博士が愛した数式
今日はのんびりと映画を観ていました。10年以上前に映画化されていますので、映画や小山洋子さん原著で読まれた方かも多いと思います。
映画の内容や評判に関してはすでに多くの方が書かれていると思いますが、80分しか記憶が持たない天才数学者とその家政婦と家政婦の子供(博士がルート√と呼んでいます)との関わりのなかで、数式の美しさが表現されています。 (まあ、家政婦さんが次々と交換するほどの博士の状態ではないとか、家政婦さんが余りにチャーミングで、シングルマザーと一人息子関係も良好すぎるほどななど・・多少問題もありますが、こんなものどうでもよいことでした)
数学者が家政婦さんやその息子さんに説明する数式を聞きながら、こちらもその美しさにはまり込みそうになります。次々と数式や公式などが出てきます。素数、完全数、友愛数、π、√、など懐かしい数式ですが、これが美しいとは感じたことが今までなかっただけに、この映画で数学者の頭の中を少し理解できた気がしました。
映画のなかで博士が説明します。「素数とは」;素数の素は素直な素、何も加えない、本来の自分と言う意味、潔く、美しいではないか。つまり1と自分自身以外では割り切れない数字のこと。 例えば2.3.5.7.11.13.17,19.23.29・・・・この素数は夜空に光る星のように無限に存在しますと・・・
「完全数とは」;28の約数を足すと、28になるんです。完全数だ、デカルトは完全な人間が滅多にいないように、完全な数も稀だといっている。 この数千年の間に見つかった完全数の数は30個に満たないんだよ・・・<参考までに28の数字は割れる数字は、1.2.3.4.7.14となります。それを合計すると28となります。6=1+2+3となり6も完全数です、それ以上なら486となるそうです>・・・なるほど凄い数値だと思わず映画を見ながら納得するわけです
「友愛数とは」;見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。 284の約数の和は220。220の約数の和は284・・・・友愛数だ(未だ世界で5つしか発見されていない組み合わせ)。 神の計らいを受けた、絆で結ばれた数字なんだ、美しいと思わないかい? 君(家政婦さん)の誕生日(2月20日)と、僕の手首の時計に刻まれた文字(284)が、これほどまでに見事なチェーンで繋がり合っているなんて・・・<参考までに;220の約数の和 1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284となり、284の約数の和、1+2+4+71+142=220となります>・・・そうかこんなに少ないのかなどと思いなが映画を進めていました
私達はおそらく、先天的に美しいものを感じ取ることが出来ると思います。朝日や夕日、花々、恋人、音楽などなど・・・それは生命を維持するために先天的にDNAに組み込まれたものかも知れません。これに反し「数式の美しさ」は、それを理解して初めて成り立つもので、完全に後天的な捉え方だと考えます。
私達はこの先天的の持っているものと、後天的に獲得したものが複雑に絡み合って美しいと感じるのだと思うのです。 生涯を通して学ばなければ美しいものを見逃してしまうのかも知れません・・・実にもったいないことです
この映画のなかで、もう一つ(明日が子供の日だからではありませんが)博士が子供を通して「小さいもの、弱いもの」への愛情を示します。 少子化が進む日本で、どうか「小さいもの、弱いもの」が美しく感じられる社会になって欲しいと思いながら映画を見終わりました。
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大好きな映画です。
原作も読みました。
数学のロマンを感じて 人生も重なり、「友愛数」のくだりは本当に感動しました。
日々生きていて、偶然と思えることが 本当は確率の中の必然ではなかろうかなどと思わされます。
少ない確率でも 信じて 小さいもの弱いもの同士が労り合える社会を 私も実践の中で繰り広げて行きたいと思います。
この映画は たとえ昨日迄の記憶を失くしつつも 明日への希望さえあれば また新たな喜びに向かえる大きな幸せを教えてくれました。
投稿: アトリエトトロ | 2017年5月 5日 (金) 17時08分
アトリエトトロさん、こんばんは。
映画も原作もみたのですね。
数学者が数に魅了されることが分かる気が致します。無限にある存在する数からお互いが結びつく公式は絶対的な美しさで輝くのかも知れませんね。
友愛数の場面は特に感動的ですね。私達の出会いもある確率からなっているのかも知れませんね。よっとしてそれも偶然として思っている特別の確率かも知れません。
あの映画で博士が毎回のようにルートと呼ぶ子供の事をとても弱く守らないといけない存在として思う心が描かれますね。 何度記憶が途絶えても、やはり子供は永遠に守り育てないといけない存在なのでしょう。
アトリエトトロさんが最後に書いてありますように、私達の全ての原動力は希望のなかにあると思います。夢や希望が無くなるほど恐ろしいことはありません。
投稿: omoromachi | 2017年5月 5日 (金) 19時02分
こんばんは。私のもっとも苦手の分野です
でも孫は
。理数系の苦手なひとは車に酔いやすい
算数が1番好きと言ってます。誰に似たか・・・昔数字に強い人に
憧れてました
時差ボケし安い!とは息子の持論ですがほんとうでしょうか?
