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医療

2017年4月12日 (水)

健康管理は日々の体重測定から

日頃、余りダイエットなどを考えていない私ですが、日本医師会報に「健康長寿を延ばすためには適正な体重管理は日本型食生活と運動で」というパンフレットが入っていました。普段は外科的なこと以外はスルーするのですが、前々回に健康長寿の話をブログに書いたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-7925.html )読んでみました。なるほどと思える点も多かったので要点を書いてみます。

体重管理や生活習慣病予防のためには、食事の管理を運動が重要であることは皆様方もよくご存じだと思います。

これまで食事の摂取カロリーの基準は性別・年齢・身体活動にあわせて、1日の摂取カロリーは○○○カロリーから○○○カロリーとしてエネルギー量の基準値を用いていました。 しかし毎日の食事の取り分をいちいち計算して食べたり、どれぐらいのカロリーを消費したのかなどを小まめに計算して栄養管理を行っている方は殆どいないと考えます。

Th_552dace8b668d3a874a464c5947bde0b これを読まれている殆どの方は成長期を終えたでしょうから、エネルギーの摂取量と消費量のバランスで体重の増減が決まります。国は2015年から食事摂取基準のエネルギー管理をBMIを基準とした指標に変えました

私達は肥っているか肥ってないかを単純に体重だけで考えがちですが、60Kgの方が肥っているのか痩せているのか判断出来ません。その人の身長が180Cmならやせ形でしょうし、150Cmなら小太りなはずです。
そこで登場するのがBMI(ボディー・マス・インデックス)という指数で、身長と体重から肥満度を表しています。 体重(これはKgの単位)÷身長(これはメートル単位)÷身長で計算します。 (160Cmで60Kgなら BMI=60÷1.6÷1.6で23.4となります)

日本人の体重の望ましい値をどの程度にするかを、多量のデーターを元に判定しています。総死亡率がもっとも低かったBMIを基に、疾患別の発症率・死因などを総合的に判断して、分かり易いように単純化して示しています。

具体的なBMIの目標値はとなると:18〜49歳のBMI基準値は(18.5〜24.9)、50から69歳までは(20.0〜24.9)、70歳以上では(21.5〜24.9)となっています。 どの年代でもBMIで25以上なら肥りすぎとなります。 この値のもう一つは、「肥りすぎはよくない」けど「痩せすぎもよくないよね」ということを暗に示しています。 年齢と共にBMIの下の基準値(低体重)が高くなっているのは、高齢者では衰弱による体重減少などもありますので、低体重により厳しい基準を設けているのです。

平成27年度の国民健康・栄養調査においては、BMIが25以上の肥満は男性で29.5%、女性で19.2%です。日本人の肥満者は年々増加を辿っています。その原因は過食、特に脂肪が多い欧米型の食生活と運動不足によるものと考えられています。日本人のライフスタイルは戦前は低栄養・高活動性から戦後は高栄養・低活動に急速に変化したことによるといわれています。

BMIの増加に伴い内臓脂肪が増加します。内臓脂肪の増加は糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の悪化を招き、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高め,ひいては健康寿命を短くしてしまいます。

ダイエットなどの知識は殆ど持ち合わせていませんが、ダイエットの為には食事と運動という習慣を長期で見直さなければいけません。それこそライフスタイル変える程のことが必要ですので、巷で沢山ささやかれている○○ダイエットなどで急速に痩せるようなことは決していいことではないと考えています。ローマは1日で成らずですが、ダイエットも1日で成らずなのです。                                       

肥満の治療の基本は食事療法で、6ヶ月かけて3%の体重減をTh_587854 目指す程度がよいとされています。極端なダイエットはカロリーだけでなく必要な栄養素不足を招き、不健康状態にしてしまいます。偏った食事や極端なカロリー制限による結果はまだ人間の歴史の中で経験出来ていませんので、子供の頃から死ぬまでそのような食生活をしてよかったという証拠もないのです。

