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2021年4月 6日 (火)

下肢静脈瘤発生のメカニズムと症状

・ココロブをまとめた私のHPは→「ニライの夢」

今日のFM放送は静脈疾患について説明をしました。以前も同様な記事は書きましたが、久々ですので書き加えて記載致します。

人間の血管は動脈と静脈があります。私達の血液は心臓の拍動により作り出された圧力(血圧)によって全身の組織に送り出されます。この圧の高い状態を支えているのが動脈になります。組織に酸素や栄養を運んだ後に心臓に戻る血管が静脈です。

Th_血液が戻る時には心臓のような送り出すポンプ装置はありません。そのため動脈から送り出された血液が押し出されるようにして、ゆっくりと静脈の中から心臓に戻って行きます。 静脈の圧は低く、それだけでは動いた時などに逆流が起こってしまいます。 それを防ぐ為に、手足の静脈には動脈にはない凄く薄い逆流防止装置の静脈弁があるのです。

手も足も静脈が表面を走っているために静脈が目立ちます。もちろん手と足の静脈にも同じ様に弁があり、逆流を防いでくれます。しかし静脈瘤のようなコブが出来るのは足の静脈となります。

それには人間の進化(二足脚歩行)が原因となっています。

 

Th__2私達人間は進化の過程で二足歩行を選びました。静脈血は心臓に戻るためには、心臓との位置関係が問題となります。私達人間は四つ足の動物と比べると、心臓から手と足の高さには大きな開きが出来てしまいました。手は心臓の高さとそれ程違いはありませんが、足は極端に下方にあり、足の静脈はうっ血した状態を強いられいるのです。人間がずっと寝ていたり、四つ足歩行や逆立ちのままでいたら下肢の静脈瘤は発生しなかったかも知れません。

Th__3元々、動脈と比べて壁も薄い静脈ですので、圧が長年かかり続けると、血管が太くなってしまいます。静脈は太くなったとしても、その静脈弁は成長しません。次第に逆流装置が働くなったり、薄い静脈弁が疲弊して破壊が起こります(1番上の図参考)。 次第にうっ血がひどくなる悪循環にいたり、更に足の静脈は拡張、蛇行して目立ってくるのです。

 

これが多くの方に静脈瘤が起こる原因となります(女性で20〜40%、男性で5〜10%程度)。 女性に圧倒時に多いのはホルモンの関係などもありますが、妊娠すると骨盤内で足から入る静脈も子宮により押されてしまうため、更に足の静脈の圧が上昇して、静脈瘤を発症させます。

この様なことが下肢1次性静脈瘤の発症メカニズムです。

ですので同じ様な立ち仕事をずっと続けないように、時々足を上げたり、足の運動をすることでうっ血を防いだり、あるいは弾力のあるストッキングを利用して、静脈瘤の発生や伸展を防ぐようにして下さい。

下肢の静脈瘤の初期症状は静脈の蛇行やこぶ状に膨らんで来ることで、見た目だけの問題となります。 徐々に進行すると静脈のうっ滞が続くことで、だるさや足の重い感覚、疲れなどが出ますし、けいれん(こむら返り:他の原因も多いですが)が起こりやすくなります。

更に進行すると熱感や皮膚の色素沈着、かゆみや湿疹などが出て来ます。更に状態が悪化すると皮膚炎や下腿潰瘍などの重篤な病態になることもあります。

予防や軽度の場合には足を全体的に締め付けるような弾性ストッキングなどの着用を行います。現在は治療となるとそれぞれの病態に準じて、外科的切除(ストリッピング、高位結紮など)、血管内レーザー治療、ラジオ波、硬化療法などがあります。

気になる方は血管外科や循環器の先生にご相談されて下さいね。

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医療」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
よく耳にする下肢静脈瘤ですね?
女性の方が多いとは存ぜずでした。
妹は両脚、コブコブでレーザー治療しております。

弾性ストッキング、持っていますが、
履くのが大変です!
今日もありがとうございました。

マコママさん、こんばんは。

下肢の静脈瘤はよく見かける疾患ですし、女性が多いために美容上の問題で来院される方もいらっしゃいます。女性ホルモンの影響や立ち仕事や逆に正座などの姿勢の問題、妊娠などの影響もあり女性の方が圧倒的に多い疾患です。
妹さんはレーザー治療を行ったのですね。中等度の瘤までは対応出来ると思います。

弾性ストッキングは履いたり脱いだりするのが大変ですし、工夫が必要です。 履くのが大変なら弱圧のタイプを選ぶといいのかも知れません。

いつもコメント頂き本当に感謝致します💖

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