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医療

2020年4月 1日 (水)

下痢の一般論

今日のFM放送は下痢と便秘について話をしました。皆様方の関心事とコロナウイルス感染症と思いますが、ブログには下痢の状態の一般論を書いてみます。

便の中に含まれる水分量は70〜80%で、残りの固形成分の中で多いのは私達の食事成分よりも、実は大腸菌などの菌と菌が死んだ残渣が多いのです。 便の形を決めるのは主に便の水分量によることになります。便の中の水分量が増えて、80%以上では「泥状」となり、90%以上になると「水様便」となります。70〜80%はバナナ状の便となり、70%以下の水分なら硬いウンチ、更に水分が減ると山羊やウサギのようなコロコロ便になってしまいます

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水分が多くなると下痢の状態となります。その原因は幾つかありますので、説明して行きます。

 1番目が水分吸収障害です。これには、生まれつき消化・分解酵素が少なかったり欠損のため、牛乳や茸によって下痢が起こる場合と、手術で小腸を切ったために吸収する面積が少なくなった場合に起こります。 私は牛乳飲むと下痢するのよという方は、これに当たるかも知れません。

 2番目の原因として、腸液などの水分の分泌増加があげられます。この代表的なものは、コレラとか病原性大腸菌などによる感染性腸炎とウィルス感染によるものです。その他、特殊な炎症性腸疾患や赤痢などによる消化管粘膜障害、慢性膵炎、あるいは下剤の効きすぎもこの中に含まれます。

 3番目に消化管の運動異常があります。腸の運動を速めるものとして、下剤、感染性腸炎、過敏性腸症候群があります。逆に運動の低下を引き起こすものとして、糖尿病による胃腸機能障害が有名です。また、ストレスや自律神経失調症はこの運動異常をもたらす原因の一つと考えられています。 便の状態が海苔のような黒っぽいどろどろした便が出たら、胃や十二指腸の潰瘍から出血している可能性が高いので、すぐに病院に行くこと。

原因はともかく、ダイエット甘味料や抗生物質の濫用で重篤な下痢を生ずることがあるので気をつけましょう。

この様に下痢と言っても色々な原因がありますので、単に下痢止めを使うかというと問題になることもあります。 急性の下痢の場合は有害物質を排除するために行う体の自己防御機構との側面もあります。 つまり、毒素やバイ菌などが増えた場合、下痢をすることで、それらが体内に留まる時間を短くしている訳です。 そのことを考えると、下痢の治療は単に排便を止めることを主眼にして行うべきではありません。まず大切なことは脱水を防ぎ、下痢の原因を調べることが必要となります。

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4月1日の仕事始めで、当院でも初めての医療現場の方も10名以上いました。こんな時期に入職された皆様方は特に大変だと思いますが、頑張って乗り越えて欲しいと願っています。 私の方も新年度初日から緊急の手術もあり更新も遅くなりました。 頭のリフレッシュのために上のイラストを描いてみました。怒らないで下さいね💖

 

2020年3月25日 (水)

咳喘息とコロナウイルス感染症

今日のFM放送は春先の体調不良と咳喘息について説明しました。やはりこのご時世、皆様方の関心事はコロナウイルスだと思います。

以前のブログの咳喘息についてはhttp://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-4de0.html )に書いていますのでよろしければ参考にされて下さい。

新型コロナウイルス感染症については如何に正しい情報を元に「正しく恐れて」対策をする必要があると考え、ラジオ番組やこのブログでも書いて来ました。 そして私も尊敬するノーベル賞受賞者の中山伸弥先生がコロナウイルス感染症ついて、ホームページを立ち上げ、判りやすく書かれていますので、是非多くの皆様に読んで欲しいと願っています。→( https://www.covid19-yamanaka.com/index.html )

今年は新型コロナウイルス感染で春先も大変ですが、通常の4種類のコロナウイルスやインフルエンザを含めて冬場を超えると少なくなり、その後春先にはりんご病やウイルス性胃腸炎、水ぼうそう、麻疹、風疹が増える時期へと変化するのですが・・・

