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2022年2月 2日 (水)

認知症について

今日のFM放送は認知症について話をしました。外科医が説明する認知症の話ですので間違いも多いと思いますがご了承下さい。

厚生労働省が行っている「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。

まず認知症と加齢に伴う物忘れとは違うことを認識下さい。 脳細胞は加齢と共に減少しますが、認知症の場合は通常より減少が速く確実に進行してゆきます。 認知症は物忘れを含む様々な知的能力の低下により、仕事や社会生活ができなくなった状態です。

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認知症の主症状に「記憶障害」「見当識障害」「判断力の低下」があります。

①記憶障害とは単なる物忘れは体験の一部を忘れるのに対し、全体を忘れるのが認知症です。例えば、単なる物忘れは朝食のメニューを思い出せなくても食べたことは判るはずです。認知症の場合は食べたこと自体を覚えていないことがあります。  

②見当識障害とは「今が何時なのか、ここは何処なのか」かがわからなくなる状態です。 

③判断力の低下とは「寒くても薄着のまま外に出たり、真夏でもセーターを着たり」と自分がどうすればよいのかを判断出来なくなります。 それ以外に、怒りっぽくなったり、不安なったり、異常行動が見られることもあります。

 

認知症に対して「本人はわからないからいいよね」と思っていらっしゃる方がいると思います。 しかし認知症の始まりは本人も何かおかしいことを気づいています。他人から間違いを指摘されると思い出すことが出来ずに焦ってしまいしばしば作話(場所あわせや話のつじつまを合わせる)が見られるのも特徴です。  

認知症の患者さんを家族だけで支えるのは無理があります。医療や行政さらに地域と協力して増加する認知症患者を支えるシステムづくりが重要となってきています。

 

認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。

認知症で最も多いアルツハイマー病(67.6%)を始めレビー小体病 (4.3%)、前頭・側頭型認知症(1.0%)、などがこの「変性疾患」にあたります。 続いて多いのが、脳梗塞、脳出血などで、脳の神経の細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまうために起きる脳血管性認知症(19.5%)となります<()内は認知症に占める割合です>。

アルツハイマー病の特徴の一つは、病理学的に診て患者の脳に老人斑と呼ばれる沈着ができることが原因といわれています。この沈着する物質はAβという短いたんぱく質と判明しています。 アルツハイマー病を早期に発症する家族性の患者などの研究から、認知機能に障害が出る20年ほど前から、脳内ではAβの沈着が始まり、その後タウというたんぱく質が神経細胞内に凝縮して、神経細胞の機能が奪われ、死滅することがわかってきた。 そのためこの沈着物質を取り除ければ、認知症の進行を遅らせたり、認知症を改善する効果が期待出来る訳です。

この薬を日本の製薬メーカーが共同で開発して、認知症治療薬として18年ぶりに米国で認可されました。一筋の光が見えてきましたが、まだまだハードルは高くEUでは認可されませんでしたし、日本では継続審査となっています。それでも今後、変性疾患の病態の解明とともに特効薬が開発されるかも知れません。 

記憶の働きに関わる神経伝達物質アセチルコリンの減少が特に強いことが明らかにされています。現在使用されるお薬は進行を遅らせるため、治療薬として、アセチルコリンを下げないように働く薬がよく使われています。現時点では早期診断、早期治療により進行を遅らせることが重要です

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私達のささやかな抵抗として動脈硬化を防ぐ生活習慣を身につけたり、精神活動や社会活動を活発にしている方が脳神経細胞の減少を遅らせることが解っています。 ボランティアや趣味を持つのもよいかも知れませんね。

私は遅ればせながら50歳を過ぎてギターを始めましたが、脳細胞の減少に歯止めをかけてくれたらいいのですが・・・もう手遅れと医者からいわれたらどうしようと考えています・・

 

(余談)昔は「痴呆」と言われていたのが「認知症」の名称に変わったのは平成16年(2004年)とまだ日が浅いのです。

・「痴呆」と言う言葉に対して国民が抱く感情として侮辱的な表現と認識していること、1度痴呆と言われたら治療法もなく、このまま進行してしてしまうイメージがあることより、「認知症」と言う名前に変更した経緯があったのです。少しずつ日本も人権意識が高まっているのかも知れませんね😍

