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医療

2020年7月 8日 (水)

マスクと熱中症

今日のFM放送は熱中症について話をしました。これまで熱中症に関しては病態や注意点については何度か書いています。去年のブログでは、人間の体は燃焼機関である事を書きました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-2a25.html )  
連年通り、梅雨明けから熱中症患者さんが急増して来ます。特に今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防でのマスク着用により、例年以上の熱中症患者が増加しないか危惧されています。
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そこで、日本救急医学会の呼びかけにより、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会で構成するワーキンググループが組織され、「『新型コロナウイルス 感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言』について」が発表されています。これをご覧になれれば私のブログを見る必要もないかと考えます😅

同提言では、感染対策としての換気やマスク着用の重要性、熱中症対策としてのエアコン使用やマスクを外す必要性との両立など、夏季を迎えて注意する要点をまとめています。 特に真新しいことではなく常識の範囲内と考えています。

4学会の提言では、大きく5項目を示し、細かい解説を加えている。提言の内容は次の通り。
①屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。
②マスク着用により、身体に負担がかかりますので、適宜マスクをはずして休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので、はずす際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境等に十分に注意を払って下さい
。また口渇感に依らず頻回に水分も摂取しましょう。
③体が暑さに慣れていない時期が危険です。フィジカルディスタンシングに注意しつつ、室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。
④熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、頻繁に連絡を取り合いましょう。
⑤日頃の体調管理を行い、観察記録をつけておきましょう。おかしいなと思ったら、地域の「帰国者・接触者相談センター」や最寄りの医療機関に連絡・相談をしましょう。

これまでの熱中症対策の中で今年だけ変わるといえば「②のマスクの着用」についてではないでしょうか?・・・ここでマスクと熱中症について、私の考えを述べてみたいと思います(私の勉強不足で正確なエビデンスを書くことが出来ません)。私の経験も踏まえてのこと(←信用出来ない?😂)を記載します。

Th_1980035 ・私達医療者がCOVID-19対策でつける場合のあるN95マスク(0.3μmの粒子を95%以上を捕集するマスクのこと)は空気中の微粒子やウイルスもブロックする確率が高く、これまで結核やSARSなどでも効果が実証されています。 この性能はいいのですが、問題は付け方です。これは練習を要しますし、マスクの横から空気が出入りしたら何だ意味がありません。しっかりとN95マスクを装着して呼吸をすると、このマスクの布を通して外気との受け渡しをするので、結構息苦しさや、呼吸筋を使うためか長時間使用すると疲れが出てしまいます。

・では一般的な皆様方が使用しているマスクはとなると、多くの場合は布マスクやガーゼマスク、不織布を使ったマスクなど実にその性能は様々です。これらのマスクを皆様方が通常の状態で使っても息苦しさは圧迫感は余り感じないはずです。殆どのマスクは布やガーゼ、不織布を使ったとしても、それを通して以外に、マスクの前後左右から空気の出入りがあるために普通に息が出来ているはずです。
このことは一般の方にN95のマスクの使用を勧めていません。 ではなぜ、マスクを推奨するのとなると、無症状でも感染している方も多いために、せきなどで出る一部の大きな飛沫(ひまつ)が正面に飛ぶことで、周りの人や環境を汚染することを防ぐことが1番の目的です。新型コロナウイルス感染症は空気感染ではありませんので、接触感染のリスクを減らす作用もマスクにはあるのです。
・恐らくN95を正確に装着して作業すると息苦しさを感じますし、それで運動をしようなどとは思えません。しかし一般的なマスクでも、通常なら息苦しさは感じないと思いますが、ジョギングなどで運動する場合には、マスクを介することで若干の息苦しさや暑さを感じるはずです。

日本の夏は高温・多湿です。汗による気化熱で体温を下げる作用も多湿の場合には蒸発が進みにくく熱がこもります。その上マスクとなると更に熱の逃げ場がなくなるかも知れません。 周りとの距離を保てるのあれば、マスクを外したり、休憩をうれて運動をなされて下さいね。

つくづくコロナウイルスは嫌な奴だと思ってしまうのです😠

2020年7月 1日 (水)

皆が大好きなサプリメントは本当に必要なの?