もちろんこれらのウイルスがコロナウイルスで減少するわけではないと考えますので、色々な感染症の可能性を考えて対応しないといけないと考えます。なんとか踏みとどまるためにも国民1人1人の忍耐と思いやりが必要となります。

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東京オリンピックが延期となりました。このオリンピックに標準を合わせて調整して来たアスリートの皆様方の無念さを思うと心が痛むのですが、個人的には予定通りの開催は無理と考えていましたので、これでスッキリとします。アスリートの皆様方も気持ちを切らさずに頑張って頂きたいと願います。 今後は全力を挙げてコロナウイルス対策です。 そして、根本解決のワクチンや治療薬の開発が加速して、可能な限り早い段階で東京オリンピックが安全に安心して開催されることを祈りたいと思います。

小児に関しては「日本小児科学会のホームページより参考→https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326

この様な状況では感染のリスクもお年寄りや身体の弱い方が影響を大きく受けます。社会的にもそれは当てはまります。 封じ込めで、規模の小さな事業所ほど影響を受けるはずです。政府も感染対策の一環として、中小企業や零細企業を守る為にも有効な経済対策を講じて欲しいと願います。

今後とも国民が一丸となって、このウイルスを封じ込めてゆきましょう👊

2020年3月 4日 (水)

室内待期時には深部静脈血栓症に注意

新型コロナウイルス感染の対策が新たな段階になり、学校などでの休校やイベントの中止が行われています。寒い冬場に高齢者の方々も外出を控えて室内ですごさられいる方も多いと考えています。あるいはデイケアや訪問看護も控えることで運動不足となることも懸念されます。 決して外出を控えてではなくて人混みの少ない公園などや近所を散歩されることは健康維持のためにも有用であると考えています。

今日のFM放送は主に深部静脈血栓症やそれに伴う急性肺血栓塞栓症について話をしました。以前にもブログで書きましたので重複することもありますがご了承下さい

皆様方の多くも「エコノミークラス症候群」と言う名前を聞いたことがあると思います。エコノミークラスに多い例えなのですが、何もエコノミークラスに限ったことではありません。要は長い時間同じ様な姿勢で座ったりすると、足(特に下腿)の静脈の流れが腰も曲げて膝も90度曲げた状態も重なり停滞してしまいます。長い間血液が停滞すると、血管の中で血液が固まってしまうことがあります(静脈血栓)。

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それが動いた時などに足の静脈で固まった凝血塊が血液の流れに乗って心臓に向かって流れてしまうことがあります。 下大静脈から右心房→右心室にながれ、最後は肺動脈の中に移動します。 肺の中で血管は徐々に細くなるために、この凝血塊(血栓)が肺動脈に引っ掛かり詰まってしまいます。 これが肺血栓塞栓症で、大きな血管に引っ掛かる場合は急に呼吸困難や心不全となり急死することもあるのです。

時々、「血の塊が出来たら頭に流れて脳梗塞になる心配があるのでは」と質問を受けることがありましたので、上の図を書いてみました(余りにも簡単すぎて怒らないで下さいね😅)。 足や手に出来た血栓などは頭には行かずに肺の動脈を閉塞さえてしまいます。 一方で心房細動などの不整脈の時に、左心房の中に小さな血の塊が出来ることがあります。それが心蔵の拍動と共に胸部大動脈に流れて、それが脳動脈へと流れて行くと脳塞栓となることもあります。

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足は心臓からの距離もあり、座った場合や立ったりする時には一番うっ血してしまう場所になります。 横になっていても足を動かさないでいると静脈の流れは滞ります。

このような血栓を防ぐには、適度に足を動かした方がよいのです。

その理由を左の図の<筋肉のポンプ作用>見ながら考えてみて下さい。

足には見えませんが深い場所に大きな深部静脈が流れています。

足の筋肉を動かすと中を通っているこの深部静脈も影響されてます。

静脈弁もあることより、この静脈が筋肉の運動により停滞した血液の流れが押し出して移動しやすくなります。

この筋肉の作用を心臓のポンプ作用になぞらえて筋肉のポンプ作用と呼んで、第2の心臓とも言っているのです。

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では予防策はとなると、皆様方も飛行機に乗ると、左のような足の運動の絵が入ったパンフレットを見ることがあると思います。