具体的な減量を計算してみますと、脂肪組織の1Kgは7200Kcalとなります。これまで食べていた1日量のうち、1日あたり300Kcalを制限すれば、1ヶ月で体脂肪が1Kg減量可能となります。食事を制限すればもちろん体重は減るでしょうが、運動もあわせて行わないと筋力の低下も起こりますので注意が必要です。これまでの身体活動に加えて10分だけ毎日体を動かす「+10(プラス・テン)運動も提案されています。

書店に行けば永遠のベストセラーとなっれいるダイエット本が並んでいるわけですから、簡単ではないと理解しています。 一緒に頑張って行きましょうscissors

2017年4月 5日 (水)

ウンチの状態のチェック

今日のFM放送は「過敏性腸症候群」について説明しました。この病態については以前ブログに書きましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-221e.html )、今日は私達のウンチについてのうんちく(蘊蓄coldsweats02)を話したいと思います。

Th__6 よく便は「健康のバロメーター」と言われています(まあ、沢山のバロメーターが言われていますが・・・)。
・・・排便後、直ぐに証拠隠滅を謀りたいと思うかも知れませんが、流す前に自分の便の状態をチェックしましょう。

<回数>排便の回数は人によりまちまちです。便通は毎日ある方が多いと思いますが、1日おきあるいは2日おきでも、特に腹痛などもなく日常生活に支障なければ便秘とは言いませんし、逆に1日に数回あっても下痢とは呼んでいません。

<量>便の量はもちろん食べる量にもよりますが、1日辺りで平均して150〜200gといわれています。日本人の方が一般的には欧米人より多めと言われていますが、多くは食事の繊維質の量が関係しています。

<形状>便の中に含まれる水分量は70〜80%で、残りの固形成分の中で多いのは私達の食事成分よりも、大腸菌などの菌と菌が死んだ残渣が多いのです。 便の形を決めるのは主に便の水分量によることになります。便の中の水分量が増えて、80%以上では「泥状」となり、90%以上になると「水様便」となります。70〜80%はバナナ状の便となり、70%以下の水分なら硬いウンチ、更に水分が減ると山羊やウサギのようなコロコロ便になってしまいます。 病的なものとしては上部消化管の出血で起こるネットリとした黒色便、腸の慢性炎症で起こる「粘液便」などは早めに医療機関を受診する必要があります。

<色>一般的な便の色の表現としては黄茶色の便ということですが、これは肝臓から排出される胆汁による色となっています。胆汁が排泄されないような閉塞性黄疸などは便の色が白くなるため「白色便」と表現されます。同じ正常便でも、便の通過時間が短ければ黄色に傾き、長ければ茶色が強くなります。 緑っぽい便はこの胆汁酸の回収が上手くいかない場合や細菌性腸炎などの感染を伴うと起こります。 血液は最初は赤いですが暫く経つと酸化されて黒っぽくなります。 ですので、肛門に近い部位での出血は赤い色が強く(イボ痔などや直腸からの出血など)なります。それに対して、胃や十二指腸などからの出血は便になるまでに酸化を受けて黒っぽくなります。

・・・便からも色々なことが分かるわけです。短い間ですが共に過ごした仲ですので流す前にチェックをする習慣をつけたらいいのではないでしょうかhappy01

2017年3月29日 (水)

骨の強さは骨密度だけでなく骨質も重要

先週に引き続きFM放送では私達の骨に関わる話し、今週は特に骨粗鬆症について話をしました。主に整形外科で扱う疾患ですので、私の専門分野の外科ではありませんので詳しくはありませんが・・・coldsweats01

高齢化社会と共に問題になっているのが骨粗鬆症による骨折リスクの増大です。骨の強さ(骨強度)は実際の骨の量(骨量、骨密度)と骨の質(骨質)によって決まります。骨の量はレントゲンやMRIなどで数値化され、一般的に骨密度検査と言われ、多くの医療機関で行われています。 一方、骨質は捉えらづらいもので、骨密度以外の骨の微細構造や代謝などが骨質としてまとめられて表現されています。

