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医療

2017年6月14日 (水)

ダイエットとビタミン欠乏

今日のFM放送「いきいきタイム」は先週に引き続きビタミンについて話をしました。ビタミンに関しても何度もブログで書きましたが・・・ご了承下さい。

必須栄養素としては、蛋白質、脂肪、炭水化物(糖質)の三大栄養素があり、量的には微量ですがビタミン、ミネラル(ミクロ栄養素)を加えたものを五大栄養素と呼んでいます。

Th_ ビタミンの定義は難しいのですが、これらを自動車に例えると、蛋白質は車体、炭水化物と脂質は燃料となるガソリン、ビタミンやミネラルは車がスムーズに動くための潤滑油と考えるとよいと思います。

ビタミンが不足すると化学反応が上手くいかず、三大栄養素の変換が出来ずに全身の機能が低下し、病気になります。車で言うとさび付いて、とうとう動かなくなってしまうのです。

現在ビタミンは13種類発見されています。それぞれ欠乏症が確認され,主な欠乏症の名前を上げてみます。ビタミンA欠乏では「夜盲症」ビタミンB1欠乏の「脚気」ビタミンC欠乏では「壊血病」ビタミンD欠乏では「くる病」「骨粗鬆症」などが代表でしょうか

体重オーバーや若い女性で夏に向けて更にダイエットしたいと思う方々の中で短時間に極端にカロリー制限(三大栄養素制限)をする方もいますが、ビタミンやミネラル不足を気にかけない方も多いようです。

栄養を制限すればそれは痩せるはずです、しかしそれは健康なのでしょうか? 痩せるために1日○○カロリーを目標にして考えると思いますが、例えばビタミンB群やC、Eなどが不足すると新陳代謝も低下しますので、カロリーが消費されにくくなってしまいます。                      Th_dsc00797

特に若い女性で標準体重であるにも関わらずダイエットをする方もいます。女性は生理もありますし、ただでさえ鉄分や亜鉛がカルシウム不足していることも多くあります。その様な状況でダイエットや運動をして体重は低下したとしても、貧血や冷え性が疲れ感が蓄積し、更に健康状態が悪化したのでは何も意味がありません。

ビタミンはストレスや喫煙などで消費され、過度の運動、ダイエット、偏食などもあり現代人は相対的にビタミン不足という方もいます。不足気味だからといってやみくもに摂っても意味がありません。

今話題の中学生棋士の藤井さんが対局する時にチョコレートが横に置いてあり、対局中に沢山食べるそうです。 私達の脳はものすごい数の細胞の集まりです。 脳細胞は糖分しか栄養に出来ませんが、全カロリーの1/4を消費する大食漢であるのです。おそらく棋士は脳細胞を極限まで使いカロリー消費も半端ではないと思うのです。それらを助けるのが糖分なのです。
最後にこれを書いたのは、極端にダイエットしたり、朝食を抜いた時に、糖分不足に陥った身体で勉強したり働いたりしても頭がフル回転出来ません。ちゃんと朝食を取って、バランスの良い食生活をなされて下さいね。

2017年6月 7日 (水)

ビタミンA欠乏症と夜盲症

今日のFM「いきいきタイム」はビタミンについてお話をしました。ビタミンに関しては何度か書いて来ましたので今回は夜盲症について書いてみます。

夜盲症については眼科が主に扱う疾患ですので、外科医の私の知識は素人と同じレベルになります(お許し下さい)。
夜盲症とは明るいところでは余り感じないのですが、暗いところでは急に視力が落ちて見えにくなる状態でよく「鳥目:とりめ」などとも呼ばれています。

夜盲症も大きく、先天性夜盲症と後天的夜盲症に分類され、先天性夜盲症も大きく、進行性の夜盲症と非進行性に分けています。
先天性進行性夜盲症は、幼児期より始まり(大人になるまで気がつかない場合もあります)徐々に進行しながら、視野が狭くなったり視力が低下して来ます。 この代表が網膜色素変性症で、難病指定の疾患で夜盲の他に視野狭窄、視力低下などがでてきます。先天性非進行性夜盲症としては小口病白点状眼底などがありますが、詳細は省略します。

