フォト

« 今週の生け花(令和3年10月第3週) | トップページ | これからの選挙の先にあるもの »

2021年10月17日 (日)

ヨーロッパ(教会)建築の変遷(旅の豆知識)

(前回ザグレブの教会について書いてのですが、ここで教会様式についてまとめてみたいと思います。今日はこの辺りを書きました。)

ヨーロッパ旅行をしていると絶対に見逃せないのは教会建築だと思います。無宗教家の私でもヨーロッパ旅行で教会内部の彫刻や絵画、或いは美術館などでキリスト教の主な人物達のことを知っていると理解しすいと考えています。以前そのことは記載しました(→教会の呼び名で混乱。→キリスト12使徒のシンボルがわかると・・  )

これと同時に宗教が中心的な役割を担ったヨーロッパ、イスラム圏ではその時代の建築の粋を集めたものが教会だったと考えています。ヨーロッパ旅行で教会を何度も廻って飽き飽きしたと言うことも旅行者の声としてよく聞こえて来ます。それでも建設様式や絵画や彫刻の意味が分かると少し教会回りも楽しくなるのではと思っています・・・まあ楽しみ方は人それぞれですので・・・😅

簡単にまず建築の大きな様式の変遷を図にしてみました。

Th__20210829134301

①まずはギリシア建築について・・・(もちろんそれ以前の古代エジプト建築もありますが)。恐らくヨーロッパで初めて建築「様式」の確立がなされたのがギリシャだと思います。紀元前7世紀ごろから建築され、紀元前5世紀ないし紀元前4世紀頃にその頂点を迎えます。有名なのがパルテノーン神殿でしょうか。

Th__20210829163801

 ②古代ギリシャ建築を引き継いだのは古代ローマ建築でしょうか。ローマ建築ではギリシャと違い神殿だけでなく、神殿やバシリカなどを全てを包括したフォルム(フォールム)として建造されています。またコロッセオに代表される様な円形闘技場、公共浴場、水道橋などの公共施設が有り、これはローマの属国となったヨーロッパの多くの国々で現在も見られる遺跡群として残っています。

Th__20210831123401

 

③この頃よりローマでもキリスト教が国教と認められるようになりますが、教会もどちらかと言うと古代ローマ建築を改修して使われることが多い時代です(多神教だった古代ローマ帝国で正式にキリスト教が国教化となったのは392年で、それ以降はキリスト教以外の宗教、宗派を禁止となっています)。

④4世紀頃になるとローマ帝国が西と東のローマ帝国に分裂します(西暦395年)。経済的に恵まれた東ローマ帝国では、教会もビザンティン建築」として独自に造られて行きます。現在の西ヨーロッパ地域を支配した西ローマ帝国は次第に衰退します。

⑤東ローマ帝国の首都は今のトルコのイスタンブール(コンスタンティノープル)で、イスラム圏の優れて建築様式が加わることになり一気に発展します。これがビザンティン建築となり、東ヨーロッパ、イスラム圏にも影響を与えることになります。教会の代表作としては、トルコ、イスタンブールのアヤソフィア(ハギア・ソフィア大聖堂)で、その後このキリスト教会はイスラム教のモスクに利用される様になり、その後のイスラム建築もこの要素が含まれていますし、東ヨーロッパやロシアではロシア建築の要素も加わり新たな建築様式として発展します。

Th__20210829163901

 

⑥勢力が衰えていた西ローマ帝国内においては逆に教会の権力が次第に増大し、教会建築も新たな段階を迎えます。これがロマネスク様式となります。時代区分としては、おおよそ1000年から1200年の教会建築で使われ、主にフランス、ドイツ、イタリア、イギリスなどで見ることが出来ます。 この時代の建築はまだまだ未発展で繊細さがありません。大きな教会を造るためには、壁を厚くして支えなかればいけませんし、窓も大きく造ることが出来ません→壁が分厚くて、窓が小さい感じとしては「がっしり、どっしり」で内部は「暗い」「柱も太く、天井も丸い」と言った感じです。つまり繊細さがないのです😀

