輸血のための交差適合試験
今週のFM放送は、血液型について話をしました。医学的な見地からですので、血液型と性格など多くの方が関心のあることではありません(笑)。 以前ABOの血液型についてはお話しましたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-5820.html )、今回は実際の輸血に関して、輸血の際の検査法について少し記載します。
血液型にはA型、B型、O型、AB型が存在します。
輸血に対してはRHプラスとかマイナスといわれるRH血液型D抗体検査という条件も大きく作用します。それ以外に人間の体には不規則抗体といわれるいくつかの抗体が存在して、僅かながらその為に同じ血液型、同じRHのタイプでも輸血出来ない場合も存在します。
・輸血をする際に、違った血液型を輸血すると、凝血や溶血が起こり死に至るケースもあります。ですのでその人に輸血しても凝血が起こらないような血液が必要な訳です。 その為の検査は、患者の血液と試薬(血球と血清)を使用し、肉眼で赤血球の凝集をチェックします。
・ABO血液型の検査でも、実は2種類の検査(オモテ試験とウラ試験)を実地しています。
先ずはオモテ試験にて、実際の患者さんの血液型がどのタイプかどうかを判定します。 これでほぼ問題ないのですが、これまでの輸血歴などで色々な抗体が出来た場合もあるために、ウラ試験を追加して確実にその血液型であることを判定しています。
それだけでなく実際に輸血をする場合は表・裏試験だけでなく、実際の輸血用に提供された血球を使って凝血が起こらないかどうか判定します。
輸血で反応が起きやすい抗体の1つにRh(D抗体)があります。日本人の99.5%はRhプラスでRhマイナスは0.5%と少数派となっています(ちなみに白人はRhマイナスは15%程度です)。
日本人の血液型は多い順にA,O,B、ABで人口比で4:3:2:1の割合です。ですのでAB型でなおかつRhマイナスは人口的に非常に少ないため、手術や外傷などで多量の輸血が必要になる時には注意が必要となり、全国的にも日赤などで登録確保体制が構築されているのです。
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