上記の心蔵のポンプ作用が分かればなぜこの様な運動をした方がいいのか、もう分かったと思います。

新型コロナウイルス感染で外出を控える方も多いと思いますが、室内でもいいですので適度な運動や行って下さいね。

このように屋内で過ごす時間が多かったり、長時間のフライトでは足の運動を適度に行って深部静脈血栓症を予防して下さいね。

2020年2月26日 (水)

空気感染と飛沫感染(+接触感染)の違いについて

新型コロナウイルスの感染が広がり、その対策は封じ込めることより、拡散速度を遅くし、重症患者を救命することの目標がシフトした感があります。FM放送でも既に2月5日には新型コロナウイルス感染について説明しました(ブログにも書きましたので参考にされて下さい→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-19ed85.html  )

私自身は以前より、手洗いの重要性を話をしてきました。マスクは自分が感染した場合に周りにうつさないために非常に重要な手段ですが、マスクをすることでの自分がかからないための予防効果に関してかなり低いのです(やらないよりはましな程度。現にアメリカの疾病対策センター(CDC)はマスクの有用性に疑問を呈して、予防マスクの着用を推奨していません)

いま、問題になっているのは新型コロナウイルスと冬場のインフルエンザです。どちらも飛沫感染であり、麻疹、水痘、結核などの空気感染ではありません。その違いを説明したいと思います。

<飛沫感染と空気感染の違い>

①飛沫感染とは: 飛沫(ひまつ)感染の飛沫は「しぶき」のことです。実際は咳やくしゃみあるいは会話によって「飛散する唾液」をさしています。

大きさの定義からすると「水分を含んだ直径5マイクロメートル以上の粒子」のことで、目にみえる様な唾液はすぐに地面や周りの机などに落ちます。小さい粒子は少しだけ空気中を漂いますが、暫くすると重力で下に落ちて行きます。 もしもこの飛沫の中にコロナウイルスやインフルエンザがいたら感染リスクになります。飛沫を直接吸い込んだら感染するリスクは高まりますが、わざわざマスクもしないで相手の顔をめがけてクシャミをする方はいないと思います(やる奴がいたら変な奴です😰)。

→ですのでマスクは咳をする方がつけることが重要ですし、クシャミの時にハンカチなどで口元を被う「咳エチケット」が大切なのです。

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**空気感染に入る前に「飛沫」と「飛沫核」について**

 飛沫は水分を含んだ直径5マイクロメートル以上の粒子と言いました。この大きさだと空気中に漂うよりも重力により地面(床やテーブル、ドアなど)に落ちて付着します。元々が5マイクロメートル以下粒子径だったり、あるいは「飛沫」の中の水分が蒸発することで、更に小さい粒子へと変化します(5マイクロメートル以下の粒子「飛沫核」と呼んでいます)。そうなると空気中を漂う場合も想定されます。

 →では、コロナウイルスもインフルエンザウイルスも乾燥して空気中を漂い、それを吸うことで「空気感染」になると思われるかも知れませんね <ANSWER>コロナウイルスもインフルエンザウイルスも乾燥する過程で水分を失うことで感染リスクが軽減すると考えられているのです。

②空気感染とは

 飛沫と違い「飛沫核」となるような5マイクロメートル以下の粒子は空気中を漂うことが多く、部屋中に拡散してゆきます。

ウイルスの中には「飛沫核」となっても感染力を失わないものがいるのです。この中で有名なのは「麻疹(はしか)」「水痘(水ぼうそう)」「結核」などがあります。 これらのウイルスや菌が漂うなかで、呼吸を介して感染するのが「空気感染」となります。 この場合は通常のマスクでは意味をなしません。よく医療現場で使っているフィルター径が細かくて、周りから空気が入らないような特殊なマスクが必要となるのです。 私達にやれることは、換気をすること、現場に近づかないことしかありません。

