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2017年11月15日 (水)

人間の持つ表現の力

東京国立博物館の興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」が開催され、多くの方が足を運こびその素晴らしに感動していると想像しています。知人もこの特別展を見学して、直ぐに「まるで生きているようだった、その迫力やエネルギーが強烈に伝わって来た」と感動のメールを送ってきた程でした。

本当に素晴らしい企画で、運慶関連の作品が一同に揃うのは今後もないかも知れないほどだと聞いています。可能なら沖縄から飛んで行って観てみたい思うのですが・・・

以前大学の医局時代は年に数回学会発表や研究会のおりに、可能な場合は博物館・美術館周りをしたことがありました。 運慶に関しては奈良東大寺の「金剛力士像」、興福寺の「無著菩薩立像」「世親菩薩立像」「四天王像」、浄楽寺での「阿弥陀如来座像」「不動明王立像」「毘沙門天立像」などを観たことがありました。

今思うと意外に観ていたのだと感心してしまいました。 金剛力士像や毘沙門天立像などの圧倒的な力強さだけでなく、今でも強烈に印象に残っているのは「無著菩薩立像」でした。 自分の心を見透かされているような怖さを感じたことがありました。 この印象は強烈に残っていたのですが、その理由がテレビで取り上げていた運慶展の内容で少し判りました。 

あの人を見透かすような眼は「水晶」で造られた「玉眼」だったからのようです。 ミケランジェロの作品は眼も大理石で出来ているためか、生きている人を感じることは出来ませんでした。 運慶の作品群は彫刻であると分かっていても、今も息をしている人の存在(体温)を感じることがありました。これまでは石ではなくて「木」で出来ているからと思っていたのですが、あの眼(玉眼)だったのだと気づきました。 

あまり東西の文化的なことを知らない私ですが、紫式部の時代から引き継がれる文学作品、北斎や歌麿などの浮世絵とヨーロッパ絵画、現代のアニメの原型になったのかと思うほどの鳥獣人物戯画の表現力、私が好きなミケランジェロの作品をも上回るような運慶の彫刻力などなど・・・・

Th_

ヨーロッパと日本との距離、皮膚の色も体型、言葉さえもかけ離れているにも関わらず、表現様式は違えど、どれも素晴らしい作品を残している人間。ホモサピエンスの素晴らしさを実感してしまいます。

日頃、外科を専門としていることで、人間の体の仕組みを科学的な見地から理解しようと試みているだけでも、人間の身体の素晴らしさが分かる気がしてきます。

ただ人間の体(生命)の仕組みが素晴らしいだけでなく、人間が作り出す作品もまた素晴らしく感じます。 

美に関して、先天的なのか後天的なのかと論じられることもあります。 

私がヨーロッパや日本での文学、美術、音楽などを直接観て感じるのは、「美」を作る出す本質的な部分は先天的であり、後天的な環境により異なる表現方法になるのではないかと考えてしまいます。 人間はそれぞれの環境の中で皆等しく素晴らしい力を持っているのだと思うのです。人間の英知に乾杯です!

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コメント

久々に東京に出る機会ができ
運慶展観て来ました。

東京で勤めている時には出張も多く
各地の美術館や寺院も拝観しましたが
これ程運慶やその家族・弟子達の
作品が一堂に揃うのは初めてでは
ないでしょうか。

どれも気迫ある作品で観るものを
吸い寄せる力がありました。
私も「無著菩薩立像」が気に入っておりました
穏やかな表情ながら凛として力強い作品です。

今回、企画がよかったのは,様々な作品を
ぐるっと回りながら後ろからも見ることが出来る
ことでした。どこから観ても感銘を受けました。

・・・それにしても凄い人でした。2時間近く待って
館内も人が数が尋常ではなかったです。
ここ10年信州に引っ込んでいると東京で人よい
してしまいます。

院長先生
 こんにちは。
こちらはいよいよ冬将軍が到来です。
体調に気を付けます。

 運慶の仏像は東大寺・興福寺などで拝見させて
頂きましたが、凄い!の一言だったように思います。
木彫でこれほどの仏像が出来上がるのかと思いますね。
 私はサンピエトロ寺院のミケランジェロの「ピエタ像」を観たとき、体が震えるような
感動を覚えました。大理石からこのような美しく、気品に溢れた像が出来上がるとは・・・?
先生のおっしゃるように「人間の持つ表現力」につきますね?

信州の隠居老人さん、こんばんは。

いいですね、運慶展観に行かれたのですね。吸い寄せられそうでしたか
無著菩薩立像に対して同じ気持ちでご覧になれたのですね。嬉しいです。

お寺にあったり、博物館などではなかなか後ろから像を見る機会はないと思います。テレビでも紹介があったのですが、ぐるりと回って観れるように展示も工夫がなされているようですね。

この様に運慶関連作品が一同に揃うは凄いことですので、沢山の方が入館されたのでしょうね。

東京を暫く離れ信州での暮らしに慣れると東京の人の多さには圧迫感が出てくるのかも知れませんね。私も東京に出ると人酔いしてしまいます。

マコママさん、こんばんは。
マコママさんも東大寺・興福寺などで運慶の作品をご覧になったのですね。ええ、本当に「凄い」と思いました。

マコママさんもサンピエトロ寺院のミケランジェロの「ピエタ像」を観て感動を覚えたのですね。 私は20代の頃にこのピエタ像を観た時に、余りの美しさに暫くその場を離れることが出来ませんでした。それ以降ミケランジョロは大好きな芸術家となっています。

人間の表現力は本当に凄いものだと改めて思います

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