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2019年4月10日 (水)

下剤の長期服用の注意点 注意(警告?):大腸メラノーシス

Th_303965_1   便通異常(便秘や下痢など)は多くの方が経験していると思います。年齢とともに便秘気味になる方は多くいらっしゃいます。そのために便秘に対して長期的に内服治療を行っている方も多いと考えます。次第に何種類の下剤や浣腸などを行っても改善せずに、私達の外科で大腸の大部分を切除する方がいます。 その原因の一つに下剤の選択の誤りにより大腸メラノーシスとなり神経叢も破壊されて大腸が全く動かなくなった症例が多く含まれています。

正常な大腸はピンク色した粘膜で、鎮痙剤の注射をせずに大腸内視鏡を行うと規則正しく腸が動く蠕動運動を観察出来ます。 しかし中には腸の粘膜が真っ黒くなり、殆ど腸が動かない方を見かけます。この粘膜が黒ずんだ状態を大腸メラノーシス(大腸黒皮症)と呼んでいます。

この大腸メラノーシスはセンナ、大黄(ダイオウ)、アロエなどの大腸刺激性下剤(アントラキノン系下剤)を長期連用(平均して9ヶ月以上)している方に起こって来ます(もちろん全員に起きるわけではありません)。

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大腸メラノーシス(大腸黒皮症)は、メラニン様色素がマクロファージに貪食されることにより大腸粘膜が淡褐色から黒褐色を呈するもので、内視鏡で観ると本来ピンク色の大腸の粘膜が黒ヒョウ柄のどす黒い色に変色していること確認出来ます。

色が変わるだけなら良いのですが、、腸管内の神経叢も破壊し、腸の蠕動運動が低下し更に便秘状態を増悪させてしまいます。早めに気づいてこれらの下剤を中止すれば1年程度で回復することもありますが、戻らない方も実際はいらっしゃいます。

ですので、今回は私としてはちょっと強い口調となりましたが括弧して(警告)とタイトルに入れたのです。

便秘に対してはまずは水分を多めにとる、食事の改善(繊維質の多い食事)や運動などの生活の改善が先です。排便する姿勢も重要で洋式の場合で本を読むように直立姿勢では、排便時のいきみがお尻の後方(仙骨)に向かいます。実際の直腸は仙骨から前方に向かいますので、前屈みで力んだ方がいいのです。排便姿勢からすると和式の方に分配が上がります。

その次ぎに下剤を考えて下さい。

下剤の大まかの分類では①塩類下剤 ②腸管刺激性下剤 ③上皮機能変容薬 があります(もっと細かな分類方法もありますが)。 生活習慣を改善しながら①より使い始め、続いて③の下剤を試して行きます。それでも駄目だったり短期的な使用として②の下剤を検討するのが現時点での慢性便秘に対する考え方ではないかと思います。

②を多くの方が使っている理由に、ドラッグストアなどでのキャッチコピーの誤りがあると考えています。「漢方などの自然の生薬は体にやさしい」とか「毎朝スッキリ」などという言葉が並べられています。

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・・・・ここまで読んで頂いた方にはもうお分かりかも知れません。 アロエ、センナ、ダイオウ、カスカラなどの成分が含まれる市販下剤、医療品ではプルゼニド、センノサイド、アジャストA、ヨーデルなどの大腸刺激性下剤、漢方薬の成分に大黄が入っている下剤などは長期連用を避けるべきですし、もしも長期連用が必要なら時々は大腸内視鏡検査を行って自身の腸にメラノーシスが起こっていないかを確認する必要があると考えています。

・・・あら「私も飲んでいる」と言う方も多いはずです・・・決して飲んでは行けないと言っている訳ではなく、短期間にするか、長期に飲むなら大腸メラノーシスのことを理解して検査を受けて欲しいと思い今回は書いてみたのです。

きっと心配なされる方もいると思いますので追記しておきます。大腸メラノーシスにおける大腸がんの有病率は、メラノーシスのない場合の有病率と変化なく、発がんとの因果関係は否定的です。

 

 

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医療」カテゴリの記事

コメント

院長先生
 こんばんは。
こちらは冷たい雨で真冬のお寒さでした。
関東北部や山沿いは雪に!

