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2021年9月22日 (水)

白癬症はなぜ水虫とかタムシと呼ばれたのか?

今日のFM放送は「白癬症」について話をしました(私は外科医ですので皮膚科は専門外ですので調べた範囲内で話をしました)

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン(2019)によると、足白癬(足の水虫)の有病率は21.6%で日本全体での患者数は2,500万人程度。また、爪白癬(爪の水虫)は 10.0%(1,200 万人程度)と報告されています。

真菌の菌類(きんるい)とは、皆様ご存じのように、一般にキノコ・カビ・酵母と呼ばれる生物のことなんです。その中の皮膚糸状菌(白癬菌)が皮膚に感染することを白癬症と呼んでいます。皮膚糸状菌は、タンパク質の一種であるケラチンを栄養として必要とする糸状菌(真菌の一種)です。ケラチンは人間の皮膚の外層を構成する成分で、同時に毛や爪の主な材料でもあります。皮膚糸状菌は、生きのびるために皮膚、毛、爪を養分とする必要があります

糸状菌のうち、皮膚の一番表面の角質層に感染して起こす皮膚疾患を白癬症といい、そのうち足に発生するものを俗に水虫(足白癬)といいます。外陰部に感染した場合は「いんきんたむし(股部白癬:コブハクセン)」、手足以外の胴体、腕などに感染したものを「たむし」や「ぜにたむし」(体部白癬)と一般的に呼びます。 さらに頭に感染してできる皮膚疾患は「しらくも」(頭部白癬)と呼びます。ですので水虫も、タムシ、インキンタムシ、ゼニタムシ、シラクモも、場所の違いで名前も変わってしまいますが、原因となるのが、皆、白癬菌であることには変わりありません。

以前は高温多湿となる梅雨時から夏にかけて多くなる季節病でしたが、暖房の普及、靴を初めとする生活の西洋化で、サラリーマンの4人に1人、オフィスレディの5人に1人が感染している通年病、国民病ともなってきています。(実際の白癬症のタイプについてては以前のブログを読んで下さい→水虫は季節病から通年病へ

今日の白癬症という医学用語での話ですが、俗に言う水虫といったりタムシ(田虫)と呼んだりと、カビなのに何故「虫」といったのでしょうか?

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折角ですので調べてみたら次のようなことがYahooニュースに書いてありました(→https://news.yahoo.co.jp/articles/6989228ad35c8a3631f3dfba7f37593288768bdf)。きっと医学書には載っていないと思います😅

「水虫という名前が登場したのは江戸時代のことだそうです。 田植えなどの田んぼ仕事の季節になると、当時は、足に強いかゆみがある水疱(すいほう)のできる人が数多くいたそうです。恐らく、1日中田んぼの水の中に入っていたでしょうし、帰って来ても雨の時期でもあるし、当時の農家の家の中も湿気が多かったと推測します。水虫にかかる環境ではあったはずです。 しかし当時は裸足だったでしょうから、冬場にはこのような症状はなくなっていたと考えます。 ですので、当時の人々は田んぼの中にいる虫が影響して足がジクジクと痒くなったりしたと考えるのごく当然のような気がします。 当然 今のように医学が発達している時代でもなかったので、カビが悪さをしているとは思いもせず、水の中にいる正体不明の虫に刺されたと思い込んでいた様だと記載されていました。なるほどこれが水虫とか田虫と呼ばれ始めた由来なのですね。

色々と調べると面白いです。

2021年9月 8日 (水)

胃がんの原因<慢性炎症や慢性の刺激による発癌のリスク>

今日(2021年9月8日)のFMレキオは「胃癌について」の説明をしました。

日本は世界的にみても胃癌の発生が多い国の1つです。

胃癌の診断や手術をする際に「どうして胃癌になったのでしょう」と質問を受けることがあります。今現在でも答えは簡単ではありません。

癌の一番の原因は・・・・「年齢です」・・・と答えるとある意味正しいのですが元も子もありません。 寅さん風に言うと「それを言っちゃあ、おしめいよ〜」となるわけですので、まじめに話をすすめます😅

現在の胃がんの主なリスクとしては①ヘリコバクターピロリ菌感染 ②多量の塩分 ③喫煙 ④多量飲酒 ⑤緑黄色不足・・など

胃がんは胃の粘膜から発生しますが、癌化はその粘膜内で何らかなの長期的な刺激や感染によるダメージの継続で細胞のDNAが次第に破壊されて癌化が始まって来ます。

昔ブログで書いたイラストを再度利用して、もう一度まとめてみたいと思います。

<胃の粘膜への長期的な刺激で何故がん化が起こるのか>歴史的な経緯を参考に簡単にまとめてみました。

(A) 少し歴史を遡りますが、発がんのメカニズムについて、19世紀にはデンマークのフィビガー先生の提唱した「寄生虫発癌説」とドイツのウィルヒョウ先生が唱えた「癌刺激説」の二大論争が起こりました。
当時ヨーロッパで煙突掃除夫の間で陰嚢癌が多発しました(陰嚢がんはこれまで稀でした)。ススがズボンの中に入り、陰嚢の部分に貯まることが原因ではないかと考えられました。

それを実験で証明したのは、実は日本の病理学者の山極勝三郎先生と市川厚一先生でした。今のように日本人の科学者が正しく評価されていたら恐らく日本にノーベル医学賞があとひとつ生まれたのは確かですこの2人は来る日も来る日もウサギの耳にコールタールを塗ることを繰り返すことで、塗った部分から癌が発生したのです。世界で初めて実験で癌を作り出すことに成功し「癌刺激説」が優位となりました。 持続する刺激や炎症が発癌と関与すること示唆する重要な実験でありました。

 →皆様方もB型やC型肝炎ウイルスの持続感染により慢性肝炎、肝硬変となり肝癌が発生することやパピローマウイルスの感染により子宮頸がんが発生することは皆様もマスコミ等でご存じと思います。

これらの歴史的な疫学により、上記のウイルスなどの持続感染でも癌化が起こることが分かっていたのですが、胃酸(=塩酸)がある胃の粘膜にはウイルスや細菌は住み着かないと研究者の間でも思い込んでしまっていました

胃酸の様な強力な酸性の中でも生き延びる細菌(ヘリコバクタ・ビロリ菌 )が胃の粘膜で見つかり、色々な病気と関連があることで、2005年のノーベル医学・生理学賞を受けることになったのです。