以前は骨密度の低下が骨折リスクの全てだと思われていましたが、骨密度が低くなくても骨折する方も多く認められたことより、より現実に骨折リスクを判断する為に骨強度という表現が使われています。 

Th_303722 おおよそ骨折リスクは骨密度が7割、骨質が3割関わっていると推測されています。

骨密度の検査はいくつかの方法があり、よく行われている検査です。成人の骨密度の平均値で表す場合が多く、おおよそ80%以上なら正常、70〜80%未満は骨量減少、70%以下になると骨粗鬆症と判断しています。

骨質の検査はまだ確率はされていませんが、主に骨代謝マーカーを血液や尿検査で調べて判定しています。骨代謝のマーカーは骨形成マーカーと骨吸収マーカーに分類されます。簡単に言ったら前者は骨を作る方の値で後者は骨を破壊(脆く)する値となります。

そのために骨密度が正常でも、骨吸収マーカーが相対的に骨形成マーカーより高い場合は骨折の危険が高いと判断しています。

今回は骨の強さは骨密度だけでなく骨質も影響していることを説明しました。

2017年3月22日 (水)

健康寿命を目指すために

日本人の平均寿命は年々延びています。それは非常に良いことですが、晩年まで健康でいられるかどうかで人生が大きく変わるのも確かです。

いわゆる健康寿命と平均寿命との差が長いほど、不健康な状態で過ごす期間が長いこととなります。健康寿命とは健康で日常的に「介護を必要としない」で「自立した生活ができる」生存期間のことで、日本人の健康寿命は男性71.19歳、女性で74.21歳となっています。対して平均寿命は男性で80.21歳、女性で 86.61です(いずれも厚生労働省「平成25年簡易生命表」より)・・・・と言うことは、男性で9年、女性で12年余り不健康で晩年を過ごすことになるのです。

Th_ 健康寿命を阻害する大きな要因として、内臓脂肪症候群・運動器症候群・認知症が上げられています。
日本で介護保険制度が出来て、その中で要介護や要支援の原因をみていくことで、これらを改善する必要があることも見えて来ます。

(平成16年度厚生労働省国民生活基礎調査より)要介護の要因;脳卒中(29%)、老衰(15%)、認知症(13%)、転倒・骨折(11%)、関節疾患(9%)
要支援の原因;老衰(15%)、関節疾患(18%)、脳卒中(12%)、転倒・骨折(11%)、心臓病(7%)

これから見ても要介護や要支援の原因となるのが、動脈硬化を基礎とする生活習慣病、認知症の他に、骨・関節・筋肉などの運動器の働きが衰えることによることが原因と判ると思います。

私の外科の範囲ではありませんが、整形外科学会では運動器の障害による移動機能の低下した状態を「運動器症候群:ロコモティブシンドローム」と定義し、健康寿命促進のためにロコモ対策として運動指導などを推奨しています。

今回はメタボリック対策や認知症は有名ですが、この運動器症候群も健康長寿には重要であることを説明しました。

2017年3月 8日 (水)

震災時の緊急搬送法

今日のFM放送は災害時の応急処置について話をしました。以前外傷や骨折、クラシュ症候群についてはブログで書いたことがありましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-3959.html )、今回は災害救出時の搬送法について書いてみます。当然救急処置の必要な場合は心臓マッサージなどは行った後あるいは行いながらになる場合もあります。

意識のない人間は非常に重いです。訓練時などで、毛布などでくるんで搬送する場合や、担ぐ場合も抱っこするにしても意識がある人は自然に頭や手を保持しながら運び易いようにするのですが、実際に意識のない人の場合はダラリとして運び難くなります。人間はこんなに重いと実感します。

Th_ 1人で1人を運び出すのは、余程小さな子供でなければ抱っこで運ぶことは出来ませんので、引きずりながらでも、安全な場所まで移動することが必要となります。 

下手な絵ですが左に書いてみました。意識レベルが比較的保たれている場合に背負うことが出来れば、長距離の移動も可能です。その場合に途中で急変する場合もありますので、傷病者の両腕を握り締めておくことにします。急に意識が消失しても後ろに転倒することを防ぐことが出来ます。

