2015年ノーベル賞受賞:身体と知への貢献
今日のFMレキオは「膝について」話をしました。膝については以前もブログに書いたので(http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/no1-3111.html )、今日はノーベル賞について急遽書いてみました。
一昨日、昨日と嬉しいニュースが飛び込んできました。2人の授賞に対して、これは「人類に対する肉体と知への貢献」だと考えました。 人間が生きるために必要な身体と心に関する好奇心、人間にしかできない無限の可能性を感じたのです。
ノーベル医学生理学賞の大村智先生の薬は10億人の人々を寄生虫から救ったと言われますし、私の住む沖縄で多い糞線虫症の治療薬としても多大な貢献を与えてくれています。 そしてノーベル物理学賞の梶尾隆章先生は素粒子ニュートリノに質量があることを証明しました。先生ご自身が述べたように「何かすぐに役立つわけではなくて、人類の知の地平線を拡大するようなもの」とその研究の意義を述べられていて、感銘を受けました。
今年も日本人がノーベル賞を受賞して凄いなと思う一方、私は実はまだまだ少ないと考えているのです。
最近、旅行記を時々書いているのですが、 30年前は日本人がこんなに多く受賞するとは想像していませんでした。
私自身、ヨーロッパに行くと大学を見学をするのも楽しみにしています。 その大学ひとつで日本人の全受賞者数に匹敵あるいは超えるノーベル賞受賞者を排出していることに最初は驚きを隠せませんでした。 しかしその後行く先々でこのような大学があることを知りました。
オックスフォードに行った時もこの学校(群)からノーベル受賞者が51名近く、ケンブリッジでは90名、エジンバラ大学は18名、ドイツのミュンヘン工科大学で20名、ウィーン大学は15名・・・なんて言うことになっていて歴史の違いに圧倒された記憶があります。
しかし、色々な国を旅をして帰国して、思うようになったのは、本当に日本人の研究は世界的な貢献が少ないのだろうかと言う疑問です。
2000年以降、日本人が急に増えて来たことに対して、私は違う面から捉えています。特に今年は中国のトゥ・ユーユー先生も同時に受賞となっていますので私の感想は必ずしも間違っていないのではないかと考えるのです。
この20年でノーベル財団が、人種的な垣根を越えて、言語や文化を加味しながらも、本当の意味での正しい評価を下すようになったのではないかと推測しているのです。 欧米社会のみならず、アジア・アフリカでの功績も正しく認識されるようになったのではないかと思うのです。
私は日本人の研究者のレベルからするとノーベル受賞者がまだまだ少ないと考えています。人口でいうとロシアを除きヨーロッパ諸国で日本より多い国はありませんし、世界第3位の経済大国です。色々な分野で人類に沢山貢献していると思います。
私も若い頃基礎研究をしていた時期がありましたので解るのですが、日本においては、欧米各国と比べて、基礎研究に対して人的にも金銭的にも殆ど支援をしていません。
日本の多くの研究者はお金の見返りではなくて、真面目にコツコツと辛抱強くやっていて、研究費を捻出するのも苦労していると思います。
今回のようにノーベル賞の受賞者が出ると国民も首相も大はしゃぎします。それなら国も国民も教育機関(特に基礎研究部門)にもっと国の予算をつぎ込まないといけないのではないかと考えるのです。
私が述べているのは感覚的なことで根拠のないことですが、少なくともこのような話題を書いたのですから、基礎研究のために税金を上げるといわれても拒否出来ません
日本は知的分野、医療、教育の分野で世界に貢献が出来るのです。世界はこれを望んでいます。武力の輸出ではなくて、平和な暮らしのために世界に貢献して欲しいです。
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ノーベル賞の連日の受賞は快挙ですし、日本人としてはうれしい限りですね。
近年ようやく日本人の受賞が増えてきて、正当に業績が評価されるようになってきたのですね。
それでも、omoromachさんのおっしゃるとおり日本人の受賞はまだ少ないと思いますね。
これまではやっぱり欧米中心の考えがあって、アジアやアフリカなどは一段低い扱いだったのかもしれませんね。
日本には優れた研究者がいてトップクラスの研究成果も多いはずなので、これからはどんどん受賞者が出て欲しいです。
投稿: いちろ | 2015年10月 7日 (水) 21時51分
いちろさん、こんばんは。
日本人の受賞は本当に嬉しいです。自分がやったことでもないのに誇らしくて、何故か威張りたくなってしまいます
ノーベル賞も北欧で生まれましたので、最初は欧米、白人の受賞者が候補にまず上がるとも言われていました。近年そのバイアスが取り外されて、平等になったと思います。
日本人は緻密な作業をやって業績を残しています。米国のように少しでもお金になりそうなのは企業自体が見逃さずに行動を起こします。その分スピード感があって業績を伸ばせるのだと思います。
今後日本人のノーベル賞受賞者が米国に次いで2番目ぐらいになってくれたらいいなと思います。
毎年候補に上がる文学賞のあの方はどうなりますでしょうか?
投稿: omoromachi | 2015年10月 8日 (木) 00時06分
omoromachi様、こんばんはです
今回も面白い視点で語ってくれていて、このブログを
楽しみにしています。
私なら単に日本人がノーベル賞を受賞したことがうれしい
とかしか浮かんでは来ません。
omoromachi様が多彩な視点で日本を見れるのは
やはり沢山の海外旅行をして、他国を見てきたから
なのでしょうか?
私はこれまで日本もこんなに沢山のノーベル賞受賞者が
いることで世界でも多くの受賞者がいる国と思っていました
欧米諸国と比べるとあまり多くは亡かったのですよね
もっと日本人はノーベル賞を貰いえる人材が多数
いると思いますね。ニュースなどの放送でもまだまだ
沢山のノーベル賞予備軍がいるようなので
今後期待が持てます
最後に指摘しているように、もっと世界のために
日本らしい貢献を出来る道を歩いて欲しいです
投稿: ツクシンボ | 2015年10月 8日 (木) 17時41分
ツクシンボさん、こんばんは。
流石に化学賞までは行きませんでしたが、2日連続の受賞には驚きと共に嬉しくもありました。そしてジックリ考え直すとブログにも書いたように、日本人はもっと沢山のノーベル賞を受賞してもいいぐらいだと考えたために、この内容を書いたのです。
人口比での受賞者は日本は30位ぐらいといいますので、今後に期待をかけたいと思います。
今後も日本人の研究が世界に貢献できることを期待しいですね。
投稿: omoromachi | 2015年10月 8日 (木) 19時54分