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これまで強力な酸性の胃液(塩酸)で細菌やウイルスは死滅するものと考えていたのですが、実際はピロリ菌はこの強力な胃酸から身を守りながら胃の壁に食い込むように生きていて、胃に慢性の炎症を引き起こします。慢性萎縮性胃炎とよばれ、胃癌の発生母地と考えられています。 胃に慢性の炎症を引き起こすことで胃癌になりやすい状態を作っていたのです。肝炎ウイルスの持続感染と似たメカニズムです。 ピロリ菌は幼少期に感染が起こると言われていますので、胃がん発生には何十年も慢性炎症を起こした結果、発症すると考えられています。胃がん以外にも現在ではピロリ菌関連疾患も次々と関連がはっきりして来ています。

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日本人の50代以上の年齢ではピロリ菌をかっている(?)のが70%を越えます。しかし皆が胃癌になるかというとそうでもありません。ただピロリ菌のいない人で胃癌になるのは稀でもあります。

ではピロリ菌だけが胃癌の発生と関与するのか? つい10〜20年前まで塩辛い食べ物を食べる地方で胃癌が多いため、塩分過剰摂取が胃癌発生に関与する最大の原因と言われていました。 今でも食塩濃度の高い食事の関与は明らかです。 その他に喫煙多量のアルコール緑黄色野菜不足食品添加物生活習慣病、加齢などなど・・・発癌と関与することが疫学的に分かっています。 さらに遺伝子の異常による関与も解明されつつあります。1つの因子だけでなく色々な原因が絡み合って癌が発症します。

私のような老外科医には遺伝子レベルのことにはついていけませんので、簡単に胃がんのリスクとなる慢性炎症や刺激を引き起こす原因をある程度排除出来れば胃がんの発生はかなり減少すると思います(年齢は防ぎようもないので😅)

日本では今後胃がんが減少して行きます。そして大腸癌や膵癌、乳がん、前立腺がんなどが増えて行くと思いますし、喫煙率の低下と共に肺がんも徐々に減少に転じると考えています。 

そのようなことを考えると日頃の生活習慣や嗜好品なども重要だと改めて思うのです(私はあまりやれていませんが😂)。

2021年9月 1日 (水)

夏バテの原因と対策

今日のFMレキオ「いきいきタイム」は夏バテについて話をしました。このブログでも夏バテについては何度か書きましたので同じ内容です😅

では「夏バテ」とはどのような状態でしょうか? 

実はその定義は難しくて、多くの場合は夏場に起こる疲労、倦怠感、無気力、めまい、食欲不振、不眠などを称して定義されます。夏バテは医学用語ではありませんので、強いて言うなら「暑熱性障害」とか「熱衰弱」が近いかも知れません。

(A)人間は体温の維持に沢山のエネルギーを費やしています。暑いと体に貯まった熱を逃がすため、体表の血管を広げ、汗をかいて体温の維持に努めます。そのため莫大なエネルギーを必要とすると共にこれらを調節する自律神経にも負担がかかります。

(B)クーラーなどがなかった時代は熱の放散のためエネルギーを費やされ、食欲も落ち、暑さのため眠れなくなり体の衰弱として現れました。いわゆる「夏負け」の状態で、夏に体重が落ちていく原因となりました。

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(C)それに加え(今はこちらの方が多いでしょうが)、現代社会ではクーラーの不適切な使用により、自律神経に更に負担がかかり異常をきたします。  クーラーのかけ過ぎた室内と暑い屋外を出入すると人間の体は夏なのか冬なのかわからない状態となってしまうのです。いわゆるクーラー病の状態で体温を調整する自律神経のリズムが乱れて、体全体の不調となります(暑い屋外で体表の血管や毛穴や汗腺が開き汗がでやすいようにしますが、急に冷えたクーラーの中に入ると血管・汗腺・毛穴などが閉まります、この調整をしているのが自律神経です。これが1日に何度も繰り返されると自律神経は疲れ果ててしまい、「もう勘弁して」となるのです)。

現代の夏バテは前者(A),(B)加えて後者(C)の病態も加わった、エネルギーの消費増大自律神経の不調が大きな要因となるのです。この様に夏の長い暑さで少しずつ、ダメージを受けた体は秋口にはとうとう悲鳴を上げてしまい、夏バテの症状が出現してしまうのです。


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<夏バテ対策>上の図を参考に夏バテ対策をとるように心がけましょう。

①ただでさえ高温高湿度の夏は自律神経に負担をかけています。現代人はそれに加えてクーラー使用のために短時間で温度差のある室外と室内を往来することもあります。私達の体にとって無理のない気温の適応範囲としは5度以内と言われています。極端に外気が暑い場合を除いて、外気温と室内のクーラーの温度差は5度以内に調整出来たら良いのかも知れませんね。出来ない場合は屋内では一枚余分に羽織ることが出来る衣服なので調整して欲しいと思います。

②気温が上昇すると動物は食欲が低下します。これは本来は寒い方が体温を維持するために莫大なエネルギーを消費するために食欲が増加するように作られ、暑いと熱産生は必要が少ないため食事の量も多くは必要としないためです。しかし適温以上に暑くなると発汗のためにエネルギーを使うことになります。夏は食べやすい様な食品を選んだり、十分なカロリーや水分やミネラルの補給なども心が得て欲しいと願います。

③暑いと寝苦しいものです。熱中症対策にもなりますので、夜間も上手くクーラーを使用して欲しいと思います。また夏は昼が長くて眩しい時間が多くなります。室内の明るさも上手く調整して寝やすい環境を整えて欲しいと思います。

9月に入りましたが、日本列島はまだまだ熱さが続くようですし、熱中症対策を取りながら夏バテを防ぐようにも心がけて下さいね。

 

2021年8月25日 (水)