意識がなくて余震が続く中で危険な場所から移動する場合は、最悪の場合は両手や両足を引きずって移動することもありますが、可能なら左の下段の絵の様に相手の後面に廻って上体をひい上げるようにしながら移動すると相手の二次損傷も防ぐことが可能と考えます。

二人いれば、左の下段の前方をあと一人の方が抱えて持ち上げ、図とは逆に足の方向に進めば持っている二人の視界も保つことができます。交換ずつ行えば、長い距離を移動することが可能となります。この場合も傷病者の胸や腹部を圧迫してしまうため、担架のような平坦な状態で移動できればもっといいと考えますので、ネットなどでも簡易の担架などの作り方もありますので参考にされて下さい。                      Th_365815

あの未曾有の東北大震災からもうすぐ6年です。私達は、巨大地震が何時でも起こりうる日本に住んでいることを改めて自覚しなければいけません。

もう一度身の安全のために日頃から出来ることを確認しておく必要がありますね。私自身も気をつけなければいけません。

2017年3月 1日 (水)

座骨神経痛

今日のFM放送は間歇性跛行について話をしました。以前間歇性跛行を発生する2大疾患の脊柱管狭窄と閉塞性動脈硬化症についてはブログに記載しました(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-9e10.html )。

今回は間歇性跛行とも関連のある座骨神経痛について書いてみます。
座骨神経痛を患ったことのある方は成人の40%近くおり、20%近い方が現在も症状を有しているとのこの報告もあります。その数のみならず実に多彩な症状を出す病態です。

Th_ 少し長くなるのですが、急がば回れで、座骨神経の解剖からお話しします。座骨神経は末梢神経の中で一番太く長い神経です。座骨神経の始まりは、左右それぞれの腰椎の一番下の第4.5番目とそれに続く仙骨の第1〜3番めの神経から出てきます。骨盤の後面を通り、骨盤の後面の筋肉の梨状筋の前面あるいはその中を通り、お尻から大腿後面に出てきます。大殿筋と大腿二頭筋の間を下降して、大腿後面の屈筋群などに枝をだし、膝の後ろを更に下降して、下腿、足部へと繋がって行きます・・・足の短い私でも、きっと座骨神経が私の中でも一番長い末梢神経なのですhappy01 

またこの神経の特徴として、運動神経、知覚神経、自律神経を含んだ複雑な神経であることも症状が多岐にわたる理由です。単純にすると運動神経の異常では筋力の低下や麻痺になりますし、知覚異常なら痛みが出たり、感覚の異常が出たりしますし、自律神経の異常は温感や血流、発汗などにも関与してきます。

これだけ長く、腰部からお尻、大腿部、下腿部、足部まで支配している神経ですので、それが圧迫されたり、炎症を起こすとその領域で多彩な症状を起こすことも、この解剖を知ればご理解頂けるのかも知れません。座骨と付いてもお尻だけの症状ではないのです。

これは腰痛と同様に痛みの状態を指しているのであって病名そのものではありません。腰痛も腰椎椎間板ヘルニアだったり 筋肉の緊張などのよって起こる症状をさしています。
座骨神経痛とは、座骨神経に沿った部分に痛みを感じるために、この神経が何らかの原因で異常を来して痛みとして感じる状態を指しています。

座骨神経痛を来す疾患として、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄が上げららますが、神経の走行の異常や圧迫などがあればその部位部位で多彩な症状が出ます。 座骨神経痛の診断や治療は難渋することもあるのですが、まずは整形外科やペインクリニックの先生などに相談して、ヘルニアや脊柱管狭窄などの器質的な疾患がないかを調べて貰うのがよいと考えています。

治療は保存療法が主ですが、保存療法が効果がなく、3ヶ月以上持続する神経痛、進行性の筋力低下が認められる場合、馬尾障害(跛行、疼痛、排尿・排便障害)を伴う座骨神経痛などでは手術療法が選択されるようです。

