年末が近づき、忙しさと寒さが重なるこの季節。
「最近寒がりになった」「なんだか疲れやすい」「汗が止まらない」——そんな症状を年齢のせいやストレスのせいにしていませんか?
その影に、小さな臓器・甲状腺のトラブルが隠れている場合があります。
◆ 甲状腺はどこにある?
甲状腺は、首の前側、のどぼとけのすぐ下にある重さ20gほどの小さな臓器です。
正面から見ると、真ん中でくびれた“チョウチョ型”の形をしています。
甲状腺の唯一の仕事は、甲状腺ホルモン(T3・T4)をつくること。
このホルモンは全身の細胞の“エンジン回転数”を調節し、体温・代謝・心臓・精神状態などに深く関わっています。
◆ 甲状腺ホルモンが増えすぎたとき(甲状腺機能亢進症)
代表的な病気が 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など) です。
特徴的な症状は次のとおりです:
- 暑がり・汗が多い
- 動悸、脈が速い
- やせてくるのに食欲は旺盛
- 手の震え、不安感、イライラ
- 不眠
- 首の前が腫れて見える(甲状腺腫)
- 一部の人には眼球突出が起きる
心臓に負担がかかったり、未治療のままだと重大な合併症である甲状腺クリーゼを起こすことがあり、これは命に関わる危険な状態です。
治療は
- 抗甲状腺薬
- 必要に応じて放射線治療
- 妊娠の希望などによっては手術
が一般的です。多くの場合、適切な治療で生活は大きく改善します。
◆ 甲状腺ホルモンが少なすぎたとき(甲状腺機能低下症)
これが 甲状腺機能低下症(橋本病など) です。
機能亢進症とは正反対の症状が見られます。
- 寒がり
- むくみ(特に顔・足)
- 皮膚の乾燥
- 脈が遅い
- 便秘
- 疲れやすい
- やる気が出ない、うつっぽさ
- 月経過多、脱毛、眉毛の外側が薄くなる
- 体重が増えやすい
中年以降の女性に多く、
「年齢のせい」「更年期だから」と誤解されやすい点が問題です。
橋本病(慢性甲状腺炎)は日本人医師・橋本策先生が世界に先駆けて報告した病気で、自己免疫の異常によって甲状腺がゆっくりと破壊され、ホルモン不足になっていきます。
採血で正確に診断でき、
ホルモンを補う内服治療(レボチロキシン)が大変有効です。
◆ 甲状腺とヨード(ヨウ素)
甲状腺ホルモンをつくる原料が ヨード です。
- 海藻類(特に昆布)に多く含まれる
- 日本は海産物が豊富なため、慢性的なヨード不足は少ない
- 一方、中国内陸部にはかつてヨード不足による甲状腺腫が多かった
この「地域差」が、思わぬ歴史的つながりを作っていきます。
◆ 琉球王国は“コンブロード”の中継地だった(以前のブログ➡︎琉球王国と進貢貿易)
◆ 「年齢のせい」にしないために
甲状腺はとても小さな臓器ですが、
体温・代謝・心臓・精神状態・むくみ・月経・体重……
本当に多くの機能に関わっています。
- 暑がり・汗・動悸 → 亢進症のサイン
- 寒がり・むくみ・だるさ → 低下症のサイン
どちらも採血で確実に分かる病気で、
治療により生活の質は大きく改善します。
「なんとなく調子が悪い」が続くとき、
ぜひ一度 甲状腺ホルモンの検査を思い出してみてください。
早めの気づきが、健康な毎日を支える大切なポイントになります。
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