甲状腺の役割と疾患
今日(2024年12月10日)のFM放送「いきいきタイム」は甲状腺の病気について話をしました(今回時間が取れませんでしたので以前書いたものの再度の投稿となります。済みません🙇🙏)。
甲状腺の何らかの異常(多くは放置してもよいもの)は、男性で15%、女性で25%が指摘されるようですので、ポピュラーな病気なのです。
ではこの甲状腺で何処にあるのでしょう? 甲状腺は前頸部の気管と皮膚の間にある蝶の様な格好をした16〜20gの小さな組織です。
正常なら殆ど気がつくことはありません。 左図のように両手の指をあてて、「ゴクンって」つばを飲む操作ななどをした場合に、気管以外に触れるのがあれば、甲状腺が大きいか、何らかの腫瘤がある場合です。比較的大きくなる慢性の甲状腺炎やバセドー病などでは、首の前が大きく腫れて素人でも見た目でも判る場合があります。
甲状腺の病気としては、元々ホルモンを分泌する器官ですので、ホルモン量の多い少ないための病気(甲状腺機能亢進症・機能低下症)と腫瘍(良性・悪性)が臨床上問題となります。
今回は甲状腺ホルモンについて話を致します。甲状腺は大切なホルモンを作る臓器で、これがないと私達は生きて行くことが出来ません。
甲状腺ホルモンの主な機能は①新陳代謝を盛んにすること、②交感神経を刺激すること、③成長や発育を促進する作用にあります。
ですので甲状腺ホルモンが正常より多く出るバセドー病をはじめとする甲状腺機能亢進症では、①②により、動悸、息切れ、体重減少、発汗の増加、手の震え、暑がり、暑さに弱い、下痢などが出ます。
橋本病をはじめとする甲状腺機能が低下(甲状腺機能低下症)する病気ですと今後や逆に、寒がり、体重増加(むくみ)、元気が出ない、脈が遅い、集中力の低下、便秘などが出ます。
これらの症状は色々な病気でも起こることがあります。例えば自律神経失調症、更年期障害をはじめ心臓病や貧血、その他感染性疾患などでも似た症状が出ます。そのためこれらの病気だと思い込んで長い間苦しんでいたのに甲状腺ホルモンの異常による診断がついて薬を始めただけて生活が一変することもあるのです。
甲状腺ホルモンの第三の作用は「成長や発達を促進する」作用があります。成長期には特に重要となります。 甲状腺ホルモンは、小児が正常に成長するために不可欠なホルモンです。
成長するためのホルモンとして、成長ホルモンが有名ですが、これと同様に甲状腺ホルモンは成長期には重要な役割を担っています。このホルモンが不足すると人間では成長障害が認められます。
人間ではないのですが、カエルの実験で甲状腺ホルモンが欠損するとオタマジャクシはカエルになれなくなります。甲状腺ホルモンには成長や分化を早める作用もあるわけです。
甲状腺の病気の多くは採血とエコー検査で発見出来ますので、内科や甲状腺外来などで御相談下さい。
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