③接触感染と手洗いの重要性

・・新型コロナウイルス(インフルエンザ)対策に、手洗いの重要性の意味・・

今回の新型コロナウイルスも季節性のインフルエンザウイルスも飛沫感染です。飛沫ですので、机やドアノブ、電車での手すりなどには、ウイルスを持っ人が触った可能性があります。そして私達も見えないウイルスがついた周りのものを触って生活をしています。 そしてその手を介して今度は自分が感染してしまします。 この様に殆どはこの手を介して感染するのです(接触感染)。

ですので、頻回な手洗いが重要なのです。マスクは全否定はしませんが、マスクをしていてそのマスクの付け方も十分理解していない方が多いので付け方や処理法に注意して下さい。

 

<追記>

・現在の日本の対応としては4日以上37,5度以上の発熱があり、倦怠感などが強い場合は「帰国者・接触者相談センター」に連絡後、対応機関に行くよう指針で決められています。

これは恐らく通常の風邪ならよくなる時期に改善しないために新型コロナウイルスを疑う経験値から勧めたと考えます。

丁度2月19日に発表された雑誌(The New England journal of medicine. 2020 Feb 19; doi: 10.1056/NEJMc2001737.)に実際に感染した患者さんの鼻と喉にどの程度ウイルスがいるのかを調べた結果が報告されていました(SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients.)。
それによると発症後3日以内が一番ウイルスの活性が高そうですので、この時期に色々な所に出歩くと周りにうつす可能性が高くなります。そういったことも考えれると4日以上発熱が続く(当然重症者は除きますが)場合としたのは理にかなっているかも知れません。 また感染も喉よりも鼻でウイルス量が多いことより、同じコロナウイルスであるサーズやマーズよりも通常のインフルエンザウイルスに近い感染部位かも知れません。 新型コロナウイルスがサーズやマーズよりもインフルエンザウイルスに感染力や致死率などが近い原因かもしれません。

2020年2月12日 (水)

血液脳関門の存在について

寒い時期には寒冷刺激によって、交感神経が反応して血圧が高めの状態となります。 またこの時期には昼夜や室内・室外で1日なかで温度差が極端になり、血圧が安定しません。そのため今の時期に脳卒中が増加する傾向があります。 
今日のFM「いきいきタイム」は脳卒中について話をしました。このブログでも以前に「脳卒中の病態、罹患率、予防法など」について書いています→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-2cb0.html
これまで何度か脳卒中については説明しましたので、総論を下記にまとめましたのでご覧下さい。
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この番組で脳細胞は他の体の細胞と比べて、「過保護なお坊ちゃま」と話をしました。脳細胞の栄養源はブドウ糖だけで低血糖になるとするに意識消失を起こしてしまいますし、血液が途絶えたら3〜4分で直ぐに死んでしまいます。心蔵は20分停止しても戻りますが、脳は全く駄目です。

人間の体の中でやはり1番重要なのは脳細胞なのです。実はそれを守るために私達の身体の中では色々な仕組みがあります。見た目にも判り易いのは脳を守るために常時ヘルメットを被っていますね。そう頭蓋骨です。

Th__20200212162001 内部からもこの脳を守るために、血液の循環システムにも脳独自のシステムが備わっています。これが血液脳関門(BBB:Blood-Brain Barrier)というものです。きっと一般の方は余り聞いたことのないシステムだと考えます。

私達の体の細胞は血液の中から全ての栄養分や酸素などを供給されて生きています。しかし血液の中には栄養素や薬物、更にエネルギー産生で出来た不要な物質、有害な物質まで一緒に流れています。体を循環しながら肝臓や腎臓で代謝をされ無害な物質へと変えられ体外へ排出することで生命を維持しています。

脳細胞は単位当たりでもの凄い量の酸素とエネルギーを消費しています。それだけ凄い仕事をしているのです。その脳細胞の負担を少しでも減らして必要で安全な血液だけを脳に送り込むシステムがあるのです。これが血液脳関門です。