今日の話題のビタミンと関連があるのが、後天性夜盲症を起こすビタミンA欠乏症が有名です(その他、網脈絡膜炎などもあります)。

ビタミンA不足による夜盲症は戦前と比べて食生活が改善した現代では激減した病気です。

私達は眼の奥の網膜で光を検知します。網膜にあるロドプシンという物質は、暗所で光があたると反応して分解されます。その僅かな変化を視神経が捉えて脳に伝えることで、暗い所になった場合、暗順応が起こるようにして、暗い所でも次第に物が見える様にしているのです(**暗順能とは、明るい所から暗い所に入った時に最初はよく見えなくても徐々に時間が経って暗い所が見えて来るようになる反応**)。

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ビタミンAはこのロドプシンという物質の材料になっていて、ビタミンAが減少するとロドプシンも減少して、暗い所に対する反応が起きにくくなり、夜盲症となってしまうのです。

予防法としてはレチノールやカロテンなどは、体内でビタミンAとして働きます。レチノールが多い食品はウナギやレバーがあり、カロテンを多く含むのはカボチャやニンジンなどの緑黄色野菜を多めに取るとよいでしょう。

高齢化社会の現代では後天的に暗い所が見えづらくなった場合は、夜盲症よりも白内障などのレンズが曇ったことが原因かもしれません。それ以外にも加齢と共に瞳孔が狭くなる縮瞳などもあります。

暗い所で字が読みにくくなった場合などビタミン不足や加齢と自己診断せず1度眼科を受診して、原因を探った方がいいかもしれません。現代ではビタミンA欠乏による夜盲症は激減していますので、安易にビタミンなどのサプリメントに頼らずに、眼科を受診することをお薦めします。

2017年5月31日 (水)

慢性腎臓病(CKD)について

今日のFM放送は、腎臓の機能を中心に話をしました。以前ブログでも腎機能に関して記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-5b69.html )。

今日は慢性腎臓病について書いてみます。
Th_443885 腎臓の機能が低下する病態においては、急激に腎臓が悪化する場合(急性腎不全)とゆっくりと腎臓が悪化する慢性腎不全があります。急性腎不全は治療により回復の可能性は高いのですが、慢性腎不全は徐々に進行して回復が見込めないことが多くあります。
腎不全を起こす疾患は様々ですが、何らかの状態で腎機能が悪化することを腎不全と呼んでいますので、腎炎によって腎不全になったとか、糖尿病によって腎不全になったなど様々な原因疾患があります。いずれも本来の腎蔵の役割が果たせなくなることを腎不全と呼んでいるのです。

腎不全も大まかに二つの段階があります。腎不全保存期は腎機能の悪化で尿毒素や体内で余分な水分が蓄積(むくみ)が起きている状態ですが、まだ透析を受けなくても生命が維持出来ている状態です。この時期には末期腎不全(透析期)への移行を遅くするために、血圧の管理や塩分・水分の管理さらにはタンパク質やりん・カリウムなどの摂取制限などを行います。

この治療や食事療法を行っても、更に腎機能が低下して、生命維持が出来なくなる時期が末期腎不全となります。これに関しては透析あるいは腎移植が必要となります。

Th_106821 最近、役所や病院などでCKDという文字を見かけませんか? 慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease; CKD)の頭文字です。

これは慢性に経過する全ての腎臓病を示し、原因は沢山あります。代表的なものとしては、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、糸球体腎炎などの腎蔵病などがあります。

なぜ、慢性腎臓病(CKD)について、行政でも取り組んでいるかというと、慢性腎臓病の状態で早めに対策をとって、将来的に透析療法維持に莫大な医療費がかかる末期腎不全者を減らすことが目的となっています。

ビックリするかもしれませんが、実は日本においてCKDの患者さんは1330万人以上、ようするに成人の8人に1人が慢性腎臓病であるという実態なのです。

年齢と共に腎機能は落ちて行きますので、この8人に1人が高齢化と共に更に腎不全の状態となれば透析人口が急増し、莫大な医療費がかかって行くことが予想されています。

慢性腎臓病の状態では殆ど自覚症状はありません。しかしながら尿検査や血液検査で腎機能の悪化は判断出来ます。早い段階から腎機能の悪化の原因を探り、予防をすることが将来的には重要となるのです。

