増え続ける大腸癌に注意
戦後日本人の癌の種類も次第に変化して来ました。消化器官に関して顕著なのは胃癌が減ってきて、大腸癌が増えて来ていることです。今後ますますその差は開くものと考えます。
戦後日本は先進国の中では胃癌の多発地帯でした。
その撲滅のため胃の検診は全国津々浦々まで行きわたり、多くの国民は仕事場の検診や住民検診で、胃カメラや胃のバリウム検査を受けたこと(ほぼ毎年の様に受ける方も多い方)があると思います。
では胃癌より多い大腸癌の検査は皆様果たして受けているでしょうか? ・・・・おそらく胃カメラは受けたことは何回もあるけど大腸カメラはね〜と言うのが本音ではないでしょうか?
出典は忘れてしまいましたが、昨年の米国の論文で5年に1度、大腸内視鏡検査を受けていれば大腸癌による死亡リスクは極端に低下すると書いてありました。40代から大腸癌が増加して来ます(特に60歳以上では急激に増加します)ので、どうか皆さん、大変かも知れませんが、40歳になったら切りのいい5年毎に受けて観ては如何でしょう・・・これでかなりの確率で大腸がんによる死亡が減ると思います。
では何故大腸がんが日本で増えて来たのでしょうか?
・癌の発生には遺伝的なこともありますが、これは短期間では変わらないですね。そうなると大腸癌は高齢になればなるほど高くなりますので、日本人の平均寿命が延びたことも一因かも知れません。
日系のアメリカ人や同じ兄弟でも食生活が違う環境で育った方で癌のリスクが違っています。 ですから、食生活の面は重要となります。
生活習慣の面では、肥満、植物繊維不足などが上げられ、食事の面では赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど)の摂取量の増加が言われています。
一時日本でも有名になりましたが、2015年にWHOが「毎日50gの加工肉(およそベーコン2切れ)以上を食べ続けると大腸がんになる確率が18%上昇する」と見解を出したところ、加工肉が下落するのではないかとニュースにもなっていました。 赤肉に関しては世界がん研究基金などの発表では赤肉の摂取量は週500g以下を推奨しています。 いずれも多くの日本人はこれよりは少ないかも知れません。
ついでに予備知識として、肉が直接癌化物質かと言うとそうではありません。肉を食べると肝臓から消化液の1つとして胆汁(胆石の原因になったり、私達のウンチの色でもあります)が多く作られ、十二指腸へと流れ込みます。この状態の胆汁はまだ変化を受けていない1次胆汁酸と呼ばれる状態で、これも癌化物質ではありません。 しかしこの1次胆酸は腸内細菌により分解され、発癌物質を有する2次胆汁酸へと変化します。
この様に変化した発癌物質と毎日のように接する腸の細胞は次第に遺伝的な制御も効かなくなり、次第に癌化してゆき、がんが発生します。
一般的に大腸がんはゆっくりと時間をかけて大きくなります。最初の話題になりますが、5年に1度でも日本人が大腸カメラを受けているのであれば、もし大腸がんになったとしても大腸がんにより日本人の死亡率は最低レベルまで落ちるものと考えられているのです。
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コメント
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院長先生
こんばんは。
怖い大腸がんですが、夫の妹はそれがもとで
次々と転移をして昨年亡くなりました。74歳!独身でした。
そして私の末妹は10年前に乳がんで左を摘出、なんと
去年転移が分かり、2月に大腸がんと・胃がんの手術を受けました。
余りにも身近におりますので、本当に怖いと思っております。
私は毎年「大腸がん検査」を受け、いままで要精密検査が出て、
2回大腸カメラを受けました。幸い3mmのポリープが1個見つかりましたが、
去年は無事?通過しました。
今年も是非、「大腸がん検査」を受けるつもりでおります。
胃カメラは今まで1回だけですので、こちらも折を見て
お願いしようかと思っております。
食生活が重要なのですね?
ついついハムやウィンナを朝食に頂いております・・・?
