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2018年3月14日 (水)

軟骨組織の再生医療

今日のFM放送は私の専門外ですが、変形生膝関節症について話をしました。

私達の関節には硬い骨が露出しているわけではなくて、関節の部分を薄い軟骨で被われています。 この軟骨の表面はとてもスムーズで、スケートシューズで氷の上を滑るよりも何倍もなめらかに出来ています。その為に関節の運動に関しても摩擦なく動かすことが出来る様になっています。                               Th_910901602848507fc161c5606803c380

この薄い軟骨は非常に特徴的な性質を持っています。軟骨は点在する軟骨細胞を埋めるように多くの軟骨基質と呼ばれる成分で被われていて、水分を多く含む性質を持っています。
その成分は(皆様方も何故か健康食品などによって知れ渡った)コンドロイチン硫酸などからなるプロテオグリカンと呼ばれる物質です。 
人の細胞は隈無く巡らされた血管から酸素や栄養を貰って新陳代謝を行っています。しかし軟骨には血管も神経もないのです。 では軟骨細胞はどのように生きているのでしょう・・・・?

実は軟骨細胞は関節液に含まれている僅かな酸素や栄養で生き抜くことが出来ています。この特殊性もあり、もしも傷ついたら、なかなか修復出来ないのです。要するに自分で再生する能力が他の組織と比べて乏しいのです。

長年、体重の負荷に耐えて、運動を行ってゆく中で、軟骨がすり減って痛みなどを生じる変形性膝関節症があります。

1度破壊された軟骨の再生は難しく、これまでは破壊が進むと人工骨頭などに置換しなければ、関節の痛みや硬直で動かすことが出来なかったのです。

Th_653455 私は30年ほど前に血管の内皮細胞や平滑筋細胞の培養の実験を行っていたことがあります。動物実験でしたが確かにシャーレの中で採取した細胞を増殖させることが出来ました。その後医療の進歩は凄く、患者さんの軟骨細胞を採取して、それを培養して、シート状にすることで、傷ついた軟骨細胞の表面に移植することが近年行われてきました。

更に今、最先端の幹細胞を使った組織再生医療が実用段階に近づきつつあります。自分の関節の中から細胞を取り出さなくても、幹細胞を使って、軟骨に分化した細胞を使っての軟骨再生医療が日本でもスタートしています。

これからの再生医療が更に1歩進んだ臨床応用の段階に進んできた感がありますね。この分野はどう進んで行くのでしょう? 医療者としても楽しみです。

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コメント

院長先生
 こんばんは。
再生医療がどんどん進み、そのうち?人間は死なずに済むように
なりませんかしらね? あと何年後かには・・・?
IPS細胞もいろいろな病気に対応?出来ていますよね?
難病で苦しんでいらっしゃる方々には朗報ですね。

 今日はホワイトデーでしたが、バレンタインデーにきっと沢山、
チョコが届いたと思いますが、お返しなさいましたかしら?
いらぬ心配で失礼いたしました。お許しのほどを・・・。

マコママさん、こんばんは。

再生医療はハイスピードで進化を続けています。それに対して倫理観や法律が追いつくかどうか心配でもあります。

人が死なずになるのかも・・・確かに可能になるかも知れません。これは神の領域の問題ですので、人間として科学としてやるべきではない境域だと考えています。

・・・アッ! ホワイトディーでしたね。忘れていました。今しがた外での会議もあって帰ってきました。 明日なんと言い訳しましょうか・・・

おはようございます
軟骨、骨付きチキンで言うと、
あの透明のゴリゴリしたところですね?
最近同世代でも、
膝が痛くなる人がチラホラ出てきて
私も気を付けねばと思っています。
すり減った軟骨が最新医療で再生されると
なると、心強いですね。
亡くなった両親も軟骨がすり減って
痛い思いをしていました。
一日も早く幹細胞を使った治療ができるように
なると良いですね!


monnaさん、こんばんは。

そうあのコリコリした軟骨です

膝は人間が二足脚歩行になって、歩行時には全体重の数倍の力が加わることがありますし、曲げの伸ばしをしないといけない場所ですので、常に負担がかかっている部分です。

その為長らく使い込んでいると軟骨がすり減ってしまい、変形性膝関節症を来してしまいます。

軟骨組織は特殊な組織のため、なかなか再生されません。今後再生医療にて軟骨組織が使用されるように申請がおりた所です。まだまだ実験段階ですので、今後の医療に期待したと思います。

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