睡眠障害とメラトニン受容体作動薬
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毎年1月の初め頃は初夢にかけて、夢や睡眠の話をしています。何度か年齢と共の眠れなくなったり浅くなる機序を書いたことはあります。今回も同じですので代わりばえありませんが、睡眠障害とメラトニンについて記載します。
体内時計という生活のリズムを保つために、セロトニンとメラトニンの重要性が解って来ています。セロトニンは神経伝達物質でメラトニンはホルモンです。
皮膚の色を司るホルモンのメラニンを調べている中で偶然、(牛の)脳の中ににある松果体という部分で作られるメラトニンと言うホルモンの存在が発見されます。後に人間にもあることが解りました。そのホルモンを抽出し、ボランティアの方に投与したところ皆眠くなったことが判明しました。そのためメラトニンが「眠りのホルモン」と呼ばれる様になったのです。
その後メラトニンがセロトニンから分解合成されることも解るようになって来ました。
朝起きて、光を浴びるとセロトニンの分泌が上昇し、交感神経が刺激されて活動性が増すことで日中の行動がスムーズに出来るようになります。そしてセロトニンは夕方になると減少してゆきます。 セロトニン分解されてメラトニンが生成されますが、生成されるまでのに時間差があります。左の図のようにセロトニンが低下していく頃にメラトニンが増えてゆきます。その為日没後暫くすると増加したメラトニンの作用によって私達は眠くなっていきます。真夜中にピークになり次第に体内で分解されて朝には減少し、寝覚めの準備状態となります。そして夜が明けて、光が入ってくると、セロトニンの分泌が盛んになり・・・それを繰り返して私達は生きてゆくわけです。
ではメラトニンの具体的な作用としては、メラトニンが増えてゆくと、私達の体は「脈拍」「体温」「血圧」などが、低下してゆきます。それを感知した脳内で寝る準備が整ったと判断し、眠りにつくのです。
このメラトニンは1〜5歳頃がピークで年齢と共に減少してゆきます。子供は体の大きさと比べ運動量も多く体の疲労を取るためにも眠りにつきやすく、更にメラトニンの量も多いので、コロッと寝てしまうのです。
高齢になるとメラトニンの減少のため入眠しにくくなったり、途中で覚醒したり,朝早く目が醒めてしまいます。
またメラトニンの低下に加えて、ストレスなどの精神的な興奮状態を就眠前まで受けている中年以降で、不眠が増加します。 リタイアして社会的ストレスはないと言えでども高齢になると更にメラトニンの低下があり、不眠が増加します。 夜間の頻尿や足がムズムズするという症状も多くなり不眠が増えます。
色々な睡眠薬がありますが、近年開発された睡眠薬で、このメラトニンを増やすことで自然な眠りにつこうとする薬が開発されています。「メラトニン受容体作動薬」という薬です。 年齢と共に体内時計を司るメラトニンの減少を補い、睡眠と覚醒のリズムを整えることで自然な眠りに近づけようとする考えです。
以前の睡眠薬の中には精神的な依存になる方もいらっしゃいます。これまでの睡眠薬と作用が違いますので、患者さんの多くが以前の薬がすぐに眠れたということを訴える方もいます。
私などは手術は専門分野ですが、睡眠障害は専門ではありません。急に変えても上手く行きませんので、昔の薬から新しい薬を併用しながら徐々に切り替えるようにしています。より自然な眠りに近づけるようにしています。そのためにも生活そのものも規則正しく行うように指導もしているのです。
子供の頃あんなにコロッと眠ったのにと不平を言っている皆様方!そうあなたも年を取ったのですよと、焦らずに自分の身体と向き合って行きましょう😃
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こんばんは。
わ~私の事みたいです!
もう何年も前から入眠剤を服用しております。
それでも夜中に1回はトイレへ・・・。
朝は早くても6時半の目覚めですね。
23時には寝るように心がけておりますが、
夫の事もあり寝付けない事があります。
お日様に当たるようにいたします。
今日もありがとうございました。
投稿: マコママ | 2020年1月 8日 (水) 21時42分
マコママさん、こんばんは。
日本人の4人に1人が睡眠障害を訴えていますし、年齢を重ねるほどその傾向は増えてしまいます。
入眠導入剤は基本的に少量で維持できれば長期間飲んでいても問題ないとされています。 夜間のトイレも1回でしたら問題ないと考えています。ただし、眠剤の中には筋力の低下を起こす作用のある薬もありますので、夜間トイレに行く際に転倒に注意も必要となります。
今は特に色々なことを考えると、入眠困難(最初に寝付けない)なことが多くなると考えます。
朝起きたら日光に当たって体を再起動させて下さいね。
こちらこそ、いつもありがとうございます。感謝しています💖
投稿: omoromachi | 2020年1月 8日 (水) 22時12分
遅くなりましたが、おめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
私も以前から不眠症に悩まされています。
どうしても眠れない時はレンドルミンと云う薬を飲んでいます。
依存症になるのは怖いので、眠れなくても死ぬ訳ではないので、
なるべく飲まないように気をつけてはいます。
眠れないより、朝早く起きられない事の方が、私にとって問題です。
夜、11時、12時に寝ても、朝は9時や10時起きの生活です。
