「貧血」とはどんな状態?
〜めまいや立ちくらみだけではない、身体からのサイン〜
沖縄地方も梅雨が明け、いよいよ夏本番を迎えました。今年は梅雨入りが遅く、しかも梅雨明けは例年よりかなり早かった印象があります。最近は「これまでの沖縄らしさ」が少しずつ変わってきたように感じることも増えてきました。夏場の水不足も少し気になるところです。
さて、今回は「貧血」についてお話ししたいと思います。
外来で患者さんと話していると、「先生、今朝ちょっと貧血になってね〜」という言葉をよく耳にします。実際には、一時的な低血圧や立ちくらみ、軽い気分不良を指していることも多いのですが、「貧血」という言葉は日常の中でかなり広い意味で使われているようです。
では、本当の意味での「貧血」とは何なのでしょうか。
私たちの血液は、「赤血球」「白血球」「血小板」といった形のある成分と、「血漿(けっしょう)」という液体成分からできています。その中で、貧血と深く関係しているのが赤血球です。
赤血球は、肺で取り込んだ酸素を全身へ運ぶ役割をしています。赤血球の中には「ヘモグロビン」という赤い色素が含まれており、このヘモグロビンが酸素と結びつくことで、私たちは全身の細胞へ酸素を届けることができます。
人間の身体にはおよそ20兆個もの赤血球が存在すると言われています。私たちの細胞は酸素がなければ生きていけません。そのため赤血球は、体中の細胞に酸素を届けるために、非常に小さく、効率的な細胞へと進化してきたのです。
貧血とは、この赤血球やヘモグロビンが減少し、身体が酸素不足になった状態をいいます。
特に女性では、生理による出血の影響もあり、鉄欠乏性貧血が非常に多くみられます。さらに、ダイエットや偏った食事、朝食抜きなどが重なることで、鉄不足になりやすい傾向があります。
「最近、顔色が白くなったね」と言われても、単純に美白ではなく、貧血が隠れている場合もあります。
貧血の症状としては、
・疲れやすい
・だるい
・めまい、立ちくらみ
・動悸、息切れ
・頭痛、肩こり
・顔色が悪い
・冷えやすい
・爪が割れやすい
・髪が抜けやすい
・口の端が切れる
・舌がツルツルする
など、実にさまざまです。
また、「煎餅のような硬いものを無性に食べたくなる」という症状が出る方もいます。
ただし、こうした症状は他の病気でも起こります。そのため、「私は貧血体質だから」と自己判断してしまうのは危険です。
特に注意が必要なのは、「鉄不足だけ」が原因ではない場合です。
例えば、子宮筋腫などによる慢性的な出血、胃潰瘍、胃がん、大腸がんなどが隠れていることもあります。実際に、貧血の検査をきっかけに重大な病気が見つかるケースは少なくありません。
また、赤血球を作る骨髄の病気や、赤血球が壊れやすくなる病気など、専門的な治療が必要な貧血もあります。
ですから、「たかが貧血」と軽く考えず、一度は原因をしっかり調べることが大切なのです。
ここで、よく混同される「低血圧」との違いについても触れておきます。
「朝弱いから貧血」「立ちくらみしたから貧血」と考える方は多いのですが、実は貧血と低血圧は別のものです。
貧血は、赤血球やヘモグロビンが減り、酸素を運ぶ能力が低下した状態です。
一方、低血圧は、血液を送り出す圧力が低い状態です。
どちらも「めまい」や「ふらつき」が起こるため混同されやすいのですが、原因も治療法も異なります。
最後に、鉄欠乏性貧血の予防についてです。
鉄は、レバー、赤身の肉、魚、あさり、大豆製品、緑黄色野菜などに多く含まれています。また、ビタミンCやタンパク質を一緒に摂ることで、鉄の吸収が良くなります。
忙しい毎日の中では、つい食事が偏ってしまうこともあります。しかし、私たちの身体は、毎日の食事によって支えられています。
「最近疲れやすいな」「なんとなく調子が悪いな」と感じた時、その背景に貧血が隠れていることもあります。
貧血は、身体からの小さなサインなのかもしれません。
気になる症状がある時は、一度血液検査を受けてみることをお勧めします。早めに原因を知ることが、自分自身の身体を守る第一歩になると思います。




















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