フォト

« 世界を夢みて(263):ザグレブ市内観光(聖マルコ教会ほか)No3 | トップページ | 今週の生け花(令和3年10月第3週) »

2021年10月13日 (水)

出血した方に同じ血液型だからと言っても直ぐに輸血しない理由(輸血後移植 片対宿主病 (GVHD)について)

今週のFM放送は、血液型について話をしました。一般の方では「血液型と性格」などが多くの方が関心があるのかも知れませんが、医学的な意味ではあまり興味がありません(笑)。 これまでにABOの血液型についてはお話しましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-5820.html )、今回は輸血製剤の種類や輸血の際の検査法について少し記載します。

私がこの正月にハマった韓国ドラマの「愛の不時着」(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-e3ca5e.html)では銃で撃たれ出血した主人公を助けるためにお互いが輸血し合うシーンが出て来ます。実際に私のように手術を担当していると「何かあれば同じ血液型ですので私の血液を使って下さい」と親戚や友人から申し出ることがありました・・・・では実際は使うかとなると・・・丁重にお断りをしています。もし輸血を行ってもいいとなれば赤十字血液センターで皆のために献血して下さいと話をしています。

私の外科のスタートは心臓血管外科でしたが、当時35年以上前には心臓の手術日の朝には5〜10人程度の方(家族や同僚など)の献血を行い手術に備えたのです。そのため私も最初の数年間は朝6時には大学病院に着いて、手術に使う輸血の準備をしていたのです・・・今では脱血した血液をこのまま使う(=全血輸血)ことはなく、献血してとった血液をそれぞれの成分に分離した製剤を使用します(主に赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤の3種類に分けています)

皆様方から頂いた血液は血液センターで当然ですが、ABO血液型検査、Rh血液型検査、不規則抗体検査、HLA検査(一部)などをチェックすることになります。 実はそれ以外にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、HIV、HTLV-1抗体、ヒトパルボウイルスB19検査の検査などを行っているのです。折角献血して頂いてもウイルスなどがあれば輸血に回されず破棄されます。

私達の血液は血球成分(赤血球、白血球、血小板)と血漿成分(アルブミン、免疫グロブリン、凝固成分など)に分かれます。白血球は好中球、リンパ球、単球などが含まれています。 現在の輸血は成分輸血と書きましたが、白血球製剤はないのに気がつきましたか? ・・・白血球は免疫の司令塔的な役割です。そのためには自分と他人(異物)を見極め排除する作用が高いのです。 輸血をするにしても白血球が入っていると、輸血された患者さんの中で免疫反応のトラブルが起こり、最悪の場合は死亡することが分かっているのです。

二つ前の段に戻ると、以前の心臓手術では手術の直前に多くの方に献血してもらい、手術時に使うことが行われていました。なぜなら時間が経つと血小板や凝固因子が減少するために、出血の多い(人工心肺の回路を使うため)心臓の手術では止血の意味も含めて全血輸血が使われていました。 しかし手術は上手くいったのに、1〜2週間たってから肝機能障害や下痢、汎血球減少が起きて出血や感染で亡くなる方(GVHD(Graft Versus Host Disease:移植片対宿主病))が、1980年代の胸部外科の手術では660例に1例の割で発症したことが報告されていました。その前の年代ではこのような病態も判っていなかったのです。

現在ではGVHDは輸血された血液(移植片)に含まれる細胞障害性Tリンパ球であることがわかっています。 そこで、このGVHDを予防するために、輸血用血液に放射線を照射し、リン パ球の増殖機能を壊してから輸血することで防ぐことが分かるようになりました。平成12年からGVHDの確定例の報告はなくなりました。

Th__20211011184801

・・・ここまで真面目に読んで頂ければ、余程の状況下でなければ、例えドラマのように銃で撃たれて緊急の輸血が必要になってもヒロインから直接輸血をすることはないと言うことなのです。

 

« 世界を夢みて(263):ザグレブ市内観光(聖マルコ教会ほか)No3 | トップページ | 今週の生け花(令和3年10月第3週) »

