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2017年1月25日 (水)

脳卒中とリハビリ

今日のFMは寒い時期に気をつけないといけない脳卒中について話をしました。以前のブログに脳卒中の病態(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-a337.html )や大脳の機能局在(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-314f.html )については書いています(よろしければご覧下さい・・・)。 私は外科医であって脳外科や神経内科、リハビリについては素人変わりませんのでご了承下さい

私の脳細胞は非常に弱く、血液が詰まったり、出血したりしてその部分が完全に酸素が欠乏すると3〜5分で細胞は死んでしまいます(ただその周りの多くの細胞は瀕死の状態でまだ死滅していない部分も多く、超急性期は血栓溶療法などの救急医療が行われ、脳細胞のダメージを最小限にします)。

脳はその局在で色々な機能に別れています。死滅した脳細胞が担当していた機能が消滅することで様々な症状が出現します。その中で1番残りやすく分かりやすい後遺症は、手足の麻痺ではないでしょうか。

Th_ それを例にリハビリについて説明します。多くの方が気になるのは、リハビリをいつから始めたらいいのか、いったい効果はあるのか、いつまで続ければいいのかではないかと考えます。

身体の機能を時間軸で観ると、発症して症状が出現、診断、治療がまず行われ、病態が比較的安定した時期よりリハビリを併用しながら、身体が回復する時期が3週間から6ヶ月頃となります。特に3ヶ月頃までは比較的順調に機能が回復しますが、その後肉体的な回復は半年から1年ほど経つと鈍化し、次第に改善はなく固定化してしまうケースが多く認められます。

このことよりリハビリにおいては「6ヶ月の壁」と呼んでいるようです。 発症からこの4〜6ヶ月の間に重点的に回復期のリハビリを行ってゆきます。この回復期のリハビリテーションを専門とする病院などもあります。

それ以降になると、大きな改善は認められなくなります。ではリハビリは必要ないかと言うとそうでもありません。機能の維持や生活の質の向上のためには、今度は自分や家族と共にリハビリを続けたり、デイサービス、デイケア(通所リハビリ)、訪問リハビリなどを利用して、機能の低下を防ぐようにする維持期への移行となります。これは生涯続ける必要があります。

最近では脳卒中などの発症時期の早期から急性期のリハビリテーションを行うことが多くなり、リハビリの開始時期も次第に早くなる傾向があります。早い段階からリハビリを開始することで、機能回復レベルが高くなると言われています。

しかしこの時期はまだまだ、病態が不安定で、無理すると更に危険な状況ともなります。内科や脳神経外科などの専門医と連携しながら、体に負担にならないように、ベット上でリハビリの併用療法が行われています。

この辺りは私達の手術後の治療も昔と変化して来たことに似ています。私が外科医になり出した30年以上前は術後は絶対安静でした。次第に変わり、今では術後直ぐからリハビリ、早期離床に向けて取り組むように変化しています。

リハビリテーション(リハビリ)とはラテン語でRe(再び) とhabiris(適した)から作られた用語で、つまり再び適した状態になることと直訳できます。そのために、脳卒中や手術後やスポーツ外傷などにおいても、辛くてもリハビリの重要性があるのです。リハビリをやっている皆さん、頑張って下さいね

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医療」カテゴリの記事

コメント

omoromachi先生、初めまして。私は高血圧があり10年以上前より薬を飲んでおりました。2年前に、ふらつきやしびれ感があり,いつもと様子が違ったため病院を受診した所、脳梗塞と言われてこのまま2週間程度入院を経験しました。点滴の治療を行うと症状が取れましたが、その後、降圧剤と抗凝固薬を飲んでおります。
ぶしつけな質問ですが、この抗凝固薬(プラビックス)はいつまで続けた方がいいとお考えでしょうか? 一般的なお話で構いません。現在の主治医が若い先生で、何時まで飲んだ方がいいのでしょうかと質問しました「ずっと飲んで下さい」との返事でしたが、これ以上は聴けませんでした。

今回のブログの記事だけでなく上記に書いてある以前の記事もとても参考になりました。私の住む東京は一昨日昨日ととても寒い日が続いております。沖縄にお住まいの先生が羨ましく思います。
お忙しいと思いますが、ご自身のお体もご自愛下さい(素人が言うのはおこがましいですが)