ロマネスクとは「ローマ風の」という意味ですが、美術史・建築史において、繊細さがないために当初は「堕落したローマ風の建築」という蔑称で使われたそうです・・・単に建築技術が追いついてないだけですのに、これは言い過ぎでしょって思ってしまいます😅

フランス:ル・トロネ修道院、サント・マリ・マレーヌ教会。イギリス:カンタベリー大聖堂。イタリア:ピサ大聖堂、サン・ミニアト・アル・モンテ教会。ドイツ:アーヘン大聖堂、シュパイアー大聖堂、ロルシュ修道院、マインツ大聖堂 など


Th__20210831214301

Th__20210829164501

 

建築史における大進歩と言えるのがゴシック建築と言われています。当初フランス北部のゴート地方で造られたために「ゴード風の」と言う意味でゴシック建築と呼ばれるようになっています。フライングバットレスという、外部の柱で建物を支える技術が出来たために、教会そのものの壁を薄くすることができ、窓も大きく取れるようになり、大きなステンドグラスが利用でき内部に光が届く明るい教会となっています。また高さも確保出来るようになったために、垂直方向により高くより尖った印象の教会となっています。

フランス:サン=ドニ大聖堂、パリ・ノートルダム大聖堂、シャルトル大聖堂、ランス大聖堂、アミアン大聖堂。イギリス:カンタベリー大聖堂、ウエストミンスター寺院、ソールズベリー大聖堂。ドイツ:ケルン大聖堂、聖エリザベート教会、マルデブルグ大聖堂。チェコ:聖ヴィート大聖堂。 イタリア:ミラノ大聖堂、サッサリ大聖堂。

Th__20210831211901
高くて、尖った尖塔があればゴシック建築と考えても結構当たる確率は高いと感じます😅
Th__20210829164101

 

ルネサンス建築は、ゴシック建築を引き継ぐ感じでイタリアのフィレンツェで1420年代に始まります。この時代には余りに宗教的な価値観に被われて時代に反撥して文芸復興「ルネサンス」がイタリアで始まります。この時代に絵画を中心に芸術が一気に花開きます。建築においても人体比例と音楽調和を宇宙の基本原理とし、教会建築においても外観も内部も整然、均等比率、左右対象、水平指向、全体的にも正方形となったり丸形のドームが好まれるように変化します。またこの頃より地方の貴族や王族なども財力を持つようになり邸宅や礼拝堂などもこの様式で建てられる様になります。

イタリア:サン・ピエトロ大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(フィレンツェ)、サン・ロレンツォ聖堂

Th__20210829164102

 

⑨ヨーロッパにおいて1590年頃からバロック建築は始まり、盛んになった建築様式である。バロック建築の背景には、宗教改革によって著しく低下したローマ・カトリック教会の権威の失墜を、芸術活動によって補おうと企んだローマ教皇シクストゥス5世、パウルス5世等の活動により16世紀末から17世紀初期にかけてローマで始まった。このような背景によいてより教会を神秘的な空間として表現する必要になったのです。、「バロック」と言う語の語源はポルトガル語の‘Barocco’(歪んだ真珠と言う意味)と言われています。建築の特徴としては外観はうねり、ねじれ、ダイナミックさが重要視され、内部においては豪華な彫刻、彫像、レリーフがふんだんに配置され、壁も直線ではなくて凹凸うねりのあることが多くなっています。またこの時代は柱を2つに並べるダブルコラムの様式もよく見られるようになります。 要は一見ににして豪華絢爛、綺麗ですがゴチャゴチャとした印象を受けるのです。 教会のみでなく、ハプスブルク家の支配したヨーロッパなどの館や広場などでもこの様式を見ることが出来ます。「バロック」と言う語の語源はポルトガル語の‘Barocco’(歪んだ真珠と言う意味)といわれ、元々は余りに装飾が行き過ぎてグロテスクにみえた装飾美術に対する蔑称であったそうです。

