大英帝国とビタミンC
今週のレキオの放送もビタミンついて話をしました。ビタミンの大切さと無駄にとっても意味がないこと、脂溶性ビタミンといわれるA,D,E,Kに関しては過剰になる場合も話をしました。
前回の放送の中から「無敵艦隊を破った陰の功労者ビタミンC」ついて記しておきます。
ビタミンの大切さに関して、有名なイギリスの海軍における壊血病の話題を例にお話をしました。壊血病はビタミンCの欠乏により全身から出血を起こす病気です。
15世紀から17世紀の頃の大航海時代の話です。日本では、戦国時代から安土桃山時代の、各地の大名が出現し、国内統一を図ろうと群雄割拠していた時期です。
ヨーロッパでは大航海時代となり、各国が海の支配権すなわち制海権の争いをしていました。
大航海時代に、海軍を含め、海運業において、長期に航海をしなければならない船乗り達にとって、もっとも怖い病気に壊血病がありました。ビタミンC(化学名ではL-アスコルビン酸と呼んでいます)の欠乏症が壊血病であることがはっきりと判ったのは1932年のことですので、当時はやはり、原因不明の恐ろしい病気としか認識できませんでした。
ビタミンCの作用は体の細胞と細胞の間にある
繊維(コラーゲン)や骨組織の形成や血管壁の強化があります。ビタミンCは新鮮な野菜や果実に多く、特にダイコン、トマトの汁、トウガラシ、ミカン類(ミカンやオレンジ等)に多く含まれています。ですから船による航海が長くなると、ビタミンC不足となり、壊血病すなわち、体の毛細血管の破裂によって、全身から出血が起こり、骨の形成が順調に出来なくなり、死んでしまったり、仕事が出来ない状態となったのです。
イギリス海軍省は食事環境が比較的良好な高級船員に壊血病の発症者が少ないことに着目し、新鮮な野菜や果物、特にミカンやレモンを取ることによってこの病気の予防が出来ることを見い出しました。
イギリス海軍は、長期の航海に出るときには多量のレモンを積んで、船乗りにレモンを多く食べさせることにより、長期の航海で深刻な事態になっていた壊血病を克服できたのです。このことによりイギリスでは優秀な船員達が壊血病にならずに活躍することができ、1588年、イギリス海軍はそれまで制海権を握っていたスペインの無敵艦隊を破ることが出来ました。それ以降、スペインやポルトガルに変わってイギリスが世界の海を支配することになったそうです。
このレモンのおかげで英国海軍は世界一の海軍になり、英国が世界を支配することが出来たのです・・大げさかも知れませんが大英帝国の基礎を築いたのはレモン(すなわちビタミンC)だったのかも知れません。
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