大脳の機能局在と利き手の関係
日本列島大寒波が押し寄せて寒くなりましたね。今日のFMレキオはこの時期に多い脳卒中について話をしました。脳卒中についてはこれまでにも書いたので、今日は脳の局在と利き手の関係について書いてみました。
人間が他の動物より発達した部分に大脳があります。色々な研究から大脳の中でもその部位によっての役割が違うことが分かって来ています。 その部位が脳卒中などでやられると特有な症状が出てきます。例えば前頭葉の梗塞などでは情緒不安定になったり、側頭葉では聴覚や言語を理解できなくなったりします。
今日はちょっと気になったのものに、右利き、左利きが何故起こるのかを脳の側から考えてみました。・・・色々と調べましたが結論は出ていません(このあたりになると私も素人と何も変わらないレベルですので怒らないでくださいね)。
人間は右利きが多いと言われています。字を書くのに右手が便利だとか、左手はトイレにて使うからとか、戦闘では大切な心臓を守るため右を前にして剣を持ったからだなど・・・諸説あります。
何も原因がなければ、右利きも左利きも同数いるはずです。
しかし全人類ではやはり、左利きは5〜10%と少数です。おおよそ3才頃までには利き手が決まるそうですが、強制的に直されなくてもそれぐらいの確立ですので、利き手に左右差があるのは偶然ではないはずです。
人間の脳は左右で形も大きさも対称に分かれていますが、それぞれがカバーしあっています。しかし右脳と左脳ではそれぞれが担う役割に違いがあります。 皆さん方も右脳人間とか左脳人間と言う呼び方を聞いたことがありますでしょうか(医学用語ではありませんが・・)。
人間の多くは左の脳が優位で、そこでは「言語、算術、理論、概念的」なことを担っていて、右の脳では「音楽、幾何学、発想」などを司っています。 ・・・そのため理論的で算術に秀でているのは右脳人間、芸術に長けている方は左脳人間だと表現したりするわけです。
優位半球が逆の方もいますし、そのことは遺伝的要素も加味されているようです。 人間が地球で生き抜くためには言語の獲得が重要で、算術なども他の動物とは異なり人間固有です。 ですから右脳、左脳のうち言語や理論的な思考を司る側を優位半球と呼んでいます。芸術よりも生きるためには重要だったのかも知れません。
右利きと左利きの言語に関する優位半球を調べた検査があります。「右利きでは優位半球は左半球が97%、右半球が3%」、「左利きでは左半球が69%、右半球が19%、両半球が12%」でした。左利きは全人類の5〜10%ですので、人間全体を見ると、圧倒的に左脳が右と比べて優位半球である確立が高いのです。
私達の脳が体に伝える神経は大脳の近くで交差します。左脳は右半身の運動等を司り、右脳は左半身の運動を司どることはご存じと思います。
人間は左の脳が優位半球が殆どです。そのことより逆に考えてゆくと、左の脳の支配する右半身がより重要となり細かな操作などを行えるはずです。そのために多くの方が右利きになるのではないかと私は考えています。
しかし右半球優位でも左利きにならない人もいます。これは先天的な優位半球では説明出来ませんので、更に後天的な部分でも利き手が決まる因子があることとなりますね。
・・・まあどっちが利き手でもいいのですけど
・・・昔左利きは強制されることが多かったようですが、無理する必要はないですね。 そう言えばなんとなく今では左利きが格好いいように思えたのは、音楽やスポーツの影響が大きいでしょうか?
ピンク・レディー「サウスポー」麻丘めぐみ「私の彼は左きき」、アリス「秋止符」などがヒットしましたね。その頃より左利きが「ギッチョ(差別的用語に近いので嫌な思いをされた方はすみません・・)」から急に「サウスポー」と格好良く呼ばれる様になりましたね。
スポーツでは王貞治さん、具志堅用高さん、イチローさんなどなど・・・
・・・まあいいか・・・ちなみに私は右利きです。 そういえば外科の初期の頃に左右の手が同じ様に使えるために食事などで左手を使ったりしました。今でもハサミもお箸も左手で扱えます
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院長先生
こんばんは。いつもありがとうございます。
私は典型的な?右利きです!