投稿: フーミン | 2017年5月 6日 (土) 22時12分
フーミンさん、こんばんは。
フーミンさんは理系は不得意でしたか。それでもお孫さんは算数が大好きと・・・本当に誰に似たのでしょう
私は家族で唯一の理系でしたので、逆に文系が出来ないことに劣等感を持っていました。
息子さんの持論どうなんでしょうか? 医学的な証明は難しそうですね。自分自身は車酔いも時差ボケもないので理系で当たっているのかも知れませんが・・・
投稿: omoromachi | 2017年5月 7日 (日) 00時20分
この映画観ましたよ!
この映画のように美しさを教えてくだされば、
私も先生のようなお医者様になれたのではと思っています(冗談です)。
数学って大切なんですよね。
法学論文であっても、数学のような美しさが必要で、
もっと学生のときにしっかり数学の美しい証明方法を学んでおけばとつよく感じました。
数学って大事だと思います。
投稿: しげまる | 2017年5月 7日 (日) 20時45分
しげまるさん、こんばんは。
しげまるさんもこの映画ご覧になったのですね。
数学が美しいと感じさせてくれる映画ですよね。私は実は医学部にいけないと思い浪人の途中で、理学部の数学科に入ったことがあったのです。数学や物理は面白いと感じていましたが、美しいまで到達出来ずに、再度医学部を受験し直しました。
しげまるさんのように法学などの文系の分野でも統計や数値化は重要になると思います。文系の方にとっては統計学などは難しいと思いますが、周りの証明が得意な先生を捕まえて教えてもらう方が早いと思いますね。
本当に数学的な理論体系は大切だと思います
投稿: omoromachi | 2017年5月 7日 (日) 21時58分
こんばんは。私は本を読みました。そしてやはり数学の美しさというものと不思議さに魅力を感じました。でも、私は数学が苦手でした。算数から数学になった時、数学って便利で分かりやすいし、おもしろいって思いましたが、高校になってからはついて行けませんでした。文系に進みました。そしてこの本を読んでいる時も博士や家政婦さんや男の子の心や話の展開の方に興味を持って読みました。とてもいい本だったと覚えています。
投稿: はるか | 2017年5月 9日 (火) 00時09分
はるかさん、こんばんは。
流石、読書家のはるかさんは本で読んだのですね。映画化に関しては原作との違いを指摘されている方もいますので、若干違うのかも知れません。
それでも数学の美しさに引き寄せられる作品でしたよ。完成された美しさが数学を通して伝えられていました。家政婦さんとのやり取りやその息子さんとのやり取りをみながら、80分しか記憶が続かなくてリセットされても、本当の美しさや愛情があれば素晴らしいことなのだと考えさせられました。
良質な映画でした。
投稿: omoromachi | 2017年5月 9日 (火) 00時25分