今日のFM放送は、これまでの新型コロナ感染のながれとオミクロン株に対応について話をしましたので、ブログでは大まかにまとめてみました。
<新型コロナ感染の発生と変異株への移行>
コロナウイルスの仲間は100種類程度あり、そのうち毎年の様に流行る「風邪」の原因となるのが4種類あります。実に風邪の原因ウイルスの10〜15%を占めます。
ウイルスは毎年の様に変異を繰り返します。時々変異したものが急速に人間に症状を現すことがあります。2002年のサーズ、2012年マーズと言うのもありました。 これらは致死性が高かったのですが、封じ込めることが出来て世界中に感染は広がりませんでした。
2019年の末頃に中国の武漢市で多くの方が肺炎を起こすような新しいタイプのコロナウイルスが発見されました。2019年に発見されたコロナウイルスですので「Coronavirus Disease 2019」と命名されました。これを短縮したのが、COVID-19と呼んでいる訳です。
日本では2020年2月ダイヤモンド・プリンス号の船内でのクラスター発生で、日本も他人事ではなくなり警戒が強まります。2020年3月には緊急事態宣言の発出がありました。その後は何度も繰り返して、今は第6波と成っている訳です。
ウイルスは常に変異を繰り返していて、感染力や免疫を逃れる力などで新たな変異株に置き換わって感染を広げてゆきます。
ある程度、世界中に感染が広がったウイルスには名前をつけて区別するようになり、アルファ株、ベータ株、ガンマ株・・・株になり、直前まではデルタ株が感染力、重症化リスクも高く、世界各地で猛威を振るいました。
更に、WHOは2021年11月24日に南アフリカから非常に感染力の高い「オミクロン株」が検出され、それが今世界各地に広がりをみせているのです。
パンデミックの中で、世界で初めてm-RNAワクチンが実用化されました。この技術によりこれまでは実用化までに数年から10年かかるワクチン生産が驚異的な速さで実用化しました。日本人が接種しているモデルナ製もファイザー製のこの技術を応用しています。
m-RNAワクチンはウイルスの表面にある部分を抜き出して製造するのですが、最初の頃のコロナウイルスを元に作成したものですから、ウイルスが変異する中で、一致する部分が少なくなりワクチンの効果も低下することとなりました(→m-RNAワクチン) 。
特にこのオミクロン株は変異する箇所が多いために、これまで2回接種しても、しばらくすると効果がない変異株ということになっています。これは厄介なことです。
<オミクロン株の特徴>
オミクロン株とは?
オミクロン株は、まだ明らかでない部分がありますが、他の株よりも感染(伝播)しやすいと考えられています。私の少ない知識の中から拾い集めたデータを示します。
・英国で家族内感染を追跡した研究では、接触者に伝播する確率が、デルタ感染者からは約10%であったのに対し、オミクロン患者からは18%でした。
感染拡大が続いている沖縄での症例では
<症状>発熱(72%)・咳(58%)・だるさ(50%)・のどの痛み(44%)などの風邪症状が中心となり、通常の風邪に似ています。
<感染から発症までの時間> 潜伏期間が短い可能性:アメリカの報告例によると潜伏期間の中央値は3日に短縮(デルタ株などは5日程度)
<倍加時間>これまでデルタ株などは、感染者が出てそれが2倍になる日数は4〜5日だったのですが、オミクロン株だと2.8日と短縮されています。
どういうことかと言うと、例えば100人の新規の陽性者が出ると、2.8日後には200人に増えてしまう。これまでの変異株と比べると速いということになります。 →米国や日本においても感染力の高さは驚異的である事が分かります。
・感染力が高いのは分かりましたが、ではオミクロン株の重症化リスクは?
まだ日本人のデーターは明らかにされていませんが、英国インペリアルカレッジロンドンからの報告では、「オミクロン感染者はデルタ感染者より、病院にかかるリスクが20〜25%、一晩以上入院するリスクは40〜45%低い」という結果。また同じイギリスのエディンバラ大学からは、11月1日から12月19日までの入院データを参考にオミクロンはデルタに比べて入院するリスクが3分の2低下していると発表され、重症リスクはデルタ株より低いと言う結果でした。
・ではなぜ重症化リスクは少ないのか?