検診やドックなどで、尿タンパク、尿潜血などの異常や、腎機能の異常を指摘されたら、1度は医療機関を受診して、ご自身の腎臓や泌尿器の状態をチェックなされて下さいね。

2017年5月24日 (水)

大腸検査を受けよう

今日のFM「いきいきタイム」は大腸癌について話をしました。
それに関連してブログは「大腸癌の検診」について書いてみます。

日本は世界的に見ても胃癌の多発地帯でした。そのため多くの医療機関や国の政策にて、住民健診を始め企業や個人の人間ドックにも、多くの場合胃カメラかバリウムによる上部消化管検査が組まれていると思います。

しかし、今や男女合計すると部位別にがんになる場所では大腸、胃、肺、乳房、前立腺(男性なら胃、大腸、肺、前立腺、肝臓の順、女性なら乳房、大腸、胃、肺、子宮)となり、日本人で1番罹りやすい癌は大腸癌となっているのです。死亡率では、女性の第1位、男性で肺がんに次いで2位なのです。

この様な状況をみると、少なくとも胃カメラと大腸カメラの検査数は同数程度ないといけないと思うのですが、実際は胃カメラと比べて1/3程度としか行われていません。

内視鏡メーカーのアンケートで大腸内視鏡検査を受けない理由を聞いたところ、「自覚症状がない」「つらそうだから」「必要性を感じていない」が上位で、その他としては「他の検査を受けているから」「検査の対象年齢(40歳以下)でないから」になっています。

Th_ 大腸内視鏡検査は下剤をかけた後に、肛門から内視鏡を挿入しますので、胃カメラと違い「恥ずかしいから」を受けない理由に上げる場合もあります。 これに関して私が考えたよりも男女間にそれ程の差が無かったこと、女性に関しては年齢別に大きな差が無いのも、私の偏見だったと反省しました。男性では恥ずかしいからが5.6%で女性では9.0% 女性の年齢別では20代、30代、40代、50代、60代以上で、6.6、8.3、11,2、10.9、9.3%となっていました。

実際やった経験者では胃カメラと大腸カメラでは53%、48%はつらくなかったと答えています。私自身の経験では90%以上の方はきつくなかったと答えています。

大腸がん検診で大きな流れとして、便潜血検査と大腸内視鏡検査があります。日本で多く行われている1日法による便潜血免疫法検診を毎年受診することで大腸癌死亡が60%減ると報告されています。ただ1回の検査においてはがんがあっても便潜血陽性となるのは30〜90%とまちまちであることに注意が必要です。 それと比べて大腸内視鏡検査のがん発見率は95%以上となり、極めて有効な検査法です。

このブログを読んで頂いた皆様方に対して、是非40歳以上では最低5年に1回以上大腸内視鏡検査を行って欲しいと思います(もちろん何か所見があれば医師の指示に従って毎年がいい場合もあります)。

大腸癌は日本人で1番急速に増えているがんの1つです。ただ他のがんと比べて予後がよく、早期発見では95%以上が治癒します。 しかしまだ進行して初めて検査を受けた方が多く、既に全身に転移していることも多いのです。 臨床医の私としては、どうか自分のため、家族のために怖がらず、恥ずかしがらずに検査を受けて下さいますよう是非お願い致します。

2017年5月10日 (水)

ストレスとは?

今日のFMは毎年この時期に話をする「5月病あるいは6月病」といわれるアパシー症候群について説明しました。 その中でもストレスに対する反応などと言ったのですが、果たしてストレスとはいったい何なの? となったのです。

Th_633a024e0b2ac33cfc38c7c48df64d0a 最近、「ストレスがたまってさ」となにげに会話で出てくると思うのですが、この「ストレス」って以外と正体が分からないのが現状です。

ストレスの研究は、心理学的、生理学的な側面からの研究に、最近では脳科学の分野の研究も入ってきて、精神的なもの以外に実態の究明にも乗り出す研究が始まっています。現時点ではまだ説明しきれていないのが現実です。

ストレスは外からあるいは内からの変化に対応した反応です。 ストレスのない状態なんてあり得ません。 仕事上でのトラブルや人間関係などもストレスになりますし、怪我などの外傷もストレスとなります。一般的なストレスのイメージは悪いことだと考えている方も多いと思いますが、恋をしてキューントなったり、宝くじに当たって舞い上がったりもストレスですし、あるいは仕事を続けた方が、退職し仕事のストレスがなくなったのもストレスと感じて負担となったりします。

ストレスって実態が掴みにくいものなのです

ストレス理論で分かり易い1つにカナダのハンセ・セリエ博士が説明している「ストレスの定義」は分かりやすいでしょうか? 

