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2016年3月16日 (水)

機上のドクターコール

それ程多く国際線に乗っている訳ではないのですが、何故か私の方は飛行機の中でドクターコールを受けたことが3回あり、国内線も含めると4回あります。 ネットなどで調べると国際線1000回あたり1〜5件ぐらいの確率のようです。私が国際線を乗るのは乗り継ぎも含めて、70回に満たないと思いますので、恐らくかなり凄く高い確率だと思います(その割には宝くじはニアミスさえありませんが・・)。

この3件とも日本発、または日本着のヨーロッパ便で、対象者も日本人であったのと、日本人スタッフが乗り込んでいたので助かりました。

Th_ 医療関係者でもなく、海外に行かない人にとっては,機会はないのかも知れませんが・・・それでもテレビや映画でみたことはあるのかも知れません・・・私の場合は「お客様の中に医師や医療関係者がいらっしゃいましたらご協力お願いします・・・・」とのアナウンスが流れてると無視するわけにもゆかず、駆けつけます。 その時は大体、靴も脱いで、口をだらしなく開けて寝ている状況ですので、慌てて靴を履いて駆けつけます。

このドクターコールに関して応じるかどうかは、医師の意思()だといわれ、求めに応じる医師は半数程度と言われるようです。ANAの公表でドクターコールで駆けつけたケースは89%程度でうち医師が61%としています(統計上は飛行機内に平均1〜3名の医師は搭乗しているとのこと)

ドクターコールに応じるか悩む原因に、専門外や救急の知識が少なく、また機上という設備も整備もない状況下ではまともに診療が出来ないとのこともあります。それに加えて間違った診断・処置で損害賠償が起きたら大変だとの思いがあると考えます。

欧米ではかなり以前から「善きサマリヤ人の法」があり、善意で行った医療行為に関して、誠実に行ったのであれば、悪しき結果になっても責任は問わないと言うことが浸透しています。訴訟大国米国でもこの様な訴訟はこれまでにないとのことです。機上での故意や悪意がない医療行為では初めから勝てないと分かっているので訴訟が成り立たないからと言われています。

日本では、これらの事例に対して明文化された法律はありませんが、刑法上も民法上も「善意における行為での責任は免除される」ようです。

昔より機内におけるメディカルキッド、Th__3 ドクターズキットがかなり充実して来ています。 今ではAEDを搭載している飛行機もあるようです。 私が乗った飛行機ではAEDはみたことありませんでしたが、ドクターズキットには各種緊急薬品、点滴セット、挿管チューブなどがありましたし、酸素飽和度の測定器もありました。

昔からどの航空会社にも聴診器と血圧計はあったのですが、飛行機の騒音で役に立ちません。呼吸音や心音なんても聞こえませんので息をしているのか心臓が動いているのかも聴診器で聞いて判る訳ではありません。血圧も手で脈を触れながらチェックする最高血圧の測定しか出来ませんでした(自動血圧計や簡易心電図計があれば有り難いですが・・私の経験した機内にはなかったです)。頸動脈の触診しか触れない場合もあります。確かに臨床経験の少ない医師にとっては何もない状況の対応は困難かも知れません。

私の場合は4回とも近くの飛行場に緊急着陸( Emergency landing)を要する事態や死亡などの重い症状がなかったのは幸いでした(運がよかっただけかも知れません)。そのような事態になった時になにが出来るかをもう一度自己チェックしないといけないと思いました。 やはり機上では自分の実力のなさを実感しますので、何事もないことを祈って搭乗しています。

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医療」カテゴリの記事

コメント

機上のドクターコールを読み感動しました。

TVでは観たことがありましたが、実際にこのような場面に遭遇されることがあるんですか、ちょっと驚きです。
それにしてもomoromachi先生の遭遇確率は高いようですね、きっと宝くじも当たるかも・・‼

冗談言っている場合じゃないですが、カッコいいですね。
こうした医師が搭乗していると思うと、安心します。
機内の数少ないドクターズキッドや、騒音の中での冷静な診察と診断は難しい事だと思いますが、今後益々のご活躍を期待しております。

院長先生
こんばんは。いつもありがとうございます。
 私も2回だった思いますが、このアナウンスを
聞いた事がございます。
 JALではお医者様を乗せるとの記事を日経で見ましたので
2月28日のブログで紹介させて頂きました。
 少しでも安心して旅行ができるのは本当に嬉しい事だと思います。
院長先生と乗り合わせた患者さんは感謝なさったことでしょう。

yasuさん、こんばんは。

余り遭遇する機会は一般的に少ないと思います。私の搭乗回数に比べたらかなり高い確率でドクターコールを受けたのかも知れません・・・・暫く買っていなかった宝くじも今年は買おうかと心密かに思っています。当たったらyasuさんと山分けしましょうか

病院の中にいると何でも出来るように思ってしまうのですが、自分がやれるのも仲間や機械が揃っているからだと痛感させられます。

初めての国際線でのドクターコールは20年以上前で、今のように装備も少なく、聴診器と水銀血圧計でしたが、その時に心音が全く聞こえないことを経験しました。一瞬パニックになりましたが、聞こえなければ、視て触ってに切り替えました。点滴もどうにか確保出来、無事改善しホッとしました。