抗体カクテル療法について

今日のFM放送は再度新型コロナウイルス感染症について話をしました。何度か話をしましたので、放送では、妊婦さんにとってのワクチンのメリットと感染した場合の連絡網の確認や危険性について追加して説明しました。後半では現在の新型コロナウイルス感染症の重症度と治療法について話をしました。私に取っては専門外ですので、可能な限り分かりやすくまた間違った情報でないことに気をつけて説明するつもりです。
まずはもう一度新型コロナウイルス感染症の症状と一般的な経過について、厚生労働省の新型コロナ感染症診療手引き第5.2班から引用します。言葉で説明するよりこの方が分かりやすいそうです。
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現在日本中、特に東京などで感染爆発に医療機関の入院体制が追いつかずに、本来なら入院の対象者が入院できずに自宅待機を強いられている厳しい現実に直面しています。 
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現在の症状を元に軽症から重症の診断基準や治療法について、上の図にまとめてみました。中等度1でも原則入院で急変時などに備える必要がありますが、東京では多くの方が自宅待機となっています。更にその上のより厳しい状態の中等度Ⅱの患者さんも入院できずに、不幸にも自宅で亡くなったというニュースで報道されています。 
ひとまずは感染者を減らして(=人流を抑えて)医療体制が追いつくまで全体の患者数を減らすことが僅々の課題です。 東京都や政府は酸素ステーションの前に人流をストップする政治決断をしなければならないと思うのですが・・・
新型コロナウイルスに打ち勝つには最も重要なのはワクチン接種率の増加です。多くの感染症では国民の6〜7割がワクチンを接種すれば集団免疫が出来て感染は落ち着くと言われています(デルタ株のような感染力が高い場合には7〜8割と更に多くの方の接種が必要になるようです)。
現時点で新型コロナウイルス感染症に対する特効薬はありませんでした。これまでは既存の薬を使うことで一定の効果を得ていますし、現在抗ウイルス薬(エボラ出血熱)のレムデシビルやリウマチの薬のバリシチニブや抗炎症作用の強いステロイド(デキサメタゾン)や血栓形成(D.I.C )予防のために抗凝固薬のヘパリンを用いる治療がなされています。 これらを組み合わせながら現場では使っています。酸素飽和度の状況で酸素投与や人工呼吸器到着、ECMOなどの体外循環装置を使用して救命を行っています。
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最近にわかに名前を聞くようになったと思いますが、コロナの切り札のように「免疫カクテル療法」が政治家からも名前が挙げられるようになっています。
以前免疫システムについては書きましたのでご覧になって頂きたいと思います→{免疫システムについて}ワクチンを打って感染を防ぐのはウイルスの持つスパイク蛋白質に反応する抗体を作ることにあります。 コロナウイルスが身体に入ると、私達の細胞の受容体にくっついて細胞の中に入り増殖します。もしもワクチンを打って十分な抗体が出来ると、ウイルスが入って来ても抗体がウイルスのスパイク蛋白に結合して細胞への侵入を塞いでくれます。
もしもワクチンを打っていなくて(ワクチンを打っても十分な免疫がついてない場合)も、外から(点滴で)この抗体に近い物質を入れると、免疫反応に近い状態に持って行くことが出来ます。 この抗体を遺伝子組み換えで作ることが出来るようになりました。 この抗体をいくつか作り出したいるのですが、1つでは不十分なために、有力な2種類の中和抗体(カシリビマブおよびイムデビマブ)を注射薬にしたのが、今回のワクチンカクテルと呼ばれているのです。 2種類の中和抗体であることより「カクテル」と呼んでいるのです。
このカクテル(中和抗体)はその原理から分かる様に、感染が起こって時間が経って使っても意味が余りなく、感染が起こった初期の段階で効果を発揮することがイメージとしても判ると考えます。 初期の段階から点滴治療を行えば重症化を防ぐことが可能という原理となるのです。海外の論文(→プレプリント)でも入院や死亡のリスクを70%減らすと報じられました。

これは素晴らしい!、画期的と思うのですが・・・では何が問題か・・・抗体を作るのにもの凄くお金がかかること、多量に作ることが現時点では出来ない為に供給量に問題がある点です。そのために現時点では重症化リスクのある対象者のみとなっています。光はみえているのですが、まだ一般的に使用できる段階になっていません。 
ですので現時点ではワクチンを早く全国民が受けれるようにして欲しいのです。

2021年8月11日 (水)

腎臓の働きと注意点

今日のFMレキオは慢性腎機能障害(CKD)について説明をしました。

ブログは腎機能のついて記載したいと思います。

私達の腎臓は左右2個、お腹の後面(後腹膜)にあるそら豆の形をした臓器です。片方の重さが120g程度で拳より少し大きい程度です。その中には私達の尿を作る基本単位の「ネフロン」が100万個以上ぎっしと集まっています。

腎臓は何をするのと聞けば、恐らく「オシッコ」を作り出す所とすぐに答えるかもしれません。 では「尿の原料は?」と聞かれると一瞬戸惑うかも知れません・・・・・よく考えれば当たり前ですが、私達の血液です。 

腹部大動脈から腎動脈より腎臓に流れた血液は、目にみえないような細い網目状のネフロンを通りながら、何度も濾過と再吸収を繰り返して、最終的には99%は再吸収されて、尿として排出される量は1日1〜1.5リットルとなります(おおよそ腎臓は1日100〜200リットルの血液を濾過していることになります)。 

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体の中には様々な代謝物、老廃物、有害物質が作り出され血液の中を循環しています。腎臓はそれら必要でない色々な物質を血液から採りだし尿として体外に排出します。

人間の血液の中には細菌は存在しません(存在していたら菌血症と言って重篤な感染症の状態です)。私達のオシッコは元は人間の血液ですので、尿そのものには細菌はいないのです。尿は唾液や便と比べたらはるかに綺麗な訳です。

でもよく膀胱炎とかで病院に行ったら「尿の中にバイ菌が出ています」と言われることがありませんか。 尿道は男性と比べて女性は短いため、外からの菌が膀胱に入り込み膀胱炎などの尿路感染症を起こし易くなります。そのため尿路感染症は圧倒的に女性が多いのです(逆に男性の場合は尿道が長くて途中に前立腺があるため、中年以降の男性では尿が出しにくくなる前立腺炎や前立腺肥大の影響が大きいのです)。

<その他の腎臓の大切な役割>

②不要な物質の除去と共に水分の調整をしてくれるのも腎臓です。腎臓が正常なら多く水分をとると沢山尿が出ますし、少ないと濃縮した尿となります。私達は正常な腎臓のお陰で、今日の水分量は○○mlと計算しなくても自由に飲める訳なのですね。

③それ以外の腎臓の役割は、呼吸と連動して体の酸塩基平衡(PH:ペーハー)やNaやKなどの電解質を調整してくれます。

④また腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌し、これは血液を作る骨髄に作用して赤血球の産生を調整します。そのため腎臓が悪いと貧血になってしまいます。 

⑤腎臓の入り口には血圧を監視するモニターがあって血圧を調整するレニンと言うホルモンを出して血圧をコントロールしているのです(血圧を管理するホルモンは他にもあります)。

<大切な腎臓を守る為に>

大切な臓器ですが、ひどくなるまで症状には出ません。健診などで指摘されることが多いと思いますが、糖尿病と高血圧が腎機能悪化の原因として多いため、その疾患を持っている人は日頃から腎機能に気をつけた方がいいと思います。

腎機能が低下していると指摘された方々にとって気をつけることは脱水を避けること、食事に関しては、蛋白質と塩分の過剰摂取を避けることにあります。 

三大栄養素の一つの蛋白質は体内で燃焼すると尿素窒素や尿酸などの有害な代謝産物が出現し、その分解処理を行うのが腎臓となります。また塩分の排泄も腎臓が行う為、腎臓の負担が増えてしまうのです。炭水化物(糖分)と脂肪は体内で消費されると後に残るのは二酸化炭素と水分となり腎臓そのものには負担をかけません(ただし高血糖や高血圧、高脂血症は腎臓の毛細血管に障害を与え、腎機能の悪化を来しますので、生活習慣病にも注意を払う必要があります)。 