①ストレッサー(生活や仕事上の変化など:良いものも悪いものも含めて)によって ②脳内で色々な反応が惹起され、自律神経やホルモン、免疫などに変化をもたらし、それによって③ストレス反応(気分の落ち込み、不眠、頭痛、無気力、胃痛など精神的肉体的変化をもたらす)  ストレスとは①→②→③の変化が起きることを定義としました。Th_e5b59696f1c441e3a20529ac1ae240e3  

ストレッサーがインプットされると、私達の脳は色々な変化をもたらし、それに対する症状(アウトプット)が起こります。 色々なことが②の部分で行われているのでしょうが、まだまだ医学の研究では解明できないブラックボックスです。 同じストレスを受けてもこの反応(症状)は個人個人で異なります。 ストレスに強い人も弱い人もいるし、症状も多様で人それぞれです。

この②の研究・解明も少しずつ進められています。脳科学の分野での研究で、ストレスを過剰にあるいは繰り返し起こると、脳内の神経伝達物質の1つであるセロトニンの量が不足してしまい、脳の活動性の低下を招きます。その結果、うつやパニック障害が起こりやすくなると考えられています。それ以外にも、脳内の様々な物質、ドーパミン、ノルアドレナリン、それに関連して副腎でのステロイドホルモンなどの変化による行動パターンの変化も研究されています。

Th_1c846e7a900e6ea9c0ad21dfc29ec8_2 「ストレス」と言う言葉は日常でも溢れている状況ですが、本当の解明は入り口に入ったぐらいかもしれません。 ストレスが過剰に入ってきたり、同じストレスでも貯め込むと反応が強くなります。

ストレスの過剰を受け流したり、貯めすぎないように、自分自身あるいは医療者を含めた他者に判断して貰う必要も多いと感じます。

これを読んでストレスになってしまった方には申し訳ありません。まだまだ分からないことがいっぱいある分野です。

2017年4月26日 (水)

以外とお酒が抜けるには時間がかかる

今日のFM放送は急性アルコール中毒について話をしました。この時期になると、新入職員や大学の部活などの歓迎会もあり、お酒を飲む機会が増えます。特に若い人は、まだ自分の飲める量が分からなかったり、その場の雰囲気や先輩からのお酒を断れなくてついつい多量飲酒になり、急性アルコール中毒を起こしてしまうケースもあります。これについては以前ブログに書きましたのでご参照下さい(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-c18f.html )。

飲酒運転はもってのほかですが、夜中まで飲んで、自宅で寝た後に車で出勤したら飲酒運転で捕まったなんていうことを聴いたことがある(あるいは経験された)方がいらっしゃるはずです。

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私達、日本人の祖先であるモンゴロイドの1人の女性が、アルコール分解酵素をなくしたために、その後中国を経て日本に辿り着いた私達日本人は、お酒が飲める方が50〜60%、少しは飲めるタイプが30〜40%、全く飲めない下戸が10%程度含まれています(お酒が飲めないタイプは人種的には珍しく、白人や黒人は皆飲めますし、モンゴルより東アジアの方も皆飲めるタイプです)

アルコールの分解処理は遺伝子で決まったいますが、飲めるタイプでもアルコールを分解するためには時間が必要です。

アルコールが飲める方でも、体内に入ったアルコールを肝臓で分解出来るのは体重60〜70Kg の人で、1時間に5〜9g程度となります。アルコールの90%以上は肝臓のアルコール脱水酵素(ADH)によってアセトアルデヒドになります。このアセトアルデヒドがお酒を飲んだときに顔が赤くなったり、動悸や吐き気、嘔吐、頭痛の原因となります。 この酔いの原因となるアセトアルデヒドを今度はアルデヒド脱水酵素2(ALDH2)により、無害な酢酸に変化し、いずれ水と炭酸ガスとなって体外に排出されます(オシッコと呼吸により排出)。

