寒い冬は浴槽内での溺死に注意
今日は全国各地でこの冬1番の寒気が流れ込んで交通網が遮断されたり被害が出ているようです。今日のFM放送はこの寒さのために急遽話題を変えて、寒い時期に起こる病気について話をしました。 新型コロナウイルス感染症がどのようになるのかも心配ですが、冬の時期の病気と言えば、まず思い浮かべるのはインフルエンザやノロウイルスなどのウイルス感染症だったおもいます。そして寒いために血圧の変動も強くなるため、脳卒中や虚血性心疾患、寒さのため厚着や雪などでの転倒・骨折も増える時期となります。
最近ではマスコミでも取り上げらるようになった「ヒートショック」があります。水に溺れて死んでしまう状態を溺死と呼んでいます。何となく夏の海水浴シーズンにみられると思いがちですが、実は溺死は冬場に多いのです。
2020年の統計では交通事故による死亡者は過去最低の年間3000人を切るようになったのですが、入浴中の死亡事故は年間6900人と言われ、交通事故死よりもずっと多く、その中で4900人溺死と言われてもいます・・・少しビックリではないでしょうか? 家庭の風呂場で溺れて死亡した人数は交通事故死亡者数より多くなっているのです。
寒さは私達の体に刺激を与え、交感神経が緊張状態となります。急に寒い場所に出たときなどは血圧が30から50mmHgも上昇すると言われています。例えば普段から150/90と血圧が高い方が寒さの刺激を受けると、急に180から200まで最高血圧が上がることになります。それにより、心筋梗塞や脳卒中が増えると言われています。
寒いとやはり暑い湯に浸かりたいと思うでしょう。ここにも落とし穴があります。寒い寒いと思いながら脱衣所で服を脱ぎます(血圧が一気に上がります)。 今度は熱い湯の中に入り込みます(すると急激に血管が拡張し、血圧が一気に低下します)。湯船に浸かりながれ急激な血圧の上昇、低下で意識がなくなる方もいます。 お風呂場は家族でも目に付かないところです。 湯船に入り意識を失い、湯の中で溺死しても誰も気づきません。 家族がお風呂から上がってくるのが遅いと風呂場に行ったら、水の中の沈んでいたということも多いのです。
このような血圧の変動を最小限にするためには、脱衣所の温度を18度から24度程度まで上げておくことが必要です。湯に入る前にかけ湯をして暑い温度にならしながら、湯船に入る、出るときもゆっくりを腰掛けたあとに出るなどの工夫が必要かもしれません(ヒートショックが起こり易い温度差は10度以上となっていますので、少なくとも通常の室内と脱衣所の温度差を10度以下、そして風呂場の温度とお湯の温度差も10度以下に保つ様にした方が良いかも・・正確なデータがありませんが🙏)。
家庭風呂での死亡者の90%は65歳以上が占めていますので、基礎疾患に加えて、高齢やはこの様な温度差に気をつけながら対策を練る必要があると考えています。ただし20代でも死亡例がありますので若くても気をつける様にして下さいね。
早く今回の寒波が過ぎることを祈っています。各地で被害がありませんように。
追伸:次第に時間が取れなくなってきましたので、ブログの中の「医療記事」はしばらく(永久に?)に中断したいと思います。旅行の記事は私の老後の楽しみのため書き続ける予定です。
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