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2018年7月11日 (水)

皮膚の経年変化と光老化

FM放送では日光が与える人体への影響について話をしました。
ブログでは「光老化」について記載したいと思います。私自身は外科医ですので皮膚に関しては専門外ですので、間違っていてもご了承下さいcoldsweats01                         
アンチエイジングというのがもてはやされていますが、Th_818e8b5b8e4fbf3318c273df71c4f089 私自身はあまり好きな言葉ではありませんので使うことはありません。人は皆老いるのですから、老いることに対抗しようとは思っていませんし、いずれ皆死に至る訳です。 ただ無駄なことはせずによりよく過ごすことには気を遣うべきだと考えるのです。                                      
一般的に年齢と共に変化する皮膚の状態の自然経過では、先ずは
①シワ(皺)を上げる人が多いと思います。これは皮膚の下の繊維の加齢的な変化で、皮下の直下の繊維が少なくなり皮下深部の繊維は荒くなることより、スムーズにお互いが結合しなくなる結果しわが出来てしまいます。           
②年と共に皮膚が薄くなります。更に皮下脂肪も減少し、弾力性にも欠けて来ます。ですから皮膚が薄くなって、少しの力でも皮膚が剥がれやすくなってしまいます。また弾力がなくなり緊張力がなくなるため、たるみ(弛み)も出現します。                          
③加齢と共に皮膚の光沢が少なくなり、色も黄色調となります。皮脂腺などの分泌も低下しますので、乾燥肌になってきます。 よく若い時に多汗症と言われた方も年齢と共に乾燥傾向に傾きます。 乾燥は体幹、四肢で目立ちますし、特に下腿の前面に起きやすく、痒みを伴うこともしばしばです。                                              
この様な生理的な老人性変化は避けることが出来ませんが、その進み方は個人差があり、遺伝的な因子や日光の照射量にも影響を受けると言われています。                
折角ですので、日光の照射による「光老化」について少し記載します。光老化とは主に紫外線による皮膚への影響で起こる変化で、自然の皮膚の老化と区別して用いられています。
そのことは良く分かるのは、長年、太陽光線を浴びて来た顔や首、前腕などと比べて、太陽光線の当たらない、臀部や太ももの内側などは年取ってもあまり皺や弛みが少ないはずです。                                                        
Th_343725 紫外線を浴びると、私達の皮膚は防御反応として皮膚が厚くなり色が濃く変化します。皮下組織の弾力を保つ繊維も柔らかを失うことでシワやシミ、皮膚のざらつきなどが目立って来ます。このことを光老化と表現しています。                                 
若い頃から無駄に(coldsweats02)紫外線を浴びることなく、乾燥を防ぐために保湿などを考えておく必要があるかも知れませんね。                                         
まあ私的には田舎のばあちゃん達のしわしわ顔も好きなのですがね! それだけの年齢を歩んで来たいい表情を見せてくれていますhappy01

2018年7月 4日 (水)

ビタミンD産生に必要な日光浴時間は?

