汗の正体
今日のFM「いきいきタイム」は梅雨明けのこの時期から起こりやすくなる熱中症について話しました。これまで何度かメカニズムや症状、対策についてはこのブログでも書きましたので、暑いときにかく汗について記載します。
私達恒温動物は、暑さ寒さに関係なく体温を一定に保つ様になっています。日々の活動や休んでいてもエネルギーを使い続けていますので、体から熱と出しています。寒いと体をブルブル震わせて(筋肉運動)エネルギーを産生し、体温を維持します。
熱を造ることは出来ますが、熱を奪うことは体内では出来ません。それを可能にしているのが、私達の皮膚の汗腺から出す汗の作用です。暑いと皮膚の表面から汗がでます。汗(水分)は蒸発する時に多量の気化熱が発生します。この気化熱により皮膚表面を冷やすことで体温を保っています。
汗の成分の99%は水分です。汗を舐めると塩辛いのは汗には約0,6%のナトリウム(塩分)が含まれているせいで、それ以外に僅かながらカルシウム、マグネシウム、尿素、塩素、乳酸などが含まれます。
ではでは・・・汗の元のなるのは・・・そう私達の血液ですね。暑くて非常に汗をかいたときに水分が失われて脱水になります。小まめな水分補給が必要となります。 更に多量の汗をかいた時にはナトリウムも不足となります。ですから水分と塩分の補給が必要となります。 更に作業や運動で多量に汗とエネルギーが消費される場合は、水分+塩分+糖分の補給が必要となるのです。
この様な状況下での飲み物として開発されたのが、スポーツ飲料です。大して汗もかかないのに夏場だからといってスポーツ飲料を中心に飲むと、水分の補給は出来たとしても、塩分と糖分は必要以上に摂りすぎとなりますので注意が必要となります。
多くの方がご存じと思いますが、汗を出す汗腺には2種類あります。エクリン腺とアポクリン腺が存在します。全身にあり多くの発汗と関係があるのがエクリン腺で、アポクリン腺は腋や陰部など限られた場所にあります。アポクリン腺の役割は体温調節作用ではなくて、主に体臭の原因となる匂いを出す器官です。 今でこそワキガの原因となり嫌われていますが、本来は異性などを引きつけるためにあったと考えられています(人間の嗅覚が退化したのにまだこの腺は存在しています)。
ですのでアポクリン腺は子供の時は小さく、思春期になると増大し、老年期になると退縮して来ます。アポクリン腺からはタンパク質、脂質、糖質、アンモニア、ピルビン酸、色素リポフスチンなどが分泌されます。 これらは通常の汗よりも皮膚の常在菌にとっても栄養源が高く、増殖しやすくなることで、更に菌の発酵臭も混ざってあのワキガの独特な匂いとなります。
この様なことを防ぐ為にも様々な制汗剤が市販されています。その作用には、①ひんやりとして汗をかきにくくする成分と、②消臭剤+芳香剤、それに③細菌の増殖を防ぐ殺菌成分が含まれていることが多いと思います。 アポクリン腺の作用を打ち消すように考えられているわけです。
最後は横道にそれてしまいましたでしょうか? 暑いときには体を冷やすために汗がでます。汗が出ても大丈夫なように水分(その次ぎに塩分、最後に糖分)を小まめに補給しましょう。
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