サンピエトロ寺院のコロネード(列柱廊、バチカン)、聖カルロ教会(ローマ)、メゾン・ラフィット(パリ)、スペイン階段(ローマ)、トレヴィの泉(ローマ)、シェーンブルン宮殿(ウィーン)、ヴェルサイユ宮殿(パリ郊外)

Th_chiesa-di-san-carlo-alle-quattro-font
⑩やがてイタリアでのバロック建築は衰退するが、ブルボン朝フランス王国に継承されてルイ14世太陽王の支配する宮廷に於いてバロックは絶頂期を迎えることになります。バロック様式は隣国のヨーロッパの各王国にも波及し、われ争って豪華な建物うが造られます。バロックの行き着いた建築様式としてロココ建築が有ります。その様式はロココと同じく女性的な曲線を多用する繊細なインテリア装飾などが特徴となります。しかし、あくまでも後期バロック建築の傾向を表現する用語であるため、この様式は独立した建築様式ではないと書かれていました。主な建築物には、サンスーシー宮殿などが挙げられる。
Th__20210829164201

 人の感覚は不思議なもので、ゴチャゴチャ感も行き過ぎると、見ただけで満腹になります。フランス料理のフルコースを何日も食べると(食べたことはありませんが・・😅)、きっとお茶漬けやカップヌードルが食べたくなるのと同じ?(←想像力がない😭)

 

⑪バロックまで行き着いた18世紀後期には、新古典主義建築が花開くことになります。この建築様式はもう一度原点に返り、古代ギリシアや古代ローマの古典建築にある荘厳さや崇高美を備えた様式に戻ろうと試みたのです。

Th__20210831223001

⑫バロックの後はヨーロッパ全体に及ぶ建築は少なくなり、その国が主だったり、その建築家(ガウディなど)の特色があわれれた建物が多くなっているようです。バルセロナのガウディ建築のように、それぞれの建築者の個性が溢れる建築が多くなった気がします。

Th_af03571db97f4d85857d0d72c42b0b47_1_10

ヨーロッパの旅行では・・至る所で「何々様式の教会、何々様式の宮殿」などと説明を受けますので、旅のマメ知識としてまとめてみました。

服装でも同じですが、時代と共に進化しては元の形に回帰し、また新たな要素を加えて発展するような気がします。いま最先端と思っていたのがいつのまにか古くなり、古いと思っていたのが最先端に置き換わって行きます。技術は進んでも人間の感性はあまり変化しないのでしょうね😃

« 今週の生け花(令和3年10月第3週) | トップページ | これからの選挙の先にあるもの »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

院長先生
こんばんは。
今日もお疲れ様でございました。

教会は美術館のように思い、楽しめました!
ゴシック建築はわりと分かりやすかったと思います。
あ~あの教会はロココだったのかと
教えて頂き参考になりました。
サンスーシ宮殿は外観とお庭と噴水を観たと思います。
外観がきらびやかでしたね。
プロテスタント教会は内部は寂しく?感じました。
記事、拝見させて頂きコピーして持って
ヨーロッパへ教会巡りへ行きたくなりました!
あ~夢見る夢ババですね?😅
無理!無理!
院長先生、早く海外旅行が実現できますように〜😄

バロックは真珠を思い浮かべましたよ。
今日もありがとうございました。

次回も楽しみにお待ち申し上げます。

マコママさん、こんばんは。

恐らく海外旅行で美術館が好きな方は教会も楽しめると思います。ロマネスク様式からゴシック様式の発展は凄いことだと感じました。ゴシック建築によって教会の内部が広くなり、窓も大きくなりステンドグラスが美しい教会へと変貌しました。

流石にマコママさんはサンスーシ宮殿に行かれたのですね、私は3回のイタリアで初めて見学することが出来ました。洗練された綺麗な教会ですね。 

50代後半から旅行を再開してのにまさか2年以上いけなくなるとは・・😢 来年は行けるようにしたいです。ワクチンパスポートも直ぐに手に入れたのに今年は無理そうです。

いつも本当にありがとうございます。マコママさんのコメントを励みに次の旅行を夢みたいと思います💖

こんばんは。
再度、お邪魔いたします。
院長先生、サンスーシ宮殿は確か?
ドイツのポツダム近くだったと思いますが〜?

