世界を夢みて 23: スコットランド番外編: 成熟と熟成
お酒を殆ど飲まない私としては、俄に注目度が上がった日本のウイスキーに関して、20年前に行ったスコットランドの小さな蒸留所を思い出しました。 今では何処の蒸留所を回ったのか定かではないのですが、森の中にあるこぢんまりとした蒸留所でした。 それよりビックリしたのはその近くを流れる小川(スペイ川の支流?)の水の色でした。先ほど出たばかりの蒸留所で試飲したスコッチウイスキーと同じ色で蒸留所からウイスキーの原料?が流れ出したのかと勘違いしたぐらいでした。
これはスコットランドの地方の川の色で、堆積したビートの中を濾過された澄んだ水で、ビートの色(琥珀色)が川の水に混ざったからだったのです。 蒸留所で飲んだお酒のために私の視覚が麻痺したためではありませんでした
ビート(泥炭)は植物の葉が堆積した出来たのですが、北の寒い地方では微生物が余り育たずに森の分解速度が遅いため、落ちた葉が充分分解されないまま堆積した地層のことです。 泥炭は石炭になる前のような状態で、可燃性があるため燃料としても使われています。泥炭は不純物も多くて余り質の良い燃料ではありませんが、スコットランドではウイスキーに使用する麦芽を泥炭で乾燥させるために、このビートの香りが麦芽に移って、これがあのウイスキーの香りとなるのだそうです(ビートの染み出た川の水を使うから色がついたわけではないのです)。
色と言えば、ウイスキーは元々は蒸溜酒ですから、 蒸溜によって出来た原液(ニューポット)は無色透明なわけで、ウイスキーの琥珀色は後がら着いてくるものなのですね。 色々な工程を経て、樽詰めとなります。
この小さな蒸留所の樽の中で何年もかけて熟成し、出荷の日を静かに待っているようでした。 この樽の中でウイスキーは樽を介して外界と呼吸をしながら熟成すると共に樽の原料であるオーク材から色と香味成分がしみ出してウイスキーの色が出来上がってくるそうです。
このようなことを想いながら、私に人としての熟成の時は来るのかと考えてしまいました。 恐らく何十年か前に取り合えず成熟はしたと思うのですが、私に熟成と言う時は来るのでしょうか?
私は熟成よりも味気なく劣化してしまったのではないか?、熟成するためには何かを得て何かを失うことで身軽になる必要があるのか? 今でも間に合うのか?・・・お酒が余り飲めない私はウイスキーの味より違うことを考えてしまったのです
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あら~、先生お酒飲めないんですか
私は夏のビールは
。でも量としては
大好きです。あと渋いところで「どぶろく」も好きです
そんなに飲めませんけど。旅行で、ビール工場に寄るなんていうと
うれしいです。「ビール工場に立ってるタンクを1本買っていったら
泳げるよ」と友達にからかわれました。ちなみに「泡盛」は飲んだことないです。
強そうだからやめたほうがいいですね。スコットランド、私も一度は行って
みたいです。
投稿: フーミン | 2016年2月 7日 (日) 21時52分
フーミンさん、こんばんは。
そうなんです、余り飲めないのです。全く飲めないほどではありませんが、すぐに顔が赤くなります。安く仕上がっていると考える様にしています。
私の方はビールが一番苦手でコップ一杯で駄目です。それより泡盛や焼酎の方が好きです(水割りですが)。ヨーロッパに行くとワインが余り飲めないのが残念です。
フーミンさんへのビール工場での例えでみると、フーミンさんはきっと、本人が思っている以上に飲めると周りがみているようですね
スコットランドは寒々としていますが郷愁を感じさせる場所ですよ、もしイギリスへ行く機会があればスコットランドへもよって下さい・・・・そしたら友人から「ウイスキーを樽ごと買ってきて」と言われると思いますよ
投稿: omoromachi | 2016年2月 7日 (日) 23時09分
omoromachi様おはようございます
なんとなく私のイメージとしては
病院長で外科となればバーボンや
高級ワインと勝手に考えてしまいます
外科の先生となると私には近寄
りにくいと考えていましたが
omoromachi様は別格です
音楽にしても旅行記にしても
温かみがあって大好きです
私もイギリスに行ってみた
くなりました。めざせ新婚旅行
です
投稿: ririka | 2016年2月 8日 (月) 12時08分
こんにちは。
いつもomoromachiさんのお人柄の溢れたブログで、自分と向き合い自問自答することが有ります。
今日も”そうかぁ”ウイスキーから自分の熟成、熟成ね!
自分もどうなんだろう?と考えてしまいました。
出来るのかな?
ステキな良い樽に沢山出会っていても、中の自分原料ですものね。
いつか来る最終に、周りの人たちに熟成していて飲みごたえが有ったねって、言って貰えれば嬉しいな?
それも、たった一本切りの味になっていたら、最高嬉しいなあ!
ウイスキーの素敵な琥珀色は、そんな風に出来上がってくるんですね。
ちなみに、けいもホンの少し飲めるのですが、すぐに真っ赤になってほろ酔いで、同じく経済的に出来ていまあす。
投稿: 絵本案内人 けい | 2016年2月 8日 (月) 16時57分
ririkaさん、こんばんは。
バーボンや高級ワインが飲めればいいのですが
味の分からない私ですので、一ビン1000以下ので十分です。
普段飲まないので仕事上はいいのですが、旅行に行った時にはワインやビールぐらい飲めたらいいと思うことが良くあります。
ririkaさんのような若い女性から褒めて頂き嬉しいです
目指せ新婚旅行ですね。頑張って下さい
投稿: omoromachi | 2016年2月 8日 (月) 20時33分
絵本案内人けいさん、こんばんは。
みて頂き嬉しいです。けいさんのように文書力はありませんので、自分の感じていることを素直に書こうと思っています。
けいさんに指摘されて、ウイスキーの出来る過程は私達と似ているかも知れませんね。 多くの方の手をかり、愛情を注がれて作られるのですね。 そしてもしそれが熟成したなら今後はみんなにお返しをしてやれるのですね。
私も多くの方に育てられました。どれぐらい後やれるかは分かりませんが、少しでも皆にお返しが出来ればと思っています。
けいさんも私と同じように、飲むとすぐに赤くなるのですね。同類で嬉しいです
投稿: omoromachi | 2016年2月 8日 (月) 20時38分