大切な腎臓ですので日頃からいたわって下さいね

2021年8月 4日 (水)

デルタ型に対するワクチン効果や対応について

昨日、菅総理が新型コロナ感染に対して「重症者や重症化リスクのある患者に限り入院を受け入れる」と方針転換したと発表がありました。これまでも政府の治療方針やワクチン対策で呆れていたのですが、流石に今度は怒り心頭に発すの状態です。

政治が第1にやることは、感染の実態を国民1人1人に納得のいくように説明を行い、感染爆発のそもそもの原因となる人流を抑制することです。それをやらずに医療者に感染爆発の後始末を強制するような方針に納得がいかないのです。足元で火事が起きているのに、オリンピックに浮かれている二つの世界が混在する日本をどのように整理して進めるかが政治なのだと考えます。

・・・怒ってもしようがありませんので、今日のFM放送で放送した新型コロナウイルスに対するワクチン効果やデルタ株がどのようなものであるのか、感染症の素人の老外科医が現時点で分かっていることを説明したいと思います。

東京や沖縄、或いは全国で急激に新型コロナ感染者の増大の原因に、我慢できなくなった国民の移動や感染対策の不徹底さに加えて、日本での感染者の殆どがデルタ株と言われるタイプの感染者が殆どになったことが挙げられています。

米国でワクチン接種の増加に伴い、新規感染者も低下していたのですが、ワクチン接種の鈍化、行動制限の緩和やマスクなしの生活者が増加したことや大きなイベントが行われていることで、この1〜2ヶ月新規感染者が増加に転じています。ワクチン接種者の感染も報告される中、患者増の割には重症者は比較的抑えられている傾向が米国のみならず欧米で確認されています。

丁度先日7月30日CDC(米国疾病予防管理センター)の内部資料が分かる様になり、このニュースが世界中で話題になりました。デルタ株が従来のウイルスよりかなり感染力が高いことが明らかにされ、水ぼうそうに近い感染力があることを報告していました。感染力が極めて高くなったために世界中で新規陽性者が増えたことも理解出来ます。感染力に対しては重症化リスクはそれ程高くなく、また重症化しやすい高齢者でワクチン接種が進んでいることが、死亡者数の増加がそれ程多くない原因と思われます。

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上記は私の作図ではありませんが、CDCのデータを日本語した資料がネットで公開されていましたので載せておきます。これまでの従来型の新型コロナウイルスは1人の感染者から約2.5人にうつす可能性(通常の風邪と同等)があったのが、デルタ株は1人の感染者から8〜9人程度うつす可能性も指摘されて、これは水ぼうそうと同じぐらいと指摘している訳です(これまでは多くの国のデータではデルタ株は3〜4倍と報告されていました)。まあそう言われても一般の方は分かり難いですが、従来型よりデルタ株は4倍感染力が高いと考えて欲しいと思います。
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ワクチン接種が進む中で、私が外来や予防接種時に「新しいデルタ株に対するワクチン効果」に対しての質問を多く受けました。ニューイングラドジャーナル誌にファイザー製とアストラゼネカ製のワクチンの効果について記載されていました(モデルナ製も基本的にはファイザーと同じmRNAのワクチンで、ほぼ同等な結果となっています)。
2回目終了後からは発症予防効果が94%で極めて優秀なワクチンであることが分かります。デルタ型に対してはやや落ちますが、それでも88%と極めて高い効果を認めています。 また従来型もデルタ型に対しても重症化を抑制する効果も高いデータとなっています。(イスラエルからの報告はこれより低く64%なっていました)
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現在モデルナ製、ファイザー製、アストラゼネカ製のワクチンも2回打つ必要があります。1回では予防に必要な免疫の獲得は少なく、2回目を打つことでブースター効果により急激に免疫力がアップすることが分かっています。デルタ型に対しても2回目以降は比較的有効なワクチンだと言えます。 
残念ながらこのウイルスに対しては終生免疫ではなく、徐々に抗体の量が減ってゆくことが分かっています。 その為に今イスラエルや米国などで前回の接種後半年〜1年をめどに感染リスクの高い方への3回目の接種が行われているのです。それにより更なるブースター効果により免疫効果が確実にでると考えられています。
1つ重要なのはウイルスというものは常に変異を繰り返して自分達も生き残ろうとします。世界中で蔓延すればするほど様々な変異が出現します。もしかしたら今あるワクチンが効かない変異ウイルスが出てくるかも知れません。いま世界は出来るだけ短期決戦でウイルスを封じ込めなければならないのです。
最後に強調しておきたいことがあります。ワクチンを打つことで確かに免疫力がついて感染しにくくなり、重症者、死亡者も10分の1以下に減らすことが出来ます。しかしワクチン打ったあとに感染すると症状が軽いために、感染したことさえ知らずに他人へうつしてしまう危険があります。これをブレイクスルー感染と言い、ワクチン接種の有無にかかわらず他人へうつしてしまう危険があるのです。 ワクチン接種者もこれまで同様に手洗い、マスク、三密を避けるように心掛けて下さい。
現時点では、ワクチンを2回打った方も、もちろんワクチンを打っていない方は接種者の20倍以上気をついて生活して欲しいです。
最後に私が現時点の新型コロナウイルス感染症に対する予防手段は下図のように考えています。

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これからの新型コロナウイルスとの戦いは、沢山のコロナウイルスを外堀や塀で防いで(①換気をする・密を避ける②手洗いをする③マスクをする)、もしも本丸まで来たウイルスは鉄砲で(ワクチンで)成敗することです。 敵を本丸まで自由に通してしまうと、本丸の矢も尽きてしまうかも知れないのです。 新型コロナウイルスとはこれまで同様に総力戦で戦うしかないのです。

2021年7月28日 (水)

高尿酸血症と痛風について

2021年7月28日のFMレキオ「いきいきタイム」は「尿管結石」の話題に急遽変えましたが(夏場のこの時期に患者さんが増加するため)、ブログは予定通り「高尿酸血症・痛風」について説明をいたします。

最近テレビのニュースでビール各社がプリン体ゼロのビールを発売し、味だけでなく健康志向の方をどう取り込むかがヒットにつながると話をしていました。糖質ゼロ、プリン体ゼロの文字がビールのラベルにも大きく載っています(ついでにアルコールゼロならもっといいのに?←もうビール🍺とは言えませんね