今日のFM放送「いきいきタイム」はビタミンについて説明をしました。これまで何度がビタミンについては書きましたので、今日は時間もなく新しい情報は特にありませんので、以前書いたブログの紹介がてら気ままに書いてみます😢

ビタミンが発見されてまだ100年しか経っていません(→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-a453.html )。ビタミンの定義の1つに欠乏症が確認出来ていることがあります。

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歴史を振り返ると、大航海時代に長期航海をする船員達で海賊より恐れられていたのは、全身より出血し死に至る壊血病がありました。日本において日清戦争などでは戦死者の10倍以上を脚気で失っています。当時は誰も原因が判りませんでした。前者はビタミンC欠乏による壊血病で後者はビタミンB1欠乏による脚気です。

現在ビタミンは13種類あります(→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-f458.html )。それぞれに欠乏症が確認されています。しかしこの欠乏が生じる環境は特殊な状況です。昔、長期航海に出て新鮮な食材が手に入らないため起こったり、副食が殆どなく脱穀した米と沢庵程度の日清戦争当時の兵隊ではビタミンB1が不足となってしまったのです。

では現代の社会はどうでしょう。逆に飽食の時代となっていますし、余程偏食でなければ、5大栄養素は足りているはずです。しかし、周りにはビタミン類やポリファノールなどのビタミン様物質(→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-c72d.html  )などのサプリメントの広告がいっぱい溢れ、補充すれば今より元気に、今より美しくなるのではないかとインプットされています。

Th_105996 私自身もサプリメントで補充しても多くの場合は害にはならないので、あえて反対はしていません。 

ただ本当に必要なのと言われたら普通に食べていれば必要ないねとしかいいようもないのです。今は何処に行ってもサプリメントの広告で溢れています。ネットの内容や薬店などに行ってもその効能(有用性)しかうたわれていませんし、殆ど反対意見はでないのです。 

・・・今日は取り留めのない話となりましたが・・・私達は巨大広告の中で理論ではなくてイメージで踊らされているだけかもと考えてしまいます😅

・・・と言う私も「疲れた〜」といって栄養ドリンクの飲んだ後、オシッコの色と臭いで無駄に摂取したことを反省してしまうのです😢

2020年6月10日 (水)

胃潰瘍の治療(変遷)

今日のFMレキオは消化性潰瘍について話をしました。このブログでは消化性潰瘍の治療の変遷について書きたいと思います。

歴史上、消化性潰瘍と思われる症状や治療の記載は、ヒポクラテス(Hippocrates:紀元前460年)の時代と言われています。 近代的な治療は1700年代後半からで、1800年代には消化性潰瘍の原因として胃液の研究が進み、塩酸やペプシンなどの過剰によるもの、胃の粘膜の血流障害Th_説、迷走神経や自律神経失調などのストレス説など、現代に医療と結び付く説が学会で議論されるようになりました。

1963年に様々な意見を集約した形で攻撃因子と防御因子の破綻が潰瘍の原因とした説が認められ、現代まで支持されています。消化性潰瘍の原因を天秤にかけた状態でバランスが取れていたら潰瘍にならないが、何らかの原因で攻撃因子側に天秤が振れたときに潰瘍になるというモデルで、解り易いため現在でも説明に利用されています。

 

上の図のうち、潰瘍の治療薬の中心となるのは攻撃因子を防ぐことになります。1970年代までは胃酸の産生を直接抑制する治療薬はなく、潰瘍の治療は酸を中和する制酸剤と胃の動き等を抑える抗コリン剤が中心でした。これらは大きな潰瘍に関しては効果が少なく、長期入院や手術が必要でした。実際私よりも上の年代の外科医は毎日のように胃潰瘍の手術をしていたと聞いています。
胃潰瘍の治療を一変させたのは、今でも名前をよく聞くH2ブロッカーの開発と普及にあります。日本では1985年頃から普及して来ました。外科医になりかけの私も発売当時はこの効果に驚きを持って観ていました。その後改良が加えられ、更に胃酸抑制の強いPPI(プロトンポンプ阻害薬)が潰瘍治療に主流になります。またもう1つの流れとしてピロリ菌感染に対する除菌療法も行われるようになります。

