睡眠と成長ホルモン
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睡眠に関して色々な研究が進んでいるようです。以前睡眠の日内変動に関して、セロトニンとメラトニンが関与していることを記載しました。解明が進むにつれ新しい眠剤の開発にも寄与しています。今回は睡眠と関わりが深い成長ホルモンについて記載します(まあ何時もように老外科医が考える程度ですので、軽く流して下さい)。以前書いたイラストを2枚載せて起きます。
<成長ホルモンと睡眠の関係について>
今回は成長ホルモンについて説明します。一般の方には「成長ホルモン=身長が伸びる」の認識と考えます。もちろん成長ホルモンは骨や筋肉の成長・発育に重要なホルモンですが、成長期を過ぎても皮膚や細胞の新陳代謝に影響を与えています(→この辺りが強調されて「美容に良い」と思われる原因となったかも知れません)。またインスリン様成長因子(IGF)と共に脳の発達や記憶にも影響を与えています。
成長ホルモンは「22時から深夜2時頃」に多く分泌されると言われて、美容のためにもこの時間帯には寝ている方がよいと言われたいたことが記憶に残っていました(今はどうなのでしょう)。確かゴールデンタイムなんて言われていたような・・? また最近ではアンチエイジングなる視点から述べていることもあるようです。この「アンチエイジング」は個人的には嫌いな言葉の1つです。年齢を重ねることは悪くはありませんし、いつまでも若く美しいなんてサイボーグでもあるまいし・・・と禿げたオヤジ(私😢)は思ってしまうのです・・・
「ゴールデンタイム」については考えたことも無かったのですが、当時から(一応医者だったので😅)あまり画一的な時間には根拠の無いことだと考えていました。だって地球は24時間動いているのですから、私の22時は別の場所に住んでいたら違う時間ですし、同じ場所に住んでいても早寝・早起きもいるし、遅寝・遅起きだったりもいる訳です。
成長ホルモンの分泌は1日を通して出ていますが、一定では無くて、パルス状に分泌されています(上のイラストの数字は正確なものではありませんので参考までに)。 睡眠時、特に寝入りばなの徐波睡眠時間(ノンレム睡眠)で多く分泌されます。その原因の1つは成長ホルモンの分泌にはメラトニン(以前のブログで書いた眠るホルモン)が作用するために、最初の寝入りばなで成長ホルモンの分泌は増加するようです。 メラトニンの量もそうですが、経年齢的に成長ホルモンの夜間睡眠時の量も年齢を重ねると低下してゆきます。このことからも言えることは睡眠は質も量も年齢と共に変化するのが当たり前なのです。
しっかりと睡眠時間を確保することや、同じ時間帯で睡眠と覚醒を繰り返す方が人間の身体にとって、恒常性の維持からもよいと考えています。毎日同じ時間帯に寝た方が結果的に「身体には(お肌にも)よい」となることから、「22時から深夜2時がゴールデンタイム」とささやかれたのかも知れません。
睡眠は脳や身体の疲れを取るのに重要ですが、特に成長期の子供達にとっては睡眠中の分泌される成長ホルモンは欠かせないホルモンです。「寝る子は育つ」は医学的にも正解かも知れません。
単細胞の私の頭で考えている以上に睡眠は奥が深そうです。睡眠に関わるホルモンだけでも、ドーパミン、セロトニン、メラトニン、成長ホルモン、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)、プロスタグランジンなど様々な体内の物質が複雑に絡んでいるようです。
深く考えると眠れなくなりますので、寝る前には音楽でも聴いてリラックスすることにしましょう💖
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コメント
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こんばんは。
今日も有難うございます。
1つ安心?したのは、睡眠の質が年齢と共に低下する、
と言う事をお伺いできて私だけではない!と教えて頂いた事です。
22時半に寝るように努めておりますか寝付き悪し!
お薬に頼っています。もう、年だから!と
居直って…😂
投稿: マコママ | 2021年1月13日 (水) 20時11分
マコママさん、こんばんは。
睡眠は年齢と変わることは以前から分かっていましたが、近年そのメカニズムが解明されつつあります。それによる新しい睡眠薬も出るようになっています。 今後は効果が高く、依存性のない眠剤が開発されることを期待したています。
このように書いたのは、睡眠障害の方が若い時と同じ様に寝ないといけないプレッシャー(ストレス?)から解放して欲しいと考えたからです。 眠剤も使いようですので、なるべく筋弛緩作用や依存度が少ないお薬で調整出来たら良いのですが・・・お休みなさいです😄
投稿: omoromachi | 2021年1月13日 (水) 21時19分
こんばんはKです。
私の方は基本的にはよく眠れている方
だと思います。それでも悩み事がある
と寝つきは流石に悪いです(当たり前?)