血液の成分を全て通すのではなくて、脳に必要なものを通して、必要でないものを通さない関所が脳細胞の入口には備わっています(実際は血管を流れる血液の中から脳の血管内皮細胞を主体として機能して、脳細胞に必要なものだけを通すシステムです)。

どのように分けているかと言うと(専門の先生方からは怒られそうですが、大まかなイメージです)

①大きさがあります。酸素やブドウ糖などは単純で小さい物質ですのでそれは通ります。おおよそ分子量で500Da(ダルトン)前後で分けているようです。①の基準を満たして、

②もう1つは油に溶けやすいかどうかです。脂分の多い脂溶性物質は脳関門を通り易くなります。

①、②があるために、例えば細菌などはここを通りません。多くの栄養素や毒物や代謝産物あるいは多くの薬物も通りません。

・・・ここであれと思う方がいたら凄い方です・・・・睡眠薬や向精神薬、あるいは全身麻酔薬などは何処で効いているのでしょうか??  このように脳細胞に直接作用させる薬などは開発の段階から、①②の条件を満たすように開発されているのです。

今、多くの認知症としてアルツハイマー型認知症の脳内への異常産物の蓄積が指摘されています。脳の中へ薬を調達させる為には薬の有効性だけでなく①②の関門をクリアしないといけないのです。 この様に薬の開発にも血液脳関門の理解は重要となっているのです。

 

・・・そう!あなたの大好きなアルコールも分子量が小さいので脳細胞に到達して麻痺(ほろ酔い気分)を味わわせてくれるのです😊

2020年2月 5日 (水)

新型コロナウイルス感染症に関して(2020年2月5日現在の情報)

連日のように報道されている、新型コロナウイルスですが、今日のFM放送「いきいきタイム」では実際にコロナウイルスとはどのようなものかを説明しました。その要約を少し記載します。今後、刻々と変化しますので、これまでの情報を元に書いてみました。皆様方もこれからの推移を見守りながら、パニックにならずに冷静な対応を取って欲しいと願います。

元々コロナウイルスでもいくつか種類があります。その中で人間の中でずっと感染を繰り返しているのが4種類あります。これは普通の風邪として毎年のように人間に順繰りと蔓延している風邪のウイルスの1つとなっています。この4種類のコロナウイルスは私達が罹る風邪の23割を占めている代表的な風邪のウイルスの1つなのです。

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電子顕微鏡で見ると、王冠をがぶったように見えるために、コロナウイルスと呼ばれています。今回の武漢市でのウイルス感染もコロナウイルスの1種類になります。様々な動物がこのウイルスに感染しています。

ところが問題になっているのは、コロナウイルスの中で、通常の人から人に感染する4種類ではなくて、動物から人に感染すると重症の肺炎となるため、注意が必要となるコロナウイルスが出現しています。 その2種類は皆様方も記憶にあるかも知れませんが、サーズと呼ばれた重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と、マーズと呼ばれた中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)です。皆様方の記憶にもあると思います。


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現時点での通常の風邪のコロナウイルスとサーズ、マーズの感染の違い、現在懸念されている新型コロナウイルスの特徴を上の図にまとめてみました。
今回武漢市での新型コロナウイルスの発生源は当初より野生動物よりから人への感染を疑われていました。

動物から人にうつったのでしょうが、現在は、その感染した人から人へとうつることも確認されていますので、今後世界中で感染が広がることが危惧されている状況です。 

中国と言う、世界で一番人口を抱える国の中央部で感染が広がり、特に時期が悪かったのが、旧正月の時期で中国国内での大移動もありますし、春節を利用して、海外に出かける中国人も一気に増加する時期と重なったことが非常にことを深刻にしています。

また医学的に問題となるのが、無症状の方がいることも判明したことなのです。症状があれば医療機関を受診することで確認出来るのですが、本人は無症状でも他人感染させることは出来るために、悪気がなくても、あちらこちらでウイルスをまき散らす危険も出てきたことなのです。

