乳がんについて:自己検診の重要性
先日、「ちびまる子ちゃん」で有名な漫画家のさくらももこさんが53歳の若さで乳がんで亡くなったニュースがありました。本日のFM放送は急遽乳がんについて説明をしました。ブログでは自己検診の重要性やリスクについて書いてみたいと思います。
乳がんは女性がかかる癌の中でトップとなっています(死亡率では第5位)。
乳がんは乳汁を作り出す組織の乳腺の小葉上皮に出来る「小葉がん」と乳汁の通り道である乳管に出来る「乳管がん」の2つが主な種類になりますが、特殊な乳がんとして乳頭や乳輪に湿疹状のただれを主症状とするパジェット病と乳房全体が赤く腫れ上がる炎症性乳がんがありますが、炎症性乳がんは短期間で全身転移を起こしやすく予後不調ながんとなります。
癌がその発生部位から回りに飛び出して行かず、小葉内や乳管内に留まっている場合を非浸潤がんと呼び、癌が周りの血管やリンパ管に浸潤しているのを浸潤癌と呼んでいます。当然、非浸潤癌の方が予後がよくなります。
乳がんの多い欧米などでは非浸潤性の小葉がんは悪性疾患とは扱わずに、このまま様子を見ることが原則となっています(日本では部分切除が殆どです)。
乳がんの90%は痛みのないしこりとして気づくことが多いのです。全くの自覚症状なしで検診のみで診断がつくのは数パーセントと言われますので、如何に自己検診が重要であるかが伺えます。
お風呂上がりにでも毎日チェックをして欲しいと願います。 その時に鏡に映して正面、斜め、前屈や背屈、さらには両手を挙げたり下げたりして全体をチェックして下さい。
①皮膚の状態:色、表面の窪み、盛り上がりなど
②左右差、形や大きさのチェック(経時的な変化)
③えくぼ兆候:おっぱいの一部が引っ込んでいる様な状態
④乳頭の変化:乳頭の形や湿疹、痒みや乳頭分泌液のないかどうか
⑤陥没乳頭:昔から陥没してたのでした問題ないのですが、次第に陥没した場合
それ以外にお風呂で石けんをつけながら乳房にしこりがないかどうかチェックして下さい。
→このようなことで多くの乳がんが発見されます(もちろんしこり=癌ではありませんので心配するより、まずは病院を受診されて下さいね)。
また乳がんの危険度も報告されています。少し古いデーターですが平均の女性と比べて何倍乳がんになり易いかの指標になりますので記載しておきます
①乳がんになったことがある人6倍 ②母親、姉妹、娘が乳がんになっていた方2.8倍 ③初潮が12歳未満 1.9倍 ③30歳以上の未婚女性3.0倍 ④初産年齢が30歳以上1.7倍 ⑤閉経が55歳以上1.6倍 ⑥閉経後の肥満1.4倍 ⑦高度肥満(BMI30以上) 2倍
その他身長が高い方(身長160Cm以上は148Cm 以下と比べて閉経前1.5倍、閉経後で2.4倍)、飲酒量が多い方(1.75倍)、喫煙習慣のある方(1.9倍)は増加します。<色々な研究結果から抜粋しましたので、正確さは多少変動する場合があります>
一番忙しい年代の女性が多く罹患するがんですので、忙しいからではなく忙しいからこそ検診を受けるように、そして毎日の自己検査をしてくださいね。
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院長先生
こんばんは。
昨日の台風は大変な被害をもたらして去って行きました。
地球はおかしくなっていますね?きっと!
乳がんですが、末妹が11年前に手術、
伯母、いとこなどですので、要注意です!
しかし?もう7,8年検査を受けておりません。
マンモグラフィ検査をしたのが最後です。
せめて自己検査だけでも頑張りたいと思います。
投稿: マコママ | 2018年9月 5日 (水) 20時36分
マコママさん、こんばんは。
大阪を中心に甚大な被害が出ましたね。今後このような台風や災害が続いて行くのでしょうか? 本当に地球がおかしくなりつつあります。
乳がんは増加の一途を辿っています。ブログにも書いてあるように最初のきっかけはしこりに気づいて来院が多いのです。50歳前後をピークに罹患率は下がりますが、要注意ですね。せめて自己検診だけは行うようになされて下さい。
投稿: omoromachi | 2018年9月 5日 (水) 22時24分
こんばんは!
乳癌は怖いですねぇ。
私の母は39で乳癌に罹りました。
中期くらいだったようです。
乳房を全摘しましたが、結局、脳へ転移して42で死にました。
私が二十歳の時でした。
私の妹は看護師となり、母が乳癌で死んだので自己検診していたところ、31の時に初期で発見し、これも全摘しましたが、結局、色んな所へ転移して35で死にました。
乳癌に限らず、癌って遺伝も大きな要素ではないのでしょうか?
投稿: FUJIKAZE | 2018年9月 5日 (水) 23時03分
FUJIKAZEさん、こんばんは。
お母さんや妹さんも乳がん、それも若年で発症したのですね。
どの病気にも遺伝的な因子はあると思いますが、一部の乳がんは遺伝が色濃く反映される場合もあります。一般的な遺伝による危険率はブログに記載したように2〜3倍になると思われます。
しかし現在、乳がんになりやすい遺伝子が特定されているものもあります。生まれつきBRCA1遺伝子の病的変異を持っている方がいて、これは遺伝するのですが、その変異を持っている方は将来にわたって41〜90%の確率で乳がんになるそうです。
このような特殊なことはありますが、もちろんどの癌も遺伝の要素は否定出来ませんが、それよりも後天的な要素の方が大きいと考えられています。
投稿: omoromachi | 2018年9月 6日 (木) 00時14分