まあ、何時もの通り私の専門外のことですので、難しいことは分かりませんのでご了承下さいcoldsweats01

2017年2月22日 (水)

冬場の溺死

今日のFM放送は冬場の寒い時期に起こる病気について話をしました。冬の時期と言えば、インフルエンザやノロウイルスなどのウイルス感染症が増加しますし、寒いために血圧の変動も強くなるため、脳卒中や虚血性心疾患、寒さのため厚着や雪などでの転倒・骨折も増える時期となります。

Th_704705 唐突ですが、水に溺れて死んでしまう状態を溺死と呼んでいます。何となく夏の海水浴シーズンにみられると思いがちですが、溺死は冬場に多いのです。

今や交通事故による死亡者は年間5000人を切るようになったのですが、入浴中の死亡事故は年間1万4000人と言われ、交通事故死よりもずっと多く、その原因の一つが溺死と言われてもいます・・・少しビックリではないでしょうか? 家庭の風呂場で溺れて死亡した人数は統計上年間4000人から5000人に及び、ほぼ交通事故死亡者数と同じ程度となっているのです。

寒さは私達の体に刺激を与え、交感神経が緊張状態となります。急に寒い場所に出たときなどは血圧が30から50mmHgも上昇すると言われています。例えば普段から150/90と血圧が高い方が寒さの刺激を受けると、急に180から200まで最高血圧が上がることになります。それにより、心筋梗塞や脳卒中が増えると言われています。

寒いとやはり暑い湯に浸かりたいと思うでしょう。ここにも落とし穴があります。寒い寒いと思いながら脱衣所で服を脱ぎます(血圧が一気に上がります)。 今度は暑い湯の中に入り込みます(すると急激に血管が拡張し、血圧が一気に低下します)。湯船に浸かりながれ急激な血圧の上昇、低下で意識がなくなる方もいます。 お風呂場は家族でも目に付かないところです。 湯船に入り意識を失い、湯の中で溺死しても誰も気づきません。 家族がお風呂から上がってくるのが遅いと風呂場に行ったら、水の中の沈んでいたということも多いのです。

このような血圧の変動を最小限にするためには、脱衣所の温度をTh_9d755dd57dff77dbdf4281cf2db0a717 上げておくこと、湯に入る前にかけ湯をして暑い温度にならしながら、湯船に入る、出るときもゆっくりを腰掛けたあとに出るなどの工夫が必要かもしれません。

家庭風呂での死亡者の90%は65歳以上が占めていますので、基礎疾患に加えて、高齢やはこの様な温度差に気をつけながら対策を練る必要があると考えています。

2017年2月 8日 (水)

膝の痛みにサプリメントは?

今日のFMは膝の関節の痛み、主に膝関節の軟骨の経年的使用で摩耗した軟骨により起こる変形性膝関節症について話をしました(整形外科が専門ではありませんので一般論ですが・・)

Th_174949 膝の痛みに対して余りにも多くのサプリメントが販売されています。これを飲めば症状が直ぐに改善するような謳い文句を書いてあるものも見受けられます。では実際はどうかとなると、現時点では効果の判定は不十分ということしか言えません。
おそらく膝の痛みなどに効くと広告されているサプリメントとしては「ヒアルロン酸」「コンドロイチン硫酸」「グルコサミン」「プロテオグリカン」「コラーゲン」・・・などではないでしょうか? ・・・何故これらが消耗した軟骨による痛みに効くと宣伝されるようになったのでしょうか?