マコママさん、こんばんは。

私の間違いです。ドイツのポツダム宣言で有名なポツダム近郊にある宮殿です。済みません、文面の⑩の説明で最初にイタリアと書いたことが残っており、このままイタリアにしてしまいました😅 

私がサンスーシ宮殿に出かけた時に、丁度アメリカの元大統領が見学(来賓?)に来ているとのことで1時間ほど入場出来なかったことを思い出しました。 折角出かけたのに、入れないのかと思ったら、近くの観光客の方から足止めをくらっている理由も聞くことが出来ました。1時間待ったら何事もなかったかのように見学出来ました。

omoromachi様、こんばんは。
大変興味深く読まさせて頂きました。それ以外の教会の呼び方や12使徒についても読んでみました。このように一つ一つを知識としてまとめると旅行の楽しさも倍増すると考えます。 改めにomoromachi先生の勉強の仕方も理解出来るような気になりました。
沢山の写真がありますが、一つ一つが芸術作品のような写真ですね。これも全て先生の宝物になっていると感じております。
私も海外赴任の時に訪ねた旅行先での家族との写真は今でも私の宝物です。早く旅行が再開されることをお祈り致します。いつもお忙しい中本当にありがとうございます。

信州の隠居老人さん、こんばんは。

以前からまとめてみたいと思っていたことを書いてみました。いつも知識がバラバラになるために、自分の頭の整理のためにまとめたのです。

折角出かけてもその場限りで終わったら、もったいないと思います。若い時から旅に出て良かったのは、時代の流れや国の問題や歴史的なことなど諸々が繫がってきた事です。 私が旅行するのも後どれぐらい出来るのかは分かりませんが、今がもしかしたら知識のピークかも知れません。

信州の隠居老人さんもヨーロッパの赴任中にフランスやドイツなどを訪ねたことを書いていましたね。この時にご家族も一緒に旅行する機会があったのですね。 時代も流れ元に戻ることはありませんので、貴重な家族写真ではないでしょうか。 思い出は大切な記憶で宝物です。

こちらこそコメント頂きありがとうございます。これからも読んで貰えたら嬉しいです。

こんばんは。

教会建築の変遷が時系列でよく分かりましたし
どの教会がどの建築様式なのかとても参考になりました。
ゴシック建築のミラノ大聖堂は細い尖塔がいくつもそびえて
個人的に外観も美しく、内部の圧巻のステンドグラスにも
感動しました。
フィレンツェの花の聖母大聖堂は外観は華やかなのに
内部は意外と華美ではなかった記憶があります。
煌びやかで豪奢なロココ調は私も含めて女性は好きだと思います。
でも面白いのはそこまで行き着くとまたシンプルなものに
原点回帰したんですね。
ファッションの流行が巡るように建築にも同様の事が言えるんですね。
分かり易くて興味深いお話をありがとうございました。


sharonさん、こんばんは。

1度はまとめてみようと思っていました。コロナ禍で旅行に行けませんので今の時期に書いてみました。
いつも教会をみながら何形式だったのか思い出せないこともありますので、次からは忘れないと思います😅

ミラノ大聖堂の空に伸びる尖塔が素晴らしいですし、フィレンツェ大聖堂は色合いや柔らかさを感じますね。 確かにフィレンツェ大聖堂は内部はそれ程と思うのですが、天井画は圧巻ですよ。

sharonさんが書いてあることを私も考えていました。人間の美的感覚はその時代で変わってしまうと思います。しかし流行が過ぎると新しいものに変わるのですが、先人達が美しいと感じたことに戻ることが多いと思うのです。 教会建築もファッションも同じなのでしょうね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 今週の生け花(令和3年10月第3週) | トップページ | これからの選挙の先にあるもの »