医療」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。

放送の内容では私には少し難しく思いました。
ブログでは詳しく載せて頂きましたが、
やはり〜?すみません。
私も大昔に子宮筋腫の手術の際、輸血して頂きましたが
お返しできないままで申し訳無い気持ちです。
夫は確か?献血しておりましたね。
血液型占いは結構、ハマリましたよ!
ちなみにB型です!夫も妹たちも同じで
気狂い集団ね!って笑ったものです。

その末妹は肺にまたまた転移で今日から4泊5日の入院!
抗がん剤入れる為にカテーテルだそうで頑張って欲しいです。

トワ・エ・モア、懐かしく聴かせて頂きました。
弾き語りの「初恋の人に似ている」♪
うっとり拝聴させて頂きましたよ。😍
今日もありがとうございました。

こんばんは〜
私も「愛の不時着」見ましたよ〜
最高のドラマでした。主人公のリ・ジョンヒョク
とユン・セリが銃で撃たれた時に輸血をしてお互
いを助け合いますよね。私は当然緊急時には
血液型があえば直ぐに輸血できるものと考えていて
何も疑問に思わずに見ていました。
献血後の成分輸血のことや生きた白血球が
免疫反応を起こしてしまうことを知り
大変参考になりました。
今更ながらこのブログのお陰で色々な知識が
増えた気が致します。本当に感謝です😘

マコママさん、こんばんは。

放送内容が難しかったですか? ラジオですので、皆が分かるように喋らないといけませんね。 反省致します🙏

昔、輸血を受けたことがあったのですね。以前はB型肝炎やC型肝炎が問題となった時期もありましたのでマコママさんは大丈夫のようですね。 マコママさんの代わりにご主人がお礼をしてくれたのでしょう。

日本人は世界的にみても血液型の話題が大好きな国民のようです。海外の方に突然血液型を聞いたら怪訝そうな顔をされてしまいますよ。

妹さんは抗がん剤の注入のための静脈ポートの作成なのでしょうか。今後のことを考えると静脈ポートは留置した方が良いと考えています。頑張って欲しいです。

トワ・エ・モアさんのCDと私のギター弾き語りカバーを4曲おかけしました。懐かしかってでしょう😊

舞子さん、こんばんは。

「愛の不時着」最高ですよね😍 ドラマにのめり込もうと思うのですが、銃創の処置や輸血にのシーンになると外科医の考えが出てしまいます😢

私も心臓血管外科の時期にGVHDの症例を1例経験したことがありました。その当時ははっきりとした原因が判っていない状況でした。 その後は照射した血液を使うようになりましたね。

舞子さんのような若い女性に読んで頂いて光栄です。こちらこそ読んで頂くて感謝致します💖

こんばんわ。

最近、医療関係のドラマをよく見ていますが、
緊急であっても、その場で血液が合う人がいてもすぐには
輸血しないのですね。
ドラマを信じていましたが、そうではない事がよく解りました。
今回のお話は、私にはちょっと難しいいなとは思いましたが、
おおよその事がわかりました。

昨日NHKBSで、たまたま愛の不時着をアナザーストーリーにて見ました。
各国でなかなか評判の良い作品だと褒めていました。
私はまだ見ていませんが、是非見たくなりました。
近々借りて見るつもりです。

今日も有難うございました。

ガルボさん、こんばんは。

医療ドラマをご覧になっているのですね。私は医療ドラマは観ないことにしています。現実離れしたスーパー外科医が出て来たりするようですが、実際の医療はもっと地味で過酷です😊 

ドラマでは出血をしていると、恋人などが自分の血液を輸血することでで助かるようなシーンが出て来ますが、本文に書いたように現在は余程のことがないと行いませんし、必要最低限の放射線照射を行った後に使用します。

私もNHKの放送を録画しました。週末にでも見るつもりです。とても良く出来たドラマでした。アマゾンなどでは正規版ではないのかも知れませんがDVDが発売されていました。私は正月に有料のネット配信で見ました。早くブルーレイなどが出てくると買いたいと思っています。

もしも視聴できるのであればこのドラマはお勧めですよ。

コメント頂きありがとうございます💖

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 世界を夢みて(263):ザグレブ市内観光(聖マルコ教会ほか)No3 | トップページ | 今週の生け花(令和3年10月第3週) »