投稿: マコママ | 2018年5月30日 (水) 20時19分
マコママさん、こんばんは。
今回は大腸がんに絞って話をしましたが、今や日本人の2人に1日はがんになる時代になりました。
大腸癌は比較的進行も遅く、手術や抗がん剤などの有用な手段もあります。特に日本人の多くはポリープが次第に大きくなって癌化してゆくのが多いです。
現在日本人のがんによる死亡で大腸癌が1番にになってしまっています。 検査は大変ですが、毎年とはいいませんが、5年に1度でも大腸の検査をしていれば、日本の大腸癌による死亡率は著しく低下すると考えています。
大腸癌による死亡が多く、検査によりほぼ完治出来るのに検査を受けないのがもったいなくて啓蒙も兼ねて今回ブログで記載しました。
食生活が重要ですが、その前に是非ともこのブログを読んで頂いた皆様が1度は検査を受けて欲しいと願っています。
投稿: omoromachi | 2018年5月30日 (水) 22時26分
omoromachi様、お早うございます。
グラフをみて改めて日本人で大腸癌が
増えている事が分かりました。
私の先輩でも大腸癌で亡くなった方が
います。その方からも大腸内視鏡
検査のの重要性を話してくれました。
私も今年はかならず内視鏡を行いたいと
想います。いつも貴重な情報ありがとう
ございます。
投稿: ツクシンボ | 2018年5月31日 (木) 07時37分
ツクシンボさん、おはようございます。
日本人のがんの中でも大腸がんは戦後増え続けています。今では罹患率も死亡率も一番上の段階を占めています。
ツクシンボさんの先輩の方も大腸がんで亡くなったのですね。おそらく身近な方で大腸がんで亡くなった方々は多いと思うのです。それ程大腸がんは増加して来ました。
定期的に大腸内視鏡を行うことで大腸がんによる死亡はなくなると考えています。今年はツクシンボさんも是非大腸の検査を受けて下さいね。
投稿: omoromachi | 2018年5月31日 (木) 08時16分
こんにちは。いままでPCが悪いのか、スマホのせいかわかりませんが
ブログの記事のページが開かない状態でした。IT音痴の泣き所です。
癌こわいですね。私の母は大腸がんで亡くなりました。でも87歳でしたから
天寿ですね。あと従妹が3人、胃がん、肝臓がんでした。癌て苦しいんで
しょうか?いまの時代、癌か心臓病か脳の病気でもないかぎりなおるような
気がしてます。もちろんいろいろあるでしょうが…周囲に迷惑にならない
ようにしたいです。それらと日々戦ってるomoromachiさんに、感謝です。
ご自身も気を付けてください。お医者様がびょうきになったら多くの人たちが
こまります
投稿: フーミン | 2018年5月31日 (木) 17時17分
フーミンさん、こんばんは。
ちゃんとコメント届いていますよ。ITの進化のスピードは速いですので、PCを使いこなすのにも悪戦苦闘の日々でしょうか
もう日本人の2人に1人はがんになる時代ですので、これからも気をつけないといけませんね。フーミンさんもご家族ががんの方がいらっしゃいますので、検査だけはすすんで受けて下さいね。
私の方もちゃんと検診は受けていますが、沢山の病気を診てきたので私もそのうちになるのかなと漠然と思っています。人生なるようにしかならないことも多いでしょうから、無駄な抵抗はせずに生きて行きたいですね
PCが復活しましたらまたブログもアップして下さいね
投稿: omoromachi | 2018年5月31日 (木) 19時21分
こんばんわ。ちょっと怖い話ですね!
内視鏡検査は、その前段階の便検査で異常あり!の
人だけでいいのかと思ってましたが…。
お医者さんも特には勧めないですよねー!?
投稿: 由津子 | 2018年6月 3日 (日) 21時08分
由津子さん、こんばんは。
便利的に検便による便潜血反応により出血を来すようなポリープやがんの広い上げに使用しています。ただし、大きくなって初めて出血を来すポリープや癌も多く早期で見つからない場合もあります。便潜血陽性の多くは痔の疾患によるものです。しかしそれによって大腸内視鏡検査も行えますのでいいことではあるのですが・・・・
私は中年以降の方には1度は症状なくても大腸内視鏡検査をすすめています。ここ数年でも、胆石や胃潰瘍、逆流性食道炎、内痔核などで通っていた患者さんに大腸内視鏡検査を行い、4名の患者さんがステージⅡとステージⅢaで手術を行い治癒しています。その他もちろんポリープなどで内視鏡的ポリープ切除を受けた方も多くいるのです。
私の様に癌の患者さんを診ている人にとっては、ぜひ症状がなくても受けて欲しい検査なのです。
投稿: omoromachi | 2018年6月 3日 (日) 22時02分