主権国家のウクライナにロシア(ロシアというよりもプーチン一派)が圧倒的な軍事力を用いて進行しています。罪もない市民が犠牲になっています。子ども病院や産婦人科の病院が爆撃されたりしている光景を観ると憤りを越えた失望や悲しみが湧いてきます。何も出来ない自分に苛立ちさえ覚えてしますのです。
私は20代後半から30代そして50代半ばからヨーロッパを中心に旅行をして来ました。もちろん生活もしていないので表面的なことしか知りません。ソビエトにも行ったし、今では呼ばなくなった東ヨーロッパ諸国や更には国が分裂したユーゴスラビアやチェコスロバキアにも出かけました。東西冷戦時代からソビエト連邦が崩壊した後のヨーロッパを経時的にみて来ました。ベルリンの壁が壊される前後のドイツも訪ねたことがありました。 ソビエトの恐怖から立ち上がって独立を成し遂げたバルト三国(エストニア、ラドビア、リトアニア)にも出かけました。
第二次世界大戦後、国連が機能し世界秩序が出来上がりました。しかし時間と共に各国の利害関係が台頭して「人権や平和や自決」という絶対譲れないはずの理念が崩壊寸前にまでなってしまっています。 それぞれの国内においては保守やリベラル、左派と右派の対立が顕在化し、グローバリズムに対抗するようにナショナリズム台頭します。世界は中道が少なくなりバランスの悪く、振れ幅が大きい内政へと変化してきています。
しかし今回のウクライナ危機に関して、第二次世界戦後初めてからも知れませんがヨーロッパ全域が武力による威嚇は許さない姿勢をみせました。もちろん日本もアメリカも含めた多くの国々がロシア(プーチン)に対して一致してNoを突きつけました。
2020年3月に新型コロナウイルスのパンデミックが宣言され、世界中がこの対策に追われてしまいます。コロナウイルスの封じ込めに対しては、中国などの中央集権・専制国家が民主主義国家よりも感染制御が上手くいっているとの発言も聞かれました。医療者の私としては地団駄を踏む思いがありました。しかしウクライナ侵攻は私達に改めて人権の大切さや民主主義のありがたさを再認識させることになりました。自信を失いかけた「平和や自由の尊さ」が蘇りました。
ウクライナの主権を脅かすロシア軍の一方的な破壊活動に対してウクライナ国民は断固として反対し、一般市民も銃を取り参戦しています。 多くの若者がキエフに残り戦おうとしています。 彼らを駆り立てるのは、かつて日本の国民が大日本帝国や天皇のために戦った愛国思想とは違うと考えています。 批判されるかも知れませんが、彼らは自分の愛する家族や故郷を守り、自由や主権を守ろうとして立ち上がっているのです。
このような混乱を利用して自己主張する政治家や一般人もいます。ソビエトが核を持ち出して脅しているとして、日本も核共有をしないとやられてしまう脅威論を述べる方が増えました。 以前このブログでも書いたのですが、戦争になったら原子力施設を狙うのが一番のダメージを与える手段となると考えています。 原爆の投下よりも原子力発電所を爆破する方が、これ以降未来永劫に広大な地域が使用できなくなり脅威となります。 ですからプーチンも核施設を押さえて脅しをかけているのです。
日本において核共有を叫ぶ政治家の殆どが原子力発電の推進派であることを見逃すことは出来ません。両政策への矛盾をどのように説明出来るのでしょうか? 同様に世界で唯一の被爆国の政治家が原爆の廃止を訴えるのではなくて、核の傘に入る安全を述べているのも不思議でなりません。
もう1つ気をつけないといけないのは、ソビエトがウクライナでやっている力による支配を引き合いに「中国が台湾や日本へも行いかねない」として日本の軍事力増強を声高に主張する方がいます。一瞬そうだと賛成したくなるのですが、もう少し冷静に時間をかけて対応しなければいけない問題だと考えます。
今はこのような軍事増強や核保有の議論よりもロシアの暴走を世界が止めることが最優先事項なのです。これを許せば、力による現状変更、核の脅威が正当化されてしまうのです。中国を念頭に危機意識をあおっている人々がいますが、ロシアの暴走を止めることが中国への最も強い抑止力にもなると認識すべきです。
現状で日本がウクライナへ武器などを供与することは出来ません。しかし経済を含めあらゆる手段でプーチン派を追い詰めることは可能だと考えます。 対岸の火事では済まされず、原油の高騰や世界経済への悪化を私達も被るはずです。 コロナ禍で更に追い打ちをかける状況を私達は甘んじて受け入れる必要があると考えています。簡単ではなく大変な痛みを伴うことも覚悟しなければならないと思うのです。
いずれ暴君は失脚します。しかしロシアの一般国民は愛情を持って受け入れなければなりません。それが私達日本を世界を、そして何よりも大切な「自由」を守ることになると考えるのです。
もう一人の命も失いたくないです。兎に角一刻も早く停戦をして欲しいです。愚かな裸の王様を除いて誰も戦争なんか望んでいません。
(また偉そうな事を記載しました。ただなにも出来ない自分への憤りなのです。ご容赦を)
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