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2013年8月19日 (月)

童謡「ぞうさん」

「ぞうさん」 まど・みちお作詞/團伊玖磨作曲

 ぞうさん             Photo
 ぞうさん             
 おはながながいのね
 そうよ
 かあさんもながいのよ

 ぞうさん 
 ぞうさん
 だれがすきなの
 あのね
 かあさんが すきなのよ

一度は聞いたことのある歌でしょう。突然私が童謡を歌うために書いたのではありません。 私の知人のTさんからこの詩の意味の説明を聞いて、感激しましたのでブログに載せたいと思います。

作詞はまど・みちおさんという方で、1994年に児童文学のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞、作家賞を日本人で初受賞した凄い方だったのですね。昨年、103歳になられました。まど・みちおさんが以前この詩についてご自身で解説されています。
「ぞうの子は、鼻が長いねと悪口を言われた時に、しょげたり腹を立てたりする代わりに、一番好きな母さんも長いのよと、誇りを持って答えた。
それは、ぞうがぞうとして生かされていることが、すばらしいと思っているからです。だからこの歌は、ぞうに生まれてうれしいぞうの歌、と思われたがっているでしょう」 
「目の色が違うから、肌の色が違うから、すばらしい。違うから、仲良くしようということです」 
と解説されているようです。

この詩は私達のアイデンティティについて述べていると思えるのです。 個性や違いを、鼻の長いお母さんをよりどころに持つことで自己を確立しながら、自分と他者の違いも好きになってしまうのでしょう。 本当に凄い歌詞の内容です。

今、世界はグローバル化といいながら、自分の肌や目などの身体的な違いだけでなく、思想的な違いを認めようとしない偏狭な方向に進んでいるのではないかと危惧しています。 

私は違う個性が沢山あるからこの世は素晴らしいのだと思います。違いがあるから楽しい発見があり、学ぶ事も沢山あるのです。そして、どうか私が違うことも認めて欲しいと願うのです。 

今、生きている世界中の人々は人類の起源となる1人の母親(ミトコンドリアイブ)から進化してきました。 それぞれの環境や社会に適応して人間は個性を産み出していったのです。 人類の進化は次第に違いを持つ方向に進んでいます。これが自然の摂理なのでしょう。 人類が築き上げた多様性こそが本来もっとも素晴らしいのだと思えるのです 

皆様はどう思われるのでしょう・・・

(・・・「ぞうさん」の二番目の歌詞でもう1行「そうね、とうさんもすきなのよ」と加えて頂けたら、忘れられがちな父親として、ちょっと嬉しいのだけれど・・・っと思ったりしています

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コメント

お鼻が長いのね は悪口だったのですね!
そういう意識はありませんでした。
ただ、仲良し親子のぞうさん という内容の歌だと思っていましたが、あらためて考えると深いですね。
違うからすばらしい。
いろんな生きもの、いろんな人間がいて、世界は成り立っているのですよね。
それに気付くことができてこそ、自己肯定感も生まれてくるのでしょう。

まどみちおさんの詩は好きです。
なんでもないようなことでありながら、口ずさむと気持ちが温かくなります。
確か、「やぎさんゆうびん」もまどさんですよね。
平凡なようでも世代を超えて浸透し、受け継がれていく歌は、不思議な力を秘めていると思います。

サボテンの花様、こんばんは。

「ぞうさん」は子供頃唄ったきりで、この歌にこの様な深い意味があることを知りませんでした。

自分と他者との違いを認めあうことで、自己肯定感も他人を認めることも出来るようになれるのだと思いますね。

他人を汚い言葉でやじる方は、おそらく自分自身についても自信が欠落しているのだと思うのです。

不安が強い世の中において、自分が他人と違うことを怖れて、その中身を吟味することなく、多数派になろうとしています。 1人1人がそれそれ素晴らしいう当たり前のことに気づいてくれたら、他人を思いやる気持ちも出てくるのではないかと思いますね。
(追記:サボテンの花さんへ:ご指摘の部分訂正しておきました)

おはようございます。
とてもよい話で、なんか嬉しくなりました
ぞうさんの歌にこの様なメッセージがあることに
気づきませんでした
違いを個性の一部と考えて
自分に対しても他の人に対しても
優しくなりたいです

ririka様、おはようございます。
「ぞうさん」は詩も曲も子供向けだと思い、歌の中に深い意味合いが隠されていることを考えた事がありませんでした。まど・みちおさんについても殆ど存じ上げませんでした。このようなシンプルで短い詩の中に沢山の言葉が隠されていることを知り、まどさんの偉大さに気づかせられました。
自分を認めることで、他人も認められると思います。私ももっと人間力を研きたいと思いますね。
コメントありがとうございます。

いいお話ありがとうございます。まどみちおさんの詩私も好きです。最近の「くうき」という詩が絵本になったので買いました。このお話を聞いてその紹介をブログでしたくなりました。一人一人違ってみんないいというかねこみすずさんの詩も思い出しました。少数派がいつも黙っていなければならないなんておかしな風潮は人間蔑視にもつながりますね。

はるか様、こんばんは。
まどみちおさんの詩も好きだったのですね。
少数派、多数派は数の違いであって優位差は何一つないのですね。 私は常々、思想や宗教、人間の健康面や財力などを考えた場合、多数派は少数派の事を考えて行動しないといけないと思っています。数で勝てるのでからそれ以上望む必要はないのですし、たとえ自分がその時多数派でいたとしても、いつでも少数派になり得るのです。
かねこみずずさんも好きなのですね。昨年山口県長門市に行った時に妙見山展望公園から、海辺に沿った街並みや海を眺めながら金子みすゞさんはこの様な風景の中で詩を書いていたのだと思いましたね。
はるか様のブログでいつか紹介して下さいね。

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