体重増加と脂肪細胞
今日のFMレキオでは中性脂肪について話をしました。
その中から脂肪細胞について書いてみたいと思います。専門ではありませんので、非常に大雑把で正確性を欠いていますので、そのつもりで読んで下さい。
脂肪細胞と聞くと多くの方は肥満との関連を思い浮かべるのかも知れません。人間(動物全般)の歴史の中でずっと飢餓との戦いだったと言えます。 「食事をとった後、次の食事にいつありつけるかわからない」ことに対して、食事が取れる時に出来るだけとって、消費以上にとった栄養は備蓄出来る様に体のシステムが出来上がったのです。 その中心的役割を思ったのが脂肪細胞です。 中性脂肪(脂肪滴)を貯め込む細胞が脂肪細胞でそれがまとまって存在する場所を内臓脂肪とか皮下脂肪というのです。
私達の身体の中の脂肪細胞(厳密に言えば白色脂肪細胞)は胎児の後期、乳幼児期や思春期などを除いて、脂肪細胞の数は余り変わりません。 白色脂肪細胞はヒトにおいて250-300億個程度あります。この脂肪細胞は栄養を貯めるため、直径が2〜3倍まで増加します。 これが私達が食べ過ぎて体重が増加する原因となるのです。
この様に脂肪の数が多くなるのではなくて、1個1個が栄養を貯めて肥大化するため体重が10でも50Kgでも増加するのです。
これまで乳幼児期などの特別な期間以外は数は増えないと言われていましたが、脂肪細胞がもうパンパンでこれ以上貯められませんとなると、脂肪細胞の数も増加してしまうようです。厄介なことにダイエットしても脂肪細胞の数は減らないのです。 一度太り出すと太りやすい体質になるのかも知れません(これは私の憶測です。一度文献を読んでみたいと思いますが・・)
さっと通り過ぎましたが、太りやすい体質だなんて結構皆様言っているのではないでしょうか? これはダイエットに失敗したと簡単に片付けていいのでしょうか?・・・・ 先ほど、乳幼児期や思春期は脂肪細胞は数が増えることが出来ます。そして残念ながら脂肪細胞の数は減ることは殆どありません・・・・・このことより言えることは、乳幼児期や思春期に太っていた方は、大人になっても太り易いと言うことが言えるのです。
これまで、脂肪細胞は栄養をため込む細胞とだけ考えられていましたが、肥大化した脂肪細胞からは色々な活性物質が出ることもわかるようになり、肥満が良くないことが判りだしました。
同じ脂肪細胞でも小さい(細い)場合は体によいホルモン(サイトカイン)をして食欲を抑えるレプチン、インスリン抵抗性を改善し、血圧や中性脂肪を抑え、血管の壁の老化を防いでくれるアディポネクチンが出ます。
一方脂肪細胞が太って来た場合(内臓肥満型)は、悪玉のサイトカインを放出し、インシュリンの抵抗性を示し、糖尿病が悪化します。血管壁を収縮させ血圧を上昇(高血圧)を来たします。されに中性脂肪や悪玉コレステロールもも増えて行きます。 まさに肥満は生活習慣病の悪循環の元になっていたのです。
(脂肪細胞が太って悪い奴に変わることを考えていたら、グレムリンのギズモが水を飲んで悪いやるに変わるのになんか似ているなと思いチョッと遊び心でイラストを描いてしまいました・・また悪のりです)
(平成26年6月11日(水)のFMレキオ「いきいきタイム」はこちらから視聴出来ますhttp://www.stickam.jp/video/182323704 )
« タフで優しい人 | トップページ | 今週の生け花(2014年6月第2週) »
「医療 FMレキオ」カテゴリの記事
- ジカウイルス感染症:ジカ熱について(2016.03.30)
- 地震、災害時の医療トリアージ(2016.03.23)
- 高齢者では男性も骨粗鬆症に注意(2016.03.09)
- 日本人の体型は良くなったのか?(2016.03.02)
- 人間はなぜむせてしまうのでしょう(2016.02.24)
脂肪細胞は数が増えるのではなくて、1個1個が肥大化することで体重が増えるわけですか。
生活習慣病健診ではメタボ予備軍だといわれ、止まらない体重の増加に半ば諦めながら脂肪細胞を敵のように思ってしまいますが、実は進化の途中の飢餓との戦いのなかでは脂肪細胞は最大の功労者だったのかもしれませんね。
脂肪細胞を恨まずむしろ感謝すべきかもしれませんが、やっぱり溜まるばかりのこの脂肪は何とかしたいですね。
投稿: いちろ | 2014年6月11日 (水) 23時22分
いちろさん、こんばんは。
