世界を夢みて(273):ドロギール・聖ロブロ教会
9月11日、朝。ザダールからトロギールへ移動。

鐘楼の窓一つをとってみても、各階ごとに異なる様式で造られているそうです。時代による建築様式が異なったことや支配者が変わることで、階毎に建築様式が異なるとのことでした。窓の形や装飾が違っていて、鐘楼の下段はゴシック様式、中段はヴェネチアン・ゴシック様式、上段は後期ルネッサンス様式となっています(教会建築の推移については以前書いていますので→「ヨーロッパ建築の変遷」をご覧下さい)。鐘楼の高さは47メートルとなっています。

広場の周りには休憩場所も多くあり、直射日光を避けた下では心地よい風が通り抜けます。私もこの広場でカフェタイムしました。
広場から入るとロマネスク様式の正面入り口となります。これはこの教会を有名にしている見逃せない門です。 世界遺産の風格が漂う大聖堂の入り口は「ラドヴァンの門」と呼ばれ、聖書の場面を忠実に再現した細かい彫刻が施されています。門の上部にはイエスの生誕と生涯、両側には獅子に乗るアダムとイヴが彫られています。ダルマチア出身の彫刻家ラドヴァン作の見事な彫刻で13世紀に造られたクロアチア中世美術の傑作と言われています。
イタリアなどのルネサンス時代以降の洗練されて彫刻ではありませんが、素朴な彫刻群です。近くで観察すると本当にきめ細かな彫刻で埋め尽くされています。彫刻の下段には4人(各2人ずつ)が苦しそうに柱を支えている様子が描かれています。調べてみるとその柱を支えているのは異民族(異教徒)でその上のキリスト教の聖人や十二宮などなどを肩に担がせるレリーフとなっています。キリスト教の権限の示す彫刻となっています。描かれている異教徒はアラブ人とユダヤ人なのだそうです。 宗教に上も下もないと思うのは無宗教の私だからでしょうか😅
門の両サイドの獅子(ライオン)の上にアダムとイヴの像の旧約聖書が描かれています。大き過ぎるイチジクの葉とイブの見事なまでの垂れ乳に思わず笑ってしまうのは私だけかも知れませんが・・😅。 左右両端に、タンパンには、「イエスの生誕」が表されています。
トリギールはアドリア海を挟んだイタリアのベネチア王国の支配下に長くありました。ヴェネツィアの獅子(イタリア語: Leone di Venezia)は、イタリアの都市ヴェネツィアの象徴である「有翼の獅子(翼を持ったライオン)」のことで、クロアチアの街でよく見かけることがありました。9世紀にヴェネツィア商人はその財力にものを言わせ当時エジプトのアレクサンドリアにあった聖マルコの聖遺物をヴェネツィアに持ち帰ったそうです。それ以来、ヴェネツィアの守護聖人は聖マルコとされ、聖マルコを表す「有翼の獅子」もまたヴェネツィアを象徴するものとされるようになったとのことです。この門の獅子は羽はありませんが・・?
入口の左側にある獅子は2匹の子羊を抱える羊を押されています。これは退治している訳ではなく羊たちを守っていると解釈した方が良さそうです。よく見るとこの獅子には乳首らしいのが並んでいますので女性の優しさを持った獅子かも知れません。キリスト教では羊飼いがイエスキリストを意味して、子羊は人間に例えることがありますので、キリストと人々を守っていると考えました。 それに対して右側はドラゴンを制圧しています。これは雄の獅子のようです。ドラゴンは悪の象徴として描かれますのでそれを退治しているのでしょう。大天使ミカエルも足で大蛇(ドラゴン)を押さえて描かれています。
今思いだしましたが、沖縄の魔除けのシーサーも雄雌の二体のシーサー(獅子)で、左側ににはメスのシーサーで口を閉じて幸せを逃がさないように家を守っています。そして右側のシーサーは雄で、口を開けて災害が家に入らないように威嚇しているのです。エジプトからシルクロードを通り沖縄県にシーサーとして入って来たのが13〜15世紀頃と言われていますので、同時期にクロアチア(ヨーロッパ)と沖縄で似た文化があることにも興味が湧いてしまいます。諸説ありますが、口を大きく開いた「あ」から始まり口を完全に閉じた「ん」で終わる、仏教の「阿吽(あうん)」を表現しているといわれています。(以前ブログに書いたことがあります→「シルクロードの終着点:沖縄」)
今度は大聖堂の内部に入りましょう。
大聖堂内部には美しい美術品が飾られた宝物室などもあり見ごたえがありますが、はやり鐘楼には是非登って下さいね。 高さ約47mの鐘楼に上ると、世界遺産の街トロギールを360度のパノラマ絶景を見渡せます💖
昼食は海に囲まれたトロギールだけあって豊かな海産物に恵まれています。シーフードグリルを頂いて次の観光地へと向かいます。
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院長先生
こんばんは。
今日もご多忙の中、ブログ更新、嬉しく拝見させて頂きました。
本当に美しい所ですね!
