脳卒中とは
冬場に多い脳卒中についてFMレキオで放送しました。
脳卒中は、脳におこる病気のなかでもっとも多く、昭和26年から昭和55年までの30年間、日本の死亡原因の1位を占めていました。平成22年の日本人の死因では癌、心疾患、脳血管疾患の順位となっています。一見統計上は、年々死亡率は低下していますが、これは治療技術の進歩によることが大きく影響していています。実際は逆に脳卒中にかかる人の数は年々増加しています。この40年間で脳卒中の主流は、生活習慣の変化・特に食事の欧米化に伴い脳内出血から脳梗塞へと変化してきています。
脳卒中とは,脳の血管がやぶけたり(脳出血:脳内出血+くも膜下出血)、つまったり(脳梗塞:脳血栓+脳塞栓)して,急に手足の麻痺やしびれ、あるいは意識障害などの症状が出た状態をいいます。今ではCTやMRI検査で出血か梗塞かの違いは判りますが、昔は診断も治療法もなかったので出血も梗塞も脳卒中という総称でよかったのです。
しかし、医者でなくても、出血だったら血を止めた方が良いと思うでしょうし、脳梗塞で詰まっているのであれば血をサラサラにして固まらないようにしなければならないと思いませんか 一方は血を固めるようにしなければなりませんし、もう一方は血を固まりにくくしなければなりません。これは180度違うことをやらなければならないわけで、混乱を招く原因となっています
。
ここで誤解を解くためにも、名前の由来を記載しておきます。
脳卒中を漢字で書くと脳みその脳に、卒業の卒、ちゅうは中という字を当てます。脳はむろん脳みそ(脳実質)のこと。卒は「にわかに」の意。そして中は「あたる」の意味で「適中、命中」などと同じ意味なのです。つまり脳卒中とは「脳がにわかに(邪気に)あたった病気」なのですね。
脳卒中の発作をみると、まさしくその通りの病気であることが分かります。昔は脳の中で、出血が起こっているのか、血管が詰まったのか、全く区別がつきませんでしたし、治療法もなかったわけです。ですので、ある日突然、頭痛を訴え、意識がなくなったり、麻痺が起った人を目の当たりにして、この様な病態をひっくるめて、脳卒中と言ったわけですね。本来、全く異なった病態をひっくるめて脳卒中と呼ぶのは今の時代では無理があるのかもしれません。
寒い時には脱衣所も暖めてからお風呂にお入り下さい。急激な気温の変化は血圧や循環系に負担をかけてしまいます。季節がらお体に気をつけて下さいね。
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脳卒中は1つの病気だと思っていましたw(゚o゚)w。中国語でも同じ漢字を書くのでしょうか? 色々と勉強になります。楽しみに毎日チェックしています。
投稿: リリカ | 2013年1月25日 (金) 08時43分
リリカさんこんにちは。脳卒中という言葉は昔は便利だったと思うのですが、今では逆の治療をすることもあり、誤解を招くことがあります。昔は悪霊が取り憑いたと荒治療(治療といっても拷問近い処置)があったそうですから、現代に生まれてよかったと思います。 インターネットで中国語も書いてありますが、正式な専門用語か判りません、ごめんなさい。
。
また寄ってください。有り難うございます
投稿: omoromachi | 2013年1月25日 (金) 18時44分