ピロリ菌は胃に住み着いて胃粘膜に慢性の炎症を起こすことより、萎縮性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの様々な病気を引き起こすために、ピロリ菌陽性の場合は除菌療法を行い、その他の治療を組み合わせます。

H2ブロッカーを開発した英国の薬理学者のブラック博士は1988年に、ピロリ菌感染の発見によりオーストラリアの微生物研究学者のマーシャル教授と病理学者のウォレン教授は2005年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

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このようなことを書くと短い時間でも劇的に医療は進んだことを実感します。しかしこの潰瘍の歴史をみても改めてヒポクラテス大先生は凄いのだと感じる次第です。なんたってヒポクラテスが活躍したのは日本では弥生時代の年代だったのですから・・・💖 

2020年6月 3日 (水)

痛み止めの種類と胃潰瘍

Th_3 胃潰瘍の主な原因は、ストレス、ピロリ菌感染、痛み止めと考えられています。以前のブログにもストレスとピロリ菌感染は書きましたので、今回は痛み止めと潰瘍の関係を書いてみました。細かい所を飛ばして、かなり大まかに書きますのでご了承を・・😅

 では、まず痛み止めなら皆同じか?と言うことになりますので、まずはその辺りから

痛み止めには、麻薬などのオピオイド系鎮痛薬と非オピオイド系鎮痛薬があります。非オピオイド系鎮痛薬の中で非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)とアセトアミノフェンがよく使われている薬剤です。

商品名で言った方が皆様方には理解しやすいかも知れません。

非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)には、ロキソニン(R)(ロキソプロフェン)、イブ(R)(イブプロフェン)、ボルタレン(R)(ジクロフェナク)、アスピリン(R)などがあります。

アセトアミノフェンの代表名としてはカロナール(R)、ピリナジン(R)、アンヒバ(R)、アルピニー(R)などがあります。

市販薬にもこの成分が入っていることもあり、これまでに多くの方がよく飲まれていると考えています。

では、この2つの系統に違いはあるのでしょうか?・・・これまで同じと考えている方が多いと思いますので記載します。

<NSAIDsとアセトアミノフェンの違い>

①NSAIDsの薬理作用はアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制します。プロスタグランジンの中でも、特にプロスタグランジンE2PGE2)は起炎物質・発痛増強物質です。NSAIDsは主にPGE2の合成抑制によって鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮します。

②アセトアミノフェンの薬理作用NSAIDs同様にCOXを阻害しますが、その作用は弱く抗炎症作用はほとんどありません。そのためアセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。非常に歴史がある薬であるアセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられていますが、実は未だに詳細な機序が判明していない薬でもあります。

 プロスタグランジンの中でも細かな作用によって違いはありますが、胃に関して言えば、プロスタグランジンは胃の粘膜の血流を維持する作用や胃を保護する粘液を増加する作用があります。これが減ると、胃の保護作用が低下して胃潰瘍になりやすくなります(最初の上の図をご覧になって下さい)

 ですので、NSAIDsは胃潰瘍の原因にもなることが考えられますが、アセトアミノフェンは胃には余り影響を与えないと言う結果になるのです(もちろん長期に服用では腎障害などの副作用もあります)


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 <NSAIDsで胃腸障害を防ぐには中止か併用か?>

・実際の臨床でNSAIDsを止めれることが出来れば中止。中止出来なければ併用を考えることが多いです 。具体的には胃酸を抑えたり胃の粘膜の保護作用のある胃薬と併用することが多いです。またNSAIDsが直接胃の粘膜の刺激作用もありますので、空腹時の内服は避けて食後にとるようにするように指導しています。

