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2017年6月 7日 (水)

ビタミンA欠乏症と夜盲症

今日のFM「いきいきタイム」はビタミンについてお話をしました。ビタミンに関しては何度か書いて来ましたので今回は夜盲症について書いてみます。

夜盲症については眼科が主に扱う疾患ですので、外科医の私の知識は素人と同じレベルになります(お許し下さい)。
夜盲症とは明るいところでは余り感じないのですが、暗いところでは急に視力が落ちて見えにくなる状態でよく「鳥目:とりめ」などとも呼ばれています。

夜盲症も大きく、先天性夜盲症と後天的夜盲症に分類され、先天性夜盲症も大きく、進行性の夜盲症と非進行性に分けています。
先天性進行性夜盲症は、幼児期より始まり(大人になるまで気がつかない場合もあります)徐々に進行しながら、視野が狭くなったり視力が低下して来ます。 この代表が網膜色素変性症で、難病指定の疾患で夜盲の他に視野狭窄、視力低下などがでてきます。先天性非進行性夜盲症としては小口病白点状眼底などがありますが、詳細は省略します。

今日の話題のビタミンと関連があるのが、後天性夜盲症を起こすビタミンA欠乏症が有名です(その他、網脈絡膜炎などもあります)。

ビタミンA不足による夜盲症は戦前と比べて食生活が改善した現代では激減した病気です。

私達は眼の奥の網膜で光を検知します。網膜にあるロドプシンという物質は、暗所で光があたると反応して分解されます。その僅かな変化を視神経が捉えて脳に伝えることで、暗い所になった場合、暗順応が起こるようにして、暗い所でも次第に物が見える様にしているのです(**暗順能とは、明るい所から暗い所に入った時に最初はよく見えなくても徐々に時間が経って暗い所が見えて来るようになる反応**)。

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ビタミンAはこのロドプシンという物質の材料になっていて、ビタミンAが減少するとロドプシンも減少して、暗い所に対する反応が起きにくくなり、夜盲症となってしまうのです。

予防法としてはレチノールやカロテンなどは、体内でビタミンAとして働きます。レチノールが多い食品はウナギやレバーがあり、カロテンを多く含むのはカボチャやニンジンなどの緑黄色野菜を多めに取るとよいでしょう。

高齢化社会の現代では後天的に暗い所が見えづらくなった場合は、夜盲症よりも白内障などのレンズが曇ったことが原因かもしれません。それ以外にも加齢と共に瞳孔が狭くなる縮瞳などもあります。

暗い所で字が読みにくくなった場合などビタミン不足や加齢と自己診断せず1度眼科を受診して、原因を探った方がいいかもしれません。現代ではビタミンA欠乏による夜盲症は激減していますので、安易にビタミンなどのサプリメントに頼らずに、眼科を受診することをお薦めします。

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コメント

こんばんは

知人に網膜色素変性症の人がいます。
幸い進行は停滞していますが
若い頃はまさに鳥目と言われていたようです。
IPS細胞が早く実用化されると良いですね。

眼科って何か理由が無いと
なかなか行かないですよね。
先日私も眼科で再検査を進められ、
億劫がって行っていなかったのですが
先生のブログでやっぱり
行こうと思いました。


monnaさん、こんばんは。

網膜色素変性症は難病に指定された疾患で、現時点で的確な治療法はないのが現状です。しかし今後、IPS細胞を使った治療が進歩してゆくと確信しています。このような病気が早く治る時代になって欲しいですね。

目の異常が出たら、単なる老眼とか疲れ目だと考えずに一度は専門の眼科を受診されることをお勧めしたいです。大丈夫と思っても緑内障だったり網膜剥離だったりする場合もありますので注意が必要と考えています。

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