目覚ましをかけていても、知らないうちに止めて眠っています。
これは、だらしないだけなのでしょうか。
どうかすると、10時間以上、ぐっすりです。その間トイレにもいきません。
友人によくそんなに眠れるわねと、言われています。
どうしたら早起きが出来るようになれるのでしょうか。
昼間は、天気の良い日は散歩や散策にも出かけ、普通に家事もこなしています。
8時には起床したいものです。
投稿: ガルボ | 2020年1月 9日 (木) 15時07分
ガルボさん、こんばんは。
不眠に悩まされる日本人はとても多いのです。
最初の眠剤は非常に依存が強くなる薬が多かったのですが
次の世代のベンゾジアゼピン系の薬(レンドルミンもこの範疇です)は依存性はだいぶ軽減されています。
このすくりで問題なのは次の日までの眠気の持ち越しと筋肉の力を若干落とすことで転倒リスクが増えることにあります。上手く使えば問題ないと考えます。
年齢と共にメラトニンの量が低下して、睡眠の質も時間も落ちて行くのですが、ガルボさんは今でも10時間以上ぐっすり眠れたりするのですね。 長時間眠るにも体力を有しますので、まだ若いと言うことでしょうか。
体内時計は朝の日光でセットされることがありますので、やはり、朝は決まった時間に起きて、起きたら太陽の光や室内灯をつけて、身体に朝の始まりを自覚させる必要があるかも知れませんね。
睡眠障害の定義は不眠で、日中の行動にブレーキがかかるような時ですのでガルボさんは基本的に睡眠障害はないと言えるのでしょうね
頑張って8時起きにトライして下さいね。今年もよろしくお願いします💖
投稿: omoromachi | 2020年1月 9日 (木) 19時35分
先生、こんばんわ。
早速のコメントありがとうございます。
今年の夏で75歳となり、後期高齢者の仲間入りで、決して若くはありません。
長時間睡眠は体力を有するとは、知りませんでした。
そう言えばたまに目覚めた時、だるいなあと感じる事があります。
私は、完全に寝すぎのようですね(笑)
今晩から目覚まし時計を、手の届かない所に置いて寝る事にします。
8時起床が今年の私の課題です。
投稿: ガルボ | 2020年1月 9日 (木) 20時30分
ガルボさん、こんばんは。
そうでしたか、後期高齢者の仲間入りしたのですね。
しかし、これだけ眠れるのですから若いのだと思いますよ。
睡眠時間よる色々な指標では、余り短い眠りも、長い眠りも生活習慣病に繫がるようですので、今年は8時起床を目指して頑張って下さいね💖
投稿: omoromachi | 2020年1月 9日 (木) 21時26分
ガーン!そのとうりです(-_-;)
眠れません…。次週、薬の相談に行きます。
昨夜もデパス0.5を1つで慣れず、また1つ追加して、やっと3時に寝ました。
今朝は9時起きです。時間がもったいないー。良い方法はありますか?
主人は5時起きで、11時には目をつぶると寝てしまいます。
私も真似すれば…と思うけど、5時に起きたら、とても1日体力がもちません。
少しお酒を飲めば…と友人に言われますが、かえってドキドキします💛。
投稿: 由津子 | 2020年1月21日 (火) 15時36分
由津子さん、こんばんは。
不眠に悩まされているのですね。特に日本人は多いように感じます。几帳面さや睡眠へのこだわりが強かったり、ストレスなど睡眠を妨げるのが多いのかも知れません。
睡眠障害はうつの状態も絡んで来ますので、安易にお酒に頼るのはよして下さいね。 睡眠薬代わりにお酒に頼ると依存が出来てアルコール中毒・肝障害に発展する危険の方が高いです。
由津子さんはしっかりと睡眠外来や心療内科・精神科などの専門の先生を受診された方が良いのではと考えています。
眠れない由津子さんにとってご主人が羨ましいでしょうね😊
投稿: omoromachi | 2020年1月21日 (火) 19時09分
先生、いつもお世話になっております。
メラトニン受容体作動薬って、ロゼレムですよね。
昨年、違う先生がベルソムラを出してくれましたが、ネットに、服用した方の意見で
夢心地が悪く怖い夢を見るとかあったので、怖くて飲まなかったです。残ってます(-_-;)
しかも1錠102円もするのですよ~。ベルソムラはオレキシン受容体作動薬なので、
また違うのかしら??
小さな発見?です。
寝る前に、パンとチーズを食べると、寝付けるようです。
チーズは、トリプトファンがあって、セロトニンを分泌、そして眠りのホルモン、
メラトニンをつくるとなっていますが、食べたものが直ぐに効くわけでないですよねー。
私の迷信でしょうか?
投稿: 由津子 | 2020年1月26日 (日) 11時00分
由津子さん、こんにちは。
メラトニン受容体作動薬の中にロゼレムもあります。
オレキシンは「脳内の覚醒を維持する」物質です。起きようとする脳内物質が作用する部位をブロックすることで、脳の中で覚醒から睡眠へと移行させようとする新しい睡眠薬です。 人によって悪夢などを見ることもあるとのことですが、出現頻度は1〜5%だそうです。 やや作用時間が長いので遅めに飲むと翌日に持ち越す可能性もあります。
パンとチーズに関しては私は余り知りません。由津子さんの情報では確かに睡眠と関連があるかも知れませんが、セロトニンが分解されてメラトニンになるには時間がかかりますので、朝や昼に食べる方が理論的にはよいのかも知れませんね。
信じるものは救われるです。気長に続けて下さいね💖
投稿: omoromachi | 2020年1月26日 (日) 15時57分