「聖ロブロ大聖堂」は外観もそして内部も
彫刻が施され見応え十分だった事でしょう。
アダムとイブはちょっと?お年を召していらっしゃるのかもしれませんね?
鐘楼にも昇られ一望に青い空に青いアドリア海!
家々の🏠赤い屋根、屋根!
お天気も流石、晴れ男さま🤩
シーフードグリル、あ~美味しかったでしょうね😃
続きも楽しみにお待ちしております。
投稿: マコママ | 2021年12月26日 (日) 18時40分
こんばんは。
クロアチアは行ったことがありませんが、風光明媚な場所が多くありそうです。なるほどアドリア海を挟んでイタリアに近く、古代から影響を受けていた地域と考えるとこのような街の形成も納得がゆきます。
聖ロブロ大聖堂は入口から内部の装飾、そして鐘楼からの眺めと素晴らしいです。
ご指摘のように沖縄のシーサーと実の配置や考え方に共通するのがありますね。古代エジプトから脈々と受け継がれた流れなのでしょか? かけ離れた場所で余りにも似ているのが不思議な気がしました。人間のDNAの中に組み込まれていたのでしょうか?
いつも素敵な旅行記、先日の病院食堂のエピソードもとても感動致しました。年末のお忙しい中、どうぞお体かではご自愛されてご無理なされないように労って下さいませ。
投稿: 信州の隠居老人 | 2021年12月26日 (日) 18時48分
マコママさん、こんばんは。
先ほど150枚ほど、年賀状をポストに入れて来ました(ホッと😊)。後は県内の知人だけですので、明日までに投函すれば正月には届きそうです。
聖ロブロ大聖堂は本当に中も外も美しい教会でした。ルネッサンス期と比べると素朴さが残る彫刻群です。
マコママさんに指摘されて気づきました。何もアダムとイブはエデンの園を出た時を描く必要はなくて、恐らく聖ロブロ大聖堂の二人はエデンの園からだいぶだった頃の姿を彫刻にしたのかも知れませんね。
鐘楼から眺めた街並みと海それに青空・・・本当に気持ちのよい景色でした。 相変わらず食事に関しては殆ど撮っていなくて今回載せた写真だけでした😅
いつもありがとうございます💖
投稿: omoromachi | 2021年12月26日 (日) 21時07分
信州の隠居老人さん、こんばんは。
クロアチアはずっと以前にユーゴスラビア時代にサレエボを通過しただけでしたので、今回が実質初めてとなります。旅行にでかける前よりも後が評価が上昇した国です。
聖ロブロ大聖堂は教会そのものも綺麗ですが、今日書いた様に彫刻群や内部も綺麗でした。なによりも小さな階段を登った先の鐘楼からの眺めは癒されました。
今日アップする際に、沖縄のシーサーと似ていると思い急遽以前出かけた時に撮った伊計島に渡る欄干のシーサーの写真を組み合わせました。左右と置き方や守ったり撃退したりする姿がクロアチアも沖縄も同じことにビックリした次第です。
安曇野は今日は冷え込んでいるのではないでしょうか。寒い中コメント頂きありがとうございます。
投稿: omoromachi | 2021年12月26日 (日) 21時14分
こんばんは。
ロブロ大聖堂の鐘楼は形状がベネチアのものに似ているように思いましたが
3つの様式に分かれていたんですね。
幾つもの様式が混在するロブロ大聖堂は貴重な世界遺産ですね。
ラドヴァンの門も細密な彫刻が施されていて素晴らしいです。
それに異教徒が下に見られていたと言うのはちょっと驚きです。
アダムとイヴは写実的ではなくざっくりとした表現^^;
獅子もベネチアのはもっと雄々しい顔のようですが
何だかのっぺりして威厳がなさそうな感じ。
アルハンブラ宮殿のライオンの中庭のライオンを思い出しました^^;
大聖堂の螺旋階段は得てして狭くて急ですよね。
でもこの絶景が観れるなら何のそのです。
シーフードグリルはボリューミーで美味しそうです💝
投稿: sharon | 2021年12月27日 (月) 19時14分
sharonさん、こんばんは。
ベネチアに行かれたsharonさんにとってはベネチアと似た雰囲気だと思われたことでしょう。色々とベネチアの支配下にあった建物があって興味深かったです。
ラドヴァンの門についてはその時には気がつきませんでしたが、異教徒が苦しそうな顔をして柱を支えるのはやはり当時の状況が反映されていたのでしょう。
確かにアルハンブラ宮殿のライオンの間の彫刻はここと似ていて余り怖さを感じさせません。いいところに気がつきましたね👍
シーフードグリルは素材の味がよく出ていて美味しかったですよ😊
投稿: omoromachi | 2021年12月27日 (月) 21時31分