フォト
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

« オバマ大統領の広島訪問 | トップページ | 今週の生け花(平成28年6月第1週) »

2016年6月 1日 (水)

血液透析の仕組み

今日のFMレキオは腎臓について話をしました。腎臓には尿を作るだけでなく様々な作用があります(以前のブログに書いた記事です→http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-5b69.html

腎臓の機能が著しく低下した場合、体に貯まった老廃物や水を体外に排泄しないといけなくなります。これに対する治療が透析療法で、方法として血液透析腹膜透析に分かれます。 日本で多いのはTh_075214 血液透析で、週に2〜3回病院で4〜5時間程度の透析を行う必要があります。

私達の体の中には日々の活動の中で色々な物質が生まれたり、薬や食事などから発生した物資が蓄積します。体にとって不要となったり毒となる物質を排除する仕組みがなければ人間は生きてゆけません。腎臓の代わりに処理を行うのが人工透析となるのです。

血液透析は体に不要な物質や水分を体外に出す役割があります。血液透析では、透析膜という目に見えない小さな孔があいた半透膜を利用して、血液と透析液の間で「拡散」「限外濾過」という原理を使って、有害物質や水分を除去します。また必要な電解質などは逆に血液中に補充したりして行われています。透析膜の孔の大きさもよくできていて、赤血球などの血球成分よりは小さくて、水や電解質は通る大きさです。

Th_ 「拡散」とは水に溶解物を入れると次第に均等に広がってゆく現象です。解り易い例で言えば、水にインクを垂らすと何もしなくても次第に広がって均一になります。それと同じ原理です。

左の図を見てみて下さい。赤血球などの血球成分や私達の栄養素である蛋白質(アルブミン)などより孔が小さい透析膜をはさんで、血液と透析液があるとします。もしも血液中から除きたいカリウムや尿酸などより、わざと透析液の濃度を低くすると拡散の原理に因って、血液の中から透析液の方に不要な物質が移動してくれます。これを除去すれば血液の中の尿素やカリウムなどを正常に戻すことが出来る様になります。

透析を受けている方は尿量で水分のバランスが取れませんので水分が制限されます。しかし食事をすることなどで水分は入って来ます。尿は出ませんので、呼吸や皮膚の表面から蒸発する不感蒸拙(おおよそ700ml)以上の水分が入ると、体のむくみとなります。 多くの場合は透析中に上記の腐敗物を取り除きながら、血液の中から水分を抜き取ること(除水)を行っています。

除水のためには「限外濾過」の原理で行われます。血液側の圧と透析液の圧が同じなら、拡散はしても水分の全体量は移動しません。圧は高い方から低い方に向かいます。人間の血圧は基本的に一定ですので、透析液側の圧を高くしたり低くしたりして水分の移動が行われています。 透析前に水分オーバーなら、透析液側の圧を下げれば「血液から透析側に水分の移動」が起こります。これが除水となります。もし透析前に脱水なら逆に透析液側の圧を上げれば、血液側に水分が移動します。

年々透析患者さんは増加しています。もし蛋白尿や血尿など、高血圧、糖尿などを患っている方はいつも腎臓をいたわるようにして下さいね。

« オバマ大統領の広島訪問 | トップページ | 今週の生け花(平成28年6月第1週) »

医療」カテゴリの記事

コメント

omoromachi様、おはようございます。

私達の腎臓は尿を作るだけでなく
色々な役割があるのですね

人工透析における「拡散と限界濾過」
について分かる様になりました。

いつも分かり易く解説して頂き
感謝致します。
omoromachi様が解り易い
医学書を出版したら売れると
思いますよ。 私はすぐに買いますね

これからも宜しくお願いします

ツクシンボさん、おはようございます。

私達の腎臓は老廃物の除去、体の水分やPHの調整、血圧の調整に造血など様々な役割を担っています。
現代では500人に1人が透析を受けているとう状況となっています。
拡散などは書いて説明しても難しいので図にしてみました。わかって貰えれば幸いです。
医学書ですか?誰も買わないと思いますので出さないでおきます

いつもありがとうございます。

こんばんは


家の近くに透析センターがあり、
知人もそこに通っていますが、
透析の後はすごく体が疲れるそうです。
また先生が書かれているように
水分も制限されていますし、
時間もかかって透析について
よくわからないけど、
大変そうだなと思っていましたが、
これを読んで透析の仕組みが
わかりました。

普段、全く腎臓の存在を
意識せずに生活していましたが、
このお話で腎臓のありがたみを感じますねぇ。
と、同時に
人の体って本当に良くできているなと
つくづく思います

monnaさん、こんばんは。

近くに透析センターがあるのですね。現在多くに方が透析を受けています。統計上はおおよそ500人に1人が透析を受けているそうです。

透析は本当に大変だと思いますが、命を繋ぐにはこれしか方法がありません。普段の生活で水分過多になるため、多くの方では透析中に除水をして、終わったときには身体は脱水になっているようにしています。そのこともあり疲労感が強くなります。

腎臓は色々な役割を担っています。腎臓のお陰で私達は水分の制限もせずに暮らすことが出来ています。
日頃から腎臓のことに注意して、検診などで引っかかった場合は二次検診を受けるように心がけて下さいね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 血液透析の仕組み:

« オバマ大統領の広島訪問 | トップページ | 今週の生け花(平成28年6月第1週) »