難しい医学的なこともイラストで
説明して貰えると、なんとなく😓
分かった気になっています。
私も「成長ホルモン=身長が伸びる」
ことと思っていました。
美肌のことは母から言われてことが
あります。昔は美肌のために20時から
寝ないといけなかったのでしょうか?
Kは遅寝、遅起きです😄
投稿: Shiroyama.K | 2021年1月14日 (木) 00時13分
Shiroyama.Kさん、おはようございます。
Kさんはまだ若いので、眠るべきホルモンの量も多いと思います。それでも悩み事がある場合にはやはり寝付きにくいでしょうね。
私の方は難しいことが解りませんので、自分が分かる様に易しく書いています😅
人間の血液の中には常に100種類以上のホルモンが流れていて、人間の身体を一定に保つ様に働いています。私達の体は想像を超える素晴らしい構造物です。
遅寝、遅起きですか・・・均衡が取れていていいのではないでしょうか💖
投稿: omoromachi | 2021年1月14日 (木) 08時00分
先生、今晩わ。
最近、運動不足のせいか、眠れなくなっています。
散歩も少なくなり、電車に乗っての散策も行かなくなりました。
とうとうお医者さんにレンドルミンを処方して頂き飲んで就寝です。
この薬を飲むと、よく眠れます。
ただ常用して、何か副作用が出るのではと心配ではありますが、
年齢も高いので、仕方ないかなと思っています。
夫は決まって22時には就寝しますが、私はいつも午前さまです。
夫が寝ると、私のゴールデンタイムとなるのです(^'^)
これがずっと続いております。
それでも今のところは健康なので、勝手に良しとしています。
投稿: ガルボ | 2021年1月14日 (木) 19時30分
ガルボさん、こんばんは。
コロナ禍では運動も思うように出来ませんので、眠りにも良い影響を与えないようです。やはり不眠の方が増えてたような印象です。
レンドルミンは眠気を誘う薬で、作用時間は短いのですが、時々持ち越し効果もありますので翌朝まで眠気が出る方もいらっしゃいます。 可能なら眠れない時に使用するようにして、連用を避けた方が良いかもしれません。難しい場合には、今日のブログに書いたメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬などの新しい眠剤も試しても良いかもしれませんね・・・この辺りは専門的になりますので主治医と相談されて下さい。
余り睡眠にこだわるのはよくありませんので、日中に激しい睡魔に襲われなければ良しと考えて行動しましょう(笑)・・・いま現在、健康ならもう十分ですよ😄
投稿: omoromachi | 2021年1月14日 (木) 20時47分
こんにちは!
最近は眠れないという事はなくなりました・・・あまり眠ろうねむろうと意識しますと
逆に目がさえて来ますので、気楽に目を閉じることに努めています。それに
あまり早い就寝は出来ない性格ですから、冬分は午後11時半までには寝よう
それを目途にしています。
単純な質問ですが、先月下剤として「マグミット細粒83%」という薬の処方を
受けました。確かにその効果は認識しています、ただ、この薬のせいだったか
分かりませんが、時々睡魔に襲われました。副作用などの説明では、眠気が
出るとの記載もあり、薬剤師さんからも聞きました。ということは、この薬には
眠気を誘うような物質も入っているということなのでしょうか・・・このような薬に
そのようなものが入っているのは何故なんでしょう…
お忙しい中にすみません・・・。
投稿: でんでん大将 | 2021年1月15日 (金) 15時32分
でんでん大将さん、こんばんは。
今日は緊急手術のためにいま部屋に戻って来ました。お返事遅れました。
余り早く寝ようとしても難しい場合もありますし、眠りにこだわると反って眠り難くなるようです。いまのままで良いと考えます。
下剤の酸化マグネシウムは薬の中でも副作用としては頻度の少ない薬品の1つです。殆ど吸収はされませんが、量が多く長期間の服用で、血液内に蓄積され高マグネシウム血症となることがあります。これは呼吸抑制や意識障害を来すこともある重篤な合併症です。 非常に稀な頻度ですが、悪心、嘔吐、血圧低下、眠気などもあるようです。
私の場合には長期間服用されている方には採血の時に血中のマグネシウムの測定を追加することにしています(保険でも認められています)。
大将さんが危惧されているのは、マグネシウム製剤に眠気を起こす成分を添加しているのではないかと文面上は考えました。 マグネシウム自体には眠気を起こす作用は殆どありません、解明されていないと思います。
特に大将さんの様にまだ使用機会が少ない場合には高マグネシウム血症になることは殆どないと思いますので、他の原因を探った方が可能性としては高いと考えています(大将さんが腎臓の機能が悪い場合には注意が必要です)。
答えになっていたら良いのですが・・・もしも心配ならこの薬を飲まれている場合には採血でマグネシウムも測定出来ますので、主治医に相談されて下さいね。
投稿: omoromachi | 2021年1月15日 (金) 21時56分