉経を迎えると破骨細胞のはたらきを抑える女性ホルモンが減少し、そのことにより骨を溶かす細胞が力を増して、急速に骨の量が減ってしまう状態となります。これが閉経後に急速に骨粗鬆症の割合が多くなる理由となります。

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「破骨細胞」は古くなって骨のカルシウムを吸収して、血液の中にカルシウムを放出します。「骨芽細胞」は私達の骨の土台となる部分(コンクリートのビルにたとえると、鉄筋にあたる部分)の骨のコラーゲン・繊維をつくりながら、この繊維に絡めるように、血液中のカルシウムを骨に取り込んで硬く仕上げます。破骨細胞が壊した部分を修復する働きの細胞と言うことになります。 運動で骨に力が加わると、骨芽細胞のはたらきが活発になり、骨が丈夫になります(骨粗鬆症の予防に運動しなさいと言われるのはその作用があるからです)。

骨の働きは身体を支持し運動を支える機能、骨髄における造血、そして血液や細胞のカルシウム濃度の調整という3つの主な働きに集約されます。 たまには骨のことを考えて生活してみましょう。                                    

2022年2月23日 (水)

間歇性跛行の二大疾患(閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症)

今日のFMレキオは間歇性跛行(かんけつせいはこう)について話をしました。

Th__20200310101301 間歇とは一定の時間をおいて、物事か起こったり止んだりすることを示します。

よく温泉地帯で一定の間隔をおいて蒸気が飛び上がるのを「間歇泉」などと呼んでいますが、この字と同じです。(左の写真は2006年頃の写真ですが画像が悪くてすみません😢)

跛行とは足を引きずって歩くという意味です。

間歇性跛行とは歩き始めは普通に歩けるのですが、しばらく(一定の距離を)歩くと足が痛くなったり重くなったり、しびれや冷えが出現し歩けなくなってしまい、休憩するとまた歩ける状態を呼んでいます。

 

この症状を起こす二大原因として、動脈硬化が足の血管で起こる閉塞性動脈硬化症(ASO)と腰の神経が通る脊柱管という神経の通り道が狭くなる脊柱管狭窄症があります。閉塞性動脈硬化症は外科、特に血管外科で扱いますし、腰部脊柱管狭窄症は主に整形外科で扱う疾患になります。

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寒くなると、足が冷える、しびれる、ある程度歩くと足が痛くなる等の症状を訴える方が増えます。特に閉塞性動脈硬化症はもともと血液の流れがよくなくて、足が冷えている状態で寒さに弱いのが特徴です。

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以前にも記載したシェーマですが、もう一度載せておきます(クリックするといつものように大きくなります)。

閉塞性動脈硬化症(ASO)では動脈硬化により血液の流れが悪くなるため、その領域の酸素不足が生じます。 運動すると筋肉の酸素消費量が増えるのですが、血管(動脈)が細いと必要量の血液が流れず酸欠状態となり痛みを感じてしまいます。そこで休むと筋肉も次第に必要な分の酸素が供給され、また歩き出すことが出来るようになります。

同じ症状が起こるのが脊柱管狭窄症です。しかし血管の病気ではありません。背骨の中の神経が通る場所(脊柱管)が元来狭かったり、圧迫骨折やヘルニアで神経が圧迫されるのが脊柱管狭窄です。歩行時には、脊柱管の中を通る神経に血液を送り込む血管も圧迫され、次第にこの神経を介して痛みがきます。横から人間の体を見ると背中の骨はS字に曲がり特に腰の骨は前方に傾斜しています。真っ直ぐな姿勢や逆の背屈の姿勢では神経が圧迫されやすくなり、症状が悪化します。

ASOは姿勢で変化はしませんが、脊柱管狭窄の場合は前屈で神経の圧迫が少なくなり楽となります。これを利用してこの2つの疾患をある程度見分けることが出来ます。

・平地歩行はきついけど自転車(体が前屈みとなりますので)なら何処までもいけるのなら脊柱管狭窄症です。一般的には平地歩行より坂道の上りがきつく、下りは楽なことが殆どです。しかし脊柱管狭窄では登りは前屈姿勢となりますので普通の人と変わりなく、楽になるはずの下りで(後屈姿勢となるため)きつくなるのが特徴です。

・ASOは登りの方が筋肉の酸素量が必要となりますので、正常の方と比べても早く足の痛みやしびれなどがきます。

年をとったから長い時間歩けなくなったと感じている方に、実際は年齢のせいではなく病気のせいで歩きづらくなっただけの方もよく見かけます。 診断がついて治療をすると元のように長い距離を歩ける方もいますので、生活の質が向上します。 もしも間歇跛行の症状があって、姿勢で変化があれば整形外科を受診され、自転車をこいでもきつくなるようなら血管外科を選択されたらよいかも知れません。 思い当たる方は一度病院を受診なされて下さいね。

2022年2月 9日 (水)

脳細胞は過保護な偏食者

今日のFM放送は脳卒中について話をしました。

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以前ブログでこのこと(→脳卒中の病態・罹患率・予防法)は書きましたので、今日のブログは脳の特殊性についてお話をしたいと思います。

私達の脳は大人でも1,4Kg程度の重量で体重の2〜4%の重さです。しかし血液の量や酸素消費量では体全体の20%程度使用します。それほど脳細胞は莫大な量の情報を処理しているのです。(心臓は絶え間なく収縮と拡張を繰り返した1分間に約4〜5リットル血液を循環させています。なんと1日では5760〜7200リットル(5〜7トン)の血液を全身に送り出したいます。さぞかしエネルギーを消費するだろうと思うのですが、実際の心臓のエネルギー消費量は全体の9%なのです、如何に脳がエネルギーを多量に消費していることが分かります)

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私達の脳細胞は非常に過保護に出来ていて、偏食屋でもあります。

脳細胞は4分程度血液の流れが止まると後戻り出来ない状態となります。その為、心肺停止の人を見たら、まず救急車が到達するまでの初期治療が重要となります。 

脳細胞の弱さは他の臓器と比べても際立っています。 例えば心肺停止状態となって、心臓マッサージなどで血流が再会した場合心臓なら30分程度でしたら、殆ど後遺症なくその後も動き出します。しかし脳細胞は4〜5分で元には戻りません。 脳細胞と他の組織の強さの違いで、心臓が再開しても脳の機能が戻らない、いわゆる植物状態となる時間帯が出来てしまうのです。

もう一つ脳細胞は偏食家で、ブドウ糖しか栄養にしません。 三大栄養をといわれる脂肪、タンパク質、炭水化物の中でも炭水化物が分解されたブドウ糖しか脳細胞はエネルギー源として利用しません。 ですので脳は痛風にはなりません。 ブドウ糖しか摂らない偏食家ですので、時々糖尿病の治療薬を使っている方が低血糖発作を起こすと、めまいやふらつき、意識障害がでます。脳以外の細胞は他の栄養素でも働けますので、低血糖発作で意識がなくなっても、呼吸も心臓も問題なく動いているです。

私達の脳って過保護で育てられた偏食家のお坊ちゃんみたいな存在なのです

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