高尿酸血症は血液の中の尿酸値が高くなる病態です。では尿酸は何処で作られるのでしょう。 尿酸の元になるのは「プリン体」という物質です。

A:人間の体は常に新陳代謝を繰り返しています。①古い細胞が壊れる時に細胞の中の核酸が壊れ、プリン体ができます。②通常のエネルギー代謝では糖分が使われて、プリン体は放出されませんが、過度の運動では「プリン体」が発生します。

B:体内で発生するプリン体が(A)の部分でプリン体の7〜8割を占めます。後の2〜3割は口から入る食品(肉類や卵、ビールなどは多く含まれます)

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<さてビールは本当にプリン体が多いのか?・・・・アルコール100g中に含まれるプリン体はビール:5.7mg、日本酒:1.5mg、ワイン:0.4mg  ウイスキー:0.1mg、焼酎:0.1mgとなります。ビール党の皆様には🙏の結果です>・・・ついでに何故そうなるのかというと・・・酒類は醸造酒と蒸留酒に大別されます。一般的に醸造酒を蒸留したものが蒸留酒になります。ワインやビール、日本酒などは醸造酒、ウイスキーやテキーラ、ブランデー、焼酎などは蒸留酒に分類されます。醸造酒は元々の原料の成分が多く含まれますので糖質やプリン体も多く含まれています。蒸留酒は蒸留(アルコール成分だけが主に残る)の過程で糖質やプリン体などが失われるため、痛風の引き金になるとも言われるプリン体も少ないとされています・・・・。

AとBの工程で出来たプリン体は主に肝臓で分解されて尿酸になります。 尿酸は一時的に体内に貯め込まれた後は、尿と便(尿>>便)として体外に排出されます。 

通常は生成される尿酸と分解され体外に排出される量が均衡を保っていて血液中の尿酸値も正常範囲となっています。

高尿酸血症に関しては、症状が激烈なためそれによって起こる「痛風」が有名かも知れません。 

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高尿酸血症においては、尿酸の濃度が高くなり、血液中に溶けなくなった尿酸の結晶が体中に出てきます(水に溶けた塩が水分が蒸発して濃くなると結晶として出てくるようなうなイメージです)。 これが関節の中に出てくると、私達の体は異物とみなして白血球が攻撃をして、炎症を起こし関節が腫れ上がって痛みが出てきます、これが痛風です。1番多いのは足の親指の関節です(他の関節にも起こります)。

痛みは強く、風が当たっても痛いとのことで「痛風」という名前になっています。痛みが強いときは鎮痛薬と尿酸を下げる薬を使います。 何もしなくても一週間程度で収まりますが、高尿酸血症を放っておくと6〜12ヶ月に1回程度再発し、次第に間隔も短くなり、関節も広範囲になっていきます。

痛風発作は殆どが男性で起こります。これは女性ホルモンが腎臓から尿酸を排出する作用があるからで、閉経後の女性は尿酸値が高くなる傾向となります。

戦前の日本人には少なかったのですが、高脂肪・高カロリー食となった日本では糖尿病と一緒に増加しています(痛風は昔は贅沢病と言われていました😢)。

最後に、プリン体ゼロのビールは痛風(高尿酸血症)を防げるか?・・・・アルコールの分解の過程で尿酸値は上昇しますし、尿酸の排泄を遅延させます。ですので完全に防ぐことは出来ませんが、プリン体が含まれていない分だけ抑制されると考えられています。 まだ日本では長期的にプリン体ゼロのビールを沢山飲んだ時に尿酸値を抑制したかについてはまだ分かっていません・・・折角期待していた方にとっては余計な一言でしたでしょうか

2021年7月14日 (水)

熱中症とコロナ感染症の併発で医療現場は混乱も?

今日のFMレキオは熱中症について話をしました。梅雨入りから初夏にかけては、湿度が高かったり、気温が急に上がる場合も多く、1年のうちこの時期は暑さ対策がより重要となります。

熱中症とは、私たちの体の中と外の「あつさによって引き起こされる、様々な体の不調の事を言います。 熱中症の臨床分類は①〜④となります。

①熱失神とは、暑い環境にいたり、作業やスポーツなどで体温が上がる状態になると体温を下げるために皮膚の血管が拡張します。そして脱水と相まって血圧が下がってきます。そのため脳へ行く血流が減って、気分不良、めまいや失神を起こす場合があります。
②熱けいれんとは、大量に汗をかくことで血液中のナトリウム(塩分)が汗と共に失われます。塩分を含まない水だけを補給すると、脱水状態の体は素早く水分を吸収します。更に血液の中のナトリウム濃度が低下してしまいます。 血液の中のナトリウムが正常より低くなると、脚や腕、お腹の筋肉がけいれんを起こしやすくなります。この様な原因でけいれんが起こることを「熱けいれん」と呼んでいます。熱けいれんと言いますが、体温がまだ上昇していない時に、けいれんが起こります(子供が高熱の時に起こる「熱性けいれん」とは違います)。

③熱疲労は大量に汗をかいて脱水になり、体温が維持できなくなり、体温上昇が始まり脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などが起こる状態となります。

④熱射病は熱中症の1番重傷となった病態で体温が40度以上に上がり、脳の機能(中枢機能)がマヒしてしまうために意識障害が起こり、さらには肝臓や腎臓などの多くの臓器がダメージを受けて、死に至る可能性が高まります。非常に危険な状態で一刻も早く救急車を要請し、その間とにかく冷やし続けることが重要となります。

これらの分類方法とは別に、「具体的な治療の必要性」の観点から熱中症の重症度分類もよく使われています。

熱中症の重症度分類のⅠ度:「熱失神+熱けいれん」の段階。涼しい場所に移動し、身体を冷やしたり水分補給を行って様子をみます。改善あればこのまま経過観察。 

重症度分類のⅡ度:熱疲労の段階。水分補給が可能なら補給しながら病院へ搬送。 

重症度分類のⅢ度:熱射病の状態。すぐに救急車を呼んで病院へ搬送。

 

この夏は恐らく、発症状況が分からない場合に発熱があり、気分不良や意識混濁などで救急搬送された場合に、熱中症なのかコロナウイルス感染症なのか現場の対応は難しいことが予想されます。熱中症で運ばれた患者さんの中にコロナウイルス感染も併発していることもあると考えます。

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熱中症で重症度Ⅱ度や特にⅢ度は時間との闘いとなります。早く処置をして病棟などへ移動させたくても、もし万が一コロナウイルス感染症だったり、あるいは同時に併発している場合を考えると迅速な対応が出来かねない事態も予想されます。更に怖いのはコロナ抗原検査やPCRも100%の感度ではありませんので、もし検査をすり抜けた場合には、この方を介してクラスターが発生する危険性もあるのです。