重症化リスクが少ない原因として、「オミクロンは口腔・鼻腔から気管支内で主に増殖しやすく、デルタや通常株と比べて肺内での増殖速度は相対的に非常に遅い」ことが考えられています。
口や鼻で感染するのなら普通の風邪と同じ感じとなります。それが奥に進むと中等度の気管支炎と言うことになります。そして炎症が肺そのもに及ぶと一番重症な肺炎という状態になります(以前のブログにも書いていますので参考にされて下さい→風邪と肺炎は似て非なるもの)。 ですので、オミクロン株は軽症や中等度の気管支炎で留まることが多く、従来株やデルタ株では肺炎にまで進むことがあったのが、重症化リスクに反映されているかも知れないのです。
ただし、入院率については以下の理由から慎重に解釈する必要があり、安易に「オミクロン株は重症化しないから感染しても問題ない」と考えるのは危険です。
→私達人間は自分に都合が悪いことは余り耳に入らない傾向があります。 非常に簡単な例を挙げましょう。オミクロン株は入院となるような重症なるリスクは分かりやすいようにデルタ株の半分としましょう。 でも感染力が2倍ならば、同じ人数の方が入院となるのです。 今は若者を中心の感染爆発ですので、これが次第に高齢者に広がると、更に危険がます可能性もあることを注意しなければならないのです。
<オミクロン株の困った点>
・1番問題なのはワクチン2回接種しても5ヶ月経つと、ワクチンの効果がほぼゼロになる結果
そしてなりよりも、ワクチン2回目接種していても感染の危険が高くなったことが、オミクロン株が問題となる点となります。
<オミクロン株のワクチン効果、内服治療薬の問題点>
これまで、ワクチン接種を2回終了したことで安心した方も多かったのに残念な結果に・・・では打たなかった方が良かったのか・・・まあそうではありません。
この番組でも何度も訴えているように、ウイルスに対する予防はワクチンしかありません。現在のワクチンの主流のファイザー製もモデルナ製もm−RNAというワクチンが使われています。
このワクチンは最初の新型コロナウイルスを元に作られたために、ウイルスの変異が大きければ、効きにくくなる可能性があります。それでも従来型からデルタ型まではある程度の効果を発揮していました。
・では、オミクロン株のワクチンの効果はどれくらいあるのでしょうか。
英国健康安全保障庁では、147,597人のデルタ患者と68,489人のオミクロン患者の解析から、ワクチンの効果(2回接種後と3回接種後)で検討されています。
2回接種の場合:オミクロン株に対しての予防効果はある程度見られるもののデルタ株よりも低く、いずれのワクチンでも2回接種後20週経過すると、オミクロン株に対するワクチン効果はゼロに近くなるという、ワクチン接種者や医療関係者に衝撃が走るようなデーターの公表となりました。
これは私達にも大きな衝撃となって伝わってきました。 なに! 2回もワクチンを打ったのに5ヶ月過ぎたら、予防効果が殆どないということに愕然とした訳です。
最初はアメリカのデーターを元に2回目接種から8ヶ月程度で3回目の接種を検討だったのが、オミクロン株に変わったために2回目終了から5ヶ月経っていたら3回目を打った方がいいとの方向に諸外国はなりました。
<現在の日本での問題点>
若者を中心にワクチンの接種率が低く、現在その若者を中心にオミクロン株の感染が広がっています。それを見るとある程度のワクチン効果もあるようです。 日本の場合には欧米に比べて、ワクチン行政が上手くゆかなかったせいで、欧米より遅れてワクチン接種が始まったために、2回目接種してから諸外国と比べるとまだ時間が比較的短いからともいわれています。
感染者が若い人や家庭内で広がる傾向がある中で、その理由にマスクなしの会話、会食の原因が挙げられています。 マスクなしの会話、マスクなしで食事をしている最中は会話は是非避けて下さい。
<2回駄目だのにワクチン接種の3回接種がオミクロン株にも効果があるか?>
イギリスからの報告によると3回目にファイザー製かモデルナ製のワクチンを注射すると、2〜4週間後にはオミクロンに対するワクチン効果は上昇しますがおよそ60〜70%となりますが、5〜9週後には45%程度となります。
この結果から読み取れることは、オミクロン株がこれからの感染の主流になることより、出来るだけ早めに3回目の接種をすること。ワクチンを2回接種していても、もう一度原点に立ち返って、感染対策を徹底的に行うことで予防するしかありません。
<オミクロン株に対する新しい飲み薬の有効性と注意点は?>
一時日本でも重症化を防ぐ手だてとして、外来で注射でやれる、抗体カクテル療法がもてはやされました(以前のブログ→抗体カクテル療法)。これはオミクロン株が主流になると効果は期待出来ず、推奨されなくなりました(この療法でも新たな変異株に合わせて合成すれば効果が出ると思いますが・・・)。
一方期待されている、内服薬のモルヌピラビルは、RNAポリメラーゼという酵素を阻害することで、ウイルス複製にエラーを起こさせる薬となっています。
ワクチンや抗体カクテルと違い「理論上は変異した部分の影響は受けない」ため、オミクロン株にも有効とされています。