NSAIDsの長期使用例で、消化性潰瘍の予防効果が証明されているのは、プロトンポンプ阻害剤、プロスタグランジン製剤、H2受容体拮抗薬と呼ばれるタイプの胃薬です。 NSAIDsを服用される方で元々胃が弱いとか長期間服用される場合には、胃を荒らさないために胃薬との併用を行うようにして下さいね。

薬剤師の方や専門家からは怒られそうですが、胃潰瘍と鎮痛薬の関連について書きました。

追記)・・・もう1つややこしくしているのは、皆様方がよく使っている市販薬のバファリンも実はどの分類になるのか判りづらいこともあります・・・私も覚えきれません😢

「バファリンA」はアスピリン(NSAIDs)、「バファリンルナJ」はアセトアミノフェン、「バファリンEX」はロキソプロフェン(NSAIDs)、「バファリンプレミアム」と「バファリンルナI」はイブプロフェン(NSAIDs)とアセトアミノフェンの両方・・・となっています。

・・・まあ、市販の薬のパッケージには書いてあると思いますので、一度ご覧になってみて下さいね。 

**今ではNSAIDsと言っても、副作用を減らすような薬剤が開発発売されていますので、胃潰瘍になりにくいNSAIDsも開発されています**

2020年5月27日 (水)

テレワークと肩こり

新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛やテレワークなどで肩こりや腰痛なども増えていると言われています。今日のFM放送は首の痛みに対して話をしました。 今日のブログは以前書いた「肩こり」について再度記載致します。

Th_090956 肩こりは、厚生省の調査で女性第1位、男性第2位となるくらい国民の多くにとって身近な自覚症状です。肩こりは、肩の痛みや不快感だけでなく、眼精疲労、集中力低下、めまいや頭痛などの症状に影響を与えます。

首の激痛と言うよりも、重く鈍い痛み(肩や首が凝る、肩が張る)などと表現され、痛いと言うよりも不快感を伴うこわばった感じが殆どだと考えます。 重苦しい感じ、イライラしてしまい抑鬱な気分にさえ感じてしまうこともあると思います。

私達の首回り(頸椎や筋肉)は色々な動きが出来ると同時に、頭という重い荷物をかかえています。頭は5〜7Kgの重量があり常にそれを支えていますし、首周りは肩を吊り上げたり上肢の運動も支えていて大きな負担と強いられています。

頸骨の変形やヘルニアによる神経的な痛みもありますが、今日は首回りの筋肉(特に僧帽筋など)の凝りについて私なりに説明したいと思います(結構いい加減かも知れませんので、詳しいことはネットで調べて下さいね

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長時間同じ姿勢でいると首や肩が凝るのを経験すると思います。今年は特にコロナウイルスのお陰で、外出自粛や在宅での仕事に切り替えている方も多いと思います。このような狭い空間で移動もないと、どうしても同じ姿勢でいる時間が長くなり、常に同じ筋肉が同じ方向に緊張状態を強いられます。 

 

筋肉の緊張状態が続くと、血液の流れも悪くなり、筋肉内に疲労物質である乳酸やピルビル酸といった痛みを起こす物質が溜まってきます。(走ると足の筋肉が酸欠状態となるだけでなく、乳酸やピルビル酸が溜まって痛くなりこれ以上走れなくなるのと同じです)。

 

簡単な図を書いて見ました。 首周りの筋肉で一番大きいのが僧帽筋ですが、その下に右側に書いた色々な筋肉があります。同じ姿勢で首や肩、手を支えていると常にこれらの筋肉には疲労物質が蓄積し、その筋肉にある神経を介して痛みを感じます。この痛みは刺されたような鋭い痛みではなく、筋肉の鈍い痛みと感じます。これがいわゆる「凝り」と表現されます。

ところで凝った所を指で押したりすると、同じ筋肉でも痛みが強かったり痛みが鈍かったりする場所の違いがあることに気が付きませんか? 筋肉が付着する肩甲骨や背骨などの近くには神経が多く、筋肉の中央部には神経の密度は減って少なくなります。 同じ筋肉内でもその神経の分布の差により、凝りによる痛み方にも違いが出てしまいます。