 便秘の方は多いと見えてよくCMでも
見ますが、簡単に続けてはダメなのですね?
幸い私はその心配はありませんが、
昔、椎間板ヘルニアで入院中は苦しみました。
下剤・浣腸でもダメで看護師長さんの手助けでどうにか?でした.
そのお蔭で次からはスムーズに・・・。
よく「考える人」のポーズがいいと聞いておりますが?
出ないのは辛いですよね?
 便秘が続いている方に是非、院長先生のブログを
見て頂きたいと思いました。
いつもためになるお話をありがとうございます。

omoromachi様、こんばんは。

ご無沙汰たしております。4月に入り忙しい
日が続いております。
ブログの内容、とてもためになります。
私の母が便秘で何種類か内服や健康食品も
飲んでいるようです。先月便が出なくて
苦しいとのことで夜間から母を連れて
救急病院へ行ったことがあります。

病院では浣腸をしてもらい、その後
排便が出て帰宅となりました。

明日にでも母に大腸内視鏡検査を
受けたことがあるかを聞いてみたいと
思います。

私もなんとなく生薬は普通の
薬と比べて害がないと感じていましたが
やはり副作用にも気をつけないと
いけないのですね。

貴重な提言ありがとうございます。

マコママさん、こんばんは。

今日は全国的に冬の寒さが戻って来ているようですね。「桜、菜の花、雪」という珍しい組み合わせも同時に見られてようです。

便秘は日常的に起きることも多いですし、ヘルニアなどでベット上で安静となると排便困難になる場合も多いのです。

排便の姿勢は確かに「考える人」のポーズ、考える人は捻っていますので、ひねり無しの前屈姿勢が排便には良いと考えます。

大腸メラノーシスで神経叢まで破壊され、大腸が動かなくなったために、結腸を全て切除し、小腸と直腸を吻合した方を何例か経験しています。

今回の薬の件は使わないでと言うことではなくて、便秘の薬を漫然と使わないことや、生薬・漢方は安全と言うことでもないことを知って欲しいと思い書いてみました。

SmidareQueenさん、こんばんは。

4月は職場の異動などがあったのでしょうか? そうでなくても4月はやはりどの職種も忙しいのでしょうね。

お母さん大変でしたね。でも病院の救急などをしていると、排便困難で夜間に訪れる方も結構いるのですよ。便が出ないのは苦しいでしょうね。

便秘に対して色々と試しているようですので、もしもお母さんが大腸内視鏡検査を受けたことが無ければ、大腸癌などの否定や、メラノーシスの出現の有無も確かめられたら如何でしょうか?

お忙しいなか、コメント頂きありがとうございます。東京は急に寒くなっているようですね。

おはようございます。

すかっり読み入ってしまいました。
私も若い頃から漢方薬といわれる薬を長い服用していました。
でも長い間同じ薬では効き目がなくなりますね。
薬に頼ってはダメと思い食生活から変え、
以前、ジムで習ったストレッチなど毎日実行していました。
数年前、虚血性大腸炎で入院し、ついでに内視鏡検査などもしました。
幸いポリープもなく腸内はピンク色しいていましたのでほっとしました。
現在は薬に頼らず排便はわりとスムースですが、それでも稀に
服用することはあります。
旅行など環境が変わるとのんだりすることはあります。

ありがとうがざいました。

ぴえろさん、こんばんは。

色々なお薬を使われている方も多いと思います。 ぴえろさんはしっかりと自己コントロールが出来ていて、食生活や運動などの生活習慣を見直し、頑張ってこられたのですね。
虚血性大腸炎は大腸の血管の流れが悪くなって起こる病態ですので、時々繰り返すこともありますので、今後も注意して下さいね。

