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2020年6月 3日 (水)

痛み止めの種類と胃潰瘍

Th_3このブログの記事をまとめたホームページを作りました。見て頂くと嬉しいです😃(ニライの夢:https://dreams-nirai.com )。

 

胃潰瘍の主な原因は、ストレス、ピロリ菌感染、痛み止めと考えられています。以前のブログにもストレスとピロリ菌感染は書きましたので、今回は痛み止めと潰瘍の関係を書いてみました。細かい所を飛ばして、かなり大まかに書きますのでご了承を・・😅

 では、まず痛み止めなら皆同じか?と言うことになりますので、まずはその辺りから

痛み止めには、麻薬などのオピオイド系鎮痛薬と非オピオイド系鎮痛薬があります。非オピオイド系鎮痛薬の中で非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)とアセトアミノフェンがよく使われている薬剤です。

商品名で言った方が皆様方には理解しやすいかも知れません。

非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)には、ロキソニン(R)(ロキソプロフェン)、イブ(R)(イブプロフェン)、ボルタレン(R)(ジクロフェナク)、アスピリン(R)などがあります。

アセトアミノフェンの代表名としてはカロナール(R)、ピリナジン(R)、アンヒバ(R)、アルピニー(R)などがあります。

市販薬にもこの成分が入っていることもあり、これまでに多くの方がよく飲まれていると考えています。

では、この2つの系統に違いはあるのでしょうか?・・・これまで同じと考えている方が多いと思いますので記載します。

<NSAIDsとアセトアミノフェンの違い>

①NSAIDsの薬理作用はアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制します。プロスタグランジンの中でも、特にプロスタグランジンE2(PGE2)は起炎物質・発痛増強物質です。NSAIDsは主にPGE2の合成抑制によって鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮します。

②アセトアミノフェンの薬理作用はNSAIDs同様にCOXを阻害しますが、その作用は弱く抗炎症作用はほとんどありません。そのためアセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。非常に歴史がある薬であるアセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられていますが、実は未だに詳細な機序が判明していない薬でもあります。

 プロスタグランジンの中でも細かな作用によって違いはありますが、胃に関して言えば、プロスタグランジンは胃の粘膜の血流を維持する作用や胃を保護する粘液を増加する作用があります。これが減ると、胃の保護作用が低下して胃潰瘍になりやすくなります(最初の上の図をご覧になって下さい)

 ですので、NSAIDsは胃潰瘍の原因にもなることが考えられますが、アセトアミノフェンは胃には余り影響を与えないと言う結果になるのです(もちろん長期に服用では腎障害などの副作用もあります)


Th_nsaids_20200603192201

 <NSAIDsで胃腸障害を防ぐには中止か併用か?>

・実際の臨床でNSAIDsを止めれることが出来れば中止。中止出来なければ併用を考えることが多いです 。具体的には胃酸を抑えたり胃の粘膜の保護作用のある胃薬と併用することが多いです。またNSAIDsが直接胃の粘膜の刺激作用もありますので、空腹時の内服は避けて食後にとるようにするように指導しています。

NSAIDsの長期使用例で、消化性潰瘍の予防効果が証明されているのは、プロトンポンプ阻害剤、プロスタグランジン製剤、H2受容体拮抗薬と呼ばれるタイプの胃薬です。 NSAIDsを服用される方で元々胃が弱いとか長期間服用される場合には、胃を荒らさないために胃薬との併用を行うようにして下さいね。

薬剤師の方や専門家からは怒られそうですが、胃潰瘍と鎮痛薬の関連について書きました。

追記)・・・もう1つややこしくしているのは、皆様方がよく使っている市販薬のバファリンも実はどの分類になるのか判りづらいこともあります・・・私も覚えきれません😢

「バファリンA」はアスピリン(NSAIDs)、「バファリンルナJ」はアセトアミノフェン、「バファリンEX」はロキソプロフェン(NSAIDs)、「バファリンプレミアム」と「バファリンルナI」はイブプロフェン(NSAIDs)とアセトアミノフェンの両方・・・となっています。

・・・まあ、市販の薬のパッケージには書いてあると思いますので、一度ご覧になってみて下さいね。 

**今ではNSAIDsと言っても、副作用を減らすような薬剤が開発発売されていますので、胃潰瘍になりにくいNSAIDsも開発されています**

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医療」カテゴリの記事

コメント

院長先生
 こんばんは。
耳にしたことがあるお薬が沢山ですね?
多分?私はこの中のお薬の服用はなかったように
思いますが・・・?
現在は「ランソブラゾールOD錠15mg」が処方されております。
毎朝、1錠服用しておりますが・・・?
 以前にも書かせて頂きましたが、
ピロリ菌駆除2回しました。
時々、胃のあたりがキューっとすることがありますが?