これから夏に向かい、太陽光線が強くなるため、その対策が重要となります。 テレビなどでも毎日のように紫外線情報が出されています。                             
昭和の日本では夏のこんがり肌の化粧品のコマーシャルをよく見かけました。特に夏の沖縄のキャンペーンでは海とこんがり色の女性達がいっぱいいました。 私と同年代の夏目雅子さんなどのクッキーフェイスなどのカネボウのCMがありました。 何故か、女性向けのCMでしょうが、我々男性群の方がよく見ていたかも知れません・・・coldsweats01                   
Th_ しかしながら、次第に紫外線は悪だという感覚になって、特に日本人ではあまりにも白い肌がもてはやされいるように変化したような気がします。 確かに諺にも「色の白いは七難隠す」と言われて来ました・・・あまり良い言葉ではありませんが・・・                                 
もちろん光線過敏症の方もいますが、それ以外なら普通に過ごして大丈夫と思うのです。
最近、美肌願望が強いせいか、太陽光線を敵のように感じている女性も多いようです。
 特に太陽光線の強い沖縄では、信号待ちの時に、隣の車の女性ドライバーが帽子、サングラス、マスク、両手をすっぽり被う手袋を履いて運転している方を見かけたりします。今から銀行強盗にでもいけるような容姿ですcoldsweats02              
・・・何の話か分からなくなりましたが、では太陽光線を全く浴びなくてもいいのかとなります。
ビタミンDという脂溶性ビタミンがあります。ビタミンですので私達の体になくてはならない物質で、これは腸からのカルシウムの吸収を高めたり、腎臓からのカルシウムの排出を抑制したり、骨からのカルシウムの放出を高めるなど、主に私達の骨と血液のカルシウムの調整に関わっています。                                                    
ビタミンDは私達の体内でコレステロールからも合成されますが、必要量が足りず、食事から摂取する必要があります。 もう1つは今回のテーマと関連のある日光を浴びることで皮膚からビタミンを合成して補充することが出来ます。 Th_dsc06231_2                             
紫外線の中で私達の日焼けをさせる波長の紫外線Bを浴びると、皮膚で7-デヒドロコレステロールから光合成を経てでビタミンDが産生されます。                           
ではどれぐらい浴びればいいかというと、日中の太陽光線では、日焼け止めなしにでは、週に2回以上で5分から30分程度、手足や顔などの露出面で浴びれば良いと言われています。必ずしも全身に浴びる必要はありません。 夏はこれより短く、冬場はこれより長く必要になります。                                                          
太陽光線の少ない北欧などのヨーロッパのかたは日光浴が大好きで、公園などで水着姿なので日光浴をしている方をよく見かけます。ただやはり浴びすぎるとこの様な方で皮膚がんが増加するといわれています。                                         
まあ、あまりにも白肌を求めすぎずに、健康を維持してゆくことが大切かも知れませんね。
もう昭和のこんがり肌のCMは過去の遺産になってしまうのでしょうかbleah
(先ほどまで日光浴の「浴」を欲望の「欲」で書いていました・・・恥ずかしいweep 一応書き直しました・・・happy01

2018年6月27日 (水)

熱中症:人間の身体は発熱機関

今日のFM放送は熱中症について話をしました。これまで熱中症に関しては病態や注意点については記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-567f.html )。                                                                                    
今日は私達の身体は発熱機関で熱を冷まさないと生命を維持できない場合もあるのです。今日は消費カロリーからみた体温維持について記載してみます(細かいことに正確ではありませんが、概要を掴んで下さいねcoldsweats01)。                                                     
Th_ ①私達は何気なく成人男性で1日2,000キロカロリー(Kcal)、1800キロカロリーが必要と言うことは聞いていると思います。                               
②カロリーの定義は「1グラムの水を1度あげるのに必要な熱量を1カロリー(cal)」となっています。<1Kg=1000g : 1キロカロリー(Kcal)=1000カロリー(cal)>
例:体重60Kgの人間を例にカロリーについて考えてみましょう              
・60Kgの人が2000Kcalを消費している(=身体で2000Kcalの熱量を作りだしている)日々を送っているとします。                           
・私達の身体が水と仮定して、私達の身体の温度を何度上げることになるのでしょうか? 60Kg→2000Kcalですので2000割るの60は33,333となります。                  
私達は普段通り2000キロカロリー消費した場合、体温と同じ条件の環境で、汗もかかず冷却する仕組みがなければ33度体温が上昇します。 体温が40度以上になってくると私達の身体の細胞はダメージを受け出し、45度以上なら死滅してしまいます。 
 
でもこんなには上がらないはずですね。何故かと言うと常温動物は体温を維持するためにエネルギーの70〜80%を使っているのです。                                             
多くの場合は外気温は私達の体温36〜37度より低いために体温を上げるために熱量を使いますし、気温が高ければ汗などをかいて体温を下げるために、沢山のエネルギーが使用されるために、体温が一定に保たれているのです。                                 
急に気温が上昇したり、湿度が高いと汗による冷却が上手くゆかずに、体温が上昇してしまうことがあります。 初めは単なる脱水や電解質の異常から次第に体温が上昇してくると熱中症の重篤な事態となってしまうのです。
これから急に暑くなったり、湿気が高かったりしますので、熱中症に気をつけてお過ごし下さいねheart04

