今日のFMレキオは中性脂肪について話をしました。外来受診のついでにと、患者さんが健診や人電ドックを受けた結果の説明を求められることがあります。 「高脂血症とか高コレステロール血症」と書いてあるけど、「高脂血症と中性脂肪に関係」や「コレステロールで善玉とか悪玉」とか書いてあるし、「糖分にも気をつけて下さい」と書いてあるけど卵は食べていいのとか・・・・・・関わりが高いような高くないような雑多な質問が飛び交います。この様な質問を受けると、専門外ですが時間の許す範囲内で説明をします。
三大栄養素と言われる、炭水化物(糖)、脂肪、蛋白質は食事をとると吸収合成され、体のエネルギーとして使用されます。また体の中でお互いが足りなくなると調整しあい、それぞれを補う形となっています。
食事に関して、それぞれの病態に応じて制限をかける必要はありますが、私自身は食事で極端な成分制限はかける必要はないと考えています。
糖分をとると血糖が高くなり、余った分は脂肪に変換されて蓄積されます。蛋白質も人間の体の材料になったり、余分なものは脂肪や糖分に変換されます。食事で入って来た糖分は吸収され血糖は上昇し、インシュリンの作用により脳細胞をはじめ、各細胞で消費されて血液の濃度は下がります。
食事の時間が遅れたりあるいは次の日まで食べれなかったりすると、血糖低下が起こり今度は脂肪や蛋白質を分解し糖分を作って血糖を維持する仕組みがあります。体の中で色々な仕組みでセーフティネットが構築されていてどの成分も極端に減らないようにしてくれています。
高脂血症は昔は中性脂肪やコレステロールが高い場合の表現として使われていましたが、今は細分化されて、高中性脂肪や高コレステロールに分け、さらにはコレステロールもLDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロールに分けて考えたりします。 まずこの辺りから説明・・・
血液の中の脂肪成分を遠心分離器にかえて重さ(質量)で分けると、三層に分かれます。コレステロールが二層に分かれ重いものがHDL(High-Density Lipoprotein:高比重リポタンパク)コレステロール、軽いものがLDL(Low-Density Lipoprotein:低比重リポタンパク)コレステロールとなり、それ以外に中性脂肪の層が出来ます。
成人病やメタボリック症候群の概念はそれぞれが影響しあい、動脈硬化を進めることがポイントとなります。人間は動脈と共に老いていきます。加齢による動脈硬化の進行は止めることは出来ませんが、食事の内容によって動脈硬化が加速することが知られています。
さて話を少し戻します。コレステロールは私達の体の細胞膜や各種のホルモンの原料に使われ、主に肝臓で調整されています。 HDLコレステロールは血液の中から肝臓に運ばれ合成されるコレステロールで血液中のコレステロール値は低下します。一方LDLコレステロールは肝臓から血管に運ばれるコレステロールですので血管にコレステロールが蓄積します。 血管にコレステロールが蓄積すると、動脈硬化が進行します。 このことよりHDLコレステロールは善玉(動脈硬化が進みにくい)コレステロール、LDLは悪玉(動脈硬化が進行しやすい)コレステロールと分けて考えるようになったのです。
コレステロールはLDLもHDLもなくてはならないものですが、両方含める総コレステロールの量も問題なりますが、その比率も問題となります。これをLH比として表す場合があります。LDLコレステロールをHDLコレステロールで割った値をいいます。要は悪玉を善玉で割った数字ですから、小さい数字が良いことになります。 LH比が1.5以下は健康状態。2.0以上はコレステロールの備蓄が増え動脈硬化の進行が疑われる状態。2.5以上は血栓が出来ている可能性があり、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。
脂肪の中の中性脂肪も食事から吸収され、主に備蓄用のエネルギーとして作用します。中性脂肪を取り込んだ組織が脂肪組織となります。皆様もご存じのように脂肪の蓄積部位も皮下脂肪と内臓脂肪に分かれます。その蓄積の場所も性差があり、同じ脂肪でも女性は皮下脂肪に貯まりやすく、男性は内臓の周りに貯まりやすい違いがあります。
これまでは脂肪は単にエネルギーを貯める組織と考えられていましたが、色々な活性物質を分泌することも分かるようになりました。そのような物質をアディポサイトカインと名付け、幾つかの種類があります。体に良いものもあれば悪いものもあります。 内臓脂肪が多いと悪玉のサイトカインが沢山出て、高血圧、糖尿病、高脂血症を悪化させます。 それにより動脈硬化が進むことになり注意が必要となるのです。 皮下脂肪からはこの様な悪玉のサイトカインは出ません。女性が長生きするのも判る気がします
人間の体はよくできています。極端な食事制限やサプリメントへの過度の期待よりも、食事に関しても万遍なく適量をとることが大切ではないかと専門外の外科医は考えているのです。
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