特にこれから東京を中心にする救急医療はこの夏、熱中症、新型コロナウイルス感染症、東京オリンピックへの対応を余儀なくされるため大変な負担がかかると想像しています。 

どうか国民の皆様、1人1人がギアをワンランク上げて、コロナ対策、熱中症対策を講じて欲しいと願っています。

 

<熱中症予防とコロナ感染予防>のパンフレットが「環境省」「厚生労働省」が出していましたので、比較的分かりすいたために添付して起きます。

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ワクチンは任意接種ですが、若い方もどうかアレルギー反応等がなければ、自分を守る為、周りの仲間や家族を守る為、社会を守る為にワクチンを接種して欲しいと願います。そのためにも国はワクチンのスムーズな提供と入荷予想を早めに示して欲しいと願っています。

2021年7月 7日 (水)

肩こりの原因と予防

今日のFMレキオは首の痛みについて話をしました。

新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛やテレワークなどで肩こりや腰痛なども増えていると言われています。今日のFM放送は首の痛みに対して話をしました。 今日のブログは以前書いた「肩こり」について再度記載致します。

Th_090956 肩こりは、厚生省の調査で女性第1位、男性第2位となるくらい国民の多くにとって身近な自覚症状です。肩こりは、肩の痛みや不快感だけでなく、眼精疲労、集中力低下、めまいや頭痛などの症状に影響を与えます。

首の激痛と言うよりも、重く鈍い痛み(肩や首が凝る、肩が張るなどと表現され)、痛いと言うよりも不快感を伴うこわばった感じが殆どだと考えます。 重苦しい感じ、イライラしてしまい抑鬱な気分にさえ感じてしまうこともあると思います。

私達の首回り(頸椎や筋肉)は色々な動きが出来ると同時に、頭という重い荷物をかかえています。頭は5〜7Kgの重量があり常にそれを支えていますし、首周りは肩を吊り上げたり上肢の運動も支えていて大きな負担と強いられています。

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皆様方も長時間同じ姿勢でいると首や肩が凝るのを経験すると思います。今年は特にコロナウイルスのお陰で、外出自粛や在宅での仕事に切り替えている方も多いと考えます。このような狭い空間で移動もないと、どうしても同じ姿勢でいる時間が長くなり、常に同じ筋肉が同じ方向に緊張状態を強いられます。 

 

筋肉の緊張状態が続くと、血液の流れも悪くなり筋肉内に疲労物質である乳酸やピルビル酸といった痛みを起こす物質が溜まってきます。(走ると足の筋肉が酸欠状態となるだけでなく、乳酸やピルビル酸が溜まって痛くなりこれ以上走れなくなるのと同じです)。

 

 

ワープロ仕事などで同じ姿勢は首周りの筋肉の緊張状態を強いますので、時々首や肩を回したりストレッチをするといいですし、眠る時も首の負担を減らすような枕を選ばれたらいいのかも知れませんね。パソコンなどでモニターを見上げるような姿勢(頭を反らす姿勢)はよくありません。背筋を伸ばして、少しアゴを引くぐらいが肩こり予防にいいと思います。

首の周りの筋肉を動かして、血流を良くすることが大切ですが、筋肉を意識してといっても沢山の筋肉があるので、私のおすすめは首周りの骨や関節を意識して動かしてみることです(→私よりも皆様方が詳しいと思います😅)

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①頭を前後左右など動かす(首の骨を動かす)②肩を前後上下に動かす(鎖骨を前後左右に動かす意識)③背部の肩甲骨の間を広げたり縮めたりする前後左右に動かしてみる・・・まあ、整形外科が専門でない私の考えですので(間違いがあるかもしれません😢)、テレワークなどをなされる方はネットなどを参考に、定期的にストレッチしてリラックスして行って下さいね💖

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夏場はクーラーなしでは過ごすことは難しいかも知れませんが、座って作業している方にとっては寒く感じることも多いです。また仕事などで緊張している時は交感神経が優位となり血管も収縮した状態となりますので、時々リラックス出来る時間を挟むのもよいかも知れません。 特に首や肩周りが冷えてくると血管が収縮し血流も悪くなります。 肩周りを被うような羽織るものを職場には置いて方がいいかも知れません。最近はレンジで温めるカイロなどもあるようですので、肩周りを温めたり、帰宅後などはぬるま湯でゆっくりしてストレスを取ることも必要かも知れませんね。
・・・そう言う私も、時々「肩こった〜!」とぼやいています😃

2021年6月23日 (水)

コロナワクチン接種に対するQ&A

(今日は76回目の沖縄慰霊の日ですね。24万人以上の尊い命が失われた戦争でした。戦争の風化が進む中でもう一度不戦の誓いを立てなかればならないと感じています。私の叔父さん2人も今の中学・高校生の時期に沖縄戦で鉄血勤皇隊として、無謀な戦闘に駆り出されてなくなりました。 戦争は政治家が起こす最も馬鹿げた解決方法ですが、犠牲を払うのは何の罪も無い若者や非戦闘員であることを、私達は歴史から学ぶ必要があると考えています。) 

さて、今日のFM放送はこの番組でも既に2〜3回は話したかも知れませんが、もう一度コロナワクチンの意義や正確な情報の重要性を説明したいと思います。

この番組を続けて14年ほどになると思いますが、1番気をつけているのは話す内容が「医学的な根拠に基づいているかどうか、多くの教科書にも記載されている事実」になっているどうかです。 テレビやラジオ、インターネットで健康情報が溢れている社会です。 コメンテーターの中には、個人的な意見や考えをあたかも一般的な教科書に書いてあるように話をする方もいます。 面白おかしく話をするのはいいのですが、本当に根拠があるとすれば、学術的な医学論文や世界的な教科書に書いてあることから逸脱してはいけないと考えます。 この場合はあくまで「個人的な意見ですが」と断るべきです。

高齢者にもワクチンが始まり、大規模接種会場や、職域接種も始まっていますが、皆が正確な情報を得ていないことも気になりますので、私が気になったことを今日はお伝えしたいと思います。

今でも多くの方はワクチンを本当に打った方がいいのか、よくないかの疑問を持ちながら、周りに流されて、ワクチンを打ったり、逆に1部の新聞報道などをみて、ワクチンは怖いと勘違いをして、打っていない方も多いと考えています。

私の結論から言うと、これまでワクチンなどでアナフィラキシーを起こしたことがあったり、今現在、肺炎とか急性の感染症でなければ、新型コロナウイルスのワクチンを打った方が良いと考えています。

物事に対して全て100%ではありません。 例えになるかどうか分かりませんが、皆がある場所にたどり着く必要があります。2つの選択肢があります。1つは大きく舗装された道路で、それなりに交通量も多く、料金所でお金も払わないといけません。もう1つは急なゴツゴツした山道を登りますが、お金も払わないで済みます。 大きな道路ですが、交通量が多いので事故に遇うことが2万回に1回あります、山道の方は100名に1人が崖から落ちたりして怪我をします。どちらも100%の保証は出来ませんが、あなたならどちらを選びますか・・・実はコロナのワクチン接種もこれに近いかも知れません。100%はありませんが、正しい情報を得て、自分で決めなければならないのです。

勿論、ワクチンは任意接種ですので、受けたくないなら、受けなくても良いし、受けないからと言って社会や会社などで差別や冷遇を受けてはなりません。正しい情報や根拠を元に各自で判断すべきです。

今日は私自身がここ2ヶ月ほど患者さんや職員と接して疑問に思っていたり、あるいは質問を受ける中からもう一度、コロナワクチンの内容を整理しながら話して行きたいと思っています。

Q-1:ワクチンとはどのようなものなのか?