左手は思うように使えません。
でも足は左でケンケンなのですよ。
院長先生はやはり凄いですね。
よくTVなどで手術シーンを観ても上手に両手を使っていますもの・・・。
練習すれば使えるようになるとは言え、もう私の年では手遅れ・・・。
絶対に「脳卒中」を起こさないようにするのが一番、重要ですね。
今日、明日は暖かいですがまた寒さが戻ってくるようで
気をつけたいと思います。
投稿: マコママ | 2016年1月27日 (水) 22時07分
マコママさん、こんばんは。
私と同じ多数派の右利きなのですね。私の方はケンケンも右です。
余り凄くないです。単なる禿げたオヤジですので
手術は右も左も同様に使うのが理想ですし、手術が上手い方かどうかをみるのは利き手よりも左手の動きをみれば判ります。協調運動ができていれば術者としてほぼ合格です。
寒い時など血圧の変動が強くなりますので体調にはお気を受けて下さいね。
投稿: omoromachi | 2016年1月28日 (木) 00時00分
omoromachi様、ご無沙汰
しております。
3ヶ月間のシンガポール出張
から帰って来ました。
日本は寒いです
私は先天的というより
後天的に社会生活の
なかで右利きが多くなると
考えていましたので、
目からうろこです。
優位半球が右の方も
普通にいるのですから
人間はやはり皆同じという
訳ではないのも
面白いですね
ちなみに私も普通の
右利きでお箸も左では
扱えません
投稿: ツクシンボ | 2016年1月28日 (木) 08時46分
ツクシンボさん、こんばんは。
出張お疲れ様でした。この時期でもシンガポールは暖かいのでしょうか? 沖縄も今日は少し暖かくなっています。
生活習慣などが違っていても確率論から言えば明らかに人類は右利きが多いようです。それだけ差があるのはやはり何らかの原因があると考えました。
ネットでみても色々なことが書いてありましたが、私にとっては優位半球からみた利き手の出現に納得がゆきましたので書いてみました。 だからといって必ずしも当たっているとは限りません。
でも色々考えるのは面白いです
投稿: omoromachi | 2016年1月28日 (木) 21時37分
omoromachiさん、こんばんは。
今回の脳のお話、医学的な知識のない私にもわかりやすく、
とても興味深く読ませていただきました。
いわゆる、「右脳人間」とか「左脳人間」という表現は耳にしたことが
ありますが、やはり何か関係があるのかなぁ・・・なんて思いながら、
左利きの姪が左手で字を書くのを眺めたりしていました。
ところで、私は右利きで、左手では上手に字は書けませんが、
子どもの頃、よく左右の手に鉛筆を持って、同時に字を書いたりしていました。
左右対称で鏡に映したような字になるわけですが、左手だけで書くよりも
上手に書けた気がします。
これも何か、脳の働きと関係があるのでしょうかね・・・??
投稿: hanano | 2016年1月29日 (金) 00時07分
hananoさん、こんばんは。
CT等で見ても、左右の脳は大きさも形もそっくりなのですが、機能はかなり違うようです。理論的なものは左脳で芸術的なものは右脳で処理することが多いのでその様に呼ばれるようになったのでしょう。
子供の頃、器用に左右で書くことができたのですね。おそらく左右の上肢や下肢には運動をするために左右が協調して働く作用があります。 おそらく左右の手で対称的に書いたり、あるいは同じ方向に書いたりすることができたのかも知れません。 子供の発育障害でこの左右の協調運動が上手くできないこともあります。
専門家ではありませんので良く判りませんが、右手で文字を書く仕草と同様な動きで左手が追尾することで、左手だけ使うより上手く動かすことが可能だったからなのでしょうか?
人間の身体は不思議で奥深いです
投稿: omoromachi | 2016年1月29日 (金) 00時57分
先生こんばんは。
利き手・・・有難うございます。
実は、私は左利きだったのですが、昔のことですから両親に、お箸と鉛筆だけは右手で・・と、幼稚園に上がる頃に直されました。左手でお箸・筆記はもうダメですね。しかしそれ以外のことはほぼ左利きです。時々何気ない動作に他人から「サウスポーですか?」と聞かれることがあります。
母が、脳梗塞で右半身が不自由になった姿を見た時、両手使いが出来れば良いのになぁ~と思ったものです。脳トレと先々に備えて、左手でお箸を使えるように練習してみましょう~。
遺伝するのかしら? ちょっと興味あります。
息子の嫁が左利きです。 6歳・4歳の孫は右利きですが、1歳の孫は?
数年後が楽しみです(笑)
投稿: 神戸のomoroおばさん | 2016年1月30日 (土) 00時20分
神戸のomoroおばさん、こんばんは。
元々は左利きだったのですね。以前は多くの方が無理矢理矯正させられましたね。お箸や筆記は右でもその他は左という方も多いですね。
お箸も両方で使えるのはいいかも知れませんが、私の様に行儀が悪くなる場合もありますので注意が必要です。
左利き事態が確立は少ないそうですが、家族間でも違いがあるそうですので、何事も遺伝は無視できないかも知れません。
ピンクレディ以降、左利きはサウスポーとカッコ良くなりましたね。私も左利きの真似でもしてみましょうか。
投稿: omoromachi | 2016年1月30日 (土) 00時42分