戦争は簡単でも平和は難しい
今から70年前にこの沖縄で16歳と18歳の叔父が戦争で亡くなりました。 その時、多くの子供達がにわか戦闘員に仕立てられ戦争で死んでゆきました(以前、沖縄戦での中学・高校生の死亡率を書いてあります:http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-e44a.html )。 あの戦争で多くのことを失い、戦争ほど愚かなことはないと悟った国民がいました。
私はこれまで心の中で戦争が嫌だと漠然と思うだけで深く考えることはなかったのです。しかし自分の子供達が叔父さん達の年齢になった時に、平和の意味を考えるようになりました。
平和って難しいです。戦争になるには当然相手がいます。自分自身で平和と言っても火の粉が降りかかってくるかも知れません。 自衛権を主張する根拠になるのでしょうし、より強力でより広範囲な、もっと過激なことを言えば核武装しないと相手がもし戦争を仕掛けたらと考えたら夜も眠れなくなるのです。テレビや車を作っている暇があったらミサイルや核開発をしないと日本の存続は危険にさらされてしまいます。
平和は難しいのです。何をすればいいのかも曖昧です。自分だけでなく相手のことも考慮して、妥協して、気を使わなければなりません。平和って面倒くさいです。
でも戦争は簡単です。敵国を作ればいいだけですし、はっきりとした敵国がなければ仮想敵国を作ればいいのです。相手が攻めてくるかも知れないと恐怖を高めれば済むことです。
戦争って国と国のリーダーが始めるものです。国民はそれに乗せられているだけです。 仮想敵国がいれば政治はコントロールしやすくなります。 平和って難しいです。なぜ私達も政治家でもないのに戦争をしようと考えるのでしょう。相手の国の子供や女性をも自らの手で殺したいのでしょうか。自分の子供を喜んで戦争に送りたいのでしょうか。
もしも70年前の戦争で自分が少年兵のように砲弾の中を、肉体が吹き飛ばれた死体の上を、伝令のために走らされることを想像できれば、平和を渇望するはずです。戦争ほど醜く愚かな行為はないと悟るからです。
戦後70年です。実際に肌で戦争の憎さを経験した人が少なくなりました。しかし人間は動物と違います。過去から学ぶことが可能な存在です。70年前、戦場でお互いに殺し合いを経験した方は、きっと「戦争するぐらいなら何でもやれる」と思ったと想像します。 戦争の切っ掛けは心の中で生まれるのです。
私は戦争がなかったお陰で、ぬくぬくと自分の叔父の何倍も生きています。素直にこんなありがたいことはないと思っているのです。
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こんばんは
仮想敵国という表現を読みながら、戦争へと
進む怖さを感じました。平和は大切なことです。
この大切さをしっかりと忘れずに過ごしていきたいと
感じました。
投稿: nadoyama | 2015年6月16日 (火) 19時59分
omoromachiさん、こんばんは。
平和って本当に難しい。
それぞれの国にそれぞれの文化があって、それぞれの価値観があって、
日本から見るとおかしいと思うことでも、反対から見ると正しかったりする。
だから、平和を保とうと思ったら、「戦争したくない」国にすることです。
「戦争したくない」というのは、核武装することだと考える人が多いのかも。
でも、そうではなくて、外国から見て、必要な国だと思われる方が
ずっと生産的ですよね。
自衛隊が今まで行ってきた、災害地支援活動等はそれに値する活動でした。
世界中に人助けに出かけたらいい。
原発なんて売らないで、水質改良の技術とか再生可能エネルギーの技術とか
世界中に売ったらいいのに。
投稿: saki | 2015年6月16日 (火) 20時28分
6月14日放送のNHKスペシャル「沖縄戦 全記録」を見ました。
正直なところ、途中までで最後まで見ることができませんでした。
正直なところ、直視できなかったのです。
平和とは何か、先生の記事を読んで考えされられました。
ありがとうございます。
投稿: とんぼ | 2015年6月16日 (火) 21時22分
omoromachiさん
こんばんは。
私たちは今平和に暮らせています。
毎日水道から水が出、
いろいろな食べ物を選ぶことが出来、
テレビでお笑い番組を楽しんだり、
当たり前の豊かで平和な生活が憲法のおかげで
守られて本当にありがたいと思っています。
今、そんな平和が脅かされそうな危機感を感じます。
もちろん戦争になれば、今のような生活ができるはずもありません。
どうも今の政治の動きは
防衛を盾にゴリ押しをしているように感じます。
守るという名のもと、人殺しになるというリスクもあるはずで、
小さな戦いでやられた方が憎しみの復讐心を増幅させ、
戦いがエンドレスにエスカレートし大きな戦争に
発展する可能性もあるわけで、
この国の将来はどうなるのか、本当に心配になりますね。
投稿: monna | 2015年6月16日 (火) 21時44分
nadoyamaさん、こんばんは。
政治が何かを行いたい時、いわゆる敵を作ると簡単にコントロール出来ます。大坂の橋下さんもよくやる手法でしょうか。何か悪者を作り上げて攻撃すると私達も正義の味方になった気分になります。しかし表面的なものに欺されてはいけませんね。
平和は難しいのです。それは理想だからです。ですがこの大切なことをお互いにわかりあっていたいですね。
投稿: omoromachi | 2015年6月16日 (火) 21時51分
sakiさん、こんばんは。