K.Knichiさん、こんばんは。
脳梗塞になられて治療を継続されていらっしゃるのですね。私の専門は外科ですので、今かかっていらっしゃる先生方より素人ですので、そのような観点からご理解頂ければと思っています。
細かいですがプラビックスは抗凝固薬ではなくて抗血小板薬となります。これは脳梗塞の多くは動脈硬化によって血管が細くなってアテロームの破綻によってその部分に血小板が作用して詰まってしまう、アテローム性脳梗塞が多いのが現状です。そのために脳梗塞では再発予防に抗血小板薬が使用されています。(心房細動などによって脳塞栓性の場合は抗凝固薬が使用されることが多いです)

脳梗塞は高血圧、糖尿病、高脂血症、タバコなどの生活習慣がもたらした原因で動脈硬化が脳の血管の現れた疾患ですので、この再発の予防としては生涯内服を続けることが重要と考えています(もちろんその時の体力や腎機能などによって投与量や薬の内容は変わるかも知れません)。 色々なデーターで抗血小板薬を自己中断した方の脳梗塞再発率は高いですので、K.Knichi.さんの場合は、血圧をコントロールしながら抗血小板薬の内服の継続は今後も必要ではないかと思っています。
私よりもずっと主治医の先生が知識は豊富でしょうから、やはりご自身で相談された方がよろしいかと考えています。

東京は寒いのでしょうね? わざわざお越し頂き有難うござます。

omoromachi先生、ありがとうございます。
初めての投稿に対して、このように丁重な御返答を頂き、本当に感謝致します。ブラビックスは抗血小板薬だったのですね。その違いも調べて分かりました。
何とお礼を申し上げたら宜しいのかと恐縮しております。私の主治医がずっと飲んで下さいといった意味もこのご回答ですっと飲み込むことが出来ました。
先生と病院の今後のご発展を祈っております。誠にありがとうございました。

K.Knichi. さん、こんばんは。

専門家ではありませんので、あくまで参考にと言う事でお願い致します。
こちらこそわざわざこのようなコメントを頂き恐縮しております。
東京は寒いと思いますが、寒冷は血圧上昇の原因となりますので、暖かくしてお過ごし下さい。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

おはようございます✿

90になる義母は2年半前、温泉地で脳梗塞に倒れ、現地の病院で治療を受け1ヵ月後に故郷の病院へ転院することが出来ました。
現在は、施設で暮らしております。

倒れたときの診断は、脳幹梗塞でかなり危険でした。しかし翌日からベッドでリハビリが始まりました。
私は絶対安静で、そしてこのまま寝たきりに…と勝手に奈落のどん底に落ちた気持ちでいましたが、それからの回復が目に見えて早く驚いたのでした。
omoromachi先生のおっしゃるように、リハビリ専門の病院に転院して3ヶ月までの回復が目覚しく、半年過ぎると鈍化して、その後は右半身の麻痺が固定して残りました。
加齢と後遺症の壁はどうしても越えられず、最近は転倒が多くなり、寒い時期は施設で過ごしております。

施設では多くの高齢者が何かしら障害を持って生活してますが、多くの方がこれ以上体の機能が落ちないよう、自主特訓してる風景には驚くとともに、こちらが逆に元気をいただけます。
それでも気丈な義母が「生きていても、こうやって人様に迷惑をかけるだけ。早く死にたい」と泣きながら話すと、私もあの時、旅行に誘わなければ、こんな目に遭わなかったのかしらと落ち込みます。
考えても仕方ないことですが。

とりとめの無いことを長々とすみません。
omoromachi先生のお話は体のことも時事問題も勉強になりますし、海外の美しい風景、沖縄の生け花、先生のきれいな歌声まで聴け楽しみです
今年もよろしくお願いいたします✿

らるごさん、こんにちは。

義母さんも脳梗塞、それも脳幹部梗塞になったことがあったのですね。脳幹部梗塞は脳梗塞の中でも命に罹る重要な部位の梗塞ですので命を落とすことも多いのです。
大変でしたでしょうが、その後のリハビリも行っていたのですね。リハビリにも当然限界がありますので、少しでも現状を維持できればいいと思います。

らるごさんが、温泉地に連れて行ったことを感謝していると思いますよ。脳梗塞は何処で起こるかは誰も分からないことです。そこに行かなければ違う場所で、それこそ誰もみていない所で倒れていたのかも知れません。

色々な努力は必要でしょうが、運命は変えることが出来ないかも知れません。ですのでらるごさんも後悔はしないで下さいね。

御地はロウバイの黄色の花や紅梅のピンクの花が咲き出しているのですね。 沖縄の緋寒桜は染井吉野と違いピンク色ですで、よく観光客から梅の花と間違われることもあります。
私こそ、どうか今年も宜しくお願い申し上げます

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