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2015年5月13日 (水)

消化性潰瘍の治療の変遷

今日のFMレキオは消化性潰瘍について話をしました。

このブログでは消化性潰瘍の治療の変遷について書きたいと思います。

歴史上、消化性潰瘍と思われる症状や治療の記載は、ヒポクラテス(Hippocrates:紀元前460年)の時代と言われています。 近代的な治療は1700年代後半からで、1800年代には消化性潰瘍の原因として胃液の研究が進み、塩酸やペプシンなどの過剰によるもの、胃の粘膜の血流障害Th_ 説、迷走神経や自律神経失調などのストレス説など、現代に医療と結び付く説が学会で議論されるようになりました。

1963年に様々な意見を集約した形で攻撃因子と防御因子の破綻が潰瘍の原因とした説が認められ、現代まで支持されています。消化性潰瘍の原因を天秤にかけた状態でバランスが取れていたら潰瘍にならないが、何らかの原因で攻撃因子側に天秤が振れたときに潰瘍になるというモデルで、解り易いため現在でも説明に利用されています。

胃酸の産生を直接抑制する治療薬が出るまで、潰瘍の治療は酸を中和する制酸剤と胃の動き等を抑える抗コリン剤が中心で、大きな潰瘍に関しては効果が少なく、長期入院や手術が必要でした。

1982年に開発された潰瘍治療薬のH2受容体拮抗薬が開発され、これはそれまでの薬と比べ画期的な効果をもたらすことになります。この薬が一般的に普及した1980年代後半からは、潰瘍による手術症例は激減し、今では出血、穿孔、狭窄の場合で内視鏡的な治療が効果がないと判断した場合に手術がおこなれています。 私より上の世代(70歳以上)の外科医は私達や更に若い世代よりも何十倍も胃・十二指腸潰瘍の手術を経験されています。 最近では更に胃酸の産生抑制効果の強い薬が臨床で使われるようになり、大きな潰瘍も外来で治療可能となっています。

更に潰瘍と関係が深いピロリ菌の発見により、除菌療法も新たな治療として加わってきました。私がたかだか30年外科をやっているだけで潰瘍の治療も劇的に変化してきています(勿論その他の治療も劇的に変化してきていますが・・)。 医療が今後も進歩することで、様々な治療法が出てきたらいいなと願っています。 それでもやはり医療の中心は人です。 これからも禿げたオヤジ(←私ですweep)はオヤジなりに頑張っていこうと思うのですheart01

(2015年5月13日のFMレキオ「いきいきタイム」はこちらから視聴できますdownhttp://www.stickam.jp/video/182436261

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コメント

院長先生
今晩は。
いつも有難うございます。

とても分かりやすい解説、有難うございます。
私は昨年、ピロリ菌の駆除をしましたが、
1回では消えず?2回服用して除菌できました。

新薬が次々と開発されて色々な病気が
治るようになれば一番ですね。

マコママさん、こんばんは。

そうでしたかピロリ菌の除菌を行い、2次除菌で成功したのですね。日本人の50代以上ではピロリ菌を持っている方が多いですね。

ピロリ菌の除菌に使う薬も日本ではほぼ決められています。1回目に使う薬でおおよそ70%の方が除菌に成功します。それで駆除されない場合は2次除菌の薬を使います。その場合は95%が成功します。 

それなら最初から2次除菌の薬を使えばいいのではと考えますが、抗生剤が効かない耐性菌が出現する心配があり、日本では1次除菌、2次除菌、それでも効かない場合は3次除菌までほぼ決められたルールで行っているのです。

まだまだ治療ができない疾患もありますので、遺伝子治療も含めていい薬や治療が開発されたらいいですね。

こんにちは、
長年、胃痛と共に暮らしてきたので、遍歴を実感しました(笑)
25年にピロリ菌除去成功してから後遺症なのか、胃酸過多?でパリエットを毎日飲んでいます。
先日、1日おきの服用にしてみたら、胃痛が始まってしまいました、
胃自体を強くするには、どうしたら良いのでしょう
キャベジンとか、漢方薬とかはどうですか?

3年前に潰瘍性大腸炎を発症しました。以来入退院の繰り返しです。70歳過ぎてからの発症は珍しいと言われました。安倍首相も同じ病気らしいですが、これといった治療法はないようですね。主治医に、この病気とは一生のお付き合いと言われすっかりしょげているところです。

通りすがりのおばちゃんさん、こんばんは。

胃が弱い方なのですね。 元々胃には強力な胃酸(塩酸)があります。ピロリ菌はこの胃酸の中で自分を守るためにウレアーゼという酵素を出して、胃の中をアルカリ性にしようと働きます。

ですので除菌に成功すると、一気に胃液が元々の酸性に傾くのですね。 そのために胃酸過多となって胃酸の産生を抑えるお薬を処方して貰ったのでしょう。 パリエットは1日1回の服用で胃酸を抑えていますので、1日おきでは胃酸を充分抑えきれていないのかも知れません。ただし腎機能の問題などもあり用量の調整は必要です。

胃の痛みは胃酸過多だけでもなく、粘膜の保護する力が弱かったり、胃の動きの問題などでも起こります。

キャベジンや漢方も有効化と思いますが、どのお薬も合う合わないが在りますので、ご自分に合ったお薬が見つかるとよいと思います。 あまり的確なアドバイスができませんがご了承下さい。

kannkodoriさん、こんばんは。

そうだったのですね、潰瘍性大腸炎を発病されたのですね。難治性の炎症性腸疾患で、同じ難治性のクローン病と比べるとやや年齢層は高くなります。それでも20〜30代での発症が多いと思いますし、最近では50代60代の発症の患者さんもよくお見かけすることがあります。

安倍首相もこの病気ですね。重症度によって治療法も異なります。様々な治療法が在りますし、私の様な外科の方では大腸を全摘する場合もあります。

良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いのですが、治療を中断しないようにして欲しいと思います。

大変だと思いますが、食事や内服などの治療を主治医に聞いて頂き、病情の安定をはかって欲しいと願っています。


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