このALDH2欠損や少ないのが御先祖のモンゴロイドを継いだ方々となります。そのような方は酔いの原因なるアセトアルデヒドが体内に長らく留まりますので、酔いもひどくなるのです。

さて話を戻して、血液のアルコールを通常の処理出来たとしても、アルコールが体内から抜けるには、相当量時間がかかります。アルコールを分解出来る量は1時間で5〜9gと書きました。

では具体的にどれぐらいなのでしょうか?

通常のビール大瓶のアルコールは22gです(ウイスキーならダブル1杯(60ml)、日本酒なら1合(180ml)、焼酎なら0.6合(110ml)、ワインなら1/4ボトル(200ml)・・・)

例えばお酒に強い男性がビールを大瓶を1本飲んだ場合、約3時間排出にかかり、2本なら6時間かかります。3本飲んだら9時間かかります。ビール党ではない方は上記の量で計算して見て下さい。

どうでしょう・・・けっこうお酒に強い方でもアルコールが体内から抜ける(分解処理)には時間がかかっています。お酒の弱い方や体の小さな女性などは更に時間がかかるわけです。

・・・夜中まで深酒して、真面目に車は代行で帰って来きても、翌朝早く車で出勤やゴルフに出かけてた場合は、飲酒運転で捕まることもあるのです。

今日は、以外とお酒が体外から分解されるまでには時間がかかることを説明しました。

2017年4月12日 (水)

健康管理は日々の体重測定から

日頃、余りダイエットなどを考えていない私ですが、日本医師会報に「健康長寿を延ばすためには適正な体重管理は日本型食生活と運動で」というパンフレットが入っていました。普段は外科的なこと以外はスルーするのですが、前々回に健康長寿の話をブログに書いたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-7925.html )読んでみました。なるほどと思える点も多かったので要点を書いてみます。

体重管理や生活習慣病予防のためには、食事の管理を運動が重要であることは皆様方もよくご存じだと思います。

これまで食事の摂取カロリーの基準は性別・年齢・身体活動にあわせて、1日の摂取カロリーは○○○カロリーから○○○カロリーとしてエネルギー量の基準値を用いていました。 しかし毎日の食事の取り分をいちいち計算して食べたり、どれぐらいのカロリーを消費したのかなどを小まめに計算して栄養管理を行っている方は殆どいないと考えます。

Th_552dace8b668d3a874a464c5947bde0b これを読まれている殆どの方は成長期を終えたでしょうから、エネルギーの摂取量と消費量のバランスで体重の増減が決まります。国は2015年から食事摂取基準のエネルギー管理をBMIを基準とした指標に変えました

私達は肥っているか肥ってないかを単純に体重だけで考えがちですが、60Kgの方が肥っているのか痩せているのか判断出来ません。その人の身長が180Cmならやせ形でしょうし、150Cmなら小太りなはずです。
そこで登場するのがBMI(ボディー・マス・インデックス)という指数で、身長と体重から肥満度を表しています。 体重(これはKgの単位)÷身長(これはメートル単位)÷身長で計算します。 (160Cmで60Kgなら BMI=60÷1.6÷1.6で23.4となります)

日本人の体重の望ましい値をどの程度にするかを、多量のデーターを元に判定しています。総死亡率がもっとも低かったBMIを基に、疾患別の発症率・死因などを総合的に判断して、分かり易いように単純化して示しています。

具体的なBMIの目標値はとなると:18〜49歳のBMI基準値は(18.5〜24.9)、50から69歳までは(20.0〜24.9)、70歳以上では(21.5〜24.9)となっています。 どの年代でもBMIで25以上なら肥りすぎとなります。 この値のもう一つは、「肥りすぎはよくない」けど「痩せすぎもよくないよね」ということを暗に示しています。 年齢と共にBMIの下の基準値(低体重)が高くなっているのは、高齢者では衰弱による体重減少などもありますので、低体重により厳しい基準を設けているのです。

