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2018年2月 7日 (水)

風邪と肺炎は似て非なるもの

今日の「いきいきタイム」は冬場に多い気管支炎・肺炎について話をしました。

一般的に風邪と肺炎の症状は似ていますし、関連がありますので同じものと考えれている方が多いと思います。 風邪で死ぬことは殆どないと思いますが、現在でも肺炎は日本人の死因の第3位を占めている重篤な疾患です。

一般的な風邪と肺炎の違いについておおよその違いを書いておきます。

風邪:<症状>鼻水、クシャミ、咳き、喉の痛み <原因>殆どウイルス感染 <熱>38度程度まで <期間> 数日から1週間

肺炎;<症状>咳、息切れ、発熱、悪寒、胸の痛み、全身のだるさ、黄色から緑色・鉄さび色の痰、呼吸困難、チアノーゼ(顔や唇が紫色 <原因>ウイルス、細菌、マイコプラズマなど感染 <熱>38度以上の高熱 <期間> 長く続く

風邪が喉などの口の入り口の症状で済んでいるのに対し、肺炎は酸素の取り込みをする肺臓がダメージを受けますので呼吸困難や息切れ、胸痛など全身の重篤な症状として表れます。

この違いを昔書いたイラストで説明します。

Th_ ウイルスや細菌などの病原微生物が空気から入ってきてまず炎症を起こすのは殆どは上気道と言われる場所で起こります。

一般的に風邪と言っているのはこの部分の炎症で上気道炎と呼んでいます。

更に上気道を越えて気管や気管支まで炎症が及ぶと気管支炎の状態となります。気管支炎になると喘息の方のようにゼーゼーやヒューヒューといった気管支の狭窄音が出現することがあり、一般的に咳がひどくなり、高熱や息苦しさも出現してきます。

更に炎症が肺の実質の酸素交換をする肺胞まで及ぶと肺炎と言うことになります。

これがなぜ重症かというと、上気道炎、気管支炎は空気の通り道の炎症ですが肺炎は肺実質(肺胞)そのものが破壊されますので、高熱、咳、痰が続き、体に酸素を取り入れることが出来なくなります。そのため呼吸困難となり心臓にも負担がかかり、特に高齢者では亡くなる確立が高くなります。胸膜の近くまで炎症が波及すると胸痛も出現するようになります。

肺炎は現在でも日本人の死因の第3位となっている重篤な病態です。平成27年の死亡数は日本で12万にとされ、この95%以上が高齢者となっています。

高齢者の死亡原因となっている理由として、体力・免疫力の低下や基礎疾患があること、それと同時に気をつけないといけないのは「初期の段階で自分あるいは周りの方が気が付きにくい」こともあります。 高齢者がいつもと違って、無口になったり、だるそうにしていたり、呼吸が浅い・早いなどがあったら微熱の場合でも早めに医療機関を受けるようにして欲しいと願っています。

日本列島寒波に被われています。ますます春が待ち遠しい気分ですね(沖縄で住んでいる私が書いたら北の国の方に怒られそうですが・・・

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医療」カテゴリの記事

コメント

omoromachi先生、初めまして
東京で看護士をしています。
友人からの薦めでこのブログを
読み始めています

私にとってもとても参考になる
ブログ内容で、今回も漠然としていた
気管支炎と肺炎の違いが分かる
ようになりました

これからは患者さんにも
どうどうと(
肺炎と風邪の違いも説明出来ます。

先生には看護士や看護学校用の
本を出す計画はありませんか?
この様に判りやすく書いてある本が
あれば助かります

ここのところ東京は寒い日が続き
春が待ち遠しいです

これからも宜しくお願いします

kaorikoさん、こんばんは。

お返事遅れましてすみませんでした。東京で看護士さんをしていらっしゃるのですね。寒いから大変でしょう。

昔、大学にいたことには、医学部の学生さんや、研修医の勉強を見ることがありましたので、色々と書いたのですが、それが民間病院に移って、職員(主に看護士さん)の勉強会用に編集して、さらには地域のFM放送で一般の方に説明するようになり、次第に難しい話より簡単な話になっています。

ブログでは何となく一般の方と医療者の中間ぐらいなレベルで書くようにしています。以前看護学校の子供達に話したときには好評でした。
私より教えることが上手な先生方が多いので私の出る幕はありません。
kaorikoさんにそう言って頂くと嬉しいのですが、本とか出すと疲れそうですので止めにしときます。

どうかこれからも寒いなか、患者さんのために頑張って下さいね。コメント頂き有り難うございます

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