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2018年1月10日 (水)

睡眠障害は長期的視点で治療を

今日のFMは、睡眠のパターンと睡眠障害について話をしました。私は外科を担当していますので、1番苦手な分野かも知れませんので、余り気にせず適当に流して読んで下さい・・

不眠症は非常に多くの国民が経験する睡眠障害の一つです。Th_917872 日本人成人の30%以上が入眠困難(寝つきにくい)、中途覚醒(途中で目がさめてしまう)、早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)、熟眠困難(十分に寝た気がしない)などの不眠症状を有しています。国民の5〜10%が睡眠薬(抗不安薬を含む)の処方を受けているそうで、年齢と共に増加してゆきます。

不眠は単に眠れないと言うだけでなく、精神・身体に大きな影響をもたらします。不眠は個人的には眠気、倦怠感、集中力低下、抑うつや不安感を増し、社会的には長期欠勤や生産性の低下、交通事故などを含めた産業事故の増加を招く病態となっています。

私自身が余り詳しくないのですが、長期的な視点で睡眠障害を考えないといけないとされています。

まず、不眠が治療レベルかどうか、不眠のパターンはどの種類なのか、うつや更年期障害、認知症などの他の疾病から来ていないかどうかを考えて治療にあたります。生活などを見直して、治癒の方向に持って行けるかどうかを考えて、経過をみてゆく必要があります。 

不眠症に対する治療薬には様々な種類が開発されて来ました。1950年代から色々な眠剤が開発され、現在でも一番多く使われているのはGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体作動薬と呼ばれる種類です(沢山の種類があります)。脳の興奮を抑えるGABAという神経伝達物質を促して脳の活動を抑えて眠りへと導く薬剤です。その後2010年代にはメラトニンという物質が体内時計のスイッチになることより、より自然な眠りをもたらす「メラトニン受容体作動薬」が開発され臨床に使われてきました。 2014年には今度は覚醒に関わる脳内物質を抑えて、睡眠を促す「オレキシン受容体拮抗薬」が使われるようになりました。

それぞれに、効果の強さや依存や副作用の問題もありますので、色々な側面から不眠の治療は選ばれています。 眠剤の流れとしては、強力な薬よりマイルドなもの、不眠のタイプにあったより依存が少ない治療薬が選ばれ、またより自然の眠りに近い薬を選択することが多くなりました。

大切なことは漫然と内服を続けないこと、効かないからと違う種類の眠剤を加える多剤併用や安易に増量しないことも重要です。 少量の眠剤で効果が得られない場合などは、より専門的な精神科や不眠外来などの受診を勧めます。上手く主治医の先生と相談して治療をすべきと思えます。

私達が自分で行える環境面の整理については以下のことが報告されていますので、不眠症ならご自身で検討して見て下さい。

Th_797269 ①定期的な運動:適度な有酸素運動すると寝つきやすくなり、睡眠も深くなります。

②寝室環境:遮光カーテンなどで明るくない室内環境、音対策として絨毯を敷いたり、ドアをきちっと閉めた状態にします。 

③規則正しい食生活:空腹で寝ると睡眠は妨げられます。睡眠前には軽く炭水化物などをとるといい場合もありますが、脂っこいものは胃もたれや逆流生食道炎などを引き起こすので避けましょう。 

④就眠前の水分:適度の水分を摂取しますが、飲み過ぎると夜間のトイレが増えます(この辺りは難しいですがコップ一杯程度でしょうか?) 

⑤就眠前のカフェイン:就眠4時間前のカフェインは摂らないようにします。カフェインは覚醒作用もありますので、寝つきにくく睡眠が浅くなる場合もあります。 

⑥就眠前のお酒:寝るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的には寝付きがよくなりますが、徐々に効果が弱まり、夜中に目が覚めやすく深い眠りが減ります。 

⑥就眠前の喫煙:ニコチンには精神刺激作用がありますので、夜は喫煙を避けましょう。 

⑦寝床での考え事: 考え事を寝床に持ち込まないで起きましょう。 就眠時の心配ごとは寝付きを悪くし、睡眠も浅くなります。

睡眠障害は難しいことがありますので、私の様な単細胞の頭では解決出来ないことも多いのですが、固着しないことも大切なのかも知れませんね

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医療」カテゴリの記事

コメント

難しい医療のことを私の様なおばさんでも
判りやすく書かれていて読ませてもらって
います
私も不眠に悩まされて眠剤を頂いております
私の方は心配性で考え事があると直ぐに
寝付けないため、ア○バンの処方を頂いながら
不安で眠れない場合はデ○スを追加で内服して
おりました。
最近クリニックの先生より新しい薬効の
ロ○レムに変えるように勧められて
飲んでいますが、あまり眠れないことが
多く、元に戻した方がいいのでしょうか?

かれこれ7〜8年飲み続けていますが
この記事を読んで心配になりました
大丈夫なのでしょうか?

ぶしつけな質問を致して申し訳ありません

マーチャンさん、こんばんは。

不眠症で内服を貰っているのですね。私は外科が専門ですので、眠剤については素人と同じレベルです。そのレベルだと思って聞いて下さいね。

(お薬が商品名で記載されていましたので勝手に○を入れさせて貰いました)。マーチャンさんの不眠のタイプは入眠困難と不安神経症?によるものと考えています。
ですので眠剤としては超短期作用のア○バンはいいと思いますし、不安感がある場合は抗不安作用と眠剤の作用もあるデ○スの臨時併用は理にかなっていると考えています。

長い間飲まれているとのことですので、耐性化などの問題もありますし、筋弛緩作用もありますので、夜間の転倒なども気になる所です。
量も増えなく、血液検査の異常やふらつきや転倒などもなければ長期の連用でも大きな問題は生じないと思います。 もちろん記載したような環境要因を試しながら、毎日の連用から、1日おきにしてみたりと色々とトライしてみては如何でしょうか

新しい効能の眠剤はより自然に近いと言われてますが、効果に差が出るようです。以前飲んでいたのと違いますので、暫く様子を見たらいいのではないでしょうか?

心配でしたら先ずはクリニックの先生と御相談されて試されたらどうでしょうか。これぐらいしかアドバイスは出来ません。ご了承下さい。

歳をとると、睡眠が浅くなりますよね。
ガーガー寝られた若かりし頃をうらやましくも思います。
さわやかに目覚めた朝が、懐かしく思い出されます。

しげまるさん、こんばんは。

ええ確かに、歳と共に熟眠感が少なくなり、いくらでも眠れたはずが、日曜日だと言うのに何時ものように目が覚ませてしまします。

子供頃は眠れないことなんて考えられませんでしたね。しげまるさんも眠れない年齢になって来たのですね

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