一つは如何にもらしい根拠です。実はこれらの成分は関節の軟骨や関節液の主成分なのです。 だからそれを補充すれば関節の軟骨が正常化して症状が改善するとうたいたいのでしょう・・・何となく科学的で理路整然している様にも思えます。

人間は食べ物から色々な体の成分を作ります。例えば栄養素として炭水化物、脂肪、タンパク質として体に入ってきても、それがそのまま私達の体の炭水化物、脂肪、タンパクになるわけではありません。 まずそれらを消化吸収し、最小の単位まで分解処理して(炭水化物→ブドウ糖、脂肪→カイロミクロンなど、タンパク質→アミノ酸)、それを材料として主に肝臓で、私達1人1人のDNAの設計図に沿って、私達自身の体の成分が作られていきます。 

当然ですが、例えば脚の速い馬の肉を食べても私達の筋肉は私達の筋肉にしかなり得ません・・・それと同じですcoldsweats01。 

なぜこの様なことを長々と書いたかというと、外から例えばヒアルロン酸を沢山取ったとしても、あるいは軟骨の付いたソテーを沢山食べたからといっても、これが私達のヒアルロン酸にはなりませんし、すぐに血液の中に入り私達の関節の成分にはならないのです(分子レベルで言うとヒアルロン酸はアセチルグルコサミンとグルクロン酸が結合したムコ多糖類で、消化されてブドウ糖としてし小腸から吸収されています)。

Th_105996 関節の痛み→関節軟骨の消耗→関節成分を食べる→すり減った軟骨が正常化・・・なんて頭で考えるような単純なことは起こらないのです。 まあヒアルロン酸をとって、巡り巡って関節の成分になるかもcoldsweats01しれませんが・・・あまり理論的ではありません。

関節炎などで関節に水が貯まることで更に関節炎の症状が悪化する悪循環がある場合は、炎症のある関節液を抜いた後に、正常なヒアルロン酸を関節内に直接注入するのであれば効果は期待されますが・・・それを飲んでも直ぐに関節に移行するとは思わない方がいいと考えます。

私は全てのサプリメントを否定するほどの知識は持っていませんので、関節の痛みに関しては安易にサプリメントではなくて、整形外科などの専門の医師と御相談されて治療を始める方が痛みの解決への近道と思えるのです。

2017年2月 1日 (水)

体の柔軟性

今日のFMラジオは私達の関節について話をしました。骨と骨の間をつなぐ部分を関節と呼んでいます。人間の体にはおおよそ265個あります。 骨格を支える骨に関節がなければ人間は自由に動けません。 Th_ この骨と骨の間に複数の筋肉が付いていて、その始点と終点を筋肉が収縮することで骨が動き、付随して体が動くことが出来るのです。

この関節の可動域が広いといわゆる、「体が柔らかい」と言う状態になります。
立って前屈をしても手が全く床に届かない方もいますし、手の甲まで届く方もいます(もう長い間運動はしていませんが私もまだ手の甲が着きますscissors)。

人間の関節には色々なタイプがあります。肩関節などは、上腕骨と肩の関節が丸い球状となっているため、左右上下あらゆる方向に回すことが出来ます。
肘や膝などは一方向に曲げることは出来ても反対方向には曲がらないような、蝶つがいのような構造になっています(車軸関節と呼んでいます)し、手首や足首などは鞍馬のような形になっているため「鞍関節」と呼んでいます。

体が柔らかいのは、骨が硬い訳でも、関節が硬いわけでもありません。関節自体が私達の骨格を支えて動かしているわけではありません。関節の前後を支える靱帯と筋肉の問題なのです。
関節の付着部の骨には筋肉と筋肉の延長上にある靱帯があります。実は関節が柔らかいのはそれに着いている筋肉の伸びがよい状態なのです。

基本的に関節の骨と骨の間に付着した筋肉が収縮することで体が動いてゆきます。 筋肉は縮む方へと自然に流れてゆきます。 例えば寝たきりになって、何もしなければ、関節は拘縮し、筋肉も弾力を失って、縮む方向に向かいます。そのため、手や足は体の方に縮む状態となって固まってしまうのです。

体を柔らかくするためには、この筋肉をゆっくりとストレッチして、十分に伸びるようにしてゆきます。これで人間の生活上は十分な可動域が得られます。

Th_3bfc1042b896efe7f566d1b82f2d33a1 これ以上に伸ばそうとすると、今度は関節周囲を被っている強靱な靱帯まで伸ばす必要があります。靱帯は関節の移動を必要以上にならないように抑えています。この靱帯が必要以上に伸びてしまう場合は、脱臼が起こりやすい状態となります。習慣性の肩関節の脱臼やチョッとした欠伸などでも顎の骨が脱臼したりしてしまう状態となってしまいます。

