心臓突然死とは
「突然死」とは医学的な定義からすると「症状が出現してから24時間以内に予期しない内因死」と規定します。内因死と書いてあるように事故などの外傷や手術などの外的な要因ではなくて、自分自身の病気が原因で起こる急性死を指している訳です。
・日本では年間に約10万人の突然死があり、そのうちの約6万人が心臓が原因でおこる心臓突然死なのです。
・心臓はたとえご主人が怠け者でも一生働き続ける働きもので、疲れたから休憩なんかしません(私とは違い勤勉です)
・心臓は大きく左右の心房と心室の4つの部屋(部分)から成り立っています。体から戻ってきた血液はまず右心房に導いて、右心房から右心室へと送り込み込みます。右心室から今度は酸素の入れ替えを行う肺へと拍出します。肺から戻ってきた血液は左心房に入り、それから1番心筋が厚い左心室へ送り込まれて、左心室の収縮によって全身へと血液が送り出されます。
・心臓は1回の鼓動で全身に血液を600〜700mlずつ送り出している筋肉でできたポンプです。1分間に70回動くすると、1日では7.2トンの血液を毎日送り出していることになります(凄い量です)。
さて、心臓突然死の大半は心室細動と言う不整脈によって引き起こされています。
・不整脈には色々ありますが、心臓の中で全身に血液を送っているのが心室になります。このことより心房の異常より心室の異常の方がより重篤となります。心室細動というのは、規則正しく心筋が収縮と拡張を繰り返して血液を送っていたのが、心室がブルブルと小刻みに震えるだけで、血液を全身に送り出せなく状態となります(心臓が停止したと同じことになります)。 頻度が高い不整脈の1つに心房が同様に震える心房細動という不整脈もありますが、心室の場合と比べたらすぐに致死的になるケースは少ないのです。心房細動は「心原性脳梗塞」「心不全」の注意が必要です。
・ではこの心室細動を起こす病気とは・・・・・
1番多いのは心臓の筋肉に血液を送る動脈(冠動脈)が詰まってします「心筋梗塞」です。心臓の筋肉が低下する「拡張型心筋症」「肥大型心筋症」も心室細動を起こし易い疾患です。 また最近遺伝性の不整脈と注目されている「Brugada症候群」なども注意が必要です。
・何らかの原因で心室細動がおこると、全身に血液が行かなくなります。特に脳細胞は虚血に弱く、完全に血液が行かなければ3〜5分で元に戻ることは出来なくなります。
・この様な突然死の大きな原因の心室細動を止めるには、いわゆる電気ショックしかありません。 その為に学校や公共機関で自動式体外式除細動器(AED)が設置されているのです。除細動が1分遅れるごとに7〜10%ずつ生存率が低下します。
突然死の多くは心臓、脳、大動脈などの動脈硬化が進行が原因で起こる場合が多く、また冬場はヒートショクなどでも起きやすくなります。 日頃から高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの予防、コントロール、身の回りの生活環境、禁煙や過度の飲酒を避けることなどを心がけるようにして下さいね
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コメント
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院長先生
こんばんは。
今日の「突然死」怖いです!
私は2010年12月に「心房細動」による不整脈が出て、
辛い思いをしました。
お薬が合うまで、遠い病院通いでした。
すぐに「カテーテル・アブレージョン」ができない
心臓と言われましたが、病院を替えて、
ドクターが代わってから、勧められて紹介された
大学病院で去年、手術して頂き、あのいや~な不整脈から
解放されて今に至っております。
それでも油断はできません。
寒くなりますから、十分に気を付けたいと思います。
貴重なお話、ありがとうございます。
投稿: マコママ | 2018年11月14日 (水) 20時49分
マコママさん、こんばんは。
突然死は一般の方が考えているよりも頻度が高いです。心臓が原因であるとが多いです。それに比べ日本人の脳卒中の確率も上昇しているのですが、治療の進歩もあり心臓のような突然死は少ないのですが、それより後遺症を残す危険が高いのです。 いずれにしろ血管系の異常が突然死のリスクとなります。
マコママさんは長い間心房細動の嫌な症状に悩まされていたと思いますが、アブレーションが上手くいって良かったですね。今後は再発がないように注意しながら経過をみて下さい。
寒さも血圧の変動を招きますので、これからの季節注意しながらお過ごし下さい。
投稿: omoromachi | 2018年11月14日 (水) 22時11分