脱コロナ後の5月病(うつ病との違い)
今日のFMレキオは5月の連休明けですので、3年ぶりに「5月病」について話をしました。
5月病は正式な医学用語ではなく、精神科の先生の中でも若干違うニアンスで捉えているようです。 一般的には適応障害(アバシーシンドローム:無気力症候群)や軽度あるいは双極性のうつ状態と言うことになりそうです。
5月病は元々、受験勉強を勝ち抜き希望を持って大学に入学した学生が、新しい学校になじめず、ゴールデンウィーク明けから気持ちが落ち込む症状を示し ていました。 学生だけではなく、新しい職場になじめない新入社員などにも同様な症状があり、仕事が本格的になる6月頃に起こりやすいといわれています。
5月病は新しい環境や生活に適応できずに、「何とかしなくては」と焦りと頑張りが空回りし、一時的に強いストレス状態に陥っていると考えられています。 厳しい受験勉強や入社試験を乗り越えて希望で胸一 杯なはずなのに、新しい教室や職場、人間関係に馴染めない・・・この様なことは多くの方が経験することだと思います。 うつ病ではなくて一種の通過儀礼だと思って見守る必要もあるかも知れません。
理想と現実のギャップがでてきて、 精神的なストレスが重なり、食欲不振、睡眠障害、動悸、無気力や鬱症状など体や心に変調をきたします。
5月病は性格的に真面目で几帳面、完全主義、内気で孤立しやすい人がなりやすいといわれています。
本来そのような方は、悪い性格の持ち主ではなく、学校や職場でこれを乗り超えると素晴らしい人間に成長することも多いのだと思うのです。
5月病になるようなら誉めてあげたいぐらいです。「頑張れ」ではなくて「頑張りすぎたので少し休みなさい」と声をかける程度が良いと思います。
新しい環境で頑張った人がゴールデンウィークなどで長めの休暇を貰った時に症状が出やすいようです。 長期の休みを貰った時の睡眠時間、特に起床時間に注意が必要と言われています。 休みは朝寝坊したくなると思いますが、それでも日頃の起床時間の2時間程度に止めるべきのようです。 休みだからといって昼過ぎまで寝てしまうと体内時計もくるってしまい、体調を崩す原因となります。 肉体的にも連休明けに会社や学校に行くことが辛くなります。
これまでが今までの「5月病」の一般的なパターンでした。
しかし3年前からもう長い間コロナ禍で人的交流が減少し、また在宅勤務も推奨されました。そのため5月病の1つの要因となっている対人関係のストレスは逆に減少しているものと考えています(Googleの検索の集計で「5月病」の検索はコロナ以前とコロナ後では後の方が減ったとのことから推測しているだけで、実際に減ったかどうかは今後の医学的な統計をみないと分からないことです)。
このことから老外科医が推測するのは、これから脱コロナへ社会が動き出すにあたり、在宅やリモート管理だった方々が実際の会社に出かけた時に受けるストレスの増加が気になります。 満員電車に乗り込み、会社で仲間や上司に顔を合わせて会話をする、直接面と向かって叱られることも起きるでしょう。 そのことが解除後の大きなストレスになりかねないかもしれません。 特にコロナ前後で入職した方々はマスクなしの対面での仕事になれば大きなストレスとなることが予想されます。
5月病と言われていた症状が、脱コロナ社会で起こるのではないかと素人の外科医は考えています。そのためには会社も早めに手だてを講じる必要があると考えているのです。
最近は5月病対策をとっている大学や企業も増えてきているようです。
ストレスや疲労を感じたら一人で悩まず家族や友人、または専門医に相談(カウンセリング、精神療法など)してグチを聞いてもらいましょう。
また、症状が進んで、不安、焦燥、うつ状態などが強い場合には、専門医(心療内科、精神科など)を受診してみましょう。一時的に抗うつ薬、抗不安薬を使うことも有効です。適量の薬で、はやく症状が改善することもあります。
精神科の先生からは怒られるのかも知れませんが、5月病は「相手(学校や会社)が悪い」と考えますし、うつ病は「自分が悪い、自分は価値がない」と内向きに考えてしまう傾向があります。
5月病も長引けば、うつ状態に変化してしまいます。 ですから早めに自分状況を判断して解決する手段を見つけることです。
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