胃と貧血
今日のFMレキオは胃潰瘍や十二指腸潰瘍に関して話をしました。胃の1番大きな作用として、食事を1度の貯める貯留能と胃酸を分泌し食物を消化し蠕動運動により撹拌と十二指腸への排泄があります。
貧血には色々なパターンの貧血がありますが、赤血球を合成するために大きな役割を果たすのが、鉄分とビタミンB12があります。この二つと胃は密接に関わっています。
胃壁の細胞には塩酸を作り出す細胞と小腸でのビタミンB12の吸収を助ける、ビタミンB12 結合タンパク質(内因子)を分泌する細胞が存在します。
病的に胃酸の分泌が少ない無酸症・低酸症や胃の手術後で胃酸が減少する場合は、食事中の鉄の吸収率が低下して、次第に鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血となります。全く吸収出来ない訳ではありませんので、鉄剤の投与で徐々に改善することが多いです。
また胃の壁には内因子といるタンパクがあり、小腸(主に回腸)でのビタミンB12の吸収を助けています。ところが手術で、胃を部分的あるいは全部切除した場合に、内因子が減少あるいは消失してしまし、体内に貯蔵したビタミンB12は徐々に低下します。ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血(きょせきゅがきゅうせいひんけつ)になります。名前は何となく恐ろしそうに聞こえますが、一般的な貧血のパターンの一つです。
このような状態では経口的にビタミンB12を飲んでも殆ど吸収されないため、ビタミンB12の筋肉内への注射の必要になります。体内のビタミンB12はストックがあり直ぐに消失するわけではなくて、胃を切った方でおおよそ2〜3年でこの貧血が起こる場合があり、1〜3ヶ月に1回ビタミンB12の注射により補充を行っています。
今回は消化器の胃と赤血球が減少する貧血は因果関係がないように思えることでも繋がりがあることを記載しました。
人間の身体は色々な所で繋がっているのでしょう。きっと何処かで私も皆様方と繋がって生きているのでしょう。読んで頂きありがとうございます。
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omoromachi様こんばんはです
胃と貧血が関係があることは
想像出来ませんでした
ビタミンの吸収に関係あるのも
不思議なきがしますが
このブログで人間の身体の
仕組みを知ることが出来て
楽しい発見をしています
ご多忙と存じ上げますが
これからも楽しい話
音楽を聴かせてください
京都は寒くなりました
投稿: ツクシンボ | 2016年11月23日 (水) 23時16分
ツクシンボさん、こんばんは。
私の意図していたことが伝わって嬉しいです。消化管の胃と赤血球が減少する貧血に関しても接点があるのです。
医学を学ぶほど人間の身体はよくできていると感心するばかりです。この素晴らしい世界を少しでも伝えたいと考えています。今後とも宜しくお願い致します。
京都は寒くなりましたか? 前回ご訪問の時には京都の紅葉はまだと言っておりましたが、今は市内でも見ごろではないでしょうか?
秋・冬の京都も訪れてみたいです。
投稿: omoromachi | 2016年11月24日 (木) 00時18分
先生こんにちわ、お疲れ様です。
貧血ではありませんが、胃潰瘍を何度か患ってしまったことが
あります
暴食をしないように心掛けていますが、寒くなってくると働きが悪くなるせいか
さらにサッパリとした食事になってしまいます。
今日、こちらは雪です!
11月の初雪なんて、異常気象が当たり前になりつつですね。
投稿: 由津子 | 2016年11月24日 (木) 12時07分
由津子さん、こんばんは。
由津子さんは潰瘍持ちでしたか。潰瘍は胃酸の攻撃因子と粘膜の防御機能のバランスが崩れた時、あるいはピロリ菌の感染などにより起こりやすくなります。 ストレスをためずに体調を管理して下さいね。
関東で11月の雪は珍しいでしょうし、この様な異常な気候が今後も続いて行くのでしょうか? 次第に何十年ぶりなんている気候も普通になってしまうのかも知れません。 地球のご機嫌を損なわないように人間も振るわなければなりませんね。
投稿: omoromachi | 2016年11月24日 (木) 19時13分