2018年6月13日 (水)

サプリメントは万能薬ではありません

ビタミンの効用について話す中で、サプリメント市場の拡大と広告のせいで、サプリメントは沢山摂った方が健康に良いと勘違いしている方が多いと感じてしまいます。

多くの方は毎日のように頻回に及ぶサプリメントの広告で迷わされていることが多いだろうと思います。広告の内容を見ると、飲んだ瞬間から自分の体が変わる様な過度の期待を持たせる広告も多く見受けられます。 広告の抜け穴として、小さな文字で「これは個人の感想です」と表示されています。

Th_ ビタミンの定義から言うように、これがないと私達は生きてゆけません。かつては死因のトップにも並ぶような脚気や壊血病など深刻な欠乏症が起こったのです。もの凄く重要な要素なのです。  しかし多くの場合は普通の食事が取れる状況ならほぼ深刻な事態にはなりません。 これまで人類は多様な食事をしてきて生き延びてきたのです。 ですからこれからも極端な環境や食事制限でなければビタミンやビタミン様物質などの欠乏は起こりにくいと考えるのです。

同様なことは、食事の極端な制限食に関しても言えると思われます。1つの側面から見ると低(無)炭水化物食などの制限食はいい面もあるかも知れません。しかしまだ経験値だけの問題です。人間が一世代だけでなくこれからも続くことを考えると、極端な制限食などが人間にとって有用かも未知数なのです。 少なくともこれまで人類が存続してしているのですから、この何百年あるいは何千年かけて営んできた私達の食文化には大きな間違いはないはずです。 

この食文化を継承しながら、個人個人の検査の値を見ながらバランスの良い食事をすべきではないかと私は思うのです(これも私の考えですので異論のある方も多いと思います)。 

ビタミンが発見されてまだ100年しか経っていません。これからも命を繋いで行く人類ですので、ゆっくりとした時間の流れで食文化を考えるべきだと思うのです。今回はあまり根拠もないことかも知れませんが最近の偏った食事やサプリメントへの過度の期待感に違和感を覚える老医師の考えを記載しました。

2018年6月 6日 (水)

ビタミン様物質(知っている名前もあるかも)

これまでに何度がビタミンについて記載しましたので、今回は「ビタミン様物質」について記載してみます(素人ですのでこのあたりはあまり判りませんが・・・coldsweats01

ビタミン様物質とはビタミンの定義には当てはまらないが,ビタミンと似た働きのある物質の総称です。ではビタミンの定義とは1:体の組織の構成成分ではなく、エネルギーに変換されないもので 2:体内で必要量が合成されず、3:欠乏症が確認されているもので 4:無機質でないものとなります(難しすぎますweep)。Th_2c8d81b1c4465b7f75f1422462ab73d6

しかし研究が進み色々な体内での物質や作用が判るにつれて、このビタミンの定義には入らないも、ビタミンと同じ作用を示すも、まだ欠乏症がはっきり判らない物質が次々と判明しビタミン様物質と総称されるようになっています。

医学的にみても重要なことも多いのですが、この様なビタミン関連はサプリメント業界が先行して色々と話題づくりがなされています。専門外の私からはこれを沢山摂ったら諸症状が改善されたり、余命が改善されるのかどうかも不明なために、アドバイスが出来ません。

主なビタミン様物質の名前を挙げてみます。さてどれぐらい皆様が知っているのでしょう?

①ケルセチン(ビタミンP)、②フラボノイド、③ノイシトール、④コエンザイムQ10,⑤ルチン(ビタミンP) 、⑥コリン、⑦ヘスベリジン(ビタミンP) 、⑧ポリフェノール、⑨アルファリボ酸(チオクト酸)、⑩ピニトール

・・・コエンザイムQポルフェノールなどは皆様もなんとなく聞いたことがあるかも知れませんね。 以前はビタミンと考えられ「ビタミンP」と命名されるも、ヘスペリジンとルチン、ケルセチンの混合体であることがわかり、正式なビタミンから除外され、それそれの名称でビタミン様物質として扱われるものがあります。これらはビタミンCによく似ていて、毛細血管を強くすると考えられていて、抗酸化作用、抗炎症作用、抗動脈硬化作用などの効用を言われています。これらはタマネギ、ほうれん草、ケール、パセリなどに多く含まれています。