日常の動作では筋肉の弾力を保つことで十分な可動域が保てます。これ以上なると例えばバレリーナのような通常を越えた可動域となります。ほぼ180度に近い股関節の開きとなるのですが、これは筋肉の伸展性に加えて、更に股関節を固めている靱帯も伸びる程の訓練した結果なのです。

・・・と言うわけで、私達並の人間が脚が必要以上に広がった瞬間は股関節の脱臼や骨折などの緊急事態となりますので、無理はしないでおきましょう・・・bleah

2017年1月25日 (水)

脳卒中とリハビリ

今日のFMは寒い時期に気をつけないといけない脳卒中について話をしました。以前のブログに脳卒中の病態(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-a337.html )や大脳の機能局在(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-314f.html )については書いています(よろしければご覧下さい・・・)。 私は外科医であって脳外科や神経内科、リハビリについては素人変わりませんのでご了承下さいcoldsweats01

私の脳細胞は非常に弱く、血液が詰まったり、出血したりしてその部分が完全に酸素が欠乏すると3〜5分で細胞は死んでしまいます(ただその周りの多くの細胞は瀕死の状態でまだ死滅していない部分も多く、超急性期は血栓溶療法などの救急医療が行われ、脳細胞のダメージを最小限にします)。

脳はその局在で色々な機能に別れています。死滅した脳細胞が担当していた機能が消滅することで様々な症状が出現します。その中で1番残りやすく分かりやすい後遺症は、手足の麻痺ではないでしょうか。

Th_ それを例にリハビリについて説明します。多くの方が気になるのは、リハビリをいつから始めたらいいのか、いったい効果はあるのか、いつまで続ければいいのかではないかと考えます。

身体の機能を時間軸で観ると、発症して症状が出現、診断、治療がまず行われ、病態が比較的安定した時期よりリハビリを併用しながら、身体が回復する時期が3週間から6ヶ月頃となります。特に3ヶ月頃までは比較的順調に機能が回復しますが、その後肉体的な回復は半年から1年ほど経つと鈍化し、次第に改善はなく固定化してしまうケースが多く認められます。

このことよりリハビリにおいては「6ヶ月の壁」と呼んでいるようです。 発症からこの4〜6ヶ月の間に重点的に回復期のリハビリを行ってゆきます。この回復期のリハビリテーションを専門とする病院などもあります。

それ以降になると、大きな改善は認められなくなります。ではリハビリは必要ないかと言うとそうでもありません。機能の維持や生活の質の向上のためには、今度は自分や家族と共にリハビリを続けたり、デイサービス、デイケア(通所リハビリ)、訪問リハビリなどを利用して、機能の低下を防ぐようにする維持期への移行となります。これは生涯続ける必要があります。

最近では脳卒中などの発症時期の早期から急性期のリハビリテーションを行うことが多くなり、リハビリの開始時期も次第に早くなる傾向があります。早い段階からリハビリを開始することで、機能回復レベルが高くなると言われています。

しかしこの時期はまだまだ、病態が不安定で、無理すると更に危険な状況ともなります。内科や脳神経外科などの専門医と連携しながら、体に負担にならないように、ベット上でリハビリの併用療法が行われています。

この辺りは私達の手術後の治療も昔と変化して来たことに似ています。私が外科医になり出した30年以上前は術後は絶対安静でした。次第に変わり、今では術後直ぐからリハビリ、早期離床に向けて取り組むように変化しています。

リハビリテーション(リハビリ)とはラテン語でRe(再び) とhabiris(適した)から作られた用語で、つまり再び適した状態になることと直訳できます。そのために、脳卒中や手術後やスポーツ外傷などにおいても、辛くてもリハビリの重要性があるのです。リハビリをやっている皆さん、頑張って下さいねgood

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