コインブラからポルトへ(ボリャン市場、サント・イルデフォンソ教会など)

これまで写真や映像で何度も見てきたポルトですが、実際に訪れるのは今回が初めてです。美しい街並み、ドウロ川に架かる橋、歴史ある教会や建物など、見てみたい場所がいくつもありました。
列車がポルトに近づくにつれて、「いよいよ念願のポルトに到着するのだ」と、自然に気持ちが高まってきました。
<ポルト・カンパニャン駅>
コインブラからのバスが到着したのは、ポルトの玄関口の一つであるカンパニャン駅です。
正式にはポルト・カンパニャン・インターモーダル・ターミナルと呼ばれ、鉄道だけでなく、地下鉄やバスなどが乗り入れる交通の拠点となっています。
駅に降り立った時点では、まだポルトらしい古い街並みはあまり見えてきません。それでも、初めて訪れる街の駅に立つと、これからどのような風景に出会えるのだろうという期待が膨らみます。
今回の1、2泊目はポルトの民宿となっていますので、チェックインの前にさっそくポルトの中心部を歩き始めました。
街を歩いていると、ひときわ目を引く美しい建物が現れました。
「ア・ペロラ・ド・ボリャン(A Pérola do Bolhão)」という、1917年創業の老舗食料品店です。
店名は日本語にすると「ボリャンの真珠」といった意味になるのでしょうか。その名のとおり、周囲の建物の中でも独特の輝きを放っています。
外壁を飾るのは、青や黄色を基調としたアール・ヌーヴォー様式のアズレージョです。スパイス交易や異国の果物を思わせる人物や植物が描かれ、かつてポルトガルが海を越えて世界とつながっていた歴史を感じさせます。
店内には、ポルトガル産のワインやチーズ、ナッツ、ドライフルーツ、缶詰などが所狭しと並んでいます。昔ながらの食料品店でありながら、商品のパッケージもしゃれていて、お土産を探す店としても人気があるようです。
ポルトでは、こうした何気ない商店の外観にも見事な装飾が施されています。街を歩いているだけで次々と美しい建物が現れるため、そのたびに足を止めて写真を撮り、なかなか前へ進めません。
ア・ペロラ・ド・ボリャンのすぐ近くにあるのが、ポルト市民の台所として親しまれてきたボリャン市場(Mercado do Bolhão)です。
1839年に創設された歴史ある市場で、長期間にわたる大規模な改修を経て、2022年に再び開場しました。
歴史ある建物の雰囲気を残しながら、内部は明るく清潔で、近代的な市場へと生まれ変わっています。
上階の回廊から市場全体を眺めると、建物の美しい構造がよく分かります。
昔ながらの市場の賑わいを残しながら、衛生的で利用しやすい空間に改修されていました。観光客のためだけにつくられた場所ではなく、今も地元の人々の暮らしの中に息づいているところが、ボリャン市場の魅力なのだと思います。
中央の広い空間を囲むように、野菜や果物、鮮魚、肉、チーズ、ハム、パン、花などを扱う店が並んでいました。
店先には色鮮やかな食材がきれいに並べられ、市場全体が一つの大きな展示会場のようにも見えます。地元の方の日常を支える市場である一方で、旅行者も気軽に歩き回ることができる開放的な雰囲気です。
ポルトガル名物のイワシやタコの缶詰、ポートワイン、オリーブオイル、伝統菓子なども並んでいます。
缶詰といっても、日本で普段見かける実用品という印象とは少し違い、どれも絵柄や色使いが美しく、お土産として持ち帰りたくなるものばかりでした。
市場内には、新鮮な魚介類や生ハムなどをその場で味わえる店もあります。ポートワインや地ビールを片手に、市場の食材を楽しんでいる人たちの姿も見られました。
ボリャン市場からサンタ・カタリーナ通りを歩いていくと、ポルトを代表する老舗カフェ「カフェ・マジェスティック(Majestic Café)」があります。
1921年創業のカフェで、アール・ヌーヴォー様式の華麗な内装から、「世界で最も美しいカフェ」の一つにも数えられています。
外から眺めただけでも、ここが普通のカフェではないことが分かります。木彫りの装飾や大きな鏡、シャンデリア、革張りの椅子などが並ぶ店内には、1920年代の華やかなベル・エポックの雰囲気が残されています。
かつては作家や芸術家、政治家たちが集まり、語り合う社交場でもあったそうです。ポルトに滞在していた頃のJ・K・ローリングが、このカフェで『ハリー・ポッター』の構想を練ったとも伝えられています。
ポルトガル風フレンチトーストの「ラバナーダ」も名物ですが、観光客にも大変人気があり、店の前には多くの人が集まっていました。
カフェというよりも、ポルトの文化と歴史そのものを今に伝える場所のように感じられます。
さらに歩いていくと、階段の上に青と白のアズレージョで覆われた教会が見えてきました。
サント・イルデフォンソ教会(Igreja de Santo Ildefonso)です。
1739年に完成したバロック様式の教会で、正面に並ぶ二つの鐘楼が印象的です。教会の壁面を覆う約1万1,000枚のアズレージョは、1932年に芸術家ジョルジェ・コラソによって制作されたものです。
青と白のタイルには、聖イルデフォンソの生涯や聖書の場面が描かれています。
建物の正面全体が一枚の大きな絵画のようで、近くから見ると一枚一枚のタイルの細かな描写に驚かされますが、少し離れて眺めると鐘楼を含めた教会全体が美しく調和しています。



















































































































































































































































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