ワープロ仕事などで同じ姿勢は首周りの筋肉の緊張状態を強いますので、時々首や肩を回したりストレッチをするといいですし、眠る時も首の負担を減らすような枕を選ばれたらいいのかも知れませんね。パソコンなどでモニターを見上げるような姿勢(頭を反らす姿勢)はよくありません。背筋を伸ばして、少しアゴを引くぐらいが肩こり予防にいいと思います。

首の周りの筋肉を動かして、血流を良くすることが大切ですが、筋肉を意識してといっても沢山の筋肉があるので、私のおすすめは首周りの骨や関節を意識して動かしてみることです。

①頭を前後左右など動かす(首の骨を動かす)②肩を前後上下に動かす(鎖骨を前後左右に動かす意識)③背部の肩甲骨の間を広げたり縮めたりする前後左右に動かしてみる・・・まあ、整形外科が専門でない私の考えですので(間違いがあるかもしれません😢)、テレワークなどをなされる方はネットなどを参考に、定期的にストレッチしてリラックスして行って下さいね💖

 

2020年5月13日 (水)

高血圧と食塩(血漿浸透圧)との関係

今日のFM放送は久々にコロナウイルス感染症を離れて、いつもの健康情報について話をしました。今日は高血圧症について説明をしました。昨年5年ぶりに高血圧ガイドラインの改定がありました。


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このように高血圧(140/90以上:どちらか1つでも)と正常(120/80以下:両方ともクリアする条件)の間にある血圧の方々をより細かく分類して、早期の予防・治療につなげる意図があります。

以前も塩分と高血圧や腎臓病との関連を書いたことがありますが、もう少し説明したいと思います。

どなたも、高血圧の人では塩分を控えるべきだと聞いたことがあると考えます。

人間の身体の血液には浸透圧と言うのがあります。浸透圧とは名前の通りですが「浸透しようとする圧力」のことで、極論から言えば「水を引っ張る力」のことです。この力を利用して血管の中(血液)から細胞へ「水分や栄養分、老廃物など」を移動させているのです。(細かくは膠質浸透圧、血漿浸透圧に分かれますが・・・)浸透圧の計算式にすると

血漿(血清)浸透圧=<2×(ナトリウム濃度)>+<血糖値÷18>+<尿素窒素÷2.8>となります。

上記の式を見ると、血漿浸透圧を決めるのはほとんどナトリウム(食塩)と言うことが理解出来るはずです。

食塩を多く摂取すると → 吸収されて血液の中のナトリウムの濃度が上昇 → 血漿浸透圧の上昇 → 浸透圧を下げるため(正常化するため)に血管に水分が多く移動します → 血管の中の血液の量が増えます → 血管の圧が上がります = 血圧の上昇となるのです。

・・・高血圧のガイドラインでも、高血圧の方は塩分を1日6gに抑えること(減塩)を推奨しています。

では減塩すればすぐに効果があるかというと、実はまたまたことを複雑にしてしまいそうですが、書いておきますね😰

・・・減塩によって、すぐに血圧が下がる人は20〜30%(食塩感受性タイプ)と言われています・・・オイオイ!それでは多くの方は意味がないのではと・・・思われるかも知れません。 しかし効果はあるのです。

減塩して血圧が下がらない(食塩非感受性タイプ)高血圧の方でも減塩は必要なのです。それは食塩摂取が日常的に多いと、腎臓でのナトリウムの排出に無理が次第に生じます。それにより次第に血液の中の塩分濃度が次第に上昇します。これにより更に血液の量が増えて、結果として高血圧の悪化に繋がってしまいます

そのため、70〜80%の食塩非感受性タイプの高血圧症の方でも減塩は重要ですし、高値血圧の方も減塩習慣を身につけることは重要となっているのです。 もちろん既に動脈硬化のある血管は弾力がないので血液の圧をもろに影響を受けて、弾力のある血管の方よりも高血圧になりやすいのです。

久々にコロナウイルス感染症以外の話題です。早く普通の日常に戻りたいのですが・・・まだまだ戦いは続きます👊

2020年4月 8日 (水)

アビガンがなぜ新型コロナウイルス治療に効果が期待出来るのか?