コエンザイムは脂溶性のビタミン様物質で、人のミトコンドリア(エネルギーを生成する場所)に多く含まれており、その為アクティブな生活をサポートする効能で食品としても売られています(実際の効果は判りません)。 食品ではレバーやモツ、牛肉、カツオなどに多く含まれています。

Th_646337 これも赤ワインの効能などで有名になった「ポリフェノール」もビタミン様物質の仲間です。ポリフェノールは植物が光合成で作り出す糖分が変化したもので、よく知られているものに、赤ワインの「アントシアニン」、大豆に含まれる「イソフラボン」、お茶の「カテキン」、カレー粉の「クルクミン」や更にはゴマの「セサミノール」などあります。 どれも私より皆様方の方が健康食品等でよくご存じかも知れません。

それぞれが、効能などがあり、それをうたい文句に沢山の一般用医薬品やサプリメントとして市販されています。

私としてはいつもの通り、基本は食事からで、足りない分をサプリメントを含めた薬からだと考えています。 万遍なく食事が取れているのであれば、殆ど不足することはありません。必要以上に摂っても単に尿などから排泄されるだけです。もしも健康のためと摂取されても、過剰症もありますので、しっかりと容量を守ってお飲み下さいね。

2018年5月30日 (水)

増え続ける大腸癌に注意

戦後日本人の癌の種類も次第に変化して来ました。消化器官に関して顕著なのは胃癌が減ってきて、大腸癌が増えて来ていることです。今後ますますその差は開くものと考えます。
Th__2 男女とも大腸癌は増えているのですが、今では女性の癌の死亡の1位は大腸癌で、癌に罹る率においても乳癌に続いて第2位となっています。
戦後日本は先進国の中では胃癌の多発地帯でした。
その撲滅のため胃の検診は全国津々浦々まで行きわたり、多くの国民は仕事場の検診や住民検診で、胃カメラや胃のバリウム検査を受けたこと(ほぼ毎年の様に受ける方も多い方)があると思います。
では胃癌より多い大腸癌の検査は皆様果たして受けているでしょうか? ・・・・おそらく胃カメラは受けたことは何回もあるけど大腸カメラはね〜と言うのが本音ではないでしょうか?
出典は忘れてしまいましたが、昨年の米国の論文で5年に1度、大腸内視鏡検査を受けていれば大腸癌による死亡リスクは極端に低下すると書いてありました。40代から大腸癌が増加して来ます(特に60歳以上では急激に増加します)ので、どうか皆さん、大変かも知れませんが、40歳になったら切りのいい5年毎に受けて観ては如何でしょう・・・これでかなりの確率で大腸がんによる死亡が減ると思います。
では何故大腸がんが日本で増えて来たのでしょうか?
・癌の発生には遺伝的なこともありますが、これは短期間では変わらないですね。そうなると大腸癌は高齢になればなるほど高くなりますので、日本人の平均寿命が延びたことも一因かも知れません。 
日系のアメリカ人や同じ兄弟でも食生活が違う環境で育った方で癌のリスクが違っています。 ですから、食生活の面は重要となります。
生活習慣の面では、肥満、植物繊維不足などが上げられ、食事の面では赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど)の摂取量の増加が言われています。
一時日本でも有名になりましたが、2015年にWHOが「毎日50gの加工肉(およそベーコン2切れ)以上を食べ続けると大腸がんになる確率が18%上昇する」と見解を出したところ、加工肉が下落するのではないかとニュースにもなっていました。 赤肉に関しては世界がん研究基金などの発表では赤肉の摂取量は週500g以下を推奨しています。 いずれも多くの日本人はこれよりは少ないかも知れません。
Th_397913
ついでに予備知識として、肉が直接癌化物質かと言うとそうではありません。肉を食べると肝臓から消化液の1つとして胆汁(胆石の原因になったり、私達のウンチの色でもあります)が多く作られ、十二指腸へと流れ込みます。この状態の胆汁はまだ変化を受けていない1次胆汁酸と呼ばれる状態で、これも癌化物質ではありません。 しかしこの1次胆酸は腸内細菌により分解され、発癌物質を有する2次胆汁酸へと変化します。
この様に変化した発癌物質と毎日のように接する腸の細胞は次第に遺伝的な制御も効かなくなり、次第に癌化してゆき、がんが発生します。
一般的に大腸がんはゆっくりと時間をかけて大きくなります。最初の話題になりますが、5年に1度でも日本人が大腸カメラを受けているのであれば、もし大腸がんになったとしても大腸がんにより日本人の死亡率は最低レベルまで落ちるものと考えられているのです。