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医療」カテゴリの記事

コメント

院長先生
こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。

放送拝聴させて頂きました。
我が身に迫る?認知症です😰
物忘れも多々!人様のお名前も出ない!
漢字は読めても書けず!
夫も少し認知症が出てました。
夕食を食べてたのを忘れたり!
アルツハイマーだったのでしょうか?
義母はまだ、介護保険もない頃でお世話が
大変でした。義妹と同居でしたが、
昼間は1人で私は週1回しか行けずでしたが、
どんどん酷くなりました。
最後は紹介された老人病院で凄い所でした😰

近所は人家が少なくてビルばかり!
友人もいませんでした。
呉服屋さんに頼まれてお仕立てしてましたが、
その呉服屋さんも転居されて〜。

私もご近所お付き合いは少ないです!
体調を重視ばかりで通院以外、出かけず!の暮らし!
反省点大いにありです。手編み講師をしていたのにもう、編み物からも遠ざかっています。毎日、日記として拙いブログを書くのが楽しみの1つですよ。♬音楽は大好き😄でも、コロナ出現でコンサートもご無沙汰です。

せめて美味しい物を楽しく頂けたらと思いつつ、
レンチン生活です。お野菜・果物は大好きです!
お陰様でとても参考になり有り難うございました。

長々とお許しくださいませ。

夢が付く曲はいいですねギター🎸弾き語りの「いつでも夢を」は
とても懐かしく拝聴させて頂きました。
伸びやかで若々しいお声にビックリでした!
夫がこの曲が好きで昔、ドーナツ盤購入!
何処かにあるはずですが~?

先生こんばんは。
私達夫婦も70中盤になると認知症は常に気になるところです。お互いに物忘れが多くなっていますが、食事を取ったことはちゃんと覚えております。昨年に脳ドックを受けましたが、年齢相応で大きな問題はないとのことでした。
アルツハイマー型認知症は1994年にアメリカのレーガン元大統領が罹患されたことを公表したのが衝撃的でした。その時初めて進行性の病気であることを改めて確認しました。
米国ではこのようなこともあって早期の治療薬の承認となったのでしょうか? 日本ではまだ継続審査となっているようですが、日本人でも改善が認められたら有難いですね。
何時も勉強になるブログありがとうございます。先生のような有用なブログなら有料でも登録致します。いつか本にして下さい。期待しております。

マコママさん、こんばんは。

恐らく日本人の高齢者の皆様方は認知症が気になっていると思います。初期の場合は加齢的な物忘れと認知症が区別がつかない場合もありますが、主症状がまず3つとも揃っていればかなりの確率で認知症だと考えます。
ご主人さんは喫煙者で高齢となると動脈硬化も進んでいたと思います。アルツハイマー型なのか脳血管性なのか難しいところですね。

1月もコロナで明け暮れていましたので、音楽は明るい歌にしようと考えていました。丁度外来に90歳近い方が、先生は「いつでも夢を」はご存じないですかと聞いていましたので、この際と思って録音しました。

ご主人さんもこの曲が好きだったのですね。いつでも夢を持っていたいですね💖

信州の隠居老人さん、こんばんは。

そうでしたか、ご夫婦とも70代中盤となったのですね。まだ認知症ではなさそうですし、脳ドックも問題なかったようで大丈夫ですね。

私もレーガン大統領が最後のメッセージとして公表したときにはやはりビックリしましたし、この病態をよく知ってからの発言だったと思いました。

昔からアルツハイマー認知症の脳の病理にて異常な物質が蓄積することが知られていましたし、次第にそれが解明されつつあります。新しい治療薬の開発競争が世界中で起こることが予想されています。ただこの種の薬はもの凄く高価であるために実際の使用となると大変かも知れません。

私は文才がありませんので、本にするようなことは無理ですので、これまで通りに書いて行くつもりです。これからもよろしくお願いします。

こんばんわ。

昨年は夫が認知症ではないかと、さんざん心配しました。
先生にも、ご迷惑をおかけしましたが、
今は平常心を取り戻しています。
夫は詩吟が趣味で、毎週、新宿まで習いに行っていましたが
コロナで休止となり、張り合いがなくなったようでした。
今は朝、一人で吟じています。

認知症予防の為には、趣味は大事ですね。
家に籠ってばかりいて、何もしなければ当然ボケると思います。
天気の良い時は二人で散歩、散策をしております。
歩くのは気持ちもスッキリしますし、足腰が丈夫にもなります。