平成27年度の国民健康・栄養調査においては、BMIが25以上の肥満は男性で29.5%、女性で19.2%です。日本人の肥満者は年々増加を辿っています。その原因は過食、特に脂肪が多い欧米型の食生活と運動不足によるものと考えられています。日本人のライフスタイルは戦前は低栄養・高活動性から戦後は高栄養・低活動に急速に変化したことによるといわれています。

BMIの増加に伴い内臓脂肪が増加します。内臓脂肪の増加は糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の悪化を招き、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高め,ひいては健康寿命を短くしてしまいます。

ダイエットなどの知識は殆ど持ち合わせていませんが、ダイエットの為には食事と運動という習慣を長期で見直さなければいけません。それこそライフスタイル変える程のことが必要ですので、巷で沢山ささやかれている○○ダイエットなどで急速に痩せるようなことは決していいことではないと考えています。ローマは1日で成らずですが、ダイエットも1日で成らずなのです。                                       

肥満の治療の基本は食事療法で、6ヶ月かけて3%の体重減をTh_587854 目指す程度がよいとされています。極端なダイエットはカロリーだけでなく必要な栄養素不足を招き、不健康状態にしてしまいます。偏った食事や極端なカロリー制限による結果はまだ人間の歴史の中で経験出来ていませんので、子供の頃から死ぬまでそのような食生活をしてよかったという証拠もないのです。

具体的な減量を計算してみますと、脂肪組織の1Kgは7200Kcalとなります。これまで食べていた1日量のうち、1日あたり300Kcalを制限すれば、1ヶ月で体脂肪が1Kg減量可能となります。食事を制限すればもちろん体重は減るでしょうが、運動もあわせて行わないと筋力の低下も起こりますので注意が必要です。これまでの身体活動に加えて10分だけ毎日体を動かす「+10(プラス・テン)運動も提案されています。

書店に行けば永遠のベストセラーとなっれいるダイエット本が並んでいるわけですから、簡単ではないと理解しています。 一緒に頑張って行きましょうscissors

2017年4月 5日 (水)

ウンチの状態のチェック

今日のFM放送は「過敏性腸症候群」について説明しました。この病態については以前ブログに書きましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-221e.html )、今日は私達のウンチについてのうんちく(蘊蓄coldsweats02)を話したいと思います。

Th__6 よく便は「健康のバロメーター」と言われています(まあ、沢山のバロメーターが言われていますが・・・)。
・・・排便後、直ぐに証拠隠滅を謀りたいと思うかも知れませんが、流す前に自分の便の状態をチェックしましょう。

<回数>排便の回数は人によりまちまちです。便通は毎日ある方が多いと思いますが、1日おきあるいは2日おきでも、特に腹痛などもなく日常生活に支障なければ便秘とは言いませんし、逆に1日に数回あっても下痢とは呼んでいません。

<量>便の量はもちろん食べる量にもよりますが、1日辺りで平均して150〜200gといわれています。日本人の方が一般的には欧米人より多めと言われていますが、多くは食事の繊維質の量が関係しています。

<形状>便の中に含まれる水分量は70〜80%で、残りの固形成分の中で多いのは私達の食事成分よりも、大腸菌などの菌と菌が死んだ残渣が多いのです。 便の形を決めるのは主に便の水分量によることになります。便の中の水分量が増えて、80%以上では「泥状」となり、90%以上になると「水様便」となります。70〜80%はバナナ状の便となり、70%以下の水分なら硬いウンチ、更に水分が減ると山羊やウサギのようなコロコロ便になってしまいます。 病的なものとしては上部消化管の出血で起こるネットリとした黒色便、腸の慢性炎症で起こる「粘液便」などは早めに医療機関を受診する必要があります。

<色>一般的な便の色の表現としては黄茶色の便ということですが、これは肝臓から排出される胆汁による色となっています。胆汁が排泄されないような閉塞性黄疸などは便の色が白くなるため「白色便」と表現されます。同じ正常便でも、便の通過時間が短ければ黄色に傾き、長ければ茶色が強くなります。 緑っぽい便はこの胆汁酸の回収が上手くいかない場合や細菌性腸炎などの感染を伴うと起こります。 血液は最初は赤いですが暫く経つと酸化されて黒っぽくなります。 ですので、肛門に近い部位での出血は赤い色が強く(イボ痔などや直腸からの出血など)なります。それに対して、胃や十二指腸などからの出血は便になるまでに酸化を受けて黒っぽくなります。

