健康管理は日々の体重測定から
日頃、余りダイエットなどを考えていない私ですが、日本医師会報に「健康長寿を延ばすためには適正な体重管理は日本型食生活と運動で」というパンフレットが入っていました。普段は外科的なこと以外はスルーするのですが、前々回に健康長寿の話をブログに書いたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-7925.html )読んでみました。なるほどと思える点も多かったので要点を書いてみます。
体重管理や生活習慣病予防のためには、食事の管理を運動が重要であることは皆様方もよくご存じだと思います。
これまで食事の摂取カロリーの基準は性別・年齢・身体活動にあわせて、1日の摂取カロリーは○○○カロリーから○○○カロリーとしてエネルギー量の基準値を用いていました。 しかし毎日の食事の取り分をいちいち計算して食べたり、どれぐらいのカロリーを消費したのかなどを小まめに計算して栄養管理を行っている方は殆どいないと考えます。
これを読まれている殆どの方は成長期を終えたでしょうから、エネルギーの摂取量と消費量のバランスで体重の増減が決まります。国は2015年から食事摂取基準のエネルギー管理をBMIを基準とした指標に変えました。
私達は肥っているか肥ってないかを単純に体重だけで考えがちですが、60Kgの方が肥っているのか痩せているのか判断出来ません。その人の身長が180Cmならやせ形でしょうし、150Cmなら小太りなはずです。
そこで登場するのがBMI(ボディー・マス・インデックス)という指数で、身長と体重から肥満度を表しています。 体重(これはKgの単位)÷身長(これはメートル単位)÷身長で計算します。 (160Cmで60Kgなら BMI=60÷1.6÷1.6で23.4となります)
日本人の体重の望ましい値をどの程度にするかを、多量のデーターを元に判定しています。総死亡率がもっとも低かったBMIを基に、疾患別の発症率・死因などを総合的に判断して、分かり易いように単純化して示しています。
具体的なBMIの目標値はとなると:18〜49歳のBMI基準値は(18.5〜24.9)、50から69歳までは(20.0〜24.9)、70歳以上では(21.5〜24.9)となっています。 どの年代でもBMIで25以上なら肥りすぎとなります。 この値のもう一つは、「肥りすぎはよくない」けど「痩せすぎもよくないよね」ということを暗に示しています。 年齢と共にBMIの下の基準値(低体重)が高くなっているのは、高齢者では衰弱による体重減少などもありますので、低体重により厳しい基準を設けているのです。
平成27年度の国民健康・栄養調査においては、BMIが25以上の肥満は男性で29.5%、女性で19.2%です。日本人の肥満者は年々増加を辿っています。その原因は過食、特に脂肪が多い欧米型の食生活と運動不足によるものと考えられています。日本人のライフスタイルは戦前は低栄養・高活動性から戦後は高栄養・低活動に急速に変化したことによるといわれています。
BMIの増加に伴い内臓脂肪が増加します。内臓脂肪の増加は糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の悪化を招き、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高め,ひいては健康寿命を短くしてしまいます。
ダイエットなどの知識は殆ど持ち合わせていませんが、ダイエットの為には食事と運動という習慣を長期で見直さなければいけません。それこそライフスタイル変える程のことが必要ですので、巷で沢山ささやかれている○○ダイエットなどで急速に痩せるようなことは決していいことではないと考えています。ローマは1日で成らずですが、ダイエットも1日で成らずなのです。
肥満の治療の基本は食事療法で、6ヶ月かけて3%の体重減を 目指す程度がよいとされています。極端なダイエットはカロリーだけでなく必要な栄養素不足を招き、不健康状態にしてしまいます。偏った食事や極端なカロリー制限による結果はまだ人間の歴史の中で経験出来ていませんので、子供の頃から死ぬまでそのような食生活をしてよかったという証拠もないのです。
具体的な減量を計算してみますと、脂肪組織の1Kgは7200Kcalとなります。これまで食べていた1日量のうち、1日あたり300Kcalを制限すれば、1ヶ月で体脂肪が1Kg減量可能となります。食事を制限すればもちろん体重は減るでしょうが、運動もあわせて行わないと筋力の低下も起こりますので注意が必要です。これまでの身体活動に加えて10分だけ毎日体を動かす「+10(プラス・テン)運動も提案されています。
