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2012年11月19日 (月)

iPS細胞について

Dsc00520_2 無事院内発表会も終了しました。それぞれが、各部所で知恵を絞って演題を考え・発表までこぎつけていますので、どちらも100点満点でしょうかfull。 来年は更に良い発表を期待しています。

今週のFMレキオは私の担当ではないため、以前放送した、iPS細胞について説明したいと思います。 (2012年10月24日放送内容のまとめです)

 先月、非常に嬉しいニュースが飛び込んできました。2012年のノーベル生理学・医学賞に山中伸弥(やまなかしんや)、京都大学教授が選ばれた知らせです。 先生の発見はノーベル賞の研究の中でも、際だって凄い発見で、これからの医療に大きく寄与していくと思いますgood

 人類の病気に対して多大なる恩恵を与えると同時に、人間とはいったい、どこから来て何処へ行くのかという、極めて哲学的な問題まで問いかけられる研究と思われます。

 今回の授賞理由は「分化した細胞も多能性細胞にリプログラミングできることの発見」ということです。

 ここで「分化した細胞」とは、私達が一般的に考えている体の細胞のことです。 皮膚は皮膚の細胞、神経は神経細胞、心臓や肝臓などはそれぞれ心臓や肝臓の細胞なのです。 心臓の細胞を皮膚に移植しても皮膚にはなりません。 

 この様に一度分化して、人間の体で何らかの機能を補う細胞になった場合は他の細胞へは変化できません。・・そうだ・・なるほどと思いますね。 皮膚の細胞が突然目の細胞になったりしたら、それこそ大変ですbomb

 私達人間の体には、二百数十種類の細胞があり、体全体の細胞の数としては約60兆個あるといわれていますimpact

 しかし、私達人間は元を辿れば、受精卵という一個の細胞から出発しているのですね。ということは、元の1個の細胞から2個、2個から4個と細胞分裂を繰り返して、しばらくすると、神経に変わる細胞、筋肉、皮膚、内臓、などの幹(みき)となる細胞(これを幹と書いて幹細胞(かんさいぼう)と呼んでいます)に分裂し、更に分化していって、私達の体を構成している細胞に姿を変えます。

 

 この様に「受精卵幹細胞分化した細胞」というのは一方向の変化で、一度分化し得えた細胞は、生涯この役割を果たしていき、巻き戻しはできないと考えられていました。このために生物は世代を受け継いでいったのですね。 神のなせる技であったわけです。

 

 色々な機能に分化できる幹細胞をつくり、これから筋肉や神経の細胞がつくれないかどうかという研究や実験が行われきています。さらに受精卵の核を取り出して、他の遺伝子を入れることで、受精卵の様な細胞が出来ることが次第に判ってきたのです。

 

今回のノーベル賞の授賞者は、山中先生とジョン・ガードン先生です。ガードン先生は山中先生の実験に先駆けて、カエルの体細胞クローンの作製に成功したことが授賞理由です。しかし、これはやはり、卵細胞を使用してクローンをつくり出したのです。

 

受精卵を利用することは、卵子を取り出すのも大変ですが、受精卵そのものが、既に生命だとすることに対する嫌悪感や宗教観、倫理的な問題もあり、なかなか実験を進めることができないわけです。

 ここで、iPS細胞の作製に成功した山中伸弥先生の登場です。山中先生の功績は通常の細胞に遺伝子操作を行い、この幹細胞を作ることに成功したのです。このことは本当に凄いことなんです。

 

 今回山中先生の発見もガードン先生から導かれたものです。 ただなんと言っても、卵子を使わないで普通の皮膚から細胞の初期の段階を作り出すことに成功したことが、人類にとっての大発見です。 卵子を使用することと違い、倫理的あるいは宗教的な事柄からのハードルが引き下げられ、一気にこの様な研究が、全世界的に進むことが出来るようになったのです。

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 生命学的には卵子に精子が受精して、分裂が起こり、それぞれ体の元になる細胞:幹細胞に分列し、その幹細胞からそれぞれの細胞が分化し、人間(動物)の体が出来てきます。

1個の受精卵が分化を続けて、200種類60兆個細胞になり、私達の体となっています。

理論的には分化した細胞といっても、元々は受精卵から分裂した細胞ですから、きっと遺伝子を引き継いでいるはずなのです(色々な細胞になれる力を持っているけど、あえて私は「皮膚なら皮膚の細胞で頑張ります」といっているのが私達の細胞達なのです:その様に考えると判りやすいかも)。

 

 受精卵が分裂して行く過程で、その様に幹細胞を作る遺伝子がどの細胞にもあるはずと考え、遺伝子を追究していったのです。膨大な研究の中から、この遺伝子の候補は24種類となり、さらに候補を絞って行き、最終的には4つにまで絞り込むことが可能となりました。 それをマウスの皮膚の細胞に注射すると、見事に幹細胞に戻り、さらにいろんな種類に細胞に変化できることを発見しました。

これが 山中先生がノーベル賞を取ったiPS細胞です。iPS細胞は induced Pluripotent Stem cell(人工多能性幹細胞)の略語となるのです。

iPS細胞は、受精卵がなくても「細胞のリプログラミング」ができることを実証しました。

 

これまで、細胞は受精卵から次第に分化したら、後には戻らないとされていましたが、分化した細胞も受精卵の様な状態に戻すことが出来ることを証明したのですね。 これが倫理的に問題となる受精卵を使わなくても済んだことで、これからの医学・生命学的な研究へ革命的な変化を与えることとなったのです。  勝手な言い方ですが、ノーベル賞の中のノーベル賞だと思います。

 

 これと共に、これまで人類が神にしか与えられていないと考えられた、生命そのもの、不老不死への扉を開くかも知れない、危険な領域へも踏み込みことが可能となる成果かも知れないのです。

 

この番組をインターネットで視聴出来ますdownhttp://www.stickam.jp/video/181646057 (クリックで飛ばない場合はコピー&ペーストでお願いします)

 

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