尿管結石の痛みはお産と同程度の痛み?
今日のFM放送は、尿路(尿管)結石について話しましたので、ブログでは尿管結石の痛みについて話をしようと思います。
まず、言葉の使い分けから・・・私は泌尿器科医ではありませんが、よく「尿管結石」と「尿路結石」は違うのですかとの質問を受けることがあります。
私達の尿を作り、体外に排出する組織を泌尿器系呼んでいます。左右の腎臓・尿管および膀胱・尿道より出来ています。腎臓と膀胱を繋いでいる細い管が尿管、膀胱から先の排出されるまでの間の管を尿道と呼んでいます。ご存じのように男性では尿道が女性より長く、その尿道を取り囲むように前立腺があります。 年齢と共に前立腺が大きくなる傾向がありますので、尿道が前立腺により前後左右から圧迫される様になります。その為多くの方が年齢と共に尿に勢いがなくなり、排尿困難や排尿時間がかかったり夜間頻尿の原因ともなります。 女性は尿道が短いので、出しにくいことはありませんが、逆に外部から細菌が入りやすいので膀胱炎などにかかりにくくなります。
石の存在部位により、腎内結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けますが、腎臓は尿を作り出す組織ですが、それ以外は尿を運び出す道ですので、尿管・膀胱・尿道をひっくるめて「尿路」と呼んでいます。
主に腎臓で尿を作り出す過程で、シュウ酸カルシウムを主成分とする結石が出来ます。脂肪分の多い食事やカルシウム不足、高尿酸血症の方、ストレスの多い方、まだ脱水などで尿が濃縮されやすい場合などで石が出来てしまいます。
腎臓にあるうちには痛みもないのが普通で検診のエコーなどで腎結石をされることがあります。ところが尿管はとても細く、滑らかさ組織で痛みを感じる神経も回りに沢山存在します。
尿管結石で殆ど痛みを感じない方も中にはいますが、強烈な痛みは多くの方が聞いたことがあるかも知れません。どれ程に痛みかと言うと、大の大人が七転八倒し冷や汗をかくほどの痛みで嘔吐などの症状も伴い、救急車で搬送される方も多くいるほどです。
米粒ほどの石でも表面はギザキザしています。 腎臓から石が落ちて、滑らかな尿管の中を通ると背中や脇腹にかけて突然激痛を生じます。腎臓からは尿が作られて続けますので、尿管は上から下へと蠕動運動によって尿を膀胱に運んでいます。尿管に石が引っかかると、腎臓に近い尿管は拡張し、尿管は蠕動を強くして結石を押し出そうとします。 そのために数分おきに「痛んだり止んだり」の疝痛発作が起こります。 この二種類の痛みが尿管結石では襲って来るのです。
男性が女性より2〜3倍多く、特に30〜50代の男性に多いとされています。尿管結石を患った女性の患者さんから「お産ぐらい痛かった」聞いたことがありますのでやはりかなり痛いのです。男性でも尿管結石の排石の場合、生みの苦しみを味わうのです(痛いのは尿管を移動する時で尿道を移動するときはそこまで痛くはありません)。
お産は出てくる喜びも大きいので痛みも半減されるかも知れませんが、尿管結石は出て来ても米粒のような石ですので、恨みはあっても喜びはありません・・・
違う方向になってしまいましたが、腎臓から出た石は尿管、膀胱、尿道を経由して出てゆきますが、症状が激しいのが尿管を通るために尿管結石と呼んでいることが多いです。尿路結石でも間違いはありません。
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コメント
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結石経験者の○○です。
私の場合、朝方これまでに経験したことがない痛みが突然起こりました。まさに激痛が波のように起こり、立ち上がることも困難で、冷や汗も出て、何か異常なことが起こったと感じて死を予感する程でした。やっと這いずるようにトイレの便器に座り小用するとなんと血尿となっており、この時はもうお終いかと思いながら、家族を起こし、人生初の救急車を要請し救急病院搬送となりました。
救急病院では多くの医師や看護師が待ち受けており、診察、採血や痛み止めの注射を受けながらCT等の検査が次々を行われ、結局は尿管結石と判明し、医師から命に別状はないことを告げられてホッとしました。家内や息子も安堵して笑顔を取り戻しましたが、私は痛みに耐えながら緊急入院。徐々に痛みは治まり入院3日目に米粒のような大きさの石が尿道から出て来ました。
先生の書かれているイラストに妙に納得する私です。2度と経験したくなく生活習慣を見直しています。今までの人生観が変わった病気です。分かりやすい解説有り難うございます。救急病院での先生方の姿は神様のように思えました。こらからも医療を頑張って下さい。有り難うございます。
投稿: 結石経験者 | 2017年9月28日 (木) 14時41分
結石経験者の○○様、こんばんは。
強い痛みの発作だったようですね。多くの経験者が初めての時には恐怖心を抱くようです。心の準備も出来ていない時に、お産に近い痛みだなんて、男性群には耐えきれない状況下も知れませんね
救急病院に勤務していた時には、この様な痛みが、解離性動脈瘤や内臓破裂などの1分1秒を争うような事態では無いかと一気に診断をつけるようにします。尿管結石を診断されるとおそらく医師も看護師も担当を除きあっと言う間にいなくなったと思います(笑)。
特に男性はお産は経験出来ませんので、これに近い痛みとなれば女性にますます頭が上がらなくなりますね。
私もこれからも第一線で治療を続けたいと思っています。こちらこそ訪ねて頂きましてありがとうございます。
投稿: omoromachi | 2017年9月28日 (木) 22時48分