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2015年12月 2日 (水)

癌の罹患率と死亡率

今日(2015年12月2日)のFMレキオは胃癌について話をしました。以前のブログで胃癌の原因(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-c58a.html )については書きましたので、今回のブログでは罹患率と死亡率の違いについて書いてみたいと思います。

癌の発生部位を考える場合は子宮癌や前立腺癌、乳癌(男性でもありますが)は当然男女差がありますので、男女で分けた方が解り易いかも知れません。

癌の発生部位に関して皆様方のご意見に耳を傾けると・・・日本人の男性の場合、一番多い癌は胃癌だよね、いやいや前立腺癌が多いみたい・・いや肺癌だよ・・・など皆がそれぞれ話をしたりします。女性の場合も、乳癌が一番多い、いや大腸癌だよ、いやいや肺癌が多いみたいよ・・・などなど・・・。

Th_dsc02918 どれも当たっているいるかも知れません。
ただ罹患率と死亡率をごっちゃにしている場合が多いなと感じることがあります。

罹患率(りかんりつ)とはある集団が新たに(1年単位で算出されることが多い)診断されたがんの数を、その集団のその期間の人口で割った値です。 例えば2015年にがんと新たに診断された人数を2015年の罹患数と呼び、この数字を人口比で割った値を2015年の罹患率と言っています。

がんの死亡率はある年に「がんが原因で亡くなった方の人数を全ての死亡者数で割った値」を意味し、ある年の亡くなった日本人の死因がなんだったのかを表しています。色々ながんがありますので、それぞれのがんによる死亡の順番をつけることで日本人がどの癌で亡くなったかも知ることができます。

死亡率は実際に何が原因でなく亡くなったかを示しますので、例えば、がんで闘病中の人でも心筋梗塞が原因で亡くなったら、がんの死亡には含まれずあくまで心筋梗塞(心疾患)による死亡率に含まれます。

Th_img_2674 まあ簡単に言えば、罹患率はその病気にどれぐらいかかりやすいかどうかの指標に、死亡率は文字通りその病気でどれぐらい亡くなったのか表す指標となっています。 日本で脳卒中は1980年まで死因のトップでしたが、それは予防や治療が功を奏して麻痺などは残っても死亡は減り現在死因の第三位となっています。その場合は脳卒中の罹患率は変化がないのに死亡率は減少したことになります。

がんに話を戻してゆきます。がんを部位別に分けるとがんに罹る確率と死亡する確率に違いが出ています。

がんの罹患率:男性では胃癌、前立腺癌、肺癌、大腸癌、肝臓癌、食道癌、胆嚢・胆管癌
 女性では乳癌、大腸癌、胃癌、肺癌、子宮癌、膵臓癌、肝臓癌

がんの死亡率では男性は肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、前立腺癌
  女性では大腸癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、

どのがんも早期では多くの患者さんが助かりますが、発見が遅れると予後が悪くなります。 色々な原因が複雑にからむのですが、(こんなことを書いたら統計学の先生からは怒られそうですが・・)非常に大雑把に言えば、罹患率より死亡率が高い方にあれば、治り難いがんですし、罹患率より死亡率が低い方にあれば、治りやすい発見しやすいがんとも言えるかも知れません。

医者の側も自分の専門分野、患者さんも自分が罹った疾患が多く感じてしまう傾向があるようです。そのような印象を日々の診療での医者同士や患者さんの会話の中で感じることです。

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コメント

こんばんは。

最近気になっていた話題だったので、
先生が書いてくださった今日の記事、興味深く拝読しました。
罹患率と言う言葉も、お恥ずかしながら、初めて知りました。

わたし自身(そしてわたしの家系)はとても健康なので、
がんと言っても遠い感覚でしたが、
最近知り合った方が、がんを患い現在も通院治療をされていて、
少し人事ではない感覚が芽生えてきました。

数年前からわたしもがん検診は受けているのですが、
これからも引き続き、健康管理には留意していこうと、改めて思いました。

アケさん、こんばんは。

医学で使われる統計用語も沢山あって、私達でも間違いそうになります。

罹患率という言葉は難しいですが、死亡率と勘違いしてお話をされる患者さんが結構いますので、今回ブログで取り上げてみました。 
アケさんもビックリするかも知れませんが、日本人が生涯にわたって癌になる確立は男性で54%、女性で41%・・・すなわち国民の二人に一人は癌になります。

私達にとって一番身近な病気かも知れません。癌治療の最重要点は早期発見、早期治療です。面倒くさがらずに、検診は欠かさず受けて下さいね。

先生こんばんは。
癌の話になると、27年前を思い出し、今元気に暮らせることに”感謝感謝”です。
癌検診を勧められない医師の本などが出ていますが、治癒した者としては、やはり検診は予防と両輪だと思います。
罹患率と死亡率の癌の種類が違っていますね。肺カルチノイドの悪性と診断された時は、肺癌が一番大変な癌だと落ち込んだものですが、ふり返れば今ほど情報本もなく、逆にそれが良かったのかも・・・ですね。
お任せした医師を信頼して、検査・手術・服薬を一つ一つ乗り越えていくのみです。
予防・検診と同時に、普段から体力はつけておかなければと日々思っています。

神戸のomoroおばさんさん、こんばんは。

肺カルチノイドに罹患されたのですね。カルチノイドは今でも難しい概念ですし、肺原発も少ない方です。以前は良性、悪性の中間的な腫瘍と言われていますが、現在は悪性度の少ない癌腫として捉えることが多いです。これまで転移もなく過ごせたので本当に感謝ですね。

がん検診を勧めない医師や現代医療さえ否定的な医師もいますがその先生は患者さんに責任を持てるのでしょうか? 私はいつもそう思いますし、一部を捕らえてあたかも全てのことのように話すのは学問を学ぶ方の姿勢ではありません。

医療は全てが上手く行くものでもありません、不幸な転帰をとる場合もあります。しかし患者さんを苦しめるのが医療ならとっくに医療なんてなくなっているはずです。 私達も沢山の情報の中から何が一番一般的な治療かを吟味する必要があります。

どんな治療より早期発見に勝る治療はありません。普段より健康に気をつけることは重要かも知れません。頑張って下さいねscissors

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