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2022年6月 1日 (水)

鼠径ヘルニア

今日のFM放送(FMレキオ、FM21同時生放送:18〜19時)で放送したヘルニアについて話をしました。ヘルニアについては以前書いたので参考にされて下さい→鼠径ヘルニアについて

沢山あるヘルニアの中で外科で対応する機会が多いのは鼠径ヘルニアになります。

俗に脱腸と言われている鼠径(そけい)ヘルニアは子供の病気と思われていますが、実際は子供よりも成人に多くみられます。しかしその発症のメカニズムも治療・手術方法も子供と大人の場合では異なってきます。

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<鼠径ヘルニアの手術方法 >

鼠径ヘルニアと診断されたら治療法は手術しかありませんので手術の次期のご検討をされて下さい。

おおよそ、小学校入学までに起こる小児の鼠径ヘルニアは先天的に鼠径部のヘルニアの通り道が通常より大きいために起こります。それに対し大人ではヘルニアの通り道の筋肉を含めた周囲組織が緩んできてヘルニアが発生します。子供の場合はヘルニアの出口を縛ってしまえば手術は終了で、筋肉をよせたり補強する必要はありません。

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大人では基本的にメッシュという補強用の布を使用して、広がった穴(ヘルニア門)をカバーして修復する手術を行います。そけい部の皮膚を切開して、直接上方から腹膜の上まで剥離してからメッシュを挿入して補強する方法と、腹腔鏡を使って、お腹の中からヘルニアの入り口をメッシュを被せて塞ぐ方法が主流です。

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それぞれ一長一短がありますので、担当医と相談して方法を選択されたらいいと考えます。外科医に取っては両方の手術を理解しないといけないと考えます。最近は何でもかんでも腹腔鏡とかロボット手術に目が向きますが、老外科医の視点からするといつでも開腹や直達法などが出来ないといけないと思うのです。それぞれにメリット、デメリットがありますが、緊急事態(突然の出血、あるいは装置の故障など)で命を救えるかどうかも外科医の経験と技量にかかる場面もあるからなのです。

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医療」カテゴリの記事

コメント

院長先生
こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。

今月も宜しくお願い致します。

鼠径ヘルニアは甥が確か2、3歳頃か忘れましたが、
手術を受けております。
子供だけかと思いましたが、大人でもあるのですね?
院長先生の腕で救われた方々が大勢でしょう!
感謝されていらっしゃいますね💞

昔、出べそは銅貨?を乗せガーゼで押さえていたのを
誰かの赤ちゃんで見たような?

ヘルニアは私は椎間板でした!
今でも少しあるので腰痛です!

お歌は懐かしい女性ヴォーカルでしたね♪
昭和ですから、勿論、存じておりました!
ギター🎸弾き語りは「あなたの心に」
聴き惚れましたよ😍
有り難うございました。

大雨になりませぬように〜。

先生こんばんは。
右の鼠径ヘルニアの手術の経験者です。10数年前にヘルニアと診断されて、医師からも手術しか治療法がありませんとのことで決断しました。私の方は腹腔鏡ではなくて直達法による手術でした(ブログのイラストをみて私のは直達法だと今回知りました)。
左も起こる可能性がありますと説明を受けましたが現在まで大丈夫のようです。今は新聞などでもロボット手術などを耳にするようになりました。確かに機械任せの場合にトラブルが発生したら切り替えることができるのか不安になりました。私の知人にも外科医がおりましたが(もう既に引退しています)、一番外科医を育てるのに時間がかかると話をしていました。 役職にありながらいつも手術をされている先生に敬意を表す次第です。これからもお体に気を付けてお活躍なされて下さい。難しい医学の話を分かりやすく説明頂きこのブログに感謝致します。多くの方に読んで頂きたいと願っています。

マコママさん、こんばんは。

甥っ子さんが小児期にヘルニアの手術をしたのですね。鼠径ヘルニアは構造上男性が8割以上を占めています。小児のヘルニアはヘルニア嚢の結紮だけで終わります。小学校入学前の時期と40代以降次第に増加します。これは中高年では後天性が殆どですのでヘルニアの入口を補強する必要があります。

デベソ(臍ヘルニア)は生後直ぐに起こることが多く、1歳までには90%の方は自然に消失します。成人してからも時々見ますが、先天的に弱かったのかそれとも腹囲が増大したために脆弱な部分がヘルニアになったのか分かりにくいです。

今日の音楽は女性のボーカリストでこの方にはこの曲と結びつく4人の曲をかけました。いつも聴いて頂きありがとうございます。

いつもコメントを頂けるマコママさんに感謝致します。

信州の隠居老人さん、こんばんは。

そうでしたか、鼠径ヘルニアの手術経験者だったのですね。十数年前でしたらメッシュは使用していますが、腹腔鏡ではまだ一般的にはやっていない時期だったと思います。

私はロボットは経験していませんが、いわゆる開腹、開胸手術の時期と鏡視下の手術の両方で育って来た人間です。仕方ないとは言え若い外科医が開腹手術の頻度が少なくなってしまいました。胆石胆嚢炎で普段は鏡視下で上手な若手ですが、鏡視下で困難なために開腹に移行すると全然手が動かなくなることがありました。

避けることは出来ないロボット手術ですが、1部の限られた技術屋だけに症例が集中しそうで心配になります。10年後の医療界も変化していると思います。

私は最後の恩返しのつもりもあり、ラジオ番組やブログを記載しています。医療がいつまでも人々の身近にあって欲しいと望んでいます。コメント頂き感謝致します。

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