平和を保つことは、相手がいることを考えると難しいですね。しかし世界に武器や原発ではなくて、教育や医療、環境整備に日本が積極的に出て行けば、本当の意味で世界貢献が出来ると思いますし、その実力も持っています。 なぜこんな素敵な面を世界に売り出さないのでしょう。 最近やたら武器や原発の輸出だけが目立ってしまいます。
武力で平和を保とうとする「積極的平和主義」なんていりません。sakiさんが書いてあるように、世界が求める日本で有り続けたら、わざわざ武力で日本を制圧しようとは思わないでしょうし、国際社会が許さないと思います。
けんか腰になると相手もけんか腰になるものです。もっと徳の高い日本で有り続けたいですね。
投稿: omoromachi | 2015年6月16日 (火) 22時03分
とんぼさん、こんばんは。
NHKスペシャル「沖縄戦 全記録」をご覧になられたのでしょうか。私は観ていませんので内容は分かりませんが、おそらくむごい事実だったと思います。
戦争を直視するのは難しいです。とても辛いからです。おそらくとんぼさんも心が痛くなって最後まで見ることが出来なかったのだと想像します。
「心が痛む」感覚をお持ちなら、心が平和を望んでいると思うのです。とんぼさんのコメントを読んでそう感じました。
投稿: omoromachi | 2015年6月16日 (火) 22時16分
monnaさん、こんばんは。
私達は日々の暮らしでも悩んで生きていますよね。でもこの悩みも平和だから出来る訳です。monnaさんが言うように「水道の蛇口を捻れば水がでる」・・こんな当たり前のことも平和だからですよね。
今、私達は恐怖を感じ始めています。こんな当たり前だったことが、足元から脅かされそうだからです。
「自衛」と言う名の元に、守るためなら先に喧嘩も辞さない考えに置き換えようとしている気がします。 世界一の憲法を持っている国が憲法を無視するようでは、まともな法治国家とは思えません。 戦争が出来る国よりも、平和を世界と共に作り行く国家として世界に名だたる国になって欲しいです。
平和はなによりも愛しいのですが、それは弱く小さなほころびから崩れてしまいます。 ほころびは早く修復しないといけないと考えてしまうのです。
投稿: omoromachi | 2015年6月16日 (火) 22時34分
omoromachi様、こんにちは。
沖縄では6月23日に70年目の慰霊の日を迎えるのですね。
omoromachi様の思いが素直に伝わって来ます
私も親になって初めて分かったことも多くありました。
中学・高校生なら本来は危険のないところに疎開させるか
大人が守ってやらないといけない年齢ですよね。
以前書いてあったブログも読みました。
沖縄での当時の中学・高校生がこんなに沢山なくなっていた
事実を目の当たりにして、やはりショックでした。
私の子供も中学になります。こんな子供が戦争の最前線で
消耗品のように扱われてはいけないとおもいます。
本土にいる私はomoromachi様から色々なことを
教えて頂いています。 omoromachi様の目線は決して
ローカルなことではなくて日本全体、さらには地球規模の
問題へと繋がっているのだと思いながら読まさせて頂いて
います。
6月23日は私も黙祷を捧げたいと思っております。
投稿: ツクシンボ | 2015年6月17日 (水) 14時33分
つくしんぼさん、こんばんは。
6月23日は沖縄では70年目にあたる慰霊の日です。ツクシンボさんも何年か沖縄に住んでいらしゃいましたから分かると思いますが、県庁を初め学校もお休みになります。
70年経って変わったもの変わってはいけないものを考え直す時でもあります。私のブログでわざわざ、今の中学生や高校生にあたる年齢の子が軍の命令で鉄血勤皇隊ということで強要され、それも軍人よりももっと死亡率の高い伝令として使われたことへの憤りをあらわしました。 これをやった兵隊さんを責めているわけではありません。戦争になればこの様な狂気が当たり前となるのです。
世界中で起こる戦争でまず初めに死んで行くのは若い人達です。戦争は軍備の必要性を訴えている人々が起こすものです。「相手が攻めてきたらどうするの」言えば済むことです。そうしないために汗水垂らすことはしません。 戦争をしないためにもっと世界のリーダーは汗をかかないといけないと思います。
今の日本は最高法規である憲法に従おうとせずに、自分達の都合の良い法案に憲法を従わせようとしています。 実に滑稽です。しかしこんな滑稽な事案がまかりとおるとなると、日本もいつか来た道を歩むことになるのではないでしょうか。
私は自分が良い時代に生まれてよかっただけでなく、子や孫の世代までこの国に生まれてよかったと思って欲しいのです。
投稿: omoromachi | 2015年6月17日 (水) 19時44分
omoromachiさまのご意見、一々ごもっともと思います。
昨日の同世代の会食でも
今、権力を持ってしまった政府のゴリ押しを危機感を持って見ている人が
こんなに沢山いるのに、打開できないもどかしさが話題にのぼりました。
平和な日本の足元が揺らいでいる。そんな実感が私達の誰にもありました。
戦争を知らない世代の政治家は怖いです。
投稿: お黒ちゃん | 2015年6月17日 (水) 21時06分
お黒ちゃんさん、こんばんは。
今の政府は私達庶民とやはりずれがあると思います。素直に解釈すればそうならないと思いますが、問答無用のように持論を展開するだけで、時間が来れば十分審議は尽くしたと法案を通すつもりでいるのでしょうか?
お黒ちゃんさんが言っているように戦争を知らない、あるいは想像力のない政治家は怖いです。
投稿: omoromachi | 2015年6月17日 (水) 23時14分