Q-2:新しいタイプのmRNAワクチンは遺伝子から出来たと聞いているが、私達の遺伝子に関与して、後々人類が違う生き物に変化するような危険はないのか? 急に開発されたワクチンがそもそも本当に安全なのかどうか・・・

Q-3:私は鼻炎などのアレルギーがあるから副作用のアナフィラキシーが心配で打ちたくないけどどうしたらいいの? 心臓病や腎臓の病気などがあり血をさらさらにしている薬ものんでいるし、高血圧などの治療薬も沢山飲んでいるけどワクチンは受けていいの?

Q-4:ワクチンを打ってから死んだ高齢者が県内でも2〜3名いると新聞に書いてあったけど、こんな危険なワクチンを打っていいの? ワクチンを打って死んだら元も子もないじゃないか?

Q-5:打った後、高熱などで休まないといけない人もでているのを聞くけど、自分は若いし自粛もしているからワクチンを打たなくてもデメリットはないのでは?

Q-6:妊娠しているからワクチン接種は出来ないと思うし、でも生まれてくる子供が心配・・どうした方がいいの?

Q-7:色々な変異型がでているのを聞くとワクチン打っても効果がなければ、打っても仕方内じゃないですか? 本当に効果があるの?

Q-8:もう既にコロナウイルスにかかったけど、ワクチンを打つ必要があるの?

・・・このようなことに対する答えを今日はFM放送で説明しました。

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A-1:これまで皆様方が摂取してきたワクチンには、主に3種類がありました。生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドです

・生ワクチンの例として、結核、麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)、黄熱病。不活化ワクチンは、百日せき・ポリオ・日本脳炎・インフルエンザ・A型肝炎・髄膜炎菌感染症、狂犬病 など皆様方に取っても馴染みが深いワクチンです。もう1つがトキソイドでジフテリア、破傷風(はしょうふう)などがあります。

これまで使われてきたワクチンはこの3種類ですが、原料となるのは生きたウイルスや細菌です。例えば毎年打っている「インフルエンザのワクチン」を作る過程で、卵などの細胞を使ってインフルエンザを多量に作る必要があります。

A-2:しかし今回の新型コロナウイルス感染症のワクチンで注目されたのが、これまでと違う製法でウイルスの遺伝子を使ったmRNAワクチンです。

・コロナウイルスのmRNAワクチンは、どの従来型ワクチンにも属さない全く新規のものです。ただしmRNAワクチンの技術は、何もコロナウイルスの感染が起こったから開発を進めたのではなくて、既に10年以上前から開発されたバイオテクノロジーを用いた最新医療技術のひとつに過ぎません。

コロナウイルスを認識出来る遺伝子を特定出来ると、この部分だけを分離して使うことで私達はウイルスに対して免疫を作り出すことが出来ます。 ウイルスの遺伝子の中から、必要最低限の部分だけを抜き出しますが、この部分だけでは遺伝子としては何も働きません。 名前が悪かったのかも知れませんが、mRNAワクチンと言っても、遺伝子と言うよりも、単なる塩基配列でしかなくて、これから新しいウイルスが出来る訳ではありませんし、私達の遺伝子に影響を与えることもありません。

例えば、私を認識する場合に、なにも私の全身を全て確認する必要もありません。私の顔写真があれば、初めてあった人でも、これが私だと認識出来る訳です。ですからウイルスの遺伝子の中で、コロナウイルスと認識出来る一部分を抜く出すことが出来たら、これで抗体を作ることが出来る訳です。 ワクチンを造るのに遺伝情報を持ったDNAは必要ないのです。

ついでに話をすると、このmRNAは作り出してしまった後、不安定ですぐに失活してしまいます。この不安定な状況では、いくら作っても人間に注射する時には既に効力がなくなってしまいます。 そのためにこのmRNAを包みこんで安定させるコーティング技術が重要となります。 

コーティングした後に更に安定するために作成後、すぐにファイザー製はマイナス50度に凍結する必要がありますし、モデルナ製もマイナス20度で長期保存できます。 モデルナ製のよいところはマイナス2〜8度でも最大3ヶ月有効に使えるとのことで、ファイザー製よりはやや扱いやすいのが特徴です。ファイザー製は原液を使う時に生理食塩水に薄めて0.3mlずつ注射する必要があり、解凍して、液を加えて、それから0.3mlずつ抜く出すなど、手間ひまがかかります。 ワクチンを接種する皆さん方は気がつかないでしょうが、その準備に裏方では大変な作業があるのです。

A-3:アレルギー反応にかんしてもこのワクチンの製法と関わりがあります。鼻炎などのアレルギー体質だけどこのワクチンを打っていいのと言う質問も多く見受けます。

mRNAをコーティングする技術が開発され、注射剤として既に使用されています。コーティングをする物質が色々あります。いわゆる注射としては「添加剤」にあたる部分です。 この添加剤の主なものに「ポリエチレングリコール」があります。

ワクチンのmRNA自身はアレルギー反応をおこしませんが、この添加物によるアレルギーは起こる事があります。これまでに、添加物の「ポリエチレングリコール」などにより重度のアレルギー反応を起こしたことがある方は、ワクチン接種の対象外となります。

「ポリなんとかとか」と言われても分からないよと言う方が殆どだと思います。

しかしこの「ポリエチレングリコール」は色々な場所で使われている成分です。例えば軟膏剤や化粧品、乳化剤として色々な食品にも入っていて、多くの方は既に日常的に使っている成分です。

またポリエチレングリコールから派生する「ポリソルベート」は様々な薬の添加物に加え、インフルエンザワクチンや13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、ロタウイルスワクチン、ポリオワクチンなど様々なワクチンの添付薬として既に多くの方に使われています。

ですからこれまでインフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどを受けて大丈夫なら、今回のmRNAワクチンの接種も殆ど大丈夫と思います。ですので、高血圧の薬を飲んでいる、血をさらさらにする薬を飲んでいるとか、鼻炎などのアレルギーを持って居る方も、ワクチンを打ってはいけない範疇には入らないのです。

統計上はこのワクチンによるアナフィラキシーよりも、皆様方が薬店で買う風邪薬や頭痛薬の方がアナフィラキシーの確率は高いのです。

皆様方が心配で注射をためらっていることの多くに、副反応、それも死亡例があることが心配で打ちたくないと考えて方も多いと思います。

A:4:最近、沖縄の新聞にも「沖縄県は16日、新型コロナウイルスのワクチンを接種した後、副反応が疑われる症状が表れた人のうち、2人が死亡していたことを公表した。接種と死亡の因果関係は不明としている」などの記事が出ると、ワクチンを打って死んだら元も子もないじゃないか?と思いませんか?・・私もこれだけ読めば、恐ろしくてワクチンなんか打ちたくありません😅

しかし、新聞にも書いてあるように「接種と死亡の因果関係は不明」となっているのです。 マスコミの方は読者の目を引くように、見出しに「接種後2名死亡」なんて書いていますが、何の根拠もありません。もちろん否定も出来ませんが、もう少し丁寧に書かないと皆の心配を煽るだけの記事になります。

「因果関係は不明だがワクチン接種後2名死亡」との記事について私なりに説明したいと思います。

・・沖縄県を例に例えると、1年間におおよそ12500人がなくなります。1日平均で35名が亡くなっている計算です。癌、心疾患、脳血管疾患が1番多い死因となっていて、当然高齢者が多いと考えます。 沖縄県の死亡原因の中であえて高齢者に多い死因だけ抜き取って考えてみます。 老衰が948名、肺炎641名、誤嚥性肺炎362名だけでも、それだけでも1日5名から6名が亡くなっています。 沖縄県で高齢者のうちワクチンを打った方は1回目で14万人、2回を終えた方が5万にとなっています。高齢者施設などでも接種が行われています。 

なぜ私が長々とこのようなことを話をしたかと言うと、癌や心筋梗塞、脳梗塞などを除いて老衰や肺炎、誤嚥性肺炎で毎日5〜6名が亡くなっている状況で、ワクチンを打っても打たなくてもある程度の死亡数が出ると言うことです。ワクチンを打った後に因果関係ははっきりしないが2名が亡くなっていることの新聞報道をみて、ワクチン接種が怖いという根拠にはならないのです。勿論、医療者として過小評価してはいけないと考えますし、死因との因果関係を調査公表することが重要だと考えています。

 もしもワクチンを打った後に誰も死ななかったとなると、逆にこのワクチンは人間の命を救える薬となってしまいます。 ですので新聞初め報道機関は、きちんと背景も説明して記事にしないと社会不安をあおることにしかなりません

A-5:次はワクチンを打った後の副反応について説明します(既に以前ブログに書いています)。

現在日本でのコロナウイルスのワクチンは、ファイザー製とモデルナ製のワクチンを使用しています。どちらもmRNAワクチンです。ただ先ほど説明した、mRNAを包み込み基剤によって、副反応や、投与間隔にも違いがあります。

ワクチンですから接種後、身体の中で免疫を作るために色々な反応が起こります。まずは打った後の肩の部分の筋肉痛が多くの方に起こります。微熱から38℃台の高熱になる方もいます。頭痛や風邪症状がでる方もいますが、殆どは2〜3日で軽快します。 若いほど、また男女間では女性の方が副反応が多く出ます。それはやはり若いほど反応が強いことに起因していると考えられます。4〜5日以上続くなら副反応ではなくて他の病気を疑いますので医療機関を受診して下さい。

若いほど接種後の反応が強くなること、若い人は高齢者よりもコロナにかかっても無症状や重篤にならない方も多くいます。 ですから医療関係者でもこのことを心配してワクチンの接種をためらう若い方も多くいます。 

特に若い人にはワクチンは自分を守る手段ですが、同時に家族や同僚、社会を守る役割があることを理解して欲しいと思います。 そして会社の経営者もワクチンを打った後は、2〜3日休んでもいいような勤務態勢を取って欲しいと願っています。

A-6:次は妊婦さんや妊娠を考えている方に対しての答えです。妊娠しているからワクチン接種は出来ないと思うし、生まれてくる子供が心配・・どうした方がいいの?との意見を聞きます。

すでに厚生労働省や産婦人科学会も声明を出しています。妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方でも、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを接種することができるとされています。妊娠後期に新型コロナウイルスに感染した場合に重症化リスクが高くなるという点においては、ワクチン接種のメリットが考えられます。

日本産婦人科感染症学会と日本産科婦人科学会は、特に人口当たりの感染者が多い地域の方、感染リスクが高い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクの可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している方については、積極的に接種を考慮することとしています。 

また、妊娠を計画中の方については、可能ならば妊娠前に接種を受けるようにして下さい。既に妊娠している場合には、妊娠12週以降にワクチン接種を検討下さい。授乳中の女性については、現時点で特段の懸念が認められているわけではなく、海外でも接種の対象とされています。妊娠中の方は産科の医師と相談しながら決めて欲しいと思います。

A:7これまでのデーターでワクチンを2回接種後の感染の予防効果は95%以上あることが確認されています。イギリス型の変異株に対しても同様で、インド型に関しても2回目以降は感染のリスクを下げることはわかっています。これも順次分かってくると考えます。

A:8次の質問もよく受けますが、もう既にコロナウイルスにかかったけど、ワクチンを打つ必要があるの?・・・・コロナにかかっても重症度によって変わりますが、重症者ほと、症状が長引いた人ほど抗体は十分作られているようです。 実際にコロナウイルスに罹った人でも、時間と共に抗体価が低下して来ます。特に軽症や無症状で住んだ人は3ヶ月ぐらい経つと低下して、再感染のリスクが高まって来ます。ですので、実際に新型コロナウイルスに罹った人も、3ヶ月後をめどにワクチンを打った方が良いといわれています。

新聞や雑誌、ネットなどでもワクチンに対する危険性などを書いてあるものが沢山あります。しかし、危険性などを述べるには正確なデーターが必要で、これが発表されるのは世界的にも通用する「学術論文」です。個人的な意見をあたかも正しいと考えるならば、まずは「医学論文に投稿すべきことです」皆様方も正常なデーターを元にワクチン接種に臨んで欲しいと希望します。

・・・と言うことは「私の書いたものも違うかも知れません」ので皆様方も正しい情報を調べて下さいね😅

 

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