脂肪細胞の最も重要な働きは私達の栄養を備蓄するためですので、必要以上に食べ物が入れば、それを脂肪として蓄えています。 栄養の出し入れをする倉庫と同じで、多く入ったり空に近い状態になったりします。
脂肪がなければ、ちょっとした運動や海難、山岳事故で食べられなくなったらすぐに人間は死んでしまうでしょう。何日も水さえあれば人間が生きてゆけるのは脂肪があるからなのです。
どうかご主人様、脂肪を悪者にしないで下さいと、沢山の脂肪細胞の嘆きが聞こえてきそうです
投稿: omoromachi | 2014年6月12日 (木) 00時13分
またも面白いお話をありがとうございました。
新しい細胞が増えるのではなく,一つ一つの
細胞が大きくなって太るという考えの発想。
一つに見方が増えました。
太り過ぎに注意したいと思います。
投稿: nadoyama | 2014年6月12日 (木) 02時10分
nadoyamaさん、おはようございます。
脂肪細胞は成人で250〜300億個あります。その細胞の中に備蓄用の栄養源として中性脂肪を貯め込む役割がありますので、細胞の大きさも貯め込んだ中性脂肪の量で決まります。だいたい3倍程度の大きさまで増大出来ます。 細胞は見えない程小さいですが、250〜300億個の脂肪細胞が3倍になればどれだけ体重が増えるわけ・・となります。
先ずは数を増やさないこと、そして貯め込んだ中性脂肪を増やさないこと(=体重を増やさないこと)が大切ですね。
投稿: omoromachi | 2014年6月12日 (木) 08時20分
おはようございます
幼児の頃、ふっくらしていた私・・・
脂肪細胞を肥大化しないように
努めるしか無いようですね。
ちなみに、先生の描かれた巨大化したギズモ・・・
私の世代ではイカルス星人にも見えます。
怖すぎます
投稿: monna | 2014年6月12日 (木) 09時13分
体重の増減があるのは脂肪細胞が
せっせと栄養を貯め込むからなのですね。
私も夏に向けて皮下脂肪を制御しなければ
ならないと思いつつもコントロール出来ません
最初イラストの意味が分からなかったのですが
同じ脂肪細胞でも肥大化すると悪い奴になるの
ですね。
グレムリンをネットで調べましたが
ギズモが縫いぐるみのようで可愛いです。
ちなみに私の生まれる前の映画でした
投稿: ririka | 2014年6月12日 (木) 15時00分
丸に橘です。
「脂肪」とか「太る」とかいう言葉を聞くと、ドキッとします。もう肥満にならないように気をつけていますが、、、、結局は食べる量と運動との相関関係なのでしょうね。。。。
投稿: 丸に橘 | 2014年6月12日 (木) 18時26分
monnaさん、こんばんは。
だいたい幼児期はふっくらしている方が多いと思いますが、
日頃からまめにチェックして体重増加を防ぎましょう
その分やはり脂肪細胞の数が多くなったのかも知れませんね。 数が多いとそれだけエネルギー(脂肪)を貯め込む量が多くなりますので、体重もあっという間に増えてしまいます
変身して意地悪になったグレムリンを書いたのですが、確かに「イカルス星人」を細くした感じで、似ていますね。
今度はウルトラマンと対決させてみたいです
投稿: omoromachi | 2014年6月12日 (木) 19時24分
ririkaさん、こんばんは。
そうなんです、同じ脂肪細胞でも、中性脂肪でぱんぱんに膨れあがると、体によくない色々な物質を出してしまいます。 それが糖尿病や高血圧、高脂血症を悪化させてしまう悪循環の始まりになります。 その事がメタボリック症候群の基準となったのです。
まあ、グレムリンの映画が放映した後に生まれたのですね。私の最年少の読者かも知れません。 有り難いです
投稿: omoromachi | 2014年6月12日 (木) 19時31分
丸に橘さん、こんばんは。
思春期などの成長期を除き縦には伸びませんので、摂取量と消費量のバランスで体重(横幅)が決まってしまいますね。
ただ、これまで太りやすい体質だと何となく言っていたことにも根拠がある事が解るようになって来ています。脂肪細胞の数の問題、細胞数が増えても減らないことも分かるようになって、太りやすい体もある事が分かるようになって来ているようです。 更に遺伝子レベルでも解析が進むのかも知れません。
だからといって太りやすい体質と言ってしまっては元も子もないので、増えすぎないように早め早めの対策が重要となります。
投稿: omoromachi | 2014年6月12日 (木) 19時40分