これからは活躍と言うよりお世話になることが多くならないかと心配しております(笑)。

マコママさん、こんばんは。

機上でのドクターコールを2回聞いたことがあるのですね。マコママさんもかなり高い確率でしょうか? 一緒に宝くじ買いましょうか

JALの医師登録制度については新聞にも紹介されていましたね。いいことだと思います。ただ私の場合はおそらく登録しないだろうと思います。コールがあったら、これまでの通り応じるつもりです。登録しようがしまいが必要なら応援しようと考えています。

飛行機の中での急変時は私の様なヤブ医者でも少しは役に立てたかなと思います。このような処置をしながら、何もやれない自分が嫌になることも多いのです。もっと勉強しなさいとの警告なようなものだと考えています。頑張ります

こんばんは。

わたしはまだ、機上でそのような事態になった(または遭遇した)ことがありませんが、
自分が乗る飛行機に、日本人のお医者様がいてくださるかしら・・・と、
時々ふと思いながら乗ることはありました。(特に長時間フライトの時など・・・)

機内にも意外とたくさんの医療器具が用意されているのですね。ビックリしました。
つい先日、職場でAEDの実施訓練を受けてきましたが、やっぱり素人はオタオタしてしまいます。。。
もし旅先(しかも機上)でやるとなったら、落ち着いてできないかもしれません。
でも、お医者様が緊急要請に応じるかどうか悩んでしまう・・・というのもわかる気がします。

先生は4回、機上の緊急対応をなさったようですが、
その4名の方を助けるために、先生はその飛行機に乗ったのかもしれませんね。
大事に至らず安堵しておりますが、地上でも機上でも、先生は大忙しですね(^-^;

アケさん、こんばんは。

外国や機内での救急の場合は、母国語を話す方がいるだけで安心しますよね。 

機内にこのような充実した医療器機が備えられるようになったのはごく最近からです。 日本の航空会社の国際線はしっかりとしている様です。

私自身もドクターコールがあった場合に不安になります。それでもいないよりはましだと思って手を挙げています。

私は4回とも重症にはなりませんでしたので、私自身幸運だったと思います。実際の処置よりも医師が側にいる精神安定剤のような役割しかできませんが、少しはお役に立てたと思います。 その為にも少し勉強しなければです

omoromachi様、おはようございます。

私の方は国内線は多く利用しています
まだそのようなコールを聞いたことが
ありません

コールに応じるかは「医師の意思」
で、シランふりする方も多いのですね
折角の休暇での義務を負う必要は
確かにありませんし、あくまで
人道的な立場での応じているのですね

omoromachi様でも緊張するんだと
改めて思いましたし,この様に
威張らない上司がいて欲しいと
感じるこの頃です

omoromachiさん、こんにちは。
かなりの高確率ですね。
先生に感謝です。
崇高なお仕事ですものね。
私がそばにいたら、神様にすら思えます。
失礼な言いまわしだったら、お許しください。

ツクシンボさん、こんばんは。

余りあって欲しくないコールですので、この様な機会が無かったのは良いことだと思いますよ。
機上でのドクターコールは乗り合わせた医師にとってはストレスになると思います。呼びかけに応じてた場合は実際に出来るかどうか心配ですし、呼びかけに応じない場合は後ろめたい気にもなると思います(最近は割り切った医師も多くなったと思いますが・・)。

私の場合は威張らないのではなくて、だらしない上司ですので余り上司には向かないと思いますよ

EOSのパパさん、こんばんは。

後で調べたら、かなりの高確率だと思いました。やはり宝くじ買うべきだったと後悔しています。

医学の志しは崇高かも知れませんが、どの職種も崇高な仕事です。ストレスのかかり方は違うのかも知れませんが、仕事に有意さはないと思いますよ(怒っている訳ではありませんよ、素直に思うのです)。

私は神がかりに後光が差しています(←単に頭が禿げていて光っているだけですが・・)。少しは役に立っていたら嬉しいです。

omoromachiさんへ

具合が悪く病院へ行き、先生に診察してもらう事で安心して具合がよくなる。
こういう事はあると思います。
具合の悪い人の立場からすれば、飛行中の航空機という隔離された環境で、診察してもらえる事がどれだけ安心になるかとも考えます。

ドラマではよく見る場面に、先生方の葛藤がある事は想像が及びませんでした。
しかし、先生の遭遇率はすごいですね。
神様があらかじめお願いするのでしょうかね。

ケンシロウさん、こんばんは。

飛行機の中、ましてや長時間のフライトの中で具合が悪くなった場合は大変だと思います(私が外国の旅行で事件や事故に巻き込まれ言葉が通じないと心細いのと同じだと思います)。

コールがあれば求めに応じたいと思いますが、本当に心細いのです。冗談抜きに「ドクターはいませんか」と言いたくなります

研修医時代から私が当直すると急患が来ると言われていて、本当によく急患が運ばれて来ました。この記事を書いた時に国際線でのドクターコールの件数を調べて初めて、私の確立の高さにビックリしました。

今では飛行機の設備も充実して来ましたのが、更に呼ばれた医療者の意見を取り入れて機材を充実させて欲しいと願っています。

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