こんばんわ・・・
今回もじっくり拝読させて頂きました。
これまで歯科から整形外科から、痛み止めとして「ロキソニン」を処方された
ことがあります。ロキソニンSは市販もされていますので、痛いときにはこれを
服用しています。今回の腰痛・股関節の痛みでもそれを服用しました。しかし
効かず、あまり薬に頼り過ぎもどうかなと自己判断で止めました。
先生からはカロナールの処方を受けたこともありました。どちらも同じとばかり
思っていました・・・
詳しい説明を有難うございました。

マコママさん、こんばんは。

今日の鎮痛剤は非常に多くの方が服用された事があると考えています。色々な風邪薬にも入っていますので、マコママさんも知らないうちにこれらのお薬は服用されていたと思います。

ランソプラゾールを長期に飲まれているようなら潰瘍よりも逆流性食道炎(胸焼け)のためかも知れませんね。あるいは抗凝固薬などを飲まれている場合にも予防的に使用することもあります。

この薬を飲まれていますので、潰瘍になることはないと考えますので、胃の一過性のれん縮などかも知れませんね。

でんでん大将さん、こんばんは。

歯や整形外科的な痛みに対してはロキソニンは単に痛みだけでなく抗炎症作用もありますのでよく処方される薬です。 
痛みがあると気力ややる気も起こらなくなる場合もありますので、このような時には鎮痛剤もいいと思います。一番最後に書いた様に最近では胃に負担がかかりにくいNSAIDsも出ていますので、長引く痛みにはよいのかも知れません。

カロナールの方や抗炎症作用は余りありませんので、腰痛・股関節痛にはNSAIDsの方がよいかも知れません。頑固の痛みには最近ではオピオイド系鎮痛剤(湿布剤)も出ています。この辺りはペインクリニックの先生がいる病院で対応した方がいいのかも知れませんが・・・ご参考までに。

おはようございます。
何時ものように凄く判りやすい
解説でKも理解出来ました😸
私も頭痛や生理痛の時に
よく飲んでいるお薬もあります。
なるほどと思いながら読みました
薬の内容を読むとNSAIDsです。
これまで胃を荒らしたことはないの
ですが、空腹時は避けたいと思います
お忙しい中このような有用な情報も
発せられていて本当に感謝です♡

shiroyama.kさん、おはようございます。

早速読んで頂きありがとうございます。多くの女性の方が頭痛や生理痛などで鎮痛薬を飲まれていると思います。今日書いた様に、皆同じと考えて飲まれていることが多いのだろうと考えて文書にしました。非常に大雑把に書きましたが、この方が一般の方には判りやすいと思います(医療者からは怒られそうですが・・・)
今の市販薬は胃にも負担が少ないように配合されていますので、それ程気にしなくてもよいと思いますが、胃が弱かったりする方は食後がよいかも知れません。
東京アラートが発動されましたね。しばらくはKさんの好きなライブも参加出来ずストレスが溜まると思います。ここは辛抱して乗り切ってゆきましょう💖

先生、お疲れ様です。
以前は胃の薬のことで大変お世話になり
ありがとうございます。
あれから、胃の薬を探すのを止めまして(-_-;)
飲食に気をつけ自力で治し、今のところ調子が良いです。
先日、omoromachiさんが以前教えてくださった、
アルサルミンを偶然にも、処方してくれた内科の先生がいましたが、
それも飲まずにすんでいます。
次回調子が悪いときに服用してみますね。
最近は、ロキソニンは副作用も強いので処方する先生は少なってきたようです。

人間の身体は自然そのものですので、疲れを貯めないように
生活出来るよう頑張りましょう☆。

今日も貴重な記事、ありがとうございました。

由津子さん、こんばんは。

最近は胃の調子もいいようで良かったです。人間の身体は機械のように同じでありませんし、薬の効果や副作用も皆それぞれです。自分にあった体調管理が出来たらベストですね。

痛み止めも色々な条件で使い分けしています。恐らく一般の方々はどれも同じと考えていると思い、今回のブログのテーマにしました。

読んで頂きありがとうございます💖

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