内視鏡の検査にてピンク色ならメラノーシスの可能性はありませんので良かったと思います。
便秘の時は下剤を服用することは問題ないです。今回ブログに書いたのは慢性な便秘に対して生薬だから大丈夫と漫然と長期間飲まれている方が多いことに注意喚起として書いてみました。

年齢と共に便秘に傾く方が多くなりますので、上手くお薬を使う必要があります。 

読んで頂き、ありがとうございます。

omoromachiさま

ご無沙汰しています。

私の腸は小心者らしく、行事があれば動きを止めるようです。
ポリープを取ったこともありますし、憩室出血で入院したこともあります。
今も決して順調とは言えません。
でも 便秘は良くないと思いつつ、「出るまで待とう」と呑気に構えるようにしています。
一番私の便通に効くのが実姉とのくだらないおしゃべりです。
もう一人有効な友人もいます。
彼らには決して明かせませんが・・・

実は市販の緩下剤を服用したこともあるのですが、規定量だと効きすぎるのと、服用しないと出なくなる経験をしました。
大腸の内視鏡検査が苦手でもう10年ぐらい検査をしていません。
検便で異常が出てからでも良いかなと思っていますが・・・

ためになるお話を有難うございます。

お黒ちゃんさん、こんばんは。

お黒ちゃんさんの腸は小心者でしたか(笑)。 緊張すると動きが速くなる人、逆に動きが鈍くなる人がいますね。人間の交感神経は複雑です。

お黒ちゃんさんの場合は、憩室出血の既往がありますので、便秘
しないことや硬い便となることに注意した方が良いと思われます。

もしも硬い便なら、マグネシウムが入った緩下剤を使用した方が良いかも知れません。ご検討下さい。

大腸内視鏡検査はキツいこともありますので、便の潜血反応や時々腹部のCTを取れば大きな病変がないことは確認出来ると思います。

これからも腸を労ってお過ごし下さいね。

omoromachiさま

アドバイスを有難うございます。

マグネシウム入りの緩下剤が必要な状況です。
侮ることなく、次回受診時に、相談してお薬を頂いてきます。
腸は私のウイークポイントですから、大事にしないといけませんね。
アドバイスが頂けなかったら、放置していたかもしれません。

快腸生活を心がけます。感謝しています。

お黒ちゃんさん、こんばんは。

私の場合は便秘症の方の最初のお薬はマグネシウム製剤を使用しています。 殆ど血液中に吸収されませんが、稀に高マグネシウム血症になる場合がありますので、毎日飲まれている方は年に2回ほど血液検査でマグネシウムの値を調べています。

お黒ちゃんさんのウィークポイントは大腸かも知れませんので、腸を労ってこれからも生活習慣を改善下さいね。

わざわざありがとうございます。こちらこそブログに書いて良かったと嬉しく思えます。

こんにちは、
大腸メラノーシス
知りませんでした。怖いですね。
私も詰まりやすく、以前は下剤を使っていましたが、
今は腸活をして(乳酸菌の多い食べ物や
発酵食品を食べたり、ツボ押しをするなど)
乳酸菌の錠剤を飲むだけで
大丈夫になりました。
でも、油断するとまた、詰まるので
その時はマグネシウムを使うようにしています。
これを見ると、下剤は使いたくなくなりますね。

monnaさん、こんにちは。

日本人はもともと腸管が長く、繊維質を多く摂らないと便秘になりやすいようです。monnaさんも便秘傾向があるのですね。

今回何度か書いてあるように、下剤を飲んではいけないと言うことではなくて、一般的に慢性便秘が多い中で、アロエなど生薬だから良いだろうと漫然と下剤を飲まれている方がいます。

メラノーシスが進んで来ているのに、下剤だけを増やされる方もいます。生薬や漢方なら問題ないと決めつけている方もいましたので、注意するように呼びかけたのです。

現在の所乳酸菌やマグネシウム製剤ではメラノーシスは生じませんので大丈夫ですよ。

長い付き合いになる腸ですので、じっくり構えて調整して下さいね。

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