2021/11/10のFMレキオは不整脈を中心に心臓の役割や心臓の大切さについて話をしました。
心臓はたとえご主人が怠け者でも一生働き続ける働きもので、疲れたから休憩なんかしません(私とは違い勤勉です
)。
心臓は1回の鼓動で全身に血液を600〜700mlずつ送り出している筋肉でできたポンプです。1分間に70回動くすると、1日では7.2トンの血液を毎日送り出していることになります。 皆さん7.2トン(7200ml)とトンでもない数値です
。
心臓の病気は大まかに5つに分けること出来ます。
①心臓そのものの構造による異常(先天的な病気が主で、心房(心室)中隔欠損症などが代表)
②心臓の筋肉自体の異常(肥大型や拡張型心筋症などで、心臓移植を必要とすることもあります)
③心臓の弁の異常(いわゆる弁膜症で狭窄と閉鎖不全が主)
④心臓自体を栄養する冠動脈の異常(狭心症・心筋梗塞など)
⑤心臓のリズムの異常(不整脈)
心臓は1分間におおよそ60〜100回一定のリズムで収縮・拡張を繰り返しています。不整脈はこの規則正しいリズムを刻む神経の伝わり方やリズムを作り出すところの異常により脈が乱れることを言っています。
ここで脈の取り方です。利き手の人差し指から薬指までの三本を揃え、反対の手のひらを上にして、親指側の手首の下の窪みを探ってみて下さい(手首の親指側1/4外側)。判りづらい場合は、強く押したり緩めたりしながら優しく触れると、指の下でトントンと拍動を感じると思います(詳しくは→脈の取り方)。
1分間数えて、60以下は除脈、100以上は頻脈と呼んでいます。「トン、トン、トン」と一定のリズムで動いているか確認下さい。「トン、トン、トトン、トン、トン、トトン」とか「トン、トン、トン、うん(脈が抜ける)、トン」などリズムが狂う場合は不整脈を疑います。
不整脈は心臓が必ずしも悪いわけではなくて、睡眠不足、疲労、喫煙、カフェイン摂取、飲酒でも出る場合があり、心配しないですむ不整脈もあります。
脈の異常を感じたら病院で心電図や1日記憶するホルター心電図などを行う必要があるかも知れません。心配なら受診して下さいね。
不整脈に気づくようなことがあれば「自覚症状を伴う不整脈」とのことになります。多くの場合は不整脈そのものが命を脅かすことはありませんが、日常生活に大きな支障を来す場合も含まれます。特に、心房細動、心房粗動、上室性頻拍などの頻脈発作を繰り返す場合や、期外収縮の多発などは、ほとんどの患者さんが強い動悸を自覚し、気分不良や不安感を助長させます。また短期間心臓が止まるような発作性洞停止では強いめまいや失神発作を来たすことがあります。頻脈発作と洞停止を繰り返す徐脈頻脈症候群と呼ばれる特殊な病態もしばしば見られます。このような場合には早めの治療やペースメーカーの挿入が必要となります。
不整脈は単に脈の乱れだけでなく、長時間持続することで心臓が慢性的に機能しなくなる心不全の状態になってしまうこともあります。また心房細動などのために心臓内に血の塊が発生し、それが脳血管を詰めてします脳梗塞の原因にもなります。比較的若年で動脈硬化も強くない方が、心臓の不整脈で突然半身麻痺(脳梗塞)になることもあることを覚えて欲しいと願います。
更に最も重篤となる致死性不整脈などは放置すると短期間に死亡に至ってしまうこともあり、1分1秒を争う不整脈もあります(心室細動、持続性心室頻拍、トルサード・ド・ポワンツ、房室ブロック、洞不全症候群など)。健康だと考えられていた人が、突然に致死的心室性不整脈(心室細動など)に見舞われて急死(心臓突然死)する日本人は年間約6〜8万人がいますので、決して人ごとではありません。
不整脈に関しては放置してより不整脈から致死的な不整脈まで様々な病態が含まれています。自覚する不整脈やドックや検診などで指摘された場合などは、必ず病院(循環器内科)を受診して、どのタイプの不整脈になのかを正確に診断しておく必要があると考えます。
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