書店に行けば永遠のベストセラーとなっれいるダイエット本が並んでいるわけですから、簡単ではないと理解しています。 一緒に頑張って行きましょう
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コメント
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omoromachi様、こんばんは。
1日の摂取カロリーよりもBMIの方
が日々の生活では分かりやすいです
最近中間管理職として
運動する機会がめっきり減りました
食事と運動の大切さを理解
しているつもりですがなかなか
自分だけでは目標達成出来ていません
取り敢えず半年で3Kgを目標に
頑張ってゆきたいと思います
いつも分かりやすい説明
ありがとうございます。
投稿: ツクシンボ | 2017年4月12日 (水) 23時58分
ツクシンボさん、おはようございます。
1日の栄養摂取の目安をいちいち、食事のカロリー計算や消費カロリーの計算をしていたのでは大変です。成長期を終えた大人では基本的に、栄養のインとアウトの結果が体重に反映されますので、日々のBMIの推移でみた方が分かりやすいと思います。 今度の改定はより実戦しやすい指標になったと考えています。
結構ダイエットって難しいはずです。たった1Kg でも減らすことは出来ても維持することが難しかったりしますね。 これからも体重計を向き合って管理を行ってゆきましょう
投稿: omoromachi | 2017年4月13日 (木) 08時16分
おはようございます
夏に向けてちょっと
引き締めたいと思っています。
一日300カロリー、
減らすには、無理なく
少しずつ意識して
気長に控えるのが良さそうですね。
増やすのは
簡単なんですけどね
投稿: monna | 2017年4月13日 (木) 09時10分
年末から気が緩んでしまい、体重が増えてしまいました(汗)
素朴な質問としてお伺いしたいのですが、
人によって骨太の方とそうでない方がいます。
そうなると、単純に比較できないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
私の場合は、以前健康診断で、お医者様に
ずいぶんと骨が太いですねと言われたのですが・・・
投稿: しげまる | 2017年4月15日 (土) 09時25分
monnaさん、こんにちは。
返事遅れて済みませんでした。
本当に増やすのは簡単ですのに、減らすのは難しいです。 毎日体重計に乗ることで、少しの体重増加のうちに明日の食事を軽めにするなど微調整を行い体重の増加を防ぐ方がいいと考えています。 暫く体重計に乗っていないうちに何キロも肥ってしまってからのリカバリーは大変です
ダイエットに王道はありませんので、少しずつ無理なく体重を落としてゆきましょう。特に女性の方は夏に向けてこれからが正念場です
投稿: omoromachi | 2017年4月15日 (土) 13時33分
しげまるさん、こんにちは
少しメタボ体型になりかけていますでしょうか(笑)
・素朴な質問の意味として、「骨の太さも長さも変わるので、私の様な骨の太い人間は、骨の重さの分を考慮しないと皆メタボとなってしまうよ・・・」と嘆くような質問かと判断しました・・・
おそらく健診で診察した医師はしげまるさんの太い手首をみて、骨が太いと話されたのかもしれませんね・・・体を鍛えた成果かもしれません
・さて本題に移ります。骨の重さを計るのは実は簡単ではありません。骨粗鬆などの判断のため使うようような、体の一部の骨を超音波(超音波法)、X線を使い骨密度を使うDXA法、MD法などを利用して、骨の濃度を調べます。その一部分のデーターをもとに全身の骨の量を推定して計算しはじき出します。ですので完全に個人の全身の骨量を厳密に計算する方法は実用化されていません。
・日本人の20〜40歳台の平均的な推定骨量は男性で体重が60Kg以下は2.5Kg,60〜75Kgでは2.9Kg,75Kg以上では3.2Kgとなります。女性は男性より少ないです。
・当然、骨の太さや密度は個人差がありますね、しかし同じ体重の人でいくら骨が太くても平均より2倍以上多くなることは殆ど無いはずです。
・ですので健診では骨の太さは考慮せずに身長と体重から決めるBMIを根拠にメタボの判断を行っているわけです。
・・お陰で私も専門外の勉強になりました。この様なお答えでよかったでしょうか?
投稿: omoromachi | 2017年4月15日 (土) 13時39分