なぜ食中毒は減らないのか?
2022年8月24日のFMレキオ「いききタイム」は食中毒の第二段として食中毒が減らない原因や対策等を話をしました。
戦後、日本も豊かになって、冷蔵庫をはじめ様々な電気器機に囲まれた生活をしていますし、食生活も豊かになってあえて腐れかけた食べ物を食しなくてすむようになったと思います。しかし戦後殆ど、食中毒の件数は減っていないのです。何故なのでしょう?
人間の五感はあてにならなくなっているです。 五感とは視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚です。食事を楽しむ方はこの五感を総動員して食べていると思います。五感も鋭い人もいれば鈍い人もいるはずですね(ドキッ・・)。
まず1つ目は、食中毒の菌が増殖した場合でも、見た目も味も匂いも変化がないのです。 食べ物の色が変だったり、臭かったり、味が酸っぱかったり、糸を引くようなら,五感の鈍い人でも「腐っている、やめておこう」となるはずです。この様な変化は腐敗菌により起こって来ます。
腐ったらやめておこう。そう単純だったら良かったのですが・・・人間の飽くなき追求により、食べ物が微生物により分解され変化する中で発酵食品などは食べれる、食べても大丈夫と経験を積んで来たのです(最初に食するには勇気がいったのかも知れません)。
同じ微生物による分解の中で、食品中の糖分が分解されて、乳酸やアルコールなどが生成される過程を「発酵」と呼んでいます。それに対して食品中のタンパク質やアミノ酸などが分解されて硫化水素やアンモニアになるとなる過程は「腐敗」と呼んで、いわゆる腐れた匂い、味がするわけです。 発酵も腐敗も微生物による分解ですが、人間にとって有益なら「発酵」で、有用でなければ腐敗と都合よく区別しているだけかも知れません😅
しかし、この発酵と腐敗は厳密に決まっているわけではなくて、私達の五感では区別が出来ない場合もあるのです。
もう1つ食中毒が減らない原因のひとつが、大脳の発達によって知識・経験が五感を越えてしまったこともあのようです。
通常生物にとってブドウ糖などの甘いものは「栄養源」として認識され、苦みは「毒」として感じる味覚センサーを持っています。 しかし人間は大脳皮質が進化したため、経験や学習を受け入れやすくなり、本来回避すべき苦み(コーヒーやビールなど)や辛み(激辛食品など)も取ることが可能となったのです。
きっと(子供の頃?)初めて味わった時は美味しくなかったはずです。 しかし本来の味覚を経験が上回り、次第にコーヒーもビールも「うま〜い」となってしまったのです。
ビールが「旨い」と感じているあなた! 食中毒を区別する五感は既に死んでいる(「北斗の拳」みたいです)と考えて下さい(冗談ですよ・・)
それではまた
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コメント
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ご無沙汰しております。
相変らず沖縄県の感染状況は
逼迫しているようですね
ニュースを見ながら先生の
ことを考えております。
今回も何故日本で食中毒が
減らないのか楽しみながら
読まさせてもらいました。
あまり深く「腐敗と発酵」
について考えませんでした
このような違いがあったの
ですね。これも勉強になり
ました。
いつもありがとうございます
投稿: ツクシンボ | 2022年8月24日 (水) 20時54分
院長先生
こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。
感染者数は減少せず病室を担当されて
いるスタッフの皆様のご苦労は大変なご負担だと思います。
患者さんに代わり感謝致します。
少しでもお疲れが取れますように〜。
食中毒も脳が影響しているのですね?
段々、衰える一方なのでせめて味覚、嗅覚が
衰えないように祈りたい気持ちです!
発酵食品は大好きですからね😋
ギター🎸弾き語りのお歌は「さがしもの」でしたね。
初めてのハンバートハンバートでしたが
うっとりと拝聴させて頂きました。
歌詞が素敵😍
今週も有り難うございました。
投稿: マコママ | 2022年8月24日 (水) 21時32分
ツクシンボさん、こんばんは。
ずっと長らく感染者の多い状況が続いている沖縄県です。経済を回すために医療は疲れ果てている状態です。しかしどの様な状況であれ守るべき命があります。医療人としての使命です。
4〜50年前と比べて流通網や冷蔵庫なども改善したはずですのに日本の食中毒患者数は変わりません。大脳皮質に支配られた人間ではやはり鈍った5感では食中毒を防ぐことは難しいそうです。
発酵と腐敗はある意味紙一重ですが、微生物にとっては同じでしょうね。
京都の方の感染状況はどうなっているのでしょうか?夏は暑いと思いますが熱中症にも気をつけてお過ごし下さい。
投稿: omoromachi | 2022年8月24日 (水) 23時09分
マコママさん、こんばんは。
皆よく頑張っていると思います。毎日のように外来の制限や入院のストップがかかる状況が続いています。職員の疲労と緊急の患者さんとの板挟みの日が続いています。 マコママさんのような方がいるだけでもスタッフは力を振り絞ることができると思います。ありがとうございます。
食中毒に関して、私たちの味覚も本能を離れて、経験の積み重ねが大きいですようです。ある意味人間の凄さでもありますが・・・😉
ハンバート・ハンバートさんの曲はこの時期力が抜けて楽しめるものでした。いつも番組を聴いて頂きありがとうございます。
投稿: omoromachi | 2022年8月24日 (水) 23時16分