2018年5月 9日 (水)

胸郭出口症候群

きょうのFM放送は首や肩、手の痛みについて話をしました。
ブログでは「胸郭出口症候群」について記載します。私が学生の頃に重いリュックを担いで山に登ることがありました。その時に1度、2〜3日目から左手のしびれ感が出てきた、おかしいなと思いながらもそれ程ひどくもなく2〜3ヶ月で消失しました。 Th_6a31186a9c83841a079041ef63e8a0_2  

整形外科の臨床講義で、この「胸郭出口症候群」が出た時に、リュックサック麻痺とも呼ばれる病態を習い、初めて昔経験した左手の違和感はこれだったのだと学んだことを思い出しました。

長い間同じ姿勢でキーボードを叩いたり、猫背の姿勢でスマホをずっと見ていたり、あるいは長い間つり革に捕まったり、物干しの時など、あるいは私のようにリックサックを腰で支えるのではなくて、肩だけで背負ったため、肩当により鎖骨が押し下げられ、上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みを生じることがあります。

症状としてはしびれ感だけでなく、鋭い痛みの時もあります。しびれ、ピリピリ感などの知覚障害、手の握力低下や筋肉の萎縮などや細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状が出るときもあるのです。

Th_ 腕にいく神経(運動神経、知覚神経)や血管(動脈、静脈)の主なルートは鎖骨の後ろ側と胸の肋骨の前面の僅かな隙間の部分を通ります。左の図を見て欲しいのですが、要は鎖骨と肋骨の間を通るために、その間で押されるような状況になれば、神経も血管も圧迫されて異常が現れるのです。

そのように胸郭から出るところで神経や血管が圧迫されて様々な症状が出るために「胸郭出口症候群」と名前が付いたのです。

なで肩の女性、重いものを持ち運ぶ労働者、1日中スマホ姿勢で操作をしている肩やキーパンチャーなどで、手のしびれや違和感、運動障害などが出ればこの病気を頭の隅に置いていた方がいいと思います。

同じ症状を起こす病気は沢山あります(頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症など)ので、このような症状があれば1度整形外科を受診されて、診断をつけて貰った方が良いかも知れません。

2018年5月 2日 (水)

アオバアリガタハネカクシ(蛍光灯虫:やけど虫)による皮膚炎

今日のFM放送はゴールデンウィークにお出かけの機会も多いと思いますので、虫刺されについて話をしました。軽いものから重篤なものまで様々な状態を引き起こしますが、多くは痛みと痒みが主の症状となるようです。

虫刺されによる分類としては①刺されると痒みを引き起こす場合:蚊、ダニ、ノミ ②刺されると痛みと痒みが起こる場合:アブ、ブヨ ③刺されると痛み、ショック症状を引き起こす可能性がある場合:蜂、ムカデ ④触れると皮膚炎を起こす場合:毛虫など

沢山ありますので、それぞれの対処法を調べて置くことがこれからの屋外で楽しく凄くことが出来ると思いますので、お出かけの前にネットなどでチェックして下さいね。

250pxpaederus_littoralis01_3 さてさて、今日のブログは何を書こうかと思ったのですが、子供の頃を思い出したので、少しローカル色が強いのかも知れませんが、「蛍光灯虫」について書いてみたいと思います。

田舎に住んでいると色々な虫がいて何らかの原因で虫刺されになることがありました。
特に、朝起きたら顔などに線状の火傷のような痛がゆい水疱を造ることがあり、私の田舎では「蛍光灯虫」と呼んでいました。地方によっては「やけど虫」と呼んでいる所もあるとのことです。