入院や死亡のリスクを減らす効果は最初の発表の50%から30%程度に下方修正されて、少し残念な気分にもなります。 それでも、飲み薬で「30%でも抑えられるのなら、ないより良い。安心感を与えることができる」と思います。
まだ日本では未承認ですが、アメリカでは承認された、ファイザー製の経口抗ウイルス薬は入院あるいは死亡のリスクを89%減少させたという良い結果が出た薬も開発されていますので、日本でも承認されるかも知れません。 いずれにしろ効果がある薬はどの国も必要な訳で、暫くは薬の争奪戦になって自由に使えるまでには時間がかかるかもしれません。
注意点としては①18歳未満、妊婦や妊娠している可能性のある方へ投与できない、②発症後5日以内に投与が必要となる(これは当たり前のことで、体内でウイルスが増殖し終わって使っても意味がないこと。インフルエンザの内服と同じ考えです)③十分な供給量がなく指定の薬局でしか薬がもらえない点があります。誰でも飲めるわけではなくて、細かな適応が決まっています。
<オミクロン株の急激な感染拡大に伴う休職者増による社会問題>
日本の中でも突出した感染者の数は沖縄での感染状況は、沖縄特有の状況と12月の米軍基地内での多数のクラスター発生が引き起こしたと考えています。
年始・年末は県民も移動や会食も多くなるでしょうし、成人式のイベントもあります。 何度も何度もこの番組で言っているように「ウイルスは自分で移動しません、人から人へと感染を広げます」 感染力が高いとは言え、ちゃんとお互いにマスクをして、手洗い、アルコール消毒をすればかなりの率で防ぐことが出来ます。 家庭内ではかなり無理なことです。しかし職場や出かける時には出来るはずです。 やむなく外食をするにしても、食べる時以外はマスクをすること、マスクなしでは絶対に会話をしないことなどを改めて徹底する必要があります。
オミクロン株は症状が軽い場合が多い情報に安堵しないで欲しいです。 重症化が半分でも、感染者が2倍なら、重症となる人の数は同じになるのです。
兎に角、皆様方に訴えたいのは感染力は高いので、多くの方が感染者になる可能性があります。感染しても元気な若者が、家庭に持ち込んで、両親や祖父母に、またワクチンを打っていない子供達に感染が急速に広がります。
また無症状の方も多いと言うことは、知らず知らず周りに感染を広げてしまう感染者も多くいることが、更に感染者の増加をもたらします。
陽性者は仕事を休みまなけれがなりません。社会的なコロナの問題点は、短期間で多くの方が感染してしまうと、その数よりも数倍も濃厚接触者が出てしまいます。現在、濃厚接触者なってしまった場合は無症状でも14日間の自宅待機となります。 その結果、社会で仕事に出られない方が続出するのです。
そうなると社会基盤がなりたたなくなるのです。 例えば、病院の職員を例にとりましょう。 ご主人が感染者になると、その職員も濃厚接触者となります。 そしたらその人は休まざるを得ません。或いは保育園の先生が感染者や濃厚接触者で園を閉めてしまいます。そうなると若い医療従事者も子供のために休職をしないといけなくなります。
患者は増えるのに病院の職員は欠勤で、今度は病院を閉鎖します。それにより早期発見、早期治療をやることが出来ず、その方々がまた感染を広げてしまいます。
このように急激な感染拡大は社会全体が上手く回らない状況となるのです。 私がこの番組で何度もくり返し、訴えているのはコロナ禍で皆が大変な思いをする中で、医療だけを守って下さいではありません。 感染者を診る医療体制が崩壊すると社会全体の崩壊になってしまうのです。
兎にも角にも、感染爆発のリスクを社会全体で考えて行動して欲しいです。そして行政には3回目のワクチン接種の体勢を1日でも早くとって欲しいです。
<今後の予想>・・・これからは根拠のない私の考えですので気にしないで読んで下さいね😅
ウイルスは自分が生き残るために変異を繰り返すことで、私達がこれまでに獲得した抗体からの攻撃をかわしながら生きながらえる仕組みを取っています
これから言うのは専門家でもない私の想像ですので、参考までに聞いて下さい。
新しい未知のウイルスが出て来た時に、感染した人間にダメージを与え過ぎる場合(毒性が強すぎる場合)には、その1人の人間が死んでしまい、他人に移ることが出来ません。
感染力もあり過ぎると、地球上の全人類が短期間に感染してしまい全人類がこのウイルスによる抗体を持ってしまいます。するとウイルスも生き残ることが出来なくなります。
ウイルスはバイ菌などの細菌と違い、自分で増殖する工場を持っていません。 ですから、生きた細胞がなければウイルスも生き残れません。 致死率が余り高くなくて、感染力もある程度あるのがウイルスが生き残れる最も適した条件になります。
ウイルスは変異を繰り返すことで、徐々に、感染力もまあまあで、人間の命も奪わない程度の増殖力(細胞の破壊力)を持ったタイプになって、人類と共存を図ってゆくことが予想されます。
早くそのようになれば、100類あるコロナウイルスの中で毎年感染を繰り返してきた4種類のコロナウイルスに加えて、今後は5種類目になるかもしれません。 もういい加減早くこの感染の状況を脱したいです😂
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