世界でパンデミックを起こしている新型コロナウイルスに対してまだ、有効なワクチンが無いために、ウイルスを広げない隔離政策が続けられています。

ワクチンの開発には少なくとも半年から1年はかかると思いますし、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬を新規開発するには数年かかるかも知れません。 しかし既に世界で死者が8万人を越えた状況で、世界中で効果がある薬はないかと投与が試されています。新規に開発するより既に開発されている薬でCOVID-19に有効な薬剤があれば、これを転用して使うことが早いのです。

本来なら、色々なフェーズの段階を踏んで薬の効果を試すのですが、この様な余裕はないのです。例えばHIVの薬を飲んでいる方が軽症ですんだとか、喘息の治療薬、膵炎の治療を使ったら比較的回復が早かったなど世界中で情報が共有さえて、有効な薬がないか模索しているのです。

素人的に考えても、ウイルスなので抗ウイルス薬で効くものはないかと考える訳です。最初に感染爆発がおこり、多くの治療を行っていた中国をはじめ、インフルエンザに使用している、ファビピラビル(アビガン)の有効性を示す文献が多数出て来て、いま世界中が注目しているのです。

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現在インフルエンザウイルスの治療薬には3系統があります。最初に開発された ①ノイラミニダーゼ阻害薬;オセルタミビルリン酸塩(タミフル:内服薬)・ザナミビル水和物(リレンザ:吸入薬)・ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル:吸入薬)ペラミビル水和物(ラピアクタ:注射薬)があります。 ②M2蛋白機能阻害薬・アマンタジン塩酸塩(シンメトレルなど:内服薬)があります(ただし適応はA型インフルエンザに対してのみ)。 この2系統は現在インフルエンザウイルス治療薬として既に使われています。 これと作用機序が大きく異なるインフルエンザウイルス治療薬に③RNAポリメラーゼ阻害薬・ファビピラビル(アビガン:内服薬)があります(これまで使用制限がかかっています)。
コロナウイルスはRNAウイルスに分類されています。RNAウイルスは自分の鋳型を使って増えて行くのですが、そのためにはRNA依存性RNAポリメラーゼという酵素を自分で作らないければ増殖出来ない仕組みとなっています。
Th_1913474 インフルエンザウイルスの治療薬として開発された、ノイラミダーゼ阻害薬とM2蛋白機能阻害薬はインフルエンザウイルスに特化しているために、インフルエンザウイルスにしか効果がありません。 しかしRNAポリメラーゼ阻害薬はRNAウイルスでは同じ構造になっているために、インフルエンザウイルスに開発された治療薬が同じRNAウイルスである新型コロナウイルスにも効果があるのではないかと理論上も判るのです。
では何故使わなかったのかというと、動物実験などで催奇形性などの副作用があってことと、もしも先の二剤に対する耐性の出現や効果が出ない新型インフルエンザウイルスの出現に備えて、備蓄用(あるいは最後の砦)として確保していた側面もあるのです。
私達日本人にとっては、アビガンは日本が開発した薬ですので、今後もし新型コロナウイルス感染症に効果がはっきりすれば、比較的早めに使用が可能になるのかもしれません。 インフルエンザウイルス同様により早期の段階での内服治療が行われ、早期にウイルス量が減ることに期待をよせているのです。 新型コロナウイルスなんかに負けるなです👊

2020年4月 1日 (水)

下痢の一般論

今日のFM放送は下痢と便秘について話をしました。皆様方の関心事とコロナウイルス感染症と思いますが、ブログには下痢の状態の一般論を書いてみます。

便の中に含まれる水分量は70〜80%で、残りの固形成分の中で多いのは私達の食事成分よりも、実は大腸菌などの菌と菌が死んだ残渣が多いのです。 便の形を決めるのは主に便の水分量によることになります。便の中の水分量が増えて、80%以上では「泥状」となり、90%以上になると「水様便」となります。70〜80%はバナナ状の便となり、70%以下の水分なら硬いウンチ、更に水分が減ると山羊やウサギのようなコロコロ便になってしまいます

