宇宙酔い(眩暈)
今日のFMはめまいの第一弾として話をしました。
めまいを経験された方は多くいらっしゃると思います。簡単に言うと「めまい」とは自分、あるいは周りが動いていないのに、動いているように感じ、平衡感覚を失って不快を感じる状態を指しています。めまいの症状も様々で原因も多種にわたります。
一番多くの原因は私達の耳の中、内耳の異常に因ることが多いです。耳の一番奥の内耳には聴覚を担当する蝸牛(かぎゅう)と平衡感覚を司る前庭(卵球嚢、球形嚢、三半規管)があります。
卵球嚢や球形嚢には耳石系と呼ばれる細胞があります。顕微鏡で見ると短い毛のような細胞の上に小さな小さな石が乗っています(不思議です)。 私達が動くとこの小さな石も動くのです。この石が乗っていて動くのを細胞がチャッチして、直線方向の動きや重力・遠心力を感知することが可能なのです。
人間のもう一つの動き、回転運動に関しては三半規管が感知します。この三半規管は3つの半円形のチューブで出来ていてお互いに90度の角度を有した三次元の構造をしています。少し数学の時間を思いだしてみましょう。一次元なら直線しか表現できません。二次元ならX軸、Y軸があって平面を表すことが出来るようになります。それにZ軸が加わると三次元となりあらゆる方向の回転運動をキャッチできるようになるのです。
私達は目をつぶっても、内耳の前庭があるお陰で加速や回転、自分の傾きなどを感知出来る訳です。
少し話を戻します。耳石系と言われる、小さな石も重さがありますので、常に重力の力を受けています。常に耳石が重力に引っ張れているために位置関係がずれずに平衡感覚を保つことが出来ています。
やっとタイトルの宇宙酔いです。どんなに鍛えられた宇宙飛行士でも、重力のある地球から無重力の世界へ飛び出した瞬間にめまいに襲われます。なぜって? もうお解りでしょう・・・前庭器官にある細胞の上に並んだ耳石が重力がないため方向性を失い、細胞は位置関係を正常に伝えられなくなります。 細胞は位置関係を混乱して脳細胞に伝えてしまうため、めまいが発生するのです。
人間は重力のある地球で進化してきたのですね。無重力の世界で暮らすには何十億年かけて進化しないいけないのかも知れません。 私達の体の仕組みは素晴らしいです
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初めてコメントします、moyamoyaです
星が好きで天体観測をしています
僕もあれほど訓練している宇宙飛行士
が何故宇宙酔いするのか不思議
でしたがこの説明で分かりました
人間の身体は重力があるから
色々なことが分かるのですね
他にも読んでみました
現役のお医者様が書いている
ブログですが、素人の私にも
分かる内容で興味が持てます
お邪魔させて頂きました
投稿: moyamoya | 2016年11月 5日 (土) 01時38分
moyamoyaさん、こんにちは。
こちらこそ初めまして。天体観測が趣味なのですか? いいですね。星空を眺めていると現実の世界のモヤモヤもとれてゆくのではないでしょうか?
宇宙飛行士は様々な訓練をここないますが、流石に耳石をコントロールすることは出来ませんが、眩暈の起こり方の原因が分かっていますし、直ぐに対応出来るようです(眩暈を起こしながらもミッションが出来る様にしているようです)
人間の体は知れば知るほど素晴らしい仕組みで出来ています。少しでも解り易く解説出来たらと思っています。
コメント頂き有り難うございます。
投稿: omoromachi | 2016年11月 5日 (土) 13時38分