この「蛍光灯虫」の正体が分かったのは医学部に入ってからでした。これは「アオバアリガタハネカクシ」と言う小さな昆虫によるものだったのです。
体長7mmほどの小さな虫で、体の上をはっても問題ないのですが、夜中に体の上で動くと無意識に手で叩いたりして潰してしまったりしてしまいます。この虫の体液は有毒物質のペデリンを含んでいます。 

Th_ ペデリンは直後に痛みが来るのではなくて、数時間して(朝起きたあたりから)から火ぶくれのような炎症を起こします。大体は掻いて引きずってしまうために、この体液も線を引いたように体に残ります。 ですので朝起きたら顔や体部に線状にミミズ腫れになっていることに気が付くのです。何が原因で起こったのか分からないままなのです かなり痛いです。

今思えば、昔「蛍光灯虫」と言われていたのは「アオバアリガタハネカクシ」が原因だったのです。 決してヤモリの尿で起こるわけではありません。

アフリカ大陸以外には生息しているとのことですので、この虫による線状の水ぶくれを経験した方もいらっしゃるかも知れませんね。 上のような虫が皮膚に止まっても叩いたりしないで、そっと逃がして下さいね。

2018年4月25日 (水)

高分子重合体と過敏性腸炎

「高分子重合体 」と聞いただけで、気が引けてしまう方もいらっしゃるかも知れません。高分子とは分子量が大きい分子のことで、重合体(ポリマー)とは同じ構造をした単量体(モノマー)が多数結合して出来た物質を指します。
私達の周りには沢山の天然のものや合成の高分子重合体があります。天然のものとしては蛋白質、セルロース、デンプンなどがありますし、合成高分子重合体にはナイロン、アクリル線維、ポリエステル、ウレタンなど様々あります。          Th__2

同じ構造で出来ているため、均一で安定性があります。同じ構造の網の目に水分を保持する力が強い高分子重合体を高吸水性高分子とか吸収性ポリマー、高分子樹脂(吸収体)などと呼んでいます。

この様な高吸収性高分子重合体は自分の重さの何倍も水分を吸収・保持出来るため、身近の製品としては紙おむつや生理用品に使用されています。ドリップ吸収剤、結露防止、芳香剤、洗剤減量などにも使われています。水分の量の分を保持でき、されにゲル状となるために使い勝手がいいのです。

さて、長々と書いたのですが、この様な性質を利用して、過敏性腸炎の治療薬として使用している薬剤があるのです。

過敏性大腸炎については以前書いていますので興味のある方は(→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-221e.html  )。この過敏性腸炎では便の水分量の調整が上手くいかないため、水分が吸収されない前に下痢便となったり、腸の運動が上手く出来ない為に、水分の吸収が進んで、硬くてコロコロとした水気のない便が出てしまいます。

Th_398229 過敏性腸炎では症状に遭わせて色々な薬が処方されていますが、水を保持する力のある高分子重合体の薬が開発され、飲むことで、水分の多い下痢型の便を固形にすることが出来たり、コロコロ便の場合は便の中に適度な水分を保持するために好都合となっているのです。

何となく紙おむつとか生理用品に使われているのと同じ考えで出来た製品となるとびびってしまうのですが、最初に書いた様に高分子重合体は蛋白質やデンプンなどがありますし、食品添加物としても使用されていることを考えると飲むことに抵抗もなくなりますね。

意外な所で使用されたこの高分子重合体は水分のゲル化や保水などの特色によって過敏性腸炎の有用な薬の1つになっているのです。

2018年4月11日 (水)

麻疹(はしか)の流行に注意

沖縄県では3月に海外旅行者が旅行中に麻疹(はしか)にかかったことが判明し、その方が接触した場所から発症者が出現、更に拡大し沖縄県内で麻疹(はしか)が流行の兆しにあるとして、はしかの警戒レベルを最高の「3」に引き上げました。

・何故はしかの感染が問題なのか?
なんと言っても麻疹の感染力の強さにあります。 周りに影響を及ぼす程、感染力が強いためにインフルエンザと命名されたインフルエンザウイルスですが、それと比べても、麻疹の感染力は驚異的に高いのです。おおよそのデーターではインフルエンザの10倍以上の感染力があることが判っています。