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水分が多くなると下痢の状態となります。その原因は幾つかありますので、説明して行きます。

 1番目が水分吸収障害です。これには、生まれつき消化・分解酵素が少なかったり欠損のため、牛乳や茸によって下痢が起こる場合と、手術で小腸を切ったために吸収する面積が少なくなった場合に起こります。 私は牛乳飲むと下痢するのよという方は、これに当たるかも知れません。

 2番目の原因として、腸液などの水分の分泌増加があげられます。この代表的なものは、コレラとか病原性大腸菌などによる感染性腸炎とウィルス感染によるものです。その他、特殊な炎症性腸疾患や赤痢などによる消化管粘膜障害、慢性膵炎、あるいは下剤の効きすぎもこの中に含まれます。

 3番目に消化管の運動異常があります。腸の運動を速めるものとして、下剤、感染性腸炎、過敏性腸症候群があります。逆に運動の低下を引き起こすものとして、糖尿病による胃腸機能障害が有名です。また、ストレスや自律神経失調症はこの運動異常をもたらす原因の一つと考えられています。 便の状態が海苔のような黒っぽいどろどろした便が出たら、胃や十二指腸の潰瘍から出血している可能性が高いので、すぐに病院に行くこと。

原因はともかく、ダイエット甘味料や抗生物質の濫用で重篤な下痢を生ずることがあるので気をつけましょう。

この様に下痢と言っても色々な原因がありますので、単に下痢止めを使うかというと問題になることもあります。 急性の下痢の場合は有害物質を排除するために行う体の自己防御機構との側面もあります。 つまり、毒素やバイ菌などが増えた場合、下痢をすることで、それらが体内に留まる時間を短くしている訳です。 そのことを考えると、下痢の治療は単に排便を止めることを主眼にして行うべきではありません。まず大切なことは脱水を防ぎ、下痢の原因を調べることが必要となります。

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4月1日の仕事始めで、当院でも初めての医療現場の方も10名以上いました。こんな時期に入職された皆様方は特に大変だと思いますが、頑張って乗り越えて欲しいと願っています。 私の方も新年度初日から緊急の手術もあり更新も遅くなりました。 頭のリフレッシュのために上のイラストを描いてみました。怒らないで下さいね💖

 

2020年3月25日 (水)

咳喘息とコロナウイルス感染症

今日のFM放送は春先の体調不良と咳喘息について説明しました。やはりこのご時世、皆様方の関心事はコロナウイルスだと思います。

以前のブログの咳喘息についてはhttp://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-4de0.html )に書いていますのでよろしければ参考にされて下さい。

新型コロナウイルス感染症については如何に正しい情報を元に「正しく恐れて」対策をする必要があると考え、ラジオ番組やこのブログでも書いて来ました。 そして私も尊敬するノーベル賞受賞者の中山伸弥先生がコロナウイルス感染症ついて、ホームページを立ち上げ、判りやすく書かれていますので、是非多くの皆様に読んで欲しいと願っています。→( https://www.covid19-yamanaka.com/index.html )

今年は新型コロナウイルス感染で春先も大変ですが、通常の4種類のコロナウイルスやインフルエンザを含めて冬場を超えると少なくなり、その後春先にはりんご病やウイルス性胃腸炎、水ぼうそう、麻疹、風疹が増える時期へと変化するのですが・・・

もちろんこれらのウイルスがコロナウイルスで減少するわけではないと考えますので、色々な感染症の可能性を考えて対応しないといけないと考えます。なんとか踏みとどまるためにも国民1人1人の忍耐と思いやりが必要となります。

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東京オリンピックが延期となりました。このオリンピックに標準を合わせて調整して来たアスリートの皆様方の無念さを思うと心が痛むのですが、個人的には予定通りの開催は無理と考えていましたので、これでスッキリとします。アスリートの皆様方も気持ちを切らさずに頑張って頂きたいと願います。 今後は全力を挙げてコロナウイルス対策です。 そして、根本解決のワクチンや治療薬の開発が加速して、可能な限り早い段階で東京オリンピックが安全に安心して開催されることを祈りたいと思います。

