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2022年6月22日 (水)

胃や大腸ポリープの癌化率と早期診断の重要性

今日の「いきいきタイム」は大腸癌について話をしました。 日本で胃癌は減少傾向にありますが、大腸癌は食事の欧米化と共に戦後一貫して増加を辿っています(以前のブログに記載しています→ 増え続ける大腸癌

今日は折角ですので大腸癌だけに絞らず胃と大腸のポリープについて書いてみました。

バリウム検査や内視鏡検査でポリープを発見することはよくあります。 ポリープを指摘された場合「いよいよ駄目か」とびっくりする方や「な〜んだポリープ」かと平気な方まで反応が様々です。

では「ポリープ」とはどのようなものでしょう?Th_消化管や口や鼻あるいは女性の膣や子宮などの粘膜から発生する隆起性病変(盛り上がった病変)をポリープと呼んでいます。 胃や大腸のポリープ、子宮頸部ポリープ、鼻にできるポリープ(鼻茸)、声帯ポリープなどが有名でしょうか。 

ポリープの原因は大きく炎症性腫瘍性に分かれ、問題となるのは腫瘍性のうち良性なのか悪性(癌)なのかということになります。

ポリープも範囲が大きいので今回は胃と大腸のポリープの絞って説明します。

胃や大腸のポリープを指摘されたことがある方は多いと思いますが、同じポリープでも癌化の発現率に違いがあります。一般的に胃のポリープは大腸と較べて癌化率は低いです(あくまで一般的であって胃ポリープの中でも癌化するのももあります)。

A:胃ポリープ過形成性ポリープ胃底腺ポリープ腫瘍性ポリープがあります。

A①:胃過形成性ポリープはピロリ菌の感染や慢性の炎症のために粘膜が肥厚し隆起したもので大きさも形も様々です。大きくなって出血したり胃の出口を塞ぐようになると良性でもポリープの切除を勧めます。癌化率は1%程度です。 

A②:胃底腺ポリープは胃底腺と呼ばれる組織が肥大化したもので、小さく多発するのが特徴で検診で最も多く指摘されますが、癌化することはなく大きくも殆どなりません。何もしなくてもよいポリープです。 

A全体としては少ないですが粘膜が腫瘍化してできた腫瘍性ポリープは良性の腺腫が殆どですが癌のこともあり経過を充分行います。癌化率は10%程度ありますのでこの場合は胃のポリープの切除を早めに勧めています

Th__20220619193201

B:大腸のポリープ過形成ポリープ腫瘍性ポリープに分かれます。

B①:過形成ポリープは腸の粘膜の炎症でポリープ様になったもので一般的に経過観察のみとなります。 

B②:腫瘍性ポリープは良性(腺腫)と悪性(癌)との鑑別が重要になります。 大腸の場合、平坦な粘膜がいきなり癌になることは稀で、多くの場合はポリープが徐々に大きくなり癌化することが一般的です。 このことより大腸癌の予防のためにはこのポリープを見つけて早めに処置をすることが重要となります。


B`大腸のポリープは大きくなればなるほどがんが率が高くなってきます。

大腸ポリープの大きさと癌化率大きさ4mm以下では0.05〜0.1%5〜9mmで7〜8%10〜20mmで20〜30%20mm以上で30〜50%となっています。この殆どが粘膜内にとどまっている癌でポリープを切除するだけで根治が期待できます。30mmを越えると進行癌が多く内視鏡的切除の適応とならないのが殆どです。

近年大腸癌が増加して、女性のがん死亡の第1が大腸癌です(大腸癌>肺癌>膵臓癌>乳癌>胃癌の順)。男性の死亡では第3位です(肺癌>胃癌>大腸癌>膵癌>肝臓癌>前立腺癌の順)。

本来大腸癌は進行もゆっくりで定期の検査(大腸内視鏡など)を行って良性のポリープや早期のがんで発見されれば殆ど治癒出来るがんの1つです。それなのに何故大腸がんが第1の死亡原因になるかと言えば、検査を受けない(受けづらい)ことが原因です。 大腸内視鏡検査は時間もかかりますし、特に女性の方はお尻から挿入される大腸内視鏡検査に抵抗があるかも知れませんが、どうか1度チャレンジしてみて下さい。国民が大腸内視鏡検査を1回でも多くトライすれば大腸癌の死亡率はだいぶ減ると考えています。どうか皆様方も大腸内視鏡検査をトライして下さいね。

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医療」カテゴリの記事

コメント

omoromachi様、初めましてチロリンチョコと申し上げます(40代🚺)。
毎年検診にて胃のポリープ(それも多数)を指摘されていますが、経過をみましょうとドックの先生からは言われております(恐らく過形成性のポリープなのでしょうか?)。
私も便の検査は出していますが、これまで大腸の内視鏡検査は受けたことがありません。なかなか勇気が出ないのが実情です。
初めてでぶしつけな質問かも知れませんが、私のように胃にポリープが出来やすい場合は大腸のポリープも出来やすいのでしょうか? 気になってしまいました。お時間がございましたら教えて頂ければ嬉しいです。
非常に分かりやすい文書で大変参考になりました。これからの益々のご活躍を祈願しております。

院長先生
こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。

拝聴させて頂きました。
ブログでは図解入りで尚一層、理解が出来ました。
大腸ポリープはは昨年、大小5個も取って頂きました!
次回は来年の予定です。
胃内視鏡検査を受け小さいポリープ1個見つかりましたが
心配なし!でした。
毎年、便潜血検査はう受けております。

義妹も末妹もガンで亡くなりました!
二人共、転移!転移で可哀想でしたよ😭
早期発見が大切ですね。

お歌は山本潤子さんでしたね。
ギター🎸弾き語りは院長先生の思い出の曲♫
青い夏💞しっとりと拝聴させて頂きました。
最後の翼をください♪は院長先生のオープニングテーマですね。
好きな曲です😍
今日も有り難うございました。


チロリンチョコさん、こんばんは。美味しそうなお名前ですね😊

検診で多くの方に胃ポリープを見つけることがありますが、多くの場合は大腸と比べて良性です。これまで何度が胃カメラを受けていますので、良性のポリープでよいと考えます。引き続き検査は受けて下さいね。

稀に遺伝的な病気で消化管の色々な場所にポリープが出来る疾患がありますが、胃ポリープがあっても大腸ポリープとの関連はありません。

便潜血が陰性でも、40歳を超えていらっしゃいますので1度は大腸の内視鏡検査を薦めます。それでポリープが出来やすいタイプなのか憩室などもあるのかも判定出来ます。イボ痔もあればその時判明します。

このブログを読んで頂き感謝しております。どうぞこれからもよろしくお願いします。

マコママさん、こんばんは。

ラジオを聴いて頂きありがとうございます。マコママさんも大腸ポリープをとって検査されたのですね。
このように時々大腸内視鏡検査を受けているかたで手術に進む方は非常に少ないです。殆どの進行大腸癌の方は検診や実際の大腸内視鏡検査を受けたことが無い方々です。
大腸癌は他のがんと比べても予後のよい癌ですのでより早期発見が大切だと思います。妹さんは残念でしたね。

私が大好きなグループにハイファイセットがいます。山本潤子さんの唄声は本当に素敵です。私の唄も聴いて頂き感謝です。

いつも本当にありがとうございます。

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