これからも、もっと趣味を見つけて認知症にならぬよう
頑張っていきたいと思います。
一年に一回は脳のMRIも欠かせませんね。

今日のお話は大変参考になりました。
有難うございました。


ガルボさん、こんばんは。

ご主人も元気そうでなによりです😀 本当はみんなで集まって詩吟などをやるのが楽しいし張り合いも出ると思うのですが、感染が収まるまでは難しいですね。

趣味は大切と思いますし、社会との関わりも大切だと思います。そして足腰を鍛えることは認知機能の低下も防いでくれますので、お二人で散歩に出かけて下さいね。 二人ででしたら、散歩をしながら花を見つけたり、新しいお店が出来たなど、新しい発見を楽しんで下さいね。

時々は脳のMRIも行って異常がないかどうか確かめるのも安心感に繫がりますので良いと思います。 

コメント頂きありがとうございます。

認知症のお話勉強になりました。
姉のようにお付き合いをしている方が「私最近変なの」と言い始めたのが15年位前でした。当時、肺がんの手術を2回にわたって行っていました。
脳の機能障害と肺がんに関係があるのだろうかといつも心の中で思っていました。
最近ではある病気の検査のために2週間の入院が必要になったのですが、ご主人の姿が見えないと本人が不安がって泣くので、検査を受けることが出来ません。
子どもだと簡易ベッドなどで親が付き添っておられるケースがありますが、彼女のような場合家族が、そばで付き添えないのだろうかと胸を痛めています。
2人暮らしのご夫婦どちらも80歳を迎えられました。
力になりたいといつも思っていますが、公的なサービスがもっときめ細やかだったらと思う事が多いです。

吉永小百合さんんの気分で先生とデュエットしました(えへへ)。「いつでも夢を」本当にいい曲ですね。

こんばんわ・・・
年と共に老化が進むのは仕方ないのでしょうね・・・それでも進むのを少しでも抑える”抵抗”はやはり大事な事かと思います。
我が母も認知症になりましたし、義父も現在進行中です・・・俺もその予備軍だろうと思っていますが、俺もomoromachi先生のように、抵抗して生きていきたいと思っています。
痴呆から認知症と名称が変わったのは、まだ日が浅かったのですね・・・俺は若い時分に、有吉佐和子さんの「恍惚の人」を読んで、ショックを受けたことを記憶しています。同時にこういう内容のものが、小説のテーマになるなんて考えてもいませんでしたね、あの頃は。

おたまさん、こんばんは。

お返事が遅れました。17時から緊急手術のため手術場に入っていました。無事手術も終えて戻って来たところです。

慕っていたお姉さんが、このような不安感を述べていたのですね。通常の物忘れはもちろん自覚していますが、認知症の始まりの場合は「本人も何時もの自分でないことに気がついて不安に感じることも多いようです」・・・きっと怖かったと思います。

高齢者の場合に自立出来ないと入院などの場合に特に困ることも多いです。なるべく家族について貰うようにしたいのですが、特に今のコロナ下では難しいことが多いです。

日本の急速な高齢化社会に核家族化や独居の方の増加は多くの問題を起こしています。 特に認知症は家族にも大きな負担を強いてしまいます。 そのような時こそ公的な援助が必要と思います。 日本はまだまだ家族で支えるのが美徳な雰囲気が残っていますが、無理なことは無理と助けを求める大切さを社会が共有して欲しいです。

何か明るくなる歌をと思い、この日曜日に録音してみました。可能なら動画にして近日中にブログにアップしたいと思います。また聞いて下さいね。

でんでん大将さん、こんばんは。

年齢と共に進む老化現象は自然のことですね。それでも最後まで頭はクリアな状態でいたいと思うのが多くの高齢者の願いだと思います。

認知症は誰にも起こり得る病気です。私も大将さんも起こるかも知れません。 ただ疫学的な調査で本を読んだり楽器を弾いたり、体を動かしたり、社会活動を活発に行っている方が認知機能が衰えないようです。

有吉佐和子さんの「恍惚の人」は当時としては珍しく認知症を取り上げた作品でした。主人公の茂造の動作や行動は認知症の中心症状をよくあわらしています。 細かな点は違う部分もありますが、この小説は認知症の問題を明るみにしてくれた小説だったと考えています。

大将さんも私も出来るだけ抵抗してゆきましょう(笑)。

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