小児に関しては「日本小児科学会のホームページより参考→https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326

この様な状況では感染のリスクもお年寄りや身体の弱い方が影響を大きく受けます。社会的にもそれは当てはまります。 封じ込めで、規模の小さな事業所ほど影響を受けるはずです。政府も感染対策の一環として、中小企業や零細企業を守る為にも有効な経済対策を講じて欲しいと願います。

今後とも国民が一丸となって、このウイルスを封じ込めてゆきましょう👊

2020年3月 4日 (水)

室内待期時には深部静脈血栓症に注意

新型コロナウイルス感染の対策が新たな段階になり、学校などでの休校やイベントの中止が行われています。寒い冬場に高齢者の方々も外出を控えて室内ですごさられいる方も多いと考えています。あるいはデイケアや訪問看護も控えることで運動不足となることも懸念されます。 決して外出を控えてではなくて人混みの少ない公園などや近所を散歩されることは健康維持のためにも有用であると考えています。

今日のFM放送は主に深部静脈血栓症やそれに伴う急性肺血栓塞栓症について話をしました。以前にもブログで書きましたので重複することもありますがご了承下さい

皆様方の多くも「エコノミークラス症候群」と言う名前を聞いたことがあると思います。エコノミークラスに多い例えなのですが、何もエコノミークラスに限ったことではありません。要は長い時間同じ様な姿勢で座ったりすると、足(特に下腿)の静脈の流れが腰も曲げて膝も90度曲げた状態も重なり停滞してしまいます。長い間血液が停滞すると、血管の中で血液が固まってしまうことがあります(静脈血栓)。

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それが動いた時などに足の静脈で固まった凝血塊が血液の流れに乗って心臓に向かって流れてしまうことがあります。 下大静脈から右心房→右心室にながれ、最後は肺動脈の中に移動します。 肺の中で血管は徐々に細くなるために、この凝血塊(血栓)が肺動脈に引っ掛かり詰まってしまいます。 これが肺血栓塞栓症で、大きな血管に引っ掛かる場合は急に呼吸困難や心不全となり急死することもあるのです。

時々、「血の塊が出来たら頭に流れて脳梗塞になる心配があるのでは」と質問を受けることがありましたので、上の図を書いてみました(余りにも簡単すぎて怒らないで下さいね😅)。 足や手に出来た血栓などは頭には行かずに肺の動脈を閉塞さえてしまいます。 一方で心房細動などの不整脈の時に、左心房の中に小さな血の塊が出来ることがあります。それが心蔵の拍動と共に胸部大動脈に流れて、それが脳動脈へと流れて行くと脳塞栓となることもあります。

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足は心臓からの距離もあり、座った場合や立ったりする時には一番うっ血してしまう場所になります。 横になっていても足を動かさないでいると静脈の流れは滞ります。

このような血栓を防ぐには、適度に足を動かした方がよいのです。

その理由を左の図の<筋肉のポンプ作用>見ながら考えてみて下さい。

足には見えませんが深い場所に大きな深部静脈が流れています。

足の筋肉を動かすと中を通っているこの深部静脈も影響されてます。

静脈弁もあることより、この静脈が筋肉の運動により停滞した血液の流れが押し出して移動しやすくなります。

この筋肉の作用を心臓のポンプ作用になぞらえて筋肉のポンプ作用と呼んで、第2の心臓とも言っているのです。

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では予防策はとなると、皆様方も飛行機に乗ると、左のような足の運動の絵が入ったパンフレットを見ることがあると思います。

上記の心蔵のポンプ作用が分かればなぜこの様な運動をした方がいいのか、もう分かったと思います。

新型コロナウイルス感染で外出を控える方も多いと思いますが、室内でもいいですので適度な運動や行って下さいね。

このように屋内で過ごす時間が多かったり、長時間のフライトでは足の運動を適度に行って深部静脈血栓症を予防して下さいね。

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