骨粗鬆症患者さんの骨折の特徴
(ココロブの記事をまとめたホームページを作成しました→ニライの夢 https://dreams-nirai.com)
今日のFM放送は骨粗鬆の第2弾として、骨粗鬆症に伴う骨折や転倒防止などの話をしました。私達人間の骨は大小様々で、耳の中にある米粒大の小さな骨から、40cm程度の長さの足の大腿骨までおおよそ206本あります。頭蓋骨を除く大きな骨の構造は外側に硬い皮質骨があり、内側に血液を作る骨髄を含む海綿骨があります。背骨や腕や足の骨など、大きな力がかかる部分の骨は皮質骨の割合が多くなっていて、衝撃に強い構造となっています。
この硬い骨も実は皮膚と同じ様に日々新しく生まれ変わっています。骨の新陳代謝を司るのが破骨細胞と骨芽細胞です。年齢を重ねると(特に閉経後の女性)、破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れ、骨の密度が落ちてしまいます。硬く強い骨がスカスカのようになってしまうのです。これが骨粗鬆症です。
骨粗鬆症とは骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。近年寿命が延び、高齢者人口が増えてきたため、特に問題になってきています。日本では、約1,000万人の患者さんがいるといわれており、高齢者人口の増加に伴ってその数は増える傾向にあります。
骨粗鬆症は全ての骨に同様に起こる訳ではなく、起こりやすい場所があります。起こりや場所として、脊椎(背骨)、大腿骨が上げられ、その場所の骨折が多くなる傾向があります(脊椎圧迫骨折、大腿頸部骨折)。また筋力低下や運動神経低下などで前屈みで手をついて転んでしまい手の骨を折ることも多くなります(橈骨遠位端骨折)。
骨粗鬆症が問題になる理由をまとめますと,次のようになると思います。
- 高齢者の寝たきりの原因のうち約15%が「骨折」といわれています。中でも「大腿骨」という太ももの骨の骨折が問題となります。骨粗鬆症が進んだ骨はちょっとした衝撃でおれてしまうことがあります。骨折をきっかけに寝込んでしまうと、骨折が治った後も自力で歩くことが困難になってしまうのです。
- 背骨が圧迫されてつぶれていく(これを圧迫骨折といいます)と、背中が丸くなり内臓が圧迫されるため消化不良や便秘になったり、食べたものが食道に逆流しやすくなり胸焼けがしたりします。
- 背中や腰などに、骨折に伴う痛みが出てくることがあります。
- 痛みのために、日常生活での動作が制限され、行動範囲も狭まってしまいます。
骨密度の測定は診断はX線(レントゲン)検査が一般的でしょうか。現在多く行われているのは、骨密度が落ちやすく骨折を来しやすい、腰椎と大腿骨の2カ所の骨密度を測定して、若年成人と検査した本人の年齢の検査値を数値化して表す方法(DXA)が多いと思われます(→レポート用紙に「自分の年齢と若い人の年齢と比べたら、あなたの骨密度は○○%ですと図と数値で記載」と書いてあるやつです😊)。
整形外科医ではありませんのではっきりしませんが、DXA法の値のみでどの治療を選択するかは決まっていないようです。これまでの経過や受傷起点、実際の症状や骨折の状況などを目安に治療を開始するとのことですので、整形外科の主治医を御相談なされて決定して下さいね。
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こんばんは。
私も身長は縮んでおります。
165cmあったのが163cmになってますが、
最近、計っていないので〜?
来月、骨密度測定です。
腕で測るのですよ!
今日もありがとうございました。
投稿: マコママ | 2021年3月10日 (水) 19時38分
先生 こんばんわ。
骨密度検査は毎年やっていますが、足で測る簡単なものです。
写真にあるような、DEXA法とは大分違うのでしょうか。
数日前から右足膝が痛みだし、本日整形外科に行き診断していただき
結果は変形性膝関節症の初期で、水も抜く程溜まってはいないとの事で、
5回にわたって、アルツと云う注射をする事になりました。
私も昨年後期高齢者となりましたので、骨粗鬆症で寝た切りになるのは
怖いです。
毎日大腿筋を強くする運動はやっておりますが、昨年からコロナで
運動量は減っているので、気をつけたいと思っております。
本日行った病院にはDEXA法の検査機器がありますので、場合によっては
受けたいと思います。
長々と申し訳ございません。
良いお話を読ませていただき、有り難うございました。
投稿: ガルボ | 2021年3月10日 (水) 20時14分
こんばんわ・・・
年は取りたくないのですが・・どうにもなりませんね。
骨折は不注意から起こる事が多いと思いますが、それでも高齢になれば
運動神経も鈍るし、からだのバランスをとるのも容易でなくなり、つい
転んだりするのですよね。加えて雪国だと雪で転ぶことも多いのです。
できるだけあくせくしないように、ゆっくりゆったりと歩行にも注意払わねば
なりませんね。
今夜も優しき解説有難うございました。
投稿: でんでん大将 | 2021年3月10日 (水) 21時12分
マコママさん、こんばんは。
マコママさんは随分とスタイルがよかったのですね。今でも大柄な方に入るのでしょう、凄いです。 私はチビですので、マコママさんとは並んで歩かないようにします😀
来月は骨密度の測定があるのですね。手で行うのは簡易型ですが、経過を追うには十分と思いますので、経過をみて判断されて下さいね。
投稿: omoromachi | 2021年3月10日 (水) 23時08分
ガルボさん、こんばんは。
骨密度の測定があるのですね。手や足で測定するのは簡易型となります。ブログにも記載しましたが、骨粗鬆症が起きて骨折を来しやすい腰椎や大腿骨を測った方が実際の臨床にはより役立つと考えます。しかし簡易型でも十分ですし、経過を追うには役に立つと思います。
変形性膝関節症も非常に多い病気の1つですね。関節軟骨の加齢変化が主な要因ですが、炎症を抑えるために関節内注射をすることがあります。水は溜まってないようですので、無理をしないように心掛けて下さい。
股関節や膝関節回りの筋肉を鍛えることは転倒防止にもなりますし、膝を守ることにもなりますので、自宅でも運動を続けて下さいね。
写真は当院での骨密度の測定器です。時間があれば腰椎と大腿骨の骨密度を測定してみては如何でしょうか。参考になると思います。
投稿: omoromachi | 2021年3月10日 (水) 23時18分
でんでん大将さん、こんばんは。
加齢的変化は免れることはありませんので、他のことでカバーするしかありません。 年齢と共に男性でも骨密度が低下しますし、反射神経も筋肉も衰えてしまいます。 殆ど段差のない場所で転倒し骨折となることもあるのです。 雪は滑りやすく怖いですよね。 初めて沖縄を離れて雪を経験したことがなかったために、駅前の氷が張った上で豪快に転倒したことがありました。若かったので怪我はしませんでしたが恥ずかしかったです。
これからはお互いに自分年齢や筋力、反射神経の低下を頭に入れてそろりと歩くように工夫しないといけませんね😅
投稿: omoromachi | 2021年3月10日 (水) 23時24分