あと1つ懸念されているのが、人から人へ流行する過程で、ウイルス自体が変異を起こして、より毒性の強いウイルスが出てくることも心配されているのです。

ただし現時点ですぐに世界中で感染が広がるかどうかまだ分からない状況です。

 ・日本で直ちに流行が起こるとは考えられていませんので、正確な情報を元にパニックにならないことが重要だと考えます。

重要なことは麻疹のように空気感染ではありません。上記の表にも書いてあるように、感染した人の咳や痰など接触して感染をしています。と言うことは、基本的な手洗いとマスクなどの着用により予防もある程度可能と言うことです。 すぐにマスクに情報が行きますが、実際は咳をしている方が周りにいなければ殆ど問題ありません。それより手の方から感染する機会が多いためより「手洗い」が重要となります。 わざわざ咳を人の顔に向けてやる方はいないと思いますので、周りに咳き込む方がいればその方も廻り方もハンカチなどで直接咳や痰が飛を飛ばさない、吸い込まなければ大丈夫です。色々なものに触れた後はすぐに手を洗うことを習慣づけて下さい。

2020年1月22日 (水)

地球温暖化と疾病

今日のFM放送は地球温暖化に伴う疾病の変化について説明しました。あくまで予想もありますので、実際と違うこともあるかも知れませんのでご了承下さい。

地球温暖化の影響で1番分かりやすいのは夏の高温多湿による熱中症の増加と考えます。特に猛暑日が増加すると熱中症による死亡率が上昇しますので、今後熱中症による死亡者が増大するはずです。また熱中症による死亡者の多くが65歳以上の高齢者である事より、日本ではより注意が必要だと考えられます。

地球温暖化により真夏の熱中症ももちろんですが、冬場において短期間での気温の変化も大きくなる傾向があります。そのような事態はヒートショックになりやすい環境となりますので、脳卒中や心筋梗塞などの循環系の疾患の増加が懸念されます。

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3〜4年前に話題となったデング熱の感染も懸念されます。温暖化により熱帯地方で流行していた疾患が日本をはじめ世界中で流行するかも知れませんし、4年前のリオのオリンピックで懸念されたジカ熱の広がりも、東京オリンピックで世界中の人々が押し寄せる中で再流行も懸念されます。

今、話題での中国武漢で広がっている新型のコロナウイルスなど新たなウイルス疾患が世界中に広がることも懸念されています。

地球温暖化が進む中でこれまで熱帯地方や1部の地域で押さえ込まれていた感染症は世界中に蔓延すると考えます。そのことに対して日本だけでなくWHOなど世界的に強調し合い総力戦で戦わねば、中世のペストや20世紀当初の世界的なインフルエンザによるパンデミックと同じ事態になることを心配してしまいます。

どのようなことが起こっても、世界の経済が安定し平和であれば人間の英知でどうにか乗り越えることが出来ると思うのですが・・・やはり世界の温暖化と共に食糧難が出現し飢餓や戦争が起こる方が何百倍も怖いだろうと想像します。

・・・今回は医療ネタですのに、余り理論的ではなくなってしまいましたが・・・この様なことを年頭で考えてしまいました。

2020年1月 8日 (水)

睡眠障害とメラトニン受容体作動薬

毎年1月の初め頃は初夢にかけて、夢や睡眠の話をしています。何度か年齢と共の眠れなくなったり浅くなる機序を書いたことはあります。今回も同じですので代わりばえありませんが、睡眠障害とメラトニンについて記載します。

体内時計という生活のリズムを保つために、セロトニンメラトニンの重要性が解って来ています。セロトニンは神経伝達物質でメラトニンはホルモンです。

皮膚の色を司るホルモンのメラニンを調べている中で偶然、(牛の)脳の中ににある松果体という部分で作られるメラトニンと言うホルモンの存在が発見されます。後に人間にもあることが解りました。そのホルモンを抽出し、ボランティアの方に投与したところ皆眠くなったことが判明しました。そのためメラトニンが「眠りのホルモン」と呼ばれる様になったのです。