・・・便からも色々なことが分かるわけです。短い間ですが共に過ごした仲ですので流す前にチェックをする習慣をつけたらいいのではないでしょうかhappy01

2017年3月29日 (水)

骨の強さは骨密度だけでなく骨質も重要

先週に引き続きFM放送では私達の骨に関わる話し、今週は特に骨粗鬆症について話をしました。主に整形外科で扱う疾患ですので、私の専門分野の外科ではありませんので詳しくはありませんが・・・coldsweats01

高齢化社会と共に問題になっているのが骨粗鬆症による骨折リスクの増大です。骨の強さ(骨強度)は実際の骨の量(骨量、骨密度)と骨の質(骨質)によって決まります。骨の量はレントゲンやMRIなどで数値化され、一般的に骨密度検査と言われ、多くの医療機関で行われています。 一方、骨質は捉えらづらいもので、骨密度以外の骨の微細構造や代謝などが骨質としてまとめられて表現されています。

以前は骨密度の低下が骨折リスクの全てだと思われていましたが、骨密度が低くなくても骨折する方も多く認められたことより、より現実に骨折リスクを判断する為に骨強度という表現が使われています。 

Th_303722 おおよそ骨折リスクは骨密度が7割、骨質が3割関わっていると推測されています。

骨密度の検査はいくつかの方法があり、よく行われている検査です。成人の骨密度の平均値で表す場合が多く、おおよそ80%以上なら正常、70〜80%未満は骨量減少、70%以下になると骨粗鬆症と判断しています。

骨質の検査はまだ確率はされていませんが、主に骨代謝マーカーを血液や尿検査で調べて判定しています。骨代謝のマーカーは骨形成マーカーと骨吸収マーカーに分類されます。簡単に言ったら前者は骨を作る方の値で後者は骨を破壊(脆く)する値となります。

そのために骨密度が正常でも、骨吸収マーカーが相対的に骨形成マーカーより高い場合は骨折の危険が高いと判断しています。

今回は骨の強さは骨密度だけでなく骨質も影響していることを説明しました。

2017年3月22日 (水)

健康寿命を目指すために

日本人の平均寿命は年々延びています。それは非常に良いことですが、晩年まで健康でいられるかどうかで人生が大きく変わるのも確かです。

いわゆる健康寿命と平均寿命との差が長いほど、不健康な状態で過ごす期間が長いこととなります。健康寿命とは健康で日常的に「介護を必要としない」で「自立した生活ができる」生存期間のことで、日本人の健康寿命は男性71.19歳、女性で74.21歳となっています。対して平均寿命は男性で80.21歳、女性で 86.61です(いずれも厚生労働省「平成25年簡易生命表」より)・・・・と言うことは、男性で9年、女性で12年余り不健康で晩年を過ごすことになるのです。

Th_ 健康寿命を阻害する大きな要因として、内臓脂肪症候群・運動器症候群・認知症が上げられています。
日本で介護保険制度が出来て、その中で要介護や要支援の原因をみていくことで、これらを改善する必要があることも見えて来ます。

(平成16年度厚生労働省国民生活基礎調査より)要介護の要因;脳卒中(29%)、老衰(15%)、認知症(13%)、転倒・骨折(11%)、関節疾患(9%)
要支援の原因;老衰(15%)、関節疾患(18%)、脳卒中(12%)、転倒・骨折(11%)、心臓病(7%)

これから見ても要介護や要支援の原因となるのが、動脈硬化を基礎とする生活習慣病、認知症の他に、骨・関節・筋肉などの運動器の働きが衰えることによることが原因と判ると思います。

私の外科の範囲ではありませんが、整形外科学会では運動器の障害による移動機能の低下した状態を「運動器症候群:ロコモティブシンドローム」と定義し、健康寿命促進のためにロコモ対策として運動指導などを推奨しています。

今回はメタボリック対策や認知症は有名ですが、この運動器症候群も健康長寿には重要であることを説明しました。

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