麻疹の抗体を持っていない方が、麻疹の患者さん(症状の出てない時期からでも)と接したり、買い物で釣り銭の受け渡しをしただけでも感染してしまい、体力のあるなしに関わらず感染した人の95%以上、ほぼ全員が発症します。

・年代による抗体の有無の推測

現在の所、はしかを予防出来るのはワクチン接種や過去の感染で得た抗体しかありません。そのため症状などを記す前に、先に抗体の有無やワクチン接種の既往について書いた方が安心かも知れません。(母子手帳等あれば確認して下さい)

・昭和52年以前に生まれた方:この当時予防接種はありません・・・残念でした・・・なかった分だけ多くの国民が麻疹(はしか)にかかった方が多いのです。1度罹ったらほぼ終生免疫を持っていますので、殆ど罹りません(もちろん例外はあります)。

・昭和52年から平成2年生まれ:この世代はワクチンの予防接種は1回のみの時期です。麻疹は1回だけでは弱く2回接種が必要です。しかし1回の方は罹っても重症化しにくいと言われています。ただし修復麻疹と言って、「自分は症状は軽くても」「他人にうつす可能性があり」注意が必要です。

・平成3年以降の生まれ:定期接種2回世代で、2回確実に打っていれば感染リスクは低くなっています。 現在は1回目の接種が満1歳と小学校入学前となっています。 また6〜9ヶ月までの赤ちゃんはお母さんからの移行抗体があります。 その為この時期の赤ちゃんで1回目の予防接種を受けてない場合や、学童期で2回目の接種がまだな子供は、流行期には前倒しで受けることも出来ますので、小児科や行政に問い合わせ下さいね。

私達の病院でも緊急時に備えて職員の抗体検査を行っている最中ですが、昭和52年以前生まれでも、抗体が低い方が思ったより多いため、現在全職員の抗体検査を施行を始めている所です。流行期には人混みに出かけるのは控えるべきだと考えています。

ではでは、感染経路や症状、合併症などについて記載してみます。

Th_ ・感染経路

空気感染(飛沫核)の他に、飛沫や接触感染など、感染者が近くにいるだけでも感染しやすいウイルスです。ただし空気中に出されたウイルスは2時間程度で死滅します。

・症状・合併症

感染者と接触後、10〜12日間の潜伏期間があり、その後38度程度の発熱や咳、倦怠感(小児では不機嫌)や目の症状(結膜充血、目やに、羞明)などが2〜4日続きます。小児では下痢や腹痛も多くみられます。 その後、半日ほど解熱時期がありますが、それが過ぎた後に39度の発熱が出現し、更に口腔内のコプリック班と言われる、白い小さなブツブツが認められ、顔面から全身へと特徴的な鮮紅色の皮疹が表れます。

皮疹が出現後3〜4日経つと解熱し、全身状態も回復に向かいます。全身の皮疹は赤から黒ずんた色に変わります。しばらくは色素沈着として残ります。

麻疹は感染症の5類にあたり、保健所への届け出義務があり、本人も解熱後3日間は登校出来ません。

・合併症

麻疹の患者の30%に合併症が認められ、その大半が肺炎です。その他中耳炎、咽頭炎、心筋炎、脳炎などの危険性もあります。また麻疹を罹患して数年経ってから亜急性硬化性全脳炎という特殊な合併症を併発する場合もあります。

・医療機関からのお願い。

沖縄県で麻疹が広がりつつあります。不急の外出や人混みは避けて欲しいと思いますし、感染を広げないためにも、症状が軽ければ自宅待機で経過観察して頂きたいと思います。特に軽症な方が夜間の救急外来に来院されてもすぐに検査も出来ませんので、感染を広げるだけになる場合があります。

前回の新型インフルエンザの時にもそうでしたが、パニックにならずに自分自身で正確な情報を手に入れて、冷静に対応して頂きたいと考えています。麻疹に限らず、感染症は医療機関だけでなく国民1人1人の予防や対策が求められているのです。

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