その後メラトニンがセロトニンから分解合成されることも解るようになって来ました。

Th__2朝起きて、光を浴びるとセロトニンの分泌が上昇し、交感神経が刺激されて活動性が増すことで日中の行動がスムーズに出来るようになります。そしてセロトニンは夕方になると減少してゆきます。 セロトニン分解されてメラトニンが生成されますが、生成されるまでのに時間差があります。左の図のようにセロトニンが低下していく頃にメラトニンが増えてゆきます。その為日没後暫くすると増加したメラトニンの作用によって私達は眠くなっていきます。真夜中にピークになり次第に体内で分解されて朝には減少し、寝覚めの準備状態となります。そして夜が明けて、光が入ってくると、セロトニンの分泌が盛んになり・・・それを繰り返して私達は生きてゆくわけです。

ではメラトニンの具体的な作用としては、メラトニンが増えてゆくと、私達の体は「脈拍」「体温」「血圧」などが、低下してゆきます。それを感知した脳内で寝る準備が整ったと判断し、眠りにつくのです。

このメラトニンは1〜5歳頃がピークで年齢と共Th__4に減少してゆきます。子供は体の大きさと比べ運動量も多く体の疲労を取るためにも眠りにつきやすく、更にメラトニンの量も多いので、コロッと寝てしまうのです。

高齢になるとメラトニンの減少のため入眠しにくくなったり、途中で覚醒したり,朝早く目が醒めてしまいます。

またメラトニンの低下に加えて、ストレスなどの精神的な興奮状態を就眠前まで受けている中年以降で、不眠が増加します。 リタイアして社会的ストレスはないと言えでども高齢になると更にメラトニンの低下があり、不眠が増加します。 夜間の頻尿や足がムズムズするという症状も多くなり不眠が増えます。

色々な睡眠薬がありますが、近年開発された睡眠薬で、このメラトニンを増やすことで自然な眠りにつこうとする薬が開発されています。「メラトニン受容体作動薬」という薬です。 年齢と共に体内時計を司るメラトニンの減少を補い、睡眠と覚醒のリズムを整えることで自然な眠りに近づけようとする考えです。

以前の睡眠薬の中には精神的な依存になる方もいらっしゃいます。これまでの睡眠薬と作用が違いますので、患者さんの多くが以前の薬がすぐに眠れたということを訴える方もいます。

私などは手術は専門分野ですが、睡眠障害は専門ではありません。急に変えても上手く行きませんので、昔の薬から新しい薬を併用しながら徐々に切り替えるようにしています。より自然な眠りに近づけるようにしています。そのためにも生活そのものも規則正しく行うように指導もしているのです。

子供の頃あんなにコロッと眠ったのにと不平を言っている皆様方!そうあなたも年を取ったのですよと、焦らずに自分の身体と向き合って行きましょう😃

2019年12月25日 (水)

この時期は口内炎にも注意

今日(12月25日)のFMレキオは口腔粘膜疾患(口内炎、舌炎、潰瘍など)について話をしました。歯以外の口の中、歯肉や舌、のどの奥は粘膜という滑らかな組織に覆われてるため、そこに出来た異常を口腔粘膜疾患と呼んでいます。
局所的には耳鼻咽喉科や口腔外科が専門で、口内炎やウイルスや自己免疫との関連では内科や小児科が主に扱うことになります。外科の私としては外傷だったり、抗がん剤使用時の副作用や手術などによる消耗疾患で時々診察することがあります。

口の中は消化器や呼吸器の入り口としてみることも出来ますが、味覚や臭覚などの感覚器官でもありますし、唾液を出すことで消化を助ける役割、舌には発語としての機能もあり複雑な機能がこの部分には集約されています。

沢山の病気がありますが、今日はアフタ性口内炎に絞って書いてみます。口の中や歯茎、舌などは表面を粘膜が覆っているのですが、何らかの原因でこの粘膜が傷ついて剥がれてしまうと小さな潰瘍となります。炎症が加わりますのでこの潰瘍の周りが赤くなり中心部分は白っぽくなります。

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誰もが一度はかかったことがあると思いますが、余り大きくはなくても、痛みが強いのがアフタ性(潰瘍性)口内炎の特徴です。口内炎のある場所を噛んでしまったり、刺激物やお醤油、暑いのを食した時などは激痛が走り、思わず「アガ〜(いて〜)」と叫んでしまいます😭

口内炎は試験勉強の時などに起こることも多く、ストレスが一因であると思われますが本当の原因は簡単ではありません。 鉄、亜鉛、ビタミンの不足だったり、ウイルス感染に伴うもの、義歯よる刺激唾液分泌の減少、鼻詰まりで口呼吸による口腔内乾燥睡眠不足などが影響し合って発症すると思われます。

通常のアフタは数ミリ以下の大きさで単発・多発両方あり、痛みは4〜7日続きます。重傷になると発熱や首の周りのリンパ節が腫れ、風邪のような疲労感が現れることがあります。 だたし大きさが1センチを越えたり、長い間(2〜3週間)治癒しない場合は医療機関で検査を受けた方がよいと考えます。

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治療は自然治癒するまで、痛みを和らげる対症療法が中心です。痛みが強い場合は麻酔薬の入ったうがい薬を使用したり、ペースト状になった局所麻酔薬を塗ったりします。アフタを保護して炎症を鎮めるような軟膏類や最近ではアフタを覆うようなパッチ製剤もありますので試してみたりします。

年末は何かと忙しくなりますし、睡眠不足、疲労の蓄積や気候の変化も強いですし、空気も乾燥します。皆様方も体調管理に気をつけて口内炎を予防して下さいね。

2019年12月11日 (水)

セカンドオピニオンの始まりは保健会社の支払い削減にあった?

今日のFMレキオは「セカンド・オピニオン」について話をしました。以前セカンドオピニオンの概要についてはブログに書きました(→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-e2e7.html

より専門的になった医療において、患者さんの多くは医療の素人ですので、判定する十分な知識もありません。他の病院の医師(専門医)の意見・所見を求めることで、同じ治療法でも納得して治療に専念できたり、より適した治療法の選択を決める参考になると思うのです。それがセカンド・オピニオンの考えなのです。 私自身も患者さんの要望があれば積極的に勧めています。

今日はちょっと違った視点から話をします。 セカンドオピニオンの始まりは米国において保健会社の支払い削減にあった?とご存じでしょうか。

諸説あるようですが、セカンドオピニオンの考え方は、民間の医療保険が発達した米国において患者(被保険者)の治療のコスト抑制の目的で制度がされたのが始まりだそうです。 医療費を払う保険会社としては、同じ病気に対してはより低コストで治療が出来る医療機関を選択したい訳です。そこで現在患者が関わっている医療機関とは別に、第2番目の医師の治療方針を聞き、費用対効果を比較対照する必要があったのです。 より安い治療法や医療機関を被験者には選ぶことを推奨することになったのです。

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もちろんこのようなことは今でも引き継がれた部分もあるのですが、現代では患者が自ら受ける治療法,ひいてはその後のライフスタイルをも自ら選択するために必要となる医学的知識の補助手段として,セカンドオピニオンが活用されるように変化したのです。 この様にセカンドオピニオンもお金の問題から、人間の生活の問題へと進化したと言えます。

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またセカンド・オピニオンが全て良いわけではありません。時間や費用がかかっただけで、かえって迷ってしまったという方もいらっしゃいます。また自分よがりの解釈で、自分に都合の良い意見を聞けるまで色々な医療機関を受診し直す方も問題となっています。

医療はものではありません。信頼関係でなり立っていますので、信頼出来る先生を見つける目を持つことも私達(患者側)には求められていると思います。

私が言うのもおかしいのですが、皆様にとっても「医者との出会いも一期